B1 James Taylor And The Original Flying Machine (1966) Euphoria


B1 James Taylor And The Original Flying ...

B1a JT And The Original Flying Machine (Boot)








James Taylor: Guitar, Vocal
Danny Kootch : Guitar, Vocal
Al Gorgoni: Harpsichord
Zachary Wiesner : Bass
Joel O'Brien : Drums

Chip Taylor: Producer

[Side A]
1. Night Owl  A1 C7
2. Brighten Your Night With My Day (Intro)
3. Brighten Your Night With My Day  A1
4. Kootch's Song [Danny Kootch]
5. Knocking 'Round The Zoo(Danny Lead Vocal)  A1 B1

[Side B]
6. Rainy Day Man   A1 A10
7. Knocking 'Round The Zoo (Intro)
8. Knocking 'Round The Zoo (James Lead Vocal)  A1 B1      
9. Something Wrong (Instrumental Version) 

注) 写真上がオリジナル盤のデザイン。
   2番目以下は当時発売された、他のバージョンの表紙(一番下は日本で発売されたもの)。
    

JTが英国アップルレコードでデビューする前に組んでいたバンド、フライング・マシーンのスタジオ録音。ニューヨークの「ナイトアウル」で評判をとっていたバンドは、作曲家(トロッグスの「Wild Thing」1966年 やメリリー・ラッシュの「Angel In The Morning」1968年 のヒットで有名)、プロデューサーのチップ・テイラーと組んでレコードデビューを狙った。ダニー・クーチによると、JTの才能が抜きん出ており、彼のバンドとして売り出してもよかったが、彼はソロでやる自信がまだなく、グループとしてデビューすることになったそうだ。メンバーはその後キャロル・キングの初期のアルバムに参加、現在はテレビ番組などの音楽プロデューサーとして活躍するジョエル・オブライエン、友人のザカリー・ウィーズナーで、プロデュース・スタッフのアル・ゴルゴーニが、ハープシコードで手伝った。

チップ・テイラーはジュビリー・レコードと話をつけたが、会社はまずヒット曲を出すことを要求。限られた予算で録音された1.3.カップリングでシングル・レコードが発売されたが、残念ながら最高位102位とヒットしなかった。そのためレコード会社はアルバムの製作を拒否、グループ内の麻薬・飲酒問題(JTとジョエル)、およびホームシックにかかったザカリーの脱退により、「Fire And Rain」にあるとおり「墜落して粉々になってしまった」。JTはこの挫折のため、より深くドラッグに耽溺し、ヨレヨレになって故郷キャロライナの病院に入院することになる。JTは回復後渡英し、ピータ・アッシャーの紹介によりアップルレコードからデビュー A1を果たし、帰国後ワーナーの2枚目 A2で大成功を収めることになるが、それに目をつけたレコード会社(またはチップ・テイラー)が、その成功にあやかって上記のシングルおよびリハーサルの音源をまとめてリリースする事を決定。マネージャーのピーター・アッシャーは発売を阻止するためあらゆる手を打ったが、「我々が行った投資を回収したい」と発売が強行された。内容・曲数的には、1枚のアルバムにまとめるには未完成であり、そのことを印象付けるためジャケットデザインも鉛筆書きのタイトルのロゴにして、故意に作りかけの状態にしたとのこと。この音源は、その後イラストや写真などいろいろな表紙デザインが存在するが、鉛筆書きのもの(1番目の写真)がオリジナル版だ。 2番目は粗悪な海賊盤(レーベル名 TRIP)。その他、その後様々なレーベルから、異なる表紙デザインで発売された。

