K1 The Guitar Of John Renbourn  (1979)  S. Grossman Guitar Workshop


K1 The Guitar Of John Renbourn



John Renbourn : Guitar

[Tape 1]
1. Judy [Renbourn]  R1 R3 R20 V2 K2
2. Buffalo [D. Graham] R1 R4 K4
[Tape 2]
3. Bransle Gay  R6 T3 T10   
4. The English Dance R13 R14 R17 R19 R20 R25 V1 V2 V5 V7 V8 V9 K3 K5
[Tape 3]
5. Lady Nothyngs Toye Puffe [Renbourn] R4 R21 Q13
[Tape 4]
6. My Dear Boy [Renbourn] R5 K4
7. Transfusion [C. Lloyd] R5 R5 R13 K4
[Tape 5]
8. Sweet Potato [Booker T. Jones] R5 R12 R20 R24 V3 V5 V7 K2  
[Tape 6]
9. Mist Covered Mountain Of Home R14 R17 R20 R24 V5 V7 K2 K3         
10. The Orphan R13 R14 R17 R24 V5 K2 K3                

6本組カセットテープ集
タブ譜付 1.〜10.

上の写真が添付のタブ譜
下の写真がカセットテープのラベル


注)1.2.3.5.6.8.9.10. は完奏曲あり。 
  4.7.は完奏曲ではないが、ほぼ通しで引いているため、カバー表示の対象とした。



ステファン・グロスマンの通信販売セクション、ギターワークショップで発売されていた6本組のカセットテープ集で、A4 サイズ35ページのタブ譜が添付されていた。各テープには彼の解説と模範演奏が収録されている。冒頭で聴かれる模範演奏はどれも既発表のレコード収録のものであるが、大半の曲では解説が終わった後に、このテープのための録音として、さっとではあるが通しで弾いてくれているので、それなりに貴重なバージョンになっている。ただし添付の楽譜は曲のごく一部分のみが採譜された簡単なもので、テープの解説の参考という位置付けに過ぎない。当時は教則ビデオなんて想像もできない時代で、発売当時は彼の声が聴けただけ、断片部分でも彼の演奏を耳にしただけでも感動した覚えがある。しかも使用ギターは、「The Hermit」「Black Balloon」などでおなじみの、愛用のギルドで、すこしビビリ気味の3弦など、懐かしいあのサウンドだ。1本に数曲を収めたビデオとは異なり、両面で60分のテープに1曲または2曲しか収められていないため、断片毎に模範演奏が繰り返され、彼の演奏がたっぷりと聴ける。ビデオ製作(1990年代)の頃よりもずっと若い頃に作られたものなので、レコード収録版ほど完璧ではないが、彼の若々しい、まだまだ尖がっていた頃の演奏を聴くことができるだけでもお宝ものだ。ただ録音がそれほど良くないことと、グロスマン・ワークショップが使用したカセットテープの質がイマイチなのが残念。

ビデオのような視覚的効果がないので、弦の番号、フレット数、指・音・コード名などが頻繁に語られる。テープの最後には参考曲として、他のギタリストによるカバー・バージョンや別の曲が収録されている。今となっては模範演奏を完全に収録、および完全な楽譜が添付された教則ビデオやDVDがあるので、このカセットテープの使命は終わったともいえるが、それなりに思い出深く意義があるものだ。

[Tape 1] フォークの部
まずA面は「Judy」。セクション毎に詳しい説明があり、最後に通しで弾いてくれる。そしてこの曲のカバーとして、スティーブ・ウェアリングとロジャー・メイソンという2人のアメリカ人ギタリストによるヴァージョンが紹介される。面白いアイデアにあふれ、2台のコラボレーションのバランスがとれていて、とてもいい出来だ。 B面はデイビー・グレアムの「Buffalo」。まず使用するAドリアン・スケールをさらっと弾いて、次に6度のハーモニーを付けて、という風に解説される。テーマの解説が終わった後は、インプロヴィゼイションの例としてさっと通しで弾かれる。レコード版ほど鬼気迫る感じではないが、悪くはない。さらに別の即興アイデアも示され、なかなか美味しい内容。さらに参考曲として、デイビ・グレアム自身による同曲のバージョン(ドラムス付きでカッコイイ!)、「Bert & John」T1 から「Piano Tune」、「John Renbourn And Stefan Grossman」R11から「The Drifter」、長ったらしいタイトルの「Theme From Charles Mingus' The Shoes Of The Fisherman's Wife Are Some Jive Ass Slippers」(途中で切れる)が収録されている。

