B39 Aida (1999) [Various Artists] Rocket/Mercury |
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James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar
Cliford Carter: Keyboards
Elton John: Addtiional Keyboards
Jimmy Johnson: Bass
Luis Conte: Percussion
Russell Kunkel: Addtional Percussion
Russell Kunkel, Nathaniel Kunkel: Producer
Phil Ramone: Executive Producer
1. How I Know You [Tim Rice, Elton John]
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エルトン・ジョンは説明不要として、ティム・ライス (1944- ) について簡単に述べる。1970年の「ジーザース・クライスト・スーパースター」の大成功以来、アンドリュー・ロイド・ウェバーとの「エヴィータ」(1976)、アラン・メンケンとの「アラディン」(1992 主題歌「The Whole New World」は大ヒット)など、主にミュージカルで多くのヒット作を生み出している。エルトン・ジョンと作詞家のティム・ライスが1994年のディズニー映画「ライオン・キング」で大成功を収めた後、第2弾として選んだのはベルディのオペラ「アイーダ」を脚色したミュージカルの製作だった。エジプトに征服されたヌビアの女王アイーダの悲劇を描いたもので、父がよく聴いていたベルディ版のレコードでは、凱旋行進のファンファーレと合唱が壮麗で素晴らしかった。そういう作品に挑むのはかなり大胆だったと思うが、出来上がりおよび成功度合いとしては、まあまあといったところか。
ここでは劇中の曲を著名アーティストに歌わせるといった趣向で、曲順や配役(曲を歌う人)およびアレンジがオリジナルと一致していないため、ブロードウェイのオリジナルキャスト盤を聴くような臨場感はない。その代わり各自が自分の持ち味を発揮して自由に表現しているのが面白い。
JTが歌う1.「How I Know You」 はエジプトに征服された人々の悲しみを歌ったもので、メランコリックなムードに満ちている。このトラックだけを抜き出して聴くと、自己のバンドを率いてJTが歌う曲としてはかなり異質な感じがして、単体で聴くには少しつらい感じがする。ただしこのCDを最初から通して11曲目として聴くと、心にずっしり来るものがあるのだ。他の参加者としてスティング、リーアン・ライムス(エルトン・ジョンとのデュエット「Written
In The Stars」は1999年に全米29位のヒットを記録した)、スパイス・ガールズ(ダイアナ・ロスとシュープリームスのスタイルで歌う「My
Strongest Suit」は最高)、シャニア・トウェインなど、個々としていい演奏、いい曲なんだけど、残念ながらこの作品からは名曲と呼ばれるものは生まれなかった。
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B40 The Concert For New York City (2001) Sony
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[Various Artists]
James Taylor: Acoustic Guitar, Vocal
Bob Mann: Guitar
Cliford Carter: Keyboards
Paul Shaffer: Keyboards
(その他の演奏者は不明)
1. Fire And Rain A2 A15 B3 B5 B16 B41 E1 E4 E5 E7 E8 E10 E13 E14 E15 E17
E21 E25
2. Up On The Roof [Gerry Goffin, Carole King] A10 A15 B16 C1 C4 E1 E5 E8 E15 E28
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2001年のセプテンバー・イレブンで献身的な貢献をした消防士や警察官および犠牲者の家族を招待して、同年10月20日マジソン・スクウェア・ガーデンで行われたチャリティー・コンサートは、全米にテレビ放映されたほか、直後の11月にCDが、しばらく後にビデオ、DVDが発売された。犠牲者の方々に対する哀悼の意を込めながらも、背景にはアメリカ風の独善的な考えが色濃く滲み出しており、曲間のスピーチなど異国人の私には聞くのが辛い部分もある。
この作品には、ボン・ジョビ、デスチャ、ビリー・ジョエル、デビッド・ボウイ、エリック・クラプトン、ミックジャガーとキース・リチャーズ、ザ・フー、ジョン・メレンキャンプ、エルトン・ジョン、そしてトリのポール・マッカートニーの演奏が収録されているが、私はJTのみが目的で他の曲は聴いておらず、コメントすることはできないので、JTの曲だけに専念して解説したい。JTはコンサートの愛国的な雰囲気とは異なり、淡々と鎮魂歌を演奏しているように感じる。映像を見る機会があったが、長いすに座りつぶやくように歌っている姿が印象的だった。
歌詞中の「Sweet dreams and flying machines are pieces on the ground」という一節は、当日テレビで観たあのシーンを思い出し、何度聴いても衝撃的だ。2.「Up
On The Roof」では、JTは「次の曲はジェリー・ゴフィンとキャロル・キングの曲で、私にとっては大変ニューヨーク的であると思います。今晩この曲を皆さんに演奏することを光栄に思います」と語ってから演奏を始める。 彼の歌はいつもより内省的だ。シンセサイザーを演奏しているのは、ポール・シャファーで、人気トークショウ、デビッド・レターメンのハウスバンドのリーダーで茶の間に有名な人だ。
なおこの収益金は、犠牲の家族および負傷者、とりわけ低所得者層の救済のために設立された、「Robin Hood Relief Fund」に寄付された。ちなみに、上記2曲の映像もDVDで発売されている。