1.「Night Owl」はダニーの「これが最初のレコードだよ!」というスタジオ録音から始まる。シングル盤として発売されたこともあり、演奏およびJTとダニーのボーカルはしっかりした出来ばえだ。2.はイントロの取り直しを収録。3.「Brighten Your Night With My Day」はバンドによるコーラスからスタートするバンドアレンジで、JTのボーカルは自信なさげではあるが、メロウでそれなりに良い出来。ダニーが作った4.「Kootch's Song」は、インターネット上の資料ではインストルメンタルと紹介されていたが、実際はJTのボーカルが入っている。最初はスローで途中からテンポを上げ、ジャズの4ビートになってハープシコードのソロが活躍、最後はまたスローなテーマにもどる。5.「Knocking 'Round The Zoo」は8.と同じ曲であるが、ここではダニーがリードボーカルをとっている。JTの精神病院での体験を書いたもので、病院の狂気をデフォルメしたクレイジーなヴォイスの録音から始まる。曲想からすると、よりシニカルなダニーの声のほうが合っているかな。コーラスではJTがメロディーを歌い、ダニーが高音部のハーモニーをつけている。6.「Rainy Day Man」はリハーサルとしては完成度が高く、十分に楽しめる出来だ。孤独感溢れるA1のバージョンとは異なり、コーラス部分にバンドサウンドの一体感が感じられ、スウィートな音作りだ。7.は8.「Knocking 'Round The Zoo」開始前のスタジオトークとイントロの取り直しを収録。リードボーカルを担当するJTの声質はその後のものとは異なり、刺のあるもの。ダニーのボーカルがバックに加わり、ワイルドな演奏だ。9.は 録音中にJTが酒かドラッグでのびてしまい、ボーカルが未収録のままで終わってしまったため、バックトラックのみの録音だ。

同じ曲の比較では、少しオーバー・プロデュース気味のデビュー作A1よりも、自然な感じのアレンジ、音作りによる本作のほうが個人的に好きだ。本作はCD時代になってからもリイシュー盤が何度か発売された(上の写真は1997年に Gadfly RecordからCDで発売されたもの)が、JTのボーカルのみを抽出して、別に録音したバック演奏を付けてニューバージョンとして発表したものもある。収録時間の短さを補うためと思われるが、これは金もうけのための掟破りで許せんな〜。


B2 Suite For 20G Mono Mix (Single B-Side) (1970) Warner Brothers  




James Taylor : Vocal, Guitar
Danny Kootch : Guitar
Carole King : Piano
Russ Kunkel : Drums
Randy Meisner, Bobby West, John London : Bass
Unknown : Brass Section

1. Suite For 20G [James Taylor] A2


ご存知2枚目のアルバムのタイトルソング「Sweet Baby James」は、シングルカットされなかった名曲と言われるが、実はシングル盤が存在する。アルバム発売の翌月、1970年4月に発売されたとのことであるが、あまり売れなかったようで、DJや各地のラジオ局などに配布された白いラベルのプロモーション盤については、たまにインターネットで見かけるが、オリーブ色のラベルの正規盤の記事は今まで見たことがない。そしてこのシングル盤のミソはB面にある。A面はアルバム収録のものと同じであるが、B面の1.「Suite For 20G」は、バックのブラスセクションや、ダニー・クーチのギターが異なるモノミックスとのこと。いつか、このシングル盤を入手することを、残りの人生の楽しみのひとつとして生きてゆこうかな?!

と、以前「その他(本ディスコグラフィー未掲載作品)」のコーナーに書いた。実際レアなシングルなんだけど、一般の知名度は低く、マニアックなためか、意外にも早く、2010年12月31日にお手頃な値段で入手できた。これからの人生どうしよう〜!? というのは冗談だけど、なんとも言えない感慨に浸ってしまった。

1.「Suite For 20G」は、アルバム「Sweet Baby James」最後の曲で、一風変わったタイトルは、アルバムを完成させると2万ドル(1Gは千のこと)をもらえる契約になっていて、この曲が最後に録音されたことに由来する。3つのパートからなり、異なる曲を繋ぎ合わせたものという。最後のR&B調の作りがカッコイイ曲だ。アルバムのステレオに対し、本シングルはモノラル・ミックスで、楽器、特にブラスの音のバランスが大きく異なる他、アルバム・バージョンでは聴こえない音が入っているのだ。まずブラスについて。JTがファースト・ヴァースを歌い終わった後、アルバム版ではバックがバンドの音のみになるが、シングル版では、背後でかすかにブラスが鳴り続けているような気がする。次に後半のダニー・クーチのエレキギターについて。シングルにはアルバム版では聞こえないオブリガードが(僅かではあるが)入っていること、そして最後のギターソロの部分で、アルバムでは目立たないスライドギターが、シングル版でははっきり聴こえることだ。