[Tape 2] ダンス曲の部
A面前半は「Bransle Gay」。「The Lady And The Unicorn」R6 からの曲で、これはその後のビデオレッスンには収められていない。短い曲なので、奏法解説の後にさらっと、ほぼ通しで弾いている部分がある。 最後に参考曲として、この曲をハープで弾いているヴァージョンが入っている。そして「English Dance」の部が始まる。この曲はA面の後半とB面を費やして解説され、最後に解説の言葉付きで最初から演奏されるが途中で演奏を止めてしまう。さらに同曲をフィドル(パーカッション付き)で演奏しているヴァージョン、「The Lady And The Unicorn」R6 から「Saltarello」、「Lamento di Tristan」、 「La Rotta」がオマケで入っている。

[Tape 3] クラシックの部
名曲「Lady Nothyngs Toye Puffe」で、1台で2台分の演奏表現をしようとしたものと紹介される。複雑な曲なので1本を費やしてじっくり解説される。まずはスケールから始まり、ベース・パートとメロディー・パートが別々に演奏され、その構成が明らかにされる。そこから細かなパート毎に十分な時間をかけて説明してゆく。 この曲の解説が音声で語られるのはここだけなので、この曲が大好きで、若い頃からずっと弾いてきた私にとっては貴重なテープだ。最後に通しで2回も弾いてくれるのが本当にうれしい。さらに参考曲として、「LA Turnaround」1974 に収録されたバート・ヤンシュのバージョン、ジョン・ジェイムズとのデュエット・バージョン(「Descriptive Guitar Instrumentals」 1977 Q13)、そして類似したクラシック曲のサンプル数曲が収録されている。

[Tape 4] ジャズの部
A面とB面のちょっとで「My Dear Boy」。ジャズブルースのクリシェから作られた音楽版ボードヴィル、「Ridiculous(馬鹿げた、おかしい)」曲と紹介される。曲を構成するコードの解説が興味深い。もともと速い曲なので、ゆっくり弾いてくれるのは有難い。最後に通しで弾いてくれる。B面の途中から「Transfusion」。彼はこの原曲をチコハミルトンのレコードで聴き、そこにはハンガリー出身のギタリスト、ガボール・サボ(サンタナが影響を受けた人)が参加していたとのことだ。ジャズのコンボ演奏のアイデアを語り、途中でステディなダンプト・ベースのサンプルとして、ビッグ・ビル・ブルーンジーのスタイルで短い即興演奏を聞かせてくれる。解説の後テーマを弾きながらフェイドアウトする。ここでは間奏(インプロヴィゼイション部分)の解説・演奏はない。

[Tape 5] ブルースの部
A・B面通しで「Sweet Potato」がじっくり解説される。まずレコードでの演奏が模範演奏として示される。 ピアノ曲をギターに編曲するアイデアが示される。テーマの部分の解説のあと、インプロヴィゼイションのパートをコードを示しながらじっくり説明してくれる。その際にさらっと弾いてみせるが、それでも十分聴き応えがある。B面ではレコードのヴァージョンをほぼ再現する模範演奏が入るが、それでも所々で異なり聴いているだけでも面白い。その後は説明しながら各パートをゆっくりと弾いてくれるので、コピーする気になれば極めて簡単だ。低音部の連弾やハマーリンフ・オン、オフの連続技などを解き明かしてくれる。最後にほぼ通しでさらっと演奏してくれる。オマケはブルースのダンピングベースのお手本として彼のアイドルでもあるビッグ・ビル・ブルーンジーの「Shuffle Rag」と、ダックベイカーによるジャズピアニスト、ダラーブランドの曲、最後にレンボーンのレコードから「Water Gypsy」が入る。

[Tape 6] アイリッシュ・チューンの部
これはその後の教則ビデオでおなじみなので、それほど珍しくはないかな。冒頭のレコードからの模範演奏ではメドレーになっているため、レッスン曲の2曲のみでなく、「The Tarboulton」までしっかり収録されている。アイリッシュ・チューンをソロギターにアレンジすることについてのコメントの後、まず 「Mist Covered Mountain Of Home」をさっと通しで弾き、断片毎の解説に入る。視覚優先(百聞は一見にしかず)のビデオよりも丁寧な説明で、断片ベースの模範演奏も入念に繰り返される。B面はメドレーの2曲目「The Orphan」で、最初にさっと弾いて見せてから解説に入る。後半装飾を除いてスピードを落として弾く部分があり、そのシンプルな感じも面白い。最後にもう一度きちっと弾いておしまい。そしてデイビー・グレアム、デイブ・エバンスによるアイリッシュ・チューンのアレンジが参考曲で入っている。