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B41 The Bridge Collection (2006) Bridge School
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James Taylor: Acoustic Guitar, Vocal
Sarah Wilson : Cello (3)
[Internet Download]
1. Carolina In My Mind A1 A1 A15 B3 B10 B16 B22 B25 B26 B46 E1 E5 E10 E14 E15 E25
2. Copperline [Reynolds Price, James Taylor] A14 A15 B33 E7 E10 E11 E14
E20
3. Fire And Rain A2 A15 B3 B5 B16 B40 E1 E4 E5 E7 E8 E10 E13 E14 E15 E17
E21 E25
4. Something In The Way She Moves A1 A15 B3 B10 B18 E5 E14 E15
録音: 1, 3: 2002年10月26日、Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
2, 4: 1992年11月1日、Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
[DVD]
5. Fire And Rain (上記 3.と同じ演奏)
録音: 2002年10月26日、Shoreline Amphitheatre, Mountain View, CA
写真下: The Bridge School Concerts 25th Anniversary Edition (DVD 2011年発売)
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ブリッジ・スクールは、障害を持つ子供達の教育と社会的自立のために、母親達が1986年に設立した施設で、ニール・ヤングの奥さんのペギ(後2014年離婚、2019年がんのため死去)
も創立者の一人に名を連ねている。ニール・ヤングは資金集めのために、豪華なゲストを招いたチャリティー・コンサートを開催。それは1986年から2016年まで続いた。電気楽器の大音響はコンサートに参加する子供達に良くないとして、出演者はアコースティック・サウンドで演奏するという。その模様は、1997年に「The
Bridge School Concers」というタイトルの2枚組CDとして発売されたが、そこにはJTの演奏は収められていなかった。その後2006年、コンサート20周年を記念して、CD6枚分
81曲からなる「The Bridge Collection」が、ITunes オンライン・ストアでのみ発売された。日本でも1曲150円、アルバム全部で9000円という価格で、インターネットからのダウンロードにより入手するもの。
JTは1992年と2002年の2回参加している。当初書いた記事で、「JTの演奏4曲は、2002年のコンサートからのものが収められている。収録日につき、資料では10月26〜27日とあるが、2013年に10月27日の音源を聴くことができ、それらの演奏が異なることが確認できたので、本作は26日のステージであることが断言できた」と書いたが、その後1992年の音源を聴くことができ、10月26日のセットリストも入手できた。その結果これら
4曲が1992年11月1日と 2002年10月26日のものからなることが分かった。1.はいつものイントロが始まる前のギターのポロポロ弾きから、3.はチェロ入りであること、演奏終了直後のオーディエンスの叫び声により、2002年10月26日のものと特定した。また2.は2002年のステージでは歌っていないこと、4.はイントロにおけるJTの語りにより、1992年のものであることは明らかだ。
3.「Fire And Rain」のみチェロの伴奏が入っており、長らく誰か不明だったが、27日の音源で、JTが奏者の名前を紹介しており、サラ・ウィルソンであることが判った。彼女はテキサス州ミッドランド在住で、現地のオーケストラの首席奏者を務める傍ら、ベス・オールトン、トラヴィス、リンダ・トンプソン、ライアン・アダムス、スティーブ・ハケットなどのアルバムでチェロを弾いている。彼女は、同日出演したライアン・アダムスのセットにも参加しているとのこと。その他はJTの弾き語りで、1.
「Carolina In My Mind」、 4.「Something In The Way She Moves」といった定番曲を丁寧に歌っている。2.「Copperline」はいつもはバンド付きの演奏だが、ここではギター1本のみによるプレイを楽しむことができる。本当に上手い!JTの歌声が野外会場に満ちてゆく様が味わえる逸品だ。
2011年11月、Bridge School Benefit Concert 25周年を記念して、過去のコンサートの模様を収めた2枚組CDおよび3枚組DVDが発売された。そのDVDにJTの5.「Fire
And Rain」が収録された。暗めのステージで椅子に座って弾き語るJTの横でチェロを弾く若い女性はサラ・ウィルソン。本演奏はITunes オンライン・ストアの配信と同じ10月26日のもの。
[2013年2月追記]
10月27日の音源を聴くことができ、そこからチェロ奏者の名前が判明したため、書き直しました。
[2021年10月追記]
JTが参加した1992年11月1日と2002年10月27日の音源を聴くことができ、10月26日のセットリストも入手できました。その結果、上記のITunes
オンライン・ストアの配信は、当初書いた10月26日のみではなく、1992年11月1日、2002年10月26日の音源からなっていることが判明した。そのため記事を書き直しました。
[2009年11月作成]
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B42 It's Still Okay To Dream (2003) Atlantic |