演奏自体は同じもので、ミキシング作業におけるカットや音のバランスの相違と思われる。両者の違いは僅かとはいえ、ファンにとってはとても面白いアイテムだ。

[2010年1月作成]


B3 Amchitka  The 1970 Concert That Launched Greenpeace  (2009)  




James Taylor : Guitar, Vocal
Joni Mitchell : Dulcimer (8), Guitar (9), Vocal (8,9)

1. Something In The Way She Moves  A1 A15 B10 B18 B41 E5 E14 E15
2. Fire And Rain  A2 A15 B5 B16 B40 B41 E1 E4 E5 E7 E8 E10 E13 E14 E15 E17 E21 E25
3. Carolina In My Mind  A1 A1 A15 B10 B16 B22 B25 B26 B41 B46 E1 E5 E10 E14 E15 E25
4. Blossom  A2 E1 E15
5. Riding On The Railroad  A3 A15 B8
6. Sweet Baby James  A2 A15 B5 E1 E4 E5 E7 E10 E14 E15 E17
7. You Can Close Your Eyes  A3 B4 E4 E7 E8 E10 E14 E15
8. Mr. Tambourine Man [Bob Dylan]
9. The Circle Game [Joni Mitchell] (Fade Out) B4

録音: The Pacific Coliseum, Vancouver, Canada, 1970年10月16日

 
この記事は音楽作品の紹介が目的であり、ここでグリーンピースの活動の是非について論じる事は本意ではない。しかし、本作品が録音されたコンサートの背景を語る価値は十分あると思う。

本作に添付されたブックレットには、グリーンピース創立者の一人であるアーヴィング・ストウの娘が寄稿した回想が掲載され、そこには当時の人々の思いが、公平な視線で生き生きと語られている。バンクーバー在住のジャーナリストだったストウ氏は、アメリカ政府が地震多発帯であるアリューシャン列島のアムトチカ島で核実験を行うことで、地殻に影響を及ぼし、かつ自然を破壊することに反対して抗議運動を始め、DMAW (Don't Make A Wave Committee) を設立する。彼らは同島へ抗議船を派遣することを考え、その資金調達のためにロックコンサートが企画され、趣旨に賛同するアーティストが無償で出演することになった。グリーンピースというプロジェクト名は、後にその団体そのものを指すことになる。当時は西洋諸国においても、国家権力が軍事目的のために核実験を強行する時代であり、コンサートの開催場所がカナダということで、同国政府がアメリカと政治的に多少距離を置いていたとしても、このイベントは反国家的運動と見なされて、いろいろ圧力を受けたものと思われる。しかし中止にならなかったのは、核実験に反対する当時の世論が、ひとつの団体に留まらない国民的なものであったためだという。

コンサートは、フォーク歌手フィル・オックス(Phil Ochs) の演奏から始まり、その模様(8曲)が本CD 1枚目の前半に収められている。彼は60年代にボブ・ディランと並ぶプロテスト・ソングの雄として活躍し、その後もその姿勢を頑なに守った人だった。70年代の彼は、音楽界の変化について行けず、政治・社会活動においても醜い現実に幻滅し、アルコール依存と鬱に蝕まれて、1976年4月に自ら命を絶ってしまう。本コンサートでは力強いパフォーマンスが楽しめるが、シンガー・アンド・ソングライターの時代の夜明けである1970年という時期においては、ジョニやジェイムスの音楽と比較すると、世代交代前のサウンドに聴こえてしまうのは否めない。この後、実際のコンサートでは、地元のロックグループ、チリワック (Chilliwack) が出演するが、本CDには収録されていない。