[Jさん、貴重なご意見いただきありがとうございました]



K2 Folk, Blues & Beyond (1992) S. Grossman Guitar Workshop GW907








John Renbourn: Guitar, Vocal 3.4.5.8.


1. Judy [Renbourn]  R1 R3 R20 V2 K1
2. Anji [D. Graham]  R1 R13 R20 V2
3. Whitehouse Blues  R7 V2 V7     
4. Watch The Stars   T3 T14 Q6 V9
5. Lord Franklin  R24 T5 T10 V5 V7  
6. My Sweet Potato [Booker T.Jones]  R5 R12 R20 R24 V3 V5 V7 K1
7. Abide With Me  R22 R24 Q32 V3 V5 V8 V9
8. Great Dreams From Heaven [J. Spence]  R17 R18 R20 R22 R24 R27 R29 Q32 V3 V5 V8 V9
9. Mist Covered Mountains Of Home  R14 R17 R20 R24 V5 V7 K1 K3
10. The Orphan  R13 R14 R17 R24 V5 K1 K3

タブ譜付 1.〜8.
収録時間 : 78分


写真上: オリジナル・ビデオ
写真下: 再発DVD





トータル・ビデオ・プロダクションが製作し、ステファン・グロスマン・ワークショップが販売する教則ビデオ・テープ。レンボーン初めての映像教則資料であり、発売直後に輸入盤を大喜びして買った記憶がある。なお本ビデオシリーズには、ビデオカセット・サイズに製本されたタブ譜が添付されている。なお本作は下記 K3 と同時に発売された。またしばらく後に、本作の国内版がリットー・ミュージックから発売された。

赤いカーテンを背景として、青いデニムのシャツを来たレンボーンが登場。表紙の写真は1970年代末の頃のもの(米国版と国内版とでは表紙のデザインが異なるが、使用されている写真は同じもの)なので、画面のレンボーンはそれよりもかなり年をとっている。持っているギターはお馴染みフランクリンのOMモデル(ヘリンボーン、フィンガーボード・バインディング付き、シンプルなインレイ)で、サウンド・ホールにマイクは装着されていないが、サドルにピックアップが取り付けられており、サウンドホールの下に電線が見える。60年代のイギリスにおけるフォーク・リバイバルの説明をした後、デイビー・グレアムからの影響を述べて1.「Judy」、2.「Anji」をメドレーで弾く。レコード等で発表されているバージョンと比べて、かなりリラックスした雰囲気での演奏。模範演奏とはいえ本気で弾いているので、鑑賞用として十分楽しめるクオリティーだ。模範演奏の後はポイントを説明してから指板=左手、サウンドホール=右手のスプリット・スクリーンによるデモ。ここではテンポを落とし、解説を入れながらの演奏。説明が冗長でないので、単に見ていうだけでも退屈せず、解説入りとはいえ、それなりに面白い。

3.「Whitehouse Blues」はきれいなスリー・フィンガーの伴奏でボーカルを聴かせる。彼独特のベースの動きが楽しめる曲。スプリット・スクリーンではボーカルも語りに近い感じで面白い。4.「Watch The Stars」はペンタングルの「Sweet Child」 1968 T3 以来久しぶりの再演。バート・ヤンシュの得意なパターンや間奏部分のブルージーなサウンド等、当時のスタイルが懐かしい。5.「Lord Franklin」も元々はペンタングルの「Cruel Sister」 1970 T5に収録された素晴らしいトラッドで、高音の開放弦のドローンと4弦のメロディーによるイントロが新たに加わり、面白い効果をあげている。6.「My Sweet Potato」の途中のインプロヴィゼイションは教則用ということでキッチリ構成され、採譜されている。7.8.は賛美歌のメドレーで、8.「Great Dreams From Heaven」はバハマのジョセフ・スペンスによるカリプソ。教則ビデオの模範演奏でありながら、6分半にわたりたっぷり演奏してくれる。教則はこれでおしまいなのだが、次号の予告として9.10.のデモ演奏が最後に披露され、この演奏は下記 K3とは別バージョン。