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James Taylor: Vocal, Acoustic Guitar
Unknown : Electric Guitar
Unknown : Piano
Unknown : Keyboards
Unknown : Bass
Unknown : Drums
Unknown : Back Vocal
Carole Bayer Sager : Executive Producer
1. Shed A Little Light (Live) [James Taylor] A14 A15 E7 E10 E13
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セーブ・ザ・チルドレンは、世界中の子供達の救済のために活動する国際組織で、1919年イギリス人のエグランタイン・ジェブという女性が、第1次世界大戦後の飢えに苦しむ子供達を救うために始めた活動が起源となっている。国籍に関係ないヨーロッパの子供達に食糧と薬を送った。その姿勢と哲学は多くの人々の共感を呼び、国際的な組織となって現在に至っている。そして創設者が草案を書いた「The
Rights Of The Child」は、1924年に国際連盟により採択され、後の1959年には国際連合によって国際憲章の一部として批准された。
本作はセーブ・ザ・チルドレンのための募金活動として企画されたチャリティー・アルバムで、アルバムの表紙には、「販売価格の最低50%が同組織に贈られる」との表示がある。作詞家のキャロル・ベイヤー・セイガーがプロデューサーとなり、本作の趣旨に合う、未来への希望や子供達への愛をテーマとする曲が選ばれ、セリーヌ・ディオン、スティング、キャロル・キング、スティング、エリック・クラプトン、バーバラ・ストレイサンド、ポール・サイモンなどのアーティストの作品が14曲収録されている。曲の知名度にこだわらずにセレクトしたようで、比較的地味な曲から、「You've
Got A Friend」や「Bridge Over The Troubled Water」(アート・ガーファンクルが歌うオリジナル録音なのに、クレジットは何故かポール・サイモンのみとなっているのが不思議)などの超有名曲も入っており、収録曲のバランスとして如何なものかと思う。また曲のについての資料(録音年、既存録音の場合の初出アルバム、伴奏者のクレジットなど)が全くないため、またいくつかの曲についてはライブ録音とあるが、その出所が全く不明になっており、その点についてはとても残念だ。
私が聴いた限り、すべてのアーティストについて詳しいわけではないが、スタジオ録音については、ベイビーフェイスが歌うタイトル曲「It's Still
Okay To Dream」(キャロル・ベイヤー・セイガー作詞、ケニー・エドモンズ作曲)以外は、すべて既発表曲のようだ。ジェイムスの 1.「Shed
A Little Light」はライブ録音であるが、既発表のものか不明であり、バックのミュージシャンはドン・グロルニックをリーダーとする当時のレギュラー・メンバーであると推定されるが、資料がないので、ここでは「Unknown」とした。
チャリティー・アルバムなので、あまり多くのことは望めないけど、もっと丁寧に作ってくれるとよかったのにね!
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B43 The Best Of James Taylor (2003) Warner Brothers |
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James Taylor: Guitar, Vocal
John Sheldon: Guitar
Cliford Carter: Keyboards
Willy Weeks: Bass
Steve Jordan: Drums
Danny Kootch: Producer
1. Bittersweet [John Sheldon]
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JTのベスト盤といえば、1976年の「Greatest Hits」 B10と、後に発売された「同 Vol.2」が定番だったが、2003年に発売されたのが本作である。全20曲中、アップルのファースト・アルバムから1曲、ワーナー時代の「In
The Pocket」A8まで12曲、上述の「Greatest Hits」から2曲、コロンビア移籍後の「JT」A9以降で4曲と、1枚のCDに収録するには窮屈そうだ。特に1985年の「That's
Why I'm Here」 A12以降の後期もいい曲がたくさんあるのに、同作からの「Only A Dream In Rio」1曲だけなんて本当にかわいそう。
最後の曲 1.「Bittersweet」は新録音だ。作者はジョン・シェルドンで、JTは1994年の彼のアルバム「Boneyard」 C60の製作に協力、1曲ゲスト出演した他、2002年の「October
Road」 A17で「September Grass」をカバーしたばかりだ。1.「Bittersweet」は本人による2002年作のソロアルバム「Sometimes
You Get Lucky」に収められていたもので、ギターのサウンドなど基本的な音作りは同じだ。それにしてもこの人はいい曲を書きますね。旧友ダニー・クーチがプロデューサとして参加したのも本当に久しぶりで、いかにも原点復帰という感じだ。
ちなみに本作では、 「Country Road」のシングル・バージョン B6が収録されたのも貴重。なぜなら、いままでのベスト盤はアルバム・バージョンのみだったので、今回が初CD化になるからだ。ジャケット写真のJTの眼差しが印象的。
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B44 Higher Ground Hurricane Relief Benefit Concert (2005) Blue Note |
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James Taylor: Acoustic Guitar, Vocal