CD1枚目の後半はJTの出番だ。本コンサートの宣伝ポスターの出演者に彼の名前はなく、直前になってジョニが彼の参加を打診してきたという。この頃のJTは、1970年2月発売の「Sweet Baby James」が大評判となり、シングル「Fire And Rain」が9月にチャート入りした時で、破竹の勢いがあった頃だ。1.「Something In The Way She Moves」から始まり、ゲスト出演ということもあって、気負いのないリラックスした演奏だ。当時ヒット中の2.「Fire And Rain」が始まると、気づいたオーディエンスから拍手が起き、JTは「Thank You !」と応えている。3.「Carolina In My Mind」は、イントロのギターを弾きながら曲の紹介をするのがカッコイイ。4.「Blossom」に続く、5.「Riding On The Railroad」は、当時アルバム未収録だった曲で、JTのギター演奏の上手さが光り、愛器ギブソンJ-50の訥々としながらもコクのある音の魅力が最大限に生かされている。「半分は甥のため、半分は自分のために書いた」という 6.「Sweet Baby James」は、少し遅めのテンポでの演奏。「もう1曲」と歌う 7.「You Can Close Your Eyes」のギターのイントロは、後の同曲の伴奏にないフレーズで、初期形の演奏として貴重だ。

ここでCDが2枚目となり、ジョニ・ミッチェルの番となる。名曲「Big Yellow Taxi」は、ニューオリンズのR&Bシンガー、ラリー・ウィリアムス1957年のヒット「Bony Maroney」 (CDの表記はそうなっているが、オリジナルは「Bony Maronie」)のメドレーとなっているのが珍しい。ファーストアルバムの「Cactus Tree」、2枚目からの「The Gallery」に続き演奏される「Hunter」は、翌年6月に発売される傑作「Blue」のために録音されながらアウトテイクになり、その後も公式発売されていない珍しい曲。ギターを置いたジョニは、ピアノ(楽器のレンタル代は彼女が払ったそうだ)に向かって「My Old Man」、「For Free」を歌うが、何といっても「Woodstock」が素晴らしい。さらに彼女は楽器をダルシマーに持ち替えて「Carey」を歌い、メドレーでディランの 8.
「Mr. Tambourine Man」に移ってゆく。ひととおり歌った後に、ステージに現れたJTに「貴方も歌う?」と問いかけ、彼のギターとボーカルがフィルインする瞬間は、マジカルな魅惑に満ちており、本アルバムのハイライトだ。彼女の母国カナダを歌った素晴らしく高揚感のある「A Case Of You」の後、フィナーレで2人とコンサートスタッフが 9.「The Circle Game」を歌うが、何故か2分ちょっとでフェイドアウトしてしまう。残念!!

コンサートは成功し、集まった資金1万8千ドルで抗議船はチャーターされたが、ニクソン政権のもと、1971年11月6日に5メガトンという巨大規模の核実験「Cannikin」がアムチトカ島で強行(実験の模様をユーチューブで観ることができるが、本当に恐ろしい映像だ)され、反対運動に携わっていた人々はがっくりしたという。しかしその後も運動は続き、1972年2月アメリカ政府は同地での核実験の継続を断念すると発表した。

しばらく後の10月末に録音されたBBCコンサート(B4参照)と比較して、2人が一緒に楽器を演奏し歌う曲は、本作では2曲のみと少なく、本コンサートの時点では、2人の付き合いが始まってからまだ日が浅かったものと推定される。演奏の素晴らしさにおいてはBBCコンサートに及ばないが、それでも十分楽しめるし、珍しい曲もある。そして何よりも貴重なのは、当時の核実験反対、環境保護運動の空気がそのまま伝わってくることである。本作は現在も活動を続けるグリーンピースの資金調達のために発売され、同団体のホームページからの通販でのみ購入可能だった。日本では、一括購入により販売する輸入盤専門店もあった。しかし、その後は色々あったようで、短期間で廃盤になった。


 
B4 Archives Vol.2 The Reprise Years 1968-1971 (2021) Joni Michell  
 

Joni Mitchell: Vocal, Acoustic Guitar (1,2,3,6,11,13,14), Dulcimer (7,8,9), Piano (4, 5,10)
James Taylor: Back Vocal (10,11,12), Acoustic Guitar (8,9,10,11,12)