K3 Celtic Melodies & Open Tunings (1992) S.Grossman Guitar Workshop GW908

K3 Celtic Melodies & Open Tunings





John Renbourn: Guitar, Vocal (10,11)

1. The South Wind  R23 R24 R25 R26 R27 V5 V8 V9
2. The Blarney Pilgrim  R15 R24 R25 R27 V5 V8
3. Bunyan's Hymn  R22 R26 V5 V8 V9  
4. I Saw Three Ships  R25 R26 Q20 V5 V8 V9
5. The English Dance  R13 R14 R17 R19 R20 R25 V1 V2 V5 V7 V8 V9 K1 K5
6. Lament For Owen Roe O'Neil  R9 R13 R20 R24 R27 V5 V7
7. Mist Covered Mountain Of Home   R14 R17 R20 R24 V5 V7 K1 K2
8. The Orphan  R13 R14 R17 R24 V5 K1 K2
9. Tramps And Hawkers R27
10. Lindsay [Archie Fisher]
  R17 R19 R20 R24 R25 V1 V5 V9
11. Sandwood Down To Kyle [Dave Goulder]  R23 R24 V5 V9
12. Cherry  [Dollar Brand]   R22 V5 V7 K4

タブ譜付 1.〜11.
収録時間: 80分

すべてインストルメンタル、特記ない場合はトラディショナル


写真上: オリジナル・ビデオ
写真下: 再発DVD





上記K2と同時に発売された教則ビデオ。ジョンは紫のシャツを着て写っているが雰囲気はほぼ同じ。ケルティック・メロディーと変則チューニングという通りアイリッシュ・テューンの1.「The South Wind」は DADGBDによる演奏。デモ演奏も途中でペグをいじってチューニングの微調整をしたり、余裕たっぷり。1.の最後の音をハーモニクスで出した後に5弦をAからGにすばやく下げ、そして切れ目なく2.「The Blarney Pilgrim」のフィドル・テューンを弾き出すところは何ともカッコイイ。3.「Bunyan's Hymn」は賛美歌、4.「I Saw Three Ships」はクリスマス・ソング、そして5.「The English Dance」は中世のダンス・テューンという異なる感じの曲のオープンG(DGDGBD)によるメドレー。特に5.は「Black Balloon」 1979 R14 での発表以後ライブの常連曲でとてもリラックスした演奏。後のステージではこの3曲のメドレーで演奏している。全体的に他の教則ビデオに比べ、ジョンの説明はシンプルで、模範演奏と解説の後のスプリット・スクリーンによるデモの比重が高い。鑑賞用としての要素を考慮すると同時に、より多くの曲を収録しようとしたためだろう。

6.7.8.もステージでお馴染みのメドレーでチューニングはオープン・G・マイナー(DGDGB♭D)によるもの。6.「Lament For Owen Roe O'Neil」はオカロラン作のアイリッッシュ・ハープの曲、7.「Mist Covered Mountain Of Home」はスコットランドの曲でもとはバグパイプによる演奏。単調のロマンチックな響きが印象的な曲で、1弦・2弦の開放弦を弾きながら、4弦・3弦でメロディーを奏でてゆく彼得意のスタイルの名作。そして8.「The Orphan」はアイリッシュ・フィドル曲。次はダッドギャッド(DADGAD)による曲で、9.「Tramps And Hawkers」はマーチン・シンプソン風のシンプルでメロディー重視の曲。本作の演奏が聴けるのはこのビデオのみ。ちなみにバート・ヤンシュのソロ「The Ornament Tree」 1990 で本曲の歌入りバージョンを聴くことができる。10.「Lindsay」 はアーチー・フィッシャーの曲で、ジョンのステージ愛奏曲。模範演奏の間奏部分のアドリブが素晴らしいが、残念ながらその部分はタブ譜に掲載されていない。11.「Sandwood Down To Kyle」はスコットランドの曲で、イマジネイティヴなプレイが楽しめる。イントロとラストの部分はアドリブでタブ譜未掲載。