1. Never Die Young A13 C85 E5 E14
Recorded At: Frederick P. Rose Hall , Home Of Jazz At Lincoln Center, New
York, NY
On 17 September, 2005
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2005年8月下旬ルイジアナ州を襲った大型ハリケーン、カタリーナはニューオリンズの町に壊滅的な被害をもたらした。市街の多くが0メートル地帯にあるため、堤防の決壊により大半の地域が水没した。ニューオリンズはジャズの発祥の地であり、町の復興のために立ち上がったジャズミュージシャンによって2005年9月17日に開かれたチャリティー・コンサートの模様を収録したのが本作だ。
コンサートはニューヨーク・マンハッタン西60丁目のコロンバス・サークルにある、「Home Of Jazz At Lincoln Center」のRose
Theatre (2004年完成の新しいホール)で開催され、その模様はアメリカ全土にテレビ、ラジオで配信、放送中に Hurricane Relif
Fund への寄付を電話で受け付けた。ウィントン・マルサリス(トランペット)率いるThe Lincoln Center Orchestra の他、ダイアン・クレール、ノラ・ジョーンズ、ベッド・ミドラー、アーロン・アンド・アート・ネヴィル、カサンドラ・ウィルソンなどの曲が収録されている。ジャズ・ミュージシャン主体のラインアップの中で、弾き語りを披露したJTはちょっと異質の存在だった。
1.「Never Die Young」をギター1本で演奏するバージョンは初めて耳にするもので、いつものバンドではエレキギターで演奏されるお馴染みのイントロのメロディーはアコギでしっかり再現されている。歌の意味からして今回の災害で亡くなった人々への鎮魂の祈りと、生き残った人々への激励の意を込めたのだろう。淡々とした歌に込められた思いが伝わってくる。
今をときめくノラ・ジョーンズやダイアン・クラールの影に隠れて、少し地味な存在かな? とも思われるが、飄々としたパフォーマンスは貫禄十分。
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B45 Cars (Original Sound Track) (2006) Walt Disney/Pixar |
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James Taylor : A. Guitar, Vocal
Rndy Newman ? : Piano
1. Our Town (Randy Newman)
注) 上は米国盤、下は日本盤のジャケット写真
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2006年7月封切りのコンピューター・グラフィック・ムービー「カーズ」のオリジナル・サウンドトラック。本作はウォルト・ディズニーとピクサーの共同制作で、前者は配給、後者が制作を担当した。ピクサーは世界で初めて3DCG(3次元コンピューター・グラフィックス)によるフルムービーを制作した会社で、1995年の初作「トイ・ストーリー」は大評判を博した。その後も続編「トイ・ストーリー2」の他、「バグズ・ライフ」、「モンスター・インク」、「ファインディング・ニモ」、「ミスター・インクレディブル」などのヒット作を連発、アカデミー賞をはじめ多くの賞を獲得した。個人的には、妙に本物っぽい画面の質感が苦手で、「トイ・ストーリー」以外は観たことがないけど、本作「カーズ」のリアルさは驚嘆ものという。本作は擬人化した車が主人公で、レースに出て勝つ事しか考えない傲慢な主人公が、競技場に向かう途中、道に迷って地図にない忘れ去られた町に迷い込んでしまう。そこに暮らす車とのふれあいのなかで、人の心(じゃない、「車の心」かな?)を取り戻してゆく様が描かれているという。
JTは、本作のスコアを担当した米国を代表するシンガー・アンド・ソングライター、ランディー・ニューマン作の「Our Town」を担当。時代に取り残された町、失われてゆくものへの愛着を描いた歌詞をシンプルなメロディーで歌う。 ピアノ、アコースティック・ギターとオーケストラを伴奏に、聴けば聴くほど味の出る素晴らしい曲だと思う。このような歌を湿っぽさのない、気品のある哀愁を込めて歌えるのは、今の世の中では誰にも真似できないJTの独壇場だ。映画の中では、主人公が迷い込んだ地図にない町の事が語られるシーンでこの曲が流れる。40年前の国道(アメリカ横断のルート66)沿いの町の賑わい、インターステート(直線の高速道路)の建設。そして町が新しい道路からはずれていたために、寂れて朽ちてゆく印象的なシーンだ。これは単なる子供向けの映画に留まらない、アメリカの歴史が語られている。
その他シェリル・クロウによる小気味良いロック、カントリー界の若手有望歌手ブラッド・ペイズリーなどの新曲がフューチャーされているが、何といっても有難いのは、珍しいオールディーズが収録されていることだ。チャック・ベリーが「Route
66」をカバーしていたのは初めて知った。1961年発表のLPに収められていたもので、ナット・キング・コールやジョージ・マハリスなどの有名なバージョンと異なる、チャック・ベリー独特の乗りがここでも健在だ。1950年代の黒人グループ、ザ・コーズによる「Sh-Boom」
1954 は、本作の「お宝もの」で、白人の世界でヒットした最初のR&Bと言われる。もちろん時代なりの古臭さはあるけど、私はこの曲のことを知ることができた事だけでも、本作を買ったかいがあったと思っている。そしてカントリー界の伝説的シンガー、ハンク・ウィリアムスの「My
Heart Would Know」 1951なんて、渋いね〜! そしてCDの後半に収録されているランディー・ニューマンによるスコアも聴きものだ(彼については
B31 参照してください)。著名な映画音楽作曲家だったアルフレッド・ニューマンの息子だけあって、ギター、バンジョーなどを駆使してアメリカ伝統音楽の雰囲気を取り入れた音楽は秀逸。コンピューター・グラフィックと、こんなに人間臭い音楽との相性は、どんな感じだろう?