1. That Song About The Midway [Joni Mitchell]
2. The Gallery [Joni Mitchell]
3. Hunter [Joni Mitchell] *   
4. River [Joni Mitchell] *
5. My Old Man [Joni Mitchell] *
6. The Priest [Joni Mitchell]
7. Carey[Joni Mitchell]
8. A Case Of You [Joni Mitchell] * # C6 
9. California [Joni Mitchell] # 
C6
10. For Free [Joni Mitchell] #
11. Circle Game [Joni Mitchell] #
 B3
12. You Can Close Your Eyes # 
A3 B3 E4 E7 E8 E10 E14 E15
13. Both Side Now [Joni Mitchell] *
14. Big Yellow Taxi [Joni Mitchell] *

録音: 1970年10月29日 
会場: Paris Theatre, London

* : BBCの放送には含まれなかった曲
# : JTが加わった曲


 

ジョニ・ミッチェルとの共演ライブで、1970年のBBCの放送以来、世界各地で繰り返し放送され、日本のFM放送局でも何度かオンエアーされた。私は昔FM東京で放送された音源をオープンリール・テープレコーダーで録音し、その後カセットテープに落として大切に聴いていたものだ。またその後JTの弾き語り3曲(「Rainy Day Man」、「Steamroller」、「Carolina In My Mind」)が、別の場所・日に収録されたJTのソロコンサート映像の音を使用して、あたかも同じコンサートでの演奏であるかのように編集したものであることが分かった。そして2007年、アメリカのWoodstock Tapesという会社が、JTの弾き語りを含む本音源からなる「The Circle Game」というタイトルのCDを発売し、輸入盤を取り扱う一般のCDショップでの購入が可能となった(それでも非正規臭かったが....)。さらに当初はロイヤル・アルバート・ホールのライブと言われていたが、正しくは10月29日パリ・シアターでの録音であることが明らかになり、同放送でカットされた曲 (3,4,5,8)を別ルートで聴くことができた。そして、2021年ジョニ・ミッチェルの「Archives Vol.2 Reprise Years (1968-1971)」で、ついに正規発表として、初登場のトラック(13, 14)を含む全貌を耳にすることができた!

本音源は絶妙なエコーや臨場感、艶やかな音の厚みなど、録音が最高。当時二人は恋愛関係にあり、その濃密な雰囲気がそのままステージに反映されている。曲間の会話で、思わず観客が笑ってしまう程のおのろけ状態で、特にジョニの機嫌がすこぶる良い。その感じが二人が演奏する曲にそのまま反映され、本当に素晴らしい出来になっている。

冒頭で司会者は、BBC放送では「BBC Concert From London ....... Joni Mitchell And James Taylor」と紹介しているが、Archiveでは、異なる男性の声でBBCの名称も出ず、ジョニのみの紹介なので、JTがゲストであることが明らか。そのことから前者では、二人のジョイント・コンサート風に編集するために、司会者のアナウンスを捏造したことが分かる。さらに 2.「The Gallery」が終わった後の拍手の最中に、ジョニが「James Taylor」と紹介しているが、これもBBC版ではJTの「Rainy Day Man」に続けるために、編集により人為的に付け加えられたものだ。「Blue」 1971 C6のアウトテイクで、「The Good Samaritan」とも呼ばれた 3.「Hunter」と続き、変則チューニングのギターの響きと、透明感に満ちた彼女の歌声が素晴らしい。次に彼女はピアノに向かい、JTが「James Taylor At Christmas」 2006 A19でカバーした名曲 4.「River」、以前恋人関係にあったグラハム・ナッシュの事を歌った5.「My Old Man」を弾き語る。ギターに戻って 6.「The Priest」を歌った後、ダルシマーに持ち替え、楽器の紹介とクレタ島での経験を含む長い語りの後に7.「Carey」を歌う。

ここでJTがギター伴奏で加わるが、彼を紹介するアナウンスはカットされているので、8.「A Case Of You」は唐突な感じで始まる。9.「California」の紹介ではJTも発言していて、彼が単なる伴奏者でなくパートナーであることが分かる。ジョニのダルシマーとJTのギターの楽器の溶け込み様が素晴らしい。特にJTのギター伴奏が最高にイマジナティブで、様々な変化に富んだフレーズが泉のように湧き出ており、彼のキャリアのなかでもベストの出来だ。 10.「
For Free」は路上のミュージシャンから受けた感銘を素直に語る佳曲で、ピアノとギターによる演奏。JTは後半部分のコーラスでハーモニーをつける。

