Z7 バナナ・スピリット / ねえシャイニン・ガール (1980)   ビクター Invitation VIHX-1521












西岡 恭蔵 : Vocal, Guitar
中西 康晴 : Keyboards (1), Arrengement (1)
鈴木 茂 :  E. Guitar (2), Arrengement (2)


1. バナナ・スピリット NHKみんなのうた [作詞: Kuro, 作曲:西岡恭蔵]
2. ねえシャイニン・ガール [作詞: Kuro, 作曲:西岡恭蔵]


写真中: 「NHKみんなのうた」からのシーン (若井丈児 画)

写真下: 「Kyozo Nishioka Golden☆Best」  
 

「NHKみんなのうた」は、1961年の放送開始から現在に至るまで、1300曲以上の歌を提供してきた。そのなかで500曲ほどにつき、当時の音声や映像が失われてしまったという。HNKは、番組放送50年をきっかけに「発掘プロジェクト」を立ち上げ、視聴者に手持ちの音声・映像の提供を呼びかけた結果、音声200曲、映像80曲が集まったという。1980年10〜11月に放送されたという西岡恭蔵の「バナナ・スピリット」は、NHKには若井丈児によるアニメーションの映像が保管されておらず、スリー・ディというアニメーションとCG制作会社が保管している写真が同社のホームページに掲載されているのみのようだ。

私は若い頃、自宅の最寄り駅にある小さなレコード店に通いつめていた。店のおじさんから「新譜ジャーナル」という業界誌をもらい、そこにある新作発売リストを注意深く読み、好きなアーティストのLPやシングルの欄にまるを付けて、お小遣いを貯めて買っていたものだ。インターネットがなかった時代で、情報源が限られていたため、もらさず買うことはけっこう難しかった。本シングルもそのようにして見つけた一枚で、他に「小坂忠」の「からだを起こせ」、佐藤奈々子の「ふらりさよなら」、大貫妙子の「サマー・コネクション」(LPと別録音)などが印象に残っている。しかし正直言って、当時「NHKみんなのうた」で本編のアニメーションを見た記憶は、残念ながら、ない。

本シングルを発売したビクター Invitationは、1981年に「New York To Jamaica」N7 という西岡氏のアルバムを発売したレーベルで、その録音時期が1980年11〜1981年2月とクレジットされ、アレンジャーに鈴木茂、キーボード奏者に中西康晴の名前がある。「みんなのうた」の放映が1980年10〜11月であることを考えると、本シングルの録音が前述のアルバムの録音セッション時に行われたとは考えられない。しかしアルバム製作の企画が進んでいた時期であり、テレビの仕事が舞い込んできたため、先行録音したものと思われる。1.「バナナ・スピリット」でアレンジを担当した中西康晴は、上田正樹とサウス・トゥ・サウスで有名になり、その後は泉谷しげるのバックを経て多くのスタジオ録音に参加したキーボード奏者、アレンジャーだ。カリプソのリズムに乗せて西岡が跳ねるように軽快に歌う。本シングルではバック・ミュージシャンの記載がないので、誰か不明であるが、間奏でのベースやエンディングでのギターソロなど、巧者ぞろいだ。バナナ・スピリット(Banana Split)は、バナナの上にアイスクリ−ムと生クリームがたっぷり乗った、いかにもアメリカらしい豪快なデザートで、ニューオリンズが発祥の地らしい。 2.「ねえシャイニン・ガール」は、オールディーズの香り溢れるトゥイスト(ロックンロール)曲。鈴木茂によるアレンジは、ドゥワップ調のコーラスが入った賑やかなサウンドであるが、1980年という当時の流行を反映して、生楽器を使用しながらもテクノっぽい軽いリズムで、ペカペカしたメタリックのような音作りになっている。 

上記2曲は、その後西岡氏のアルバムには収録されず、知名度が低いため、本シングルは知る人ぞ知るコレクターズ・アイテムとなっている。なお 1.「バナナ・スピリット」は、後の1989年に「KUROちゃんを歌う」N13で、太田裕美がカバーしている。

[2012年10月追記]
(株)ウルトラ・ヴァイヴという会社から、11月に発売される西岡恭蔵のCD「ゴールデン☆ベスト」に、本シングルの2曲が収録された。