米国版は車のエンブレムをデザインしたシックなジャケットデザインだったが、日本盤は出演者を描いたグラフィックに差し替えられた。ジャケット・デザインに関するお国柄の違いが如実に出ていて興味深い。個人的には前者のほうが好きだけど、歌詞カード付きの魅力には逆らえず、少々値段は高いけど後者を買ってしまった。
1曲のみの収録だけど、JTファンにはお勧めの一枚。
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B46 Funny People (Original Sound Track) (2009) Universal |
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James Taylor: Vocal, Guitar
Larry Goldings : Piano
Jimmy Johnson : Bass
Steve Gadd : Drums
Louis Conte : Percussion
Arnold McCuller, Kim Taylor, Kate Markowitz, Andrea Zonn: Back Vocal
1. Carolina In My Mind A1 A1 A15 B3 B10 B16 B22 B25 B26 B41 E1 E5 E10
E14 E15 E25
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映画「Funny People」を観た。2009年に公開されたが、スタンド・アップ・コメディーをテーマとした作品のためか日本では未公開となり、このまま観れないのかな〜と思っていたところ、2012年にDVDが発売された。その際に付けられたタイトルが「素敵な人生の終わり方」って、「素敵な人生の始め方」、「最高の人生の見つけ方」の乗りで付けるなんて、本当に変だよね!大量在庫を誇るレンタルショップでも1枚しか置いていないので、やはり日本では一般受けしないんだろうね。
コメディーで手腕を発揮するジャッド・アパトウ監督が、アダム・サンドラー、セス・ローガン、奥様のレスリー・マン出演で製作した作品で、スタンドアップ・コメディーの世界が描かれる。主人公のジョージ・シモンズ(アダム・サンドラー)は、かつて一世を風靡したコメディアンで、豪邸に住んでいる。病院で白血病と診断され、長くは生きられないかもしれないと言われた彼は、また舞台に立とうとする。そこで若い駆け出しのアイラ・ライト(セス・ローガン)と出会い、ジョークのネタを書いてもらう目的で彼を雇うが、ジョージが病気であることを知ったアイラは、住み込んで世話をしたり、話しの相手になる。そのうちジョージは、人妻となっている昔の恋人ローラ(レスリー・マン)と連絡をとって会うが、治療がうまくいって全快したことを知った彼は、よりを戻そうとする。しかし彼女は夫と子供の元に戻り、家族を壊すことに反対したアイラとも決裂する。このように主人公は身勝手な性格で、観客は感情移入できないし、まともな人間と思われるアイラは頼りなく、ローラも迷ってばかり.........というように、センチメンタルな要素がほとんどないのが日本人受けしない一番の原因だろう。彼らがステージで披露する語りは、下ネタ満載。お下劣な語りの洪水のなかで、時折登場人物が放つシリアスな心情がキラリと光る。要するに、皆弱い人達なんだけど、乾いた笑いのなかで人間が持つ性(さが)・宿命(カルマ)を強く感じる作品。特に最後のシーンは、これまでのもやもや感を一気に吹き飛ばすものがある。146分という長さは、ドラマ部分だけでなく、スタンドアップ・コメディーのステージや、ゲストのカメオ・シーンもたっぷり入れたからだと思うが、長いですね。観る人によっては、どうしようもなくつまらないと言うだろうけど、私にとっては、不思議な魅力がある作品だと思う。
JTは、映画が始まってから約25分後に実名で登場する。アイラにジョークの執筆を頼んだジョージは、彼をMyspace (音楽・エンターテイメントを中心としたソーシャル・ネットワーク・サービス)主催のプライベート・パーティーの仕事に連れてゆく。小型ジェット機での移動のシーンから 1.「Carolina
In My Mind」のライブ演奏が流れ、彼らが会場に到着した時、ステージで歌うJTを観てアイラは興奮する。アメリカでは、会社が有名アーティストに高額のギャラを払って、このような非公開のコンサートを開催することはよくあるようだ。ジョージとアイラの会話が入り、編集が入り「Fire
And Rain」のエンディングとなる。曲が終わって、JTがオーディエンスに「Fuck Facebook!」と叫ぶのを聴いたアイラは、「(話そうとしていた)ギャグがかぶった」と焦る。次にアイラが登場して話芸を披露。ジョージのステージをJTと並んで観ていたアイラは、JTに向かって「同じ歌を何度も歌うと飽きませんか?」と質問する。するとJTは、「君達こそ下ネタばっかりで飽きないかね?」と切り返す。このシーンは何度見ても面白い。
他にアメリカでは有名と思われる多くのコメディアンがカメオ出演しているのに加え、ラップのエミネムが本人として登場しているのも面白い。映画全編で流れる音楽は、1970年代のカラーで染められていて、なかでもアダム・サンドラーがプロのミュージシャンをバックに歌う、ジョン・レノンの「Real
Love」が緩いサウンドなんだけど素晴らしい。
サウンドトラックCDには、JTの曲は1曲のみ収録されたが、iTunesでは同じライブで収録された「Secret O' Life」もダウンロード可能とのこと(ただし曲毎のダウンロードは不可で、アルバム1枚分の購入が必要)。私はCDを買っちゃった事だし、ライブでお馴染みの曲なので、買わなくてもいいかな?というところだ。
さらにアメリカで発売されたブルーレイ・ディスクに添付されたボーナス・ディスクに、映画製作にあたり撮影されたJTのミニライブ 6曲 (1. Carolina
in My Mind、2. Shower the People、3. Secret O' Life、4. You've Got a Friend、5.