最後におまけで南アフリカのジャズ・ピアニスト、ダラー・ブランドの12.「Cherry」を演奏して幕を閉じる。奔放なアドリブが素晴らしい。本作は単なる教則に止まらなず、解説、模範演奏、スプリット・スクリーンによるデモ演奏すべてが十分に鑑賞に耐え得る出来で、それなりの価値のあるものであると思う。有名ミュージシャンによる、その後の教則ビデオのスタンダードを確立した作品と言えよう。なお使用ギターはフランクリンの OMモデル。本作の表紙のデザインは日本版(リットー・ミュージックより発売)と米国版で異なる。ただし使用されている写真は同じで、前作K2 と同時に撮影されたもののようだ。

[2019追記]
9.「Tramps And Hawkers」は、2019年に発売された「An Evening With John Renbourn + Jaqui McShee」 R27に収録されました。


K4 Jazz Tinge (1993)  S.Grossman Guitar Workshop GW917

K4 Jazz Tinge





John Renbourn: Guitar

1. Blues In A (Untitled)       
2. Buffalo  [D. Graham]  R1 R4 K1
3. Transfusion [C. Lloyd}  R5 R5 R13 K1
4. My Dear Boy [Renbourn]  R5 K1
5. Little Niles [Randy Weston]  R24 R25 R27 R28 Q25 V5 V7
6. Cherry [Dollar Brand]  R22 V5 V7 K3
7. Mist Covered Mountains Of Home (Imcomplete) 。

収録時間: 75分
タブ譜付 2.〜6.
すべてインストルメンタル

注: 7.は未完のためカバーの対象外とした



写真上: オリジナル・ビデオ
写真下: 再発DVD





教則ビデオ第3弾目は「ジャズ風味」という題名で、レンボーンお得意のジャズっぽいブルースのレパートリーが収められた。まず簡単な説明の後に、ブルースのベイシックコンセプトとして、1.でキーがAのブルースをさらっと 2コーラス演奏(本曲はその場で即興で弾いてみたという感じなのでタブ譜はついていない)。モノトニック・ベースによるシンプルでストレートなブルースだ。2.「Buffalo」は「Another Monday」 1966 R4 からで、デイヴィー・グレアムの作品。途中のインプロヴィゼイション・パートにおける、レンボーン得意の必殺ブルース・リックの手の内を明かしてくれる。3.「Transfusion」は1968年の傑作アルバム R5からのレパートリーでチコ・ハミルトンのレコードを聞いてアレンジしたもの。教則・楽譜で本作が取り上げられたのは K1 以来。しかも K1 に添付されたタブ譜はテーマ部分のみであったため、本作品のタブ譜は詳細版としては実質初公開となる。「ウー」と唸り、やま場で「イェー」と自ら鼓舞しながらの演奏。4.「My Dear Boy」 は軽快なブルース・ジャズで、3.と同じく1968年のオリジナル録音の鬼気迫る演奏とは異なる瓢々としたもの。5.「Little Niles」では、円熟したアレンジ、演奏が楽しめる。6.「Cherry」はダラー・ブランドのアフリカン・ジャズをハワイアン・スラック・キー的な味付けで料理した無国籍風アレンジ。各曲が年代順に並んでいるため、彼のアレンジ術の変遷を楽しむことができる。ちょっとやそっとでは弾きこなせない難曲が並んでいるが、じっくり時間をかけて挑戦してみよう!なお最後におまけで 7.を演奏しており、他のビデオとは異なるバージョン。ただし巻末クレジット表示の後でフェイドアウトしてしまうため、ここでは未完扱とした。なお使用ギターはいつものフランクリン OMモデル。


K5 Medieval & Renaissance Music (1996) TAB TAMT-00018

Meadival & Renaissance Music





John Renbourn: Guitar

1. The Earl Of Salisbury [Wiiliam Byrd]  R5 R5 R13 T3 T10
2. Saltarello   R6
3. Trotto   R6 V2 V7
4. Saltarello II   R21
5. Robin Is To The Greenwood Gone
6. The English Dance  R13 R14 R17 R19 R20 R25 V1 V2 V5 V7 V8 V9 K1 K3