ここでジョニはカナダからフォーク・シンガーを目指してアメリカに来た友人のストーリーを語る。そして彼が書いた、若さの喪失を嘆いた「Sugar Mountain」という曲の詩を朗読する。ここでは名前は明かしていないが、その作者はニール・ヤングだ!そして彼女は、「この曲は彼のためと、私のために希望を込めて書きました」と言って、年をとり若さを失う事は悪いことだけではないと歌う 10.「Circle Game」は、バフィー・セイント・メリーによる映画「いちご白書」の主題歌でも有名な傑作。人生をメリーゴーラウンドに例える、美しくも厳しい歌詞、比類のないメロディーの素晴らしさは天上の音楽と言っても過言ではない。
二人のギターのコラボレーションが最高で、歌いながら時にくすっと笑うジョニの声は天に届きそう。コーラス部分ではJTのハーモニー・ボーカルが優しく寄り添う。長い曲なんだけど、いつまでも終わって欲しくない、JT参加のセッション曲の最高峰だ。12.「You Can Close Your Eyes」は「これで最後の曲です」と二人が同時で言い出し、笑いが起きる。ここでジョニがビートルズの「With A Little Help From My Friends」の一節を口ずさんで、「デュオを組まない?」と言うと、JTが「ニューヨークに行こうか」と答え、それに対しジョニが「ニューヨーク......シカゴね〜」と返し、続く言葉について日本版の解説書 (ジョニの語りの部分についても英語とその訳が掲載されており、その丁寧な仕事ぶりは特筆もの)では「I'm in Idaho baby (「俺はアイダホにいるんだ」なんてね)」と書いているが、これは間違い。正しくはジョニは「I'm a night owl baby」と言っている。「Night Owl」は、JTがダニー・クーチとフライング・マシーン時代の1966年に出演していたニューヨーク・グリニッジ・ヴィレッジにあったライブハウスの事で、フライング・マシーンのアルバム 1967 B1とJTのアップルからのデビュー盤「James Taylor」1968 A1に収録された同名の曲(当時の体験を歌ったもの)の歌詞の一節なのだ。要するにJTのファンであればピンとくるジョニのジョークである。最初のヴァースのジョニが単独で、以降はジョニがメロディー、JTはハーモニーを歌う。とても美しいデュエットだ。曲が終わり ジョニは「グットナイト!」と言う。したがって、今回の正規盤で初めて聴くことができた彼女一人による 13.「Both Sides Now」、14.「Big Yellow Taxi」は、アンコールで演奏された曲ということになる。

1970年代初頭の空気がいっぱい詰め込まれた、歴史的価値と曲・演奏の素晴らしさの両方を併せ持つ稀有な音源。

[2022年2月作成]


B5 The Best Of Johnny Cash TV Show  (2007) Sony    
 





 
James Taylor : Guitar, Vocal

1. Fire And Rain  A2 A15 B3 B16 B40 B41 E1 E4 E5 E7 E8 E10 E13 E14 E15 E17 E21 E25
2. Sweet Baby James A2 A15 B3 E1 E4 E5 E7 E10 E14 E15 E17

1971年 The Ryman Auditorium, Nashville にて収録


写真上: 1.が収録されたCD盤
写真下: 2.が収録されたDVD盤

1969年から1971年まで続いた人気番組「Johnny Cash Show」からセレクトされた音源が2007年に正式発売された。そこにはレイ・チャールズ、デルク・アンド・ドミノス、ロイ・オービソン、ジョニ・ミッチェル、クリス・クリストファーソン、カーター・ファミリー、ジョージ・ジョーンズ、リン・アンンダーソン等の演奏が収められ、その中にJTの1.「Fire And Rain」が入っている。またほぼ同時期に2枚組のDVDも発売され、そこには上記に加えてボブ・ディラン、ルイ・アームストロング、スティーヴィー・ワンダー、ニール・ヤング、リンダ・ロンシュタット、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル、エバリー・ブラザース、ビリー・モンローといった豪華なアーティスト達が収録され、その中にJTの 2.「Sweet Baby James」の映像も入っている。  