Don't Let Me Be Lonely Tonight、6. Fire and Rain)の映像がそっくり収録されているとのことだ。リージョン・フリーらしいが、ブルーレイって持っていないし....... これもまあスキップかな〜 最近の音楽市場は、このような限定版が多く出るようになったので、困りますね!
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B47 Mormon Tabernacle Choir & Friends (2017) |
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James Taylor : Vocal
Mormon Tabernacle Choir : Chorus
1. That Lonesome Road
2013年9月6〜7日 Salt Lake Tabernacle, Temple Square, Salt Lake City, Utah
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モルモン・タベルナクル・クワイヤはソルトレイク・シティを本拠地とするモルモン教の合唱団。360人からなるメンバーはすべてボランティアで、交通費なども自己負担、運営費用はコンサートやCDの売り上げで賄っているそうだ。同合唱団は著名アーティストを招いたコンサートを定期的に開催し、その模様はテレビ放送されている。本CDは、それらのコンサートからの抜粋により制作されたもの。
会場のソルトレイク・タベルナクルは、モルモン教の神殿があるテンプル・スクエア内にある巨大なホール。2013年9月に行われたJTゲストのコンサートは、合唱団とユタ交響楽団、そしてJTとリズムセクションによる演奏で、テレビ放送された映像を観ることができた(「その他断片 2010年〜2015年」の部参照)。そして本CDには、1.「That Lonesome Road」が収録された。同曲は当日の演奏曲のうち、唯一JTと合唱団のみによるアカペラで歌われたもの。JTの誠実な歌声と合唱団の分厚いコーラスが厳かな世界を作り上げている。
他の曲については以下の通り。
1. Fragile (Sting & Yo-Yo Ma)
2. The Prayer from Quest For Camelot (David Foster)
3. Thy Word (Amy Grant)
4. That Lonesome Road (James Taylor)
5. He Lves In You from The Lion King (Santino Fontana)
6. How Can I Keep From Singing (Renne Fleming)
7. Through Heven's Eyes from The Price Of Egypt (Stokes Michell)
8. Vitae Lux (Sissel)
9. Homeward Bound (Bryan Terfel)
10. Beauty And The Beast from Beauty And The Beast (Angela Lansbury)
11. I'm Runnin' On (The King's Singers)
ゲストの顔ぶれを見ると、クラシック、ブロードウェイ・ミュージカルの人が多い。特に印象的なトラックは、ヨーヨー・マのチェロが美しいスティングの名曲
1.「Fragile」、デビッド・フォスターの2.「The Prayer」。特に舞台女優で、晩年は「Murder She Wrote (邦題:ジェシカおばさんの事件簿)」などのテレビで活躍した女優アンジェラ・ランズベリー(2022年没)の10.「Beauty And The Beast」における生き生きとした表現力は素晴らしい。
合唱団、オーケストラとゲストの共演が楽しめるオムニバス盤。
[2023年6月作成]
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B48 United We Swing: Best Of The Jazz At Lincoln Center Galas [Wynton Marsalis
Septet] (2018) Blue Engine |
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James Taylor: Vocal
Wynton Marsalis: Trumpet, Arragement
Wess "Warmdaddy" Anderson: Alto Sax
Ronald Westley: Trombone
Victor Goines: Clarinet
Eric Lewis: Piano
Carlos Henriques: Bass
Herlin Riley : Drums
1. Mean Old Man A17 E14
Recorded At: Apolo Theater, New York NY, on June 7, 2004
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ジャズ・アット・リンカーン・センターは1987年設立。母体は、メトロポリタン・オペラ、ニューヨーク・フィル、ニューヨーク・シティ・バレー、ジュリアード音楽院などを傘下に持つリンカーン・センターで、コンサートや教育などジャズに係る各種イベントを開催している。トランペット奏者のウィントン・マルサリスは、設立時より芸術監督に就任し、ビックバンドやセプテットを率いて演奏活動を行っている。同センターは、ジャズを志す若者への教育プログラムを提供しており、その資金集めのために毎年ベネフィット・コンサートを開催。そこには様々な分野からゲストアーティストが招かれている。本CDは、2003〜2007年のコンサートからベスト・トラックを抜粋したもので、ずっと後になってからの2018年に発売され、その収益は上記プログラムの運営資金に充てられた。JTが参加した2004年のコンサートは「"Teach