タブ譜付 1.〜5.
収録時間: 93分

すべてインストルメンタル



写真上: オリジナル・ビデオ
写真下: 再発DVD





前作からしばらく間をおいて発売された第 4作目。今回は中世音楽に焦点を当てている。まず彼の老け込み様にビックリ。額は禿上がり白い髪が目立つ。肌にも老人特有のしみが出てきていて、老眼鏡をかけ、しゃべりかたも少し老人臭い。といっても大学教授の様な風格が出ており、温厚な感じで悪くないのだ。本作は前作までと異なり、多少ラフな作りの様で、背景もどこかの事務所の一角を使用しているため、貼り紙等が丸見え。また演奏や解説の際も画面を見つめずに、手元の楽譜やアンチョコを見ている。演奏も少し位のミスタッチは気にしていない様。解説もビデオ向きに特に考えたものではなく、コードや理論の解説が多く、ギター教師としての日常の自然な説明の様な感じがする。

1.「The Earl Of Salisbury」は1968年の傑作アルバムR5 からの曲で、美しいメロディーが印象的であるが、本作の演奏は、音使いや運指がオリジナルと微妙に異なっており、30年の時間の隔たりを感じる。2.「Saltarello」、3.「Trotto」 はモード・スケールによるダンス音楽のアレンジで、インプロヴィゼイションの部分がオリジナルと異なっている。 4.「Saltarello II」はどこかで聴いたことのあるメロディーだな、としばらく考えて R21 の「Circle Dance」のギターパートであることを思い出した。5.「Robin Is To The Greenwood Gone」は1970年の作品のタイトル曲「The Lady And The Unicorn」R6 にちょっと似た感じの曲で、非常に長い曲。さすがに模範演奏の撮影もいくつかのパートを編集でつないであるようだ。本曲は7つのパートから構成されているため、この曲だけで40分以上かけてじっくり説明している。他のビデオと比較して本作の収録時間が長いのはそのため。最後に付録として 6.「The English Dance」が演奏される(本曲のタブ譜はついていない)。中世音楽ということで、1.を除き地味な曲がそろったが、他の作品未収録のものもあり、ファンにとっては見逃せない作品。ギターはお馴染みのフランクリンOMモデルで、本作は生音での録音。カポはヤマハ製を使用。


K6 John Renbourn Fingerstyle Guitar (2000) Mel Bay Bublication



K6 John Renbourn Fingerstyle Guitar

John Renbourn: Guitar, Vocal (3.4.5.8.10)

[CD 1]  各曲の収録トラック番号を記載
1. Judy [Renbourn] 2
2. Anji [D. Graham] 2
3. Whitehouse Blues 6
4. Watch The Stars 9
5. Lord Franklin 12
6. My Sweet Potato [Booker T.Jones] 15
7. Abide With Me 18
8. Great Dreams From Heaven [J. Spence] 18

[CD2]
1. The South Wind 2
2. The Blarney Pilgrim 2
3. Bunyan's Hymn 9
4. I Saw Three Ships 9
5. The English Dance 9
6. Lament For Owen Roe O'Neil 17
7. Mist Covered Mountain Of Home 17
8. The Orphan 17
9. Tramps And Hawkers 25
10. Lindsay [Archie Fisher] 25
11. Sandwood Down To Kyle [Dave Goulder] 28

[CD3]
1. Blues In A (Untitled) 1
2. Buffalo  (D. Graham) 5
3. Transfusion (C. Lloyd) 8
4. My Dear Boy (Renbourn) 11
5. Little Niles (Randy Weston) 14
6. Cherry (Dollar Brand) 23
7. Mist Covered Mountains Of Home (Imcomplete) 28


タブ譜記載曲 CD3 1.7.を除く全曲

各曲の表示の後にCD収録トラック番号を記載
既発表のK2,K3,K4と同一録音のため、カバーの記載対象外とした。


なお 2000年にメル・ベイ出版より、上記K2〜K4の音のみを収めた3枚のCDが添付された楽譜集が別途発売された。大きな紙面で読みやすい楽譜はさることながら、これら3本の教則ビデオにおける模範演奏が、CDによるクリアーな音で、しかも教則部分とは独立したトラック番号で聞くことができる。すべて過去に発表された曲であるが、CDのトラック番号を指定することにより別バージョンとして楽しむことができる。画面がない分音楽に専念して聞け、演奏中のジョンの息遣いや時々あげる唸り声まで、生々しく捉えられており、ビデオを持っている人も、そのためにこの楽譜集を買う価値は十分にある。彼が演奏のコメントを入れながら、スローに弾く部分も、それなりに聞きごたえがある。ただし各ビデオの巻末に収録されているおまけトラックのうち、K2 9.10.、K3 12.はCDには収録されておらず、K4の7.はCDにも収録されているが、ビデオと同じく途中でフェイドアウトする。