Me Tonight" Benefit For Jazz At Lincoln Center」と名づけられ、ゲストアーティストして、JT以外にボブ・ディラン(本CDに収録)、アル・ジャロウ、ブランフォード・マルサリス(ウィントンのお兄さん)が出演し、ニューヨークのアポロシアターで行われた。資料によると、チケット価格はベネフィット・コンサートに有りがちな1,000ドル以上という破格値だったそうだ。
1.「Mean Old Man」の伴奏は、本コンサートのためにアレンジされたもので、間奏のウィントンのトランペット・ソロ、名手揃いのセプテットの演奏は大変聴き応えがある。ただし、複数のゲストが出たこともあり、本コンサートでJTが歌ったのはわずかだったと思われる(資料がなかったので、他に歌った曲があったか否かは不明)ので、この曲が歌われる際、通常醸し出される飄々としたユーモラスな雰囲気は感じられず、真剣に演奏するバンドと対峙する緊張感漂う歌唱になっている。とは言っても、それなりに素晴らしい演奏なので、良し悪しの問題ではないけどね。ちなみに、CDのプロモーションのために、本演奏の映像がYouTubeに公開されているので、そちらも必見。
CD全体の内容も面白かったので、以下のとおり簡単に紹介します。
曲目(曲名に続く@ [ ]は作者、Aオリジナルまたは決定版の歌手・バンド名、発表年 B( )は本作で歌った人、C特記 の順番で表示)
1. The Last Time [Traditional] The Staple Singers 1960 (Blind Boys Of Alabama) 1937年結成のゴスペル・グループ。グラミー賞を多く受賞
2. It Takes A Lot To Laugh, It Takes A Train To Cry [Bob Dylan] Bob Dylan
1965 (Bob Dylan)
3. I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town [Roy Jacobs, Casey Bill] Casey
Bill 1936 (Ray Charles) 、オリジナルのタイトルは「We Gonna Move (To The Outskirts Of
Town)、レイのカバーは1961年録音、本トラックは彼の死1年前の録音
4. I'm Not Rough [Lil Armstrong] Louis Armstrong 1927 (Eric Clapton)
5. Creole Love Call [Duke Ellington, Bubber Miley, Rudy Jackson, King Oliver]
Duke Ellington And His Orchestra 1828 (Audra McDonald) 彼女はブロードウェイで活躍する歌姫
6. Milk Cow Blues [Kokomo Arnold] Kokomo Arnold 1934 (Willie Nelson) 、リッキーのカバーは1960年録音、映像
YouTubeで公開
7. I'm Gonna Find Another You [John Mayer] John Mayer 2006 (John Mayer)
映像 YouTubeで公開
8. My Baby Don't Tolerate [Lyle Lovett] Lyle Lovett 2003 (Lyle Lovett)
9. The Worst Thing [Natalie Merchant] Natalie Merchant 2001 (Natalie Merchant)
映像 YouTubeで公開
10. Please Baby Don't [John Legend] Sergio Mendes Feuturing John Legend
2006 [John Legend]
11. Mean Old Man [James Taylor] James Taylor 2002 (James Taylor) 映像 YouTubeで公開
12. Are You Gonna Go My Way [Lenny Kravitz, Craig Ross] Lenny Kravitz 1993
(Lenny Kravitz)
13. Fool's Paradise [Bob Geddins, Johnny Fuller, Mable Cordle] Johnny Fuller
1954 (Jimmy Buffett)
14. Empty Bed Blues [J.C. Johnson] Bessie Smith 1928 (Carrie Smith)、ウィントンがピアノを弾いている!
15. I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free [Billy Taylor, Dick Dallas]
Nina Simone 1967 (Susan Tedeschi & Drek Tracks)
16. What Have You Done ? [Wynton Marsalis] Winton Marsalis 2004 (Wynton
Marsalis Septet) ウィントンが歌っている! 凄い出来!映像 YouTubeで公開
録音 2003年6月2日: 3, 4, 5, 6, 14
2004年6月7日: 2, 11
2005年6月6日: 1
2006年6月6日: 7, 8, 9, 10, 16
2007年5月14日: 12, 13, 15
全曲コンサート用にアレンジされていて、しかもセプテットが概ね同じメンバーのため、ゲストの顔ぶれは多彩であるが、サウンドに一貫性があり、かつリハーサルをしっかり行っているようなので、一定の緊張感があるものの、シンガーと伴奏の相性はとても良く、他流試合に挑むシンガーを迎え撃つ音楽隊といったスリリングな趣がある。本当に意外な顔合わせ・選曲もあるが、底辺に流れるブルースの香りが、アルバムタイトルの通り、音楽による「団結=Unite」を生み出している。またジャケット・デザインにあるとおり、ゲスト・ミュージシャンの米国内の出身地を示すことによって、アメリカ合衆国としての地勢的統合もうたっている。
ウィントン・マルサリスは、ジャズ、クラシックいずれも一流の超エリートというイメージを持っていたが、本作を聴いて完璧主義はイメージ通りであったが、ブルースというルーツへの執着というダウン・トゥ・アースな面が強かったのは意外だった。そんな彼の思いが色濃く反映されたコンセプト・アルバムとして評価したい。通して聴くと面白いよ!
[2022年8月作成]
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シンコー・ミュージック・モック 「ジェイムス・テイラー」 2024について |
2024年のJT来日公演に合わせて発売されたシンコー・ミュージック・ムック「ジェイムス・テイラー」を楽しく読ませてもらいました。情報盛りだくさんの大変な労作だと思います。
「参加したコンピレーション、サウンドトラック盤」、「Related Sessions」の内容につき、気付いた点は以下のとおりです。これは批判ではなく、資料の正確を期するためのコメントなので、参考にしていただければ幸いです。
「参加したコンピレーション、サウンドトラック盤」 (番号 発売年 曲名 収録アルバム レーベル)
1 1974 Rideing The Railroad The Bitter End Years Roxbury B8参照
「店での貴重なライブも含む内容だが、残念ながらジェイムスのトラックはスタジオ録音だ」とありますが、正しくは、1974年7月5日カリフォルニア州オークランドにあるオークランド・コロシアムの未発表ライブです(ザ・ビター・エンドでのライブではありません)。LPには収録アーティストのプロフィールを記載した冊子がついていますが、そこには曲についての情報は記されていません。本トラックの出所が判明したのは、後に出回った上述のライブ音源(「その他音源」
Oakland 1974参照)における同曲演奏前のJTのコメントが本LPのものと全く同じであったことからです。ちなみに本曲の正しいタイトルは「Riding
On The Railroad」ですが、本LPには「Riding The Railroad」と記載されています。
11 1999 Kumbajah Various Come Sing With Us ! Blue Streak
「子供向けのオムニバスで、"Kumbaijah"を歌う」とありますが、歌っているのは女性シンガーのテイラー・ジェイムス(Taylor
James)で、JTは参加していません。
「James Taylor Related Sessions」
1976 Arlo Guthrie Amigo Reprise Massachusetts Vo
ボーカル参加とありますが、当該アルバムの資料にはJTが参加した記録はなく、この曲を聴く限りアーロ独りで歌っており、JTの参加はないと思います。
1981 Carolyne Mas Modern Dreams Mercury It's Important P
ピアノで参加とありますが、JTはセッションに参加できるだけのピアノの力量はなく、明らかな誤りです。もしかすると同姓同名の人が当該セッションで弾いているかもしれません。彼の場合、同姓同名のミュージシャンが何人かいるので混同しないよう注意が必要です。
1989 Bread & Butter Missing Link Fun House Happier Than The Morning
Sun G C50
これは私のディスコグラフィーから漏れていました! 湘南地区を本拠地とする岩沢兄弟によるブレッド・アンド・バターは、スティーヴィー・ワンダーがゲスト参加した曲があったことは知っていましたが、JTが参加したトラックもあったとは知りませんでした。迂闊でした。この本のおかげで存在を知ることができました。ディスコグラフィーに反映させました。
1992 Don McLean Classics Curb Since I Don't Have You
「Since I Don't Have You」が収録されたドン・マクリーンのオリジナル・アルバムは「Chain Lightning」1978です。アルバムの資料では当該曲のバックボーカルに「J.
Taylor」の記載があり、複数のディスコグラフィーがその事実に基づきJT参加作品としており、私も過去そうしていました。しかし 2020年代になって記録を再検証したところ、「Since
I Don't Have You」はドゥワップ・グループ、スカイライナーズ(The Skyliners) 1959年全米12位のヒット曲がオリジナルで、彼らがドンによる当該曲のカバーにゲスト参加したという事実に行き当たりました。そしてスカイライナーズのメンバーの中にジャッキー・テイラー(Jackie
Taylor)という人がいて、彼の名前が略されて「J. Taylor」とクレジットされていたことが分かりました。従って当該セッションにJTが参加したという記載は誤りです。私もこの事実を確認したのちにホームページを訂正しました。
1993 Art Garfunkel Up 'Till Now Columbia Crying In The Rain Vo C57
ボーカルで参加とありますが、正しくはボーカルとアコースティック・ギターです。
1996 Art Garfunkel Across The America Crying In The Rain A Heart In
New York C66
アート・ガーファンクルのライブ盤ですが、JTが参加しているのは、エリス島で今はなき世界貿易センタービルを背景に演奏した「Crying In The
Rain」のみで、コンサート会場でのライブ「A Heart In New York」には参加していません。
1996 Valeire Carter The Way It Is Countdown - Vo C63
JTのボーカル参加について、アルバムの英語ジャケットには曲毎のクレジットの記載がないので、どの曲にJTが参加したかは不明。一方天辰保文氏による日本語解説には「I
Say Amen」と「Birds」に彼が参加したという記載があります。「I Say Amen」を聴くと「Amen」と歌うJTの声が確かに聞こえるのに対し、リンダ・ロンシュタットと一緒に参加したというニール・ヤング作の「Birds」は大変美しいカバーなのですが、聞こえるのはリンダの声ともう一人高音の男性の声で、JTの声を聞き分けることはできませんでした。
1997 Mark O'Connor Liberty Sony Classical Johnny Has Gone For A Soldier
Vo C68
ボーカルで参加とありますが、正しくはボーカルとアコースティック・ギターです。
2009 Francis Cabrel La Tournee Des Roses & Des Orties Columbia Milleworker
- La Fabrique Vo E19
ボーカルで参加とありますが、正しくはボーカルとギターです。
以上です。
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