実際のところJTは、当時放送されたテレビ番組で 4曲歌っており、その模様の音源・映像が出回っているので、以下のとおり紹介しておこう(以前執筆した「その他断片(音源・映像) 1970年代」より引用)。

a. Fire And Rain (Fade In)
b. Country Road
c. Oh, Susannah [Stephen Foster] (ジョニー・キャッシュとの共演)
d. Sweet Baby James

(Quote)

カントリー音楽界の大御所ジョニー・キャッシュ (1932-2003)は、保守的な業界の中でも進歩的な考えを持っていた人のようだ。ABC放送の「Johnny Cash Show」は、1969年から1971年まで続いた人気番組だった。1971年2月17日の放送は「On Campus」と称した特別編で、彼がヴァンダービルド大学に赴き学生と語るシーンと、ナッシュヴィルでのコンサートの模様が放送された。ジョニー自身の歌の他に、当時人気台頭中のニール・ヤング、リンダ・ロンシュタット、スペシャル・ゲストとして当時人気絶頂のJTを紹介し、最後は奥さんのジューン・カーターとカーター・ファミリー、カール・パーキンス(ギター)、アール・スクラッグス(バンジョー)の共演で締めくくっている。

まずジョニーが、「大変稀なクオリティーを持った人で、歌詞、メロディー、ハート、フィーリングを融合させて我々に届けてくれる」と、JTを紹介するアナウンスから始まり、弾き語りによる 1.「Fire And Rain」がフェイドインする。この曲と 2.「Country Road」については、2012年初め、30数年ぶりに映像を観ることができた。頭のてっぺんがフサフサのJTの姿を見ると、何だか不思議な感じがして、笑ってしまうんだよな〜。イスに座ってスローなテンポによる弾き語りがとても良い感じだ。3.「Oh, Susannah」は、ジョニーとのデュエットで演奏される。髭をはやしギターを持ったJTは、イエス・キリストのよう。最初のヴァースはJTが一人で歌い、セコンドバースは、黒ずくめのジョニーがギターを爪弾きながら歌う。当時は珍しいマーチンのD-45Sを持ちながら、メロディーを崩して歌う様は貫禄十分だ。最後のコーラスは二人の合唱で、JTはハーモニーを担当する。大きな拍手の後、ジョニーが「現代のカウボーイ・ソング」と紹介し、4.「Sweet Baby James」が歌われる。オーディエンスは立ち上がって大きな拍手と声援で応えており、当時JTの人気がすでに絶頂であったことを物語っている。1970年の「Mike Douglas Show」への出演はあったが、メジャー・ネットワークの人気番組での放送としては、これが初めてだったようだ。

番組最後は、学生との会話シーンでクレジットの字幕が流れるが、背景に聞こえる音楽は、当時JTが弾き語りのレパートリーとしていたステファン・フォスター作の「Dixie」(公式録音なし)の断片だ。

(Unquote)

せっかく公式発売するならば、2曲のみ(しかもCD、DVDバラバラ)でなく、全部まとめて出して欲しいよね〜


[2011年8月作成]



B6 Country Road  (1971) Warner Brothers    

B5 Country Road


James Taylor: Guitar, Vocal
Carole King: Piano
Lee Sklar: Bass
Russ Kunkel: Drums

1. Country Road  A2 A15 E7 E14 E15 E25                 


「Sweet Baby James」からの2枚目のシングルは、アルバムとは別録音のものだった。シングル・バージョンはテンポが若干早めであるが、最大の違いは後半になってからで、多重録音による「アー」という賛美歌調の単音コーラスが入ることだ。当時のコンサートでは、観客にそのパートを歌わせて演奏していた。どっちのバージョンがいいかは、聞く人の好み次第だろう。私は両方とも大好きだ。どちらのバージョンも、エレキギターがないシンプルな編成で、キャロルキングの力強いピアノが印象に残る。1971年2月に発売され、全米37位のヒットを記録した。

その後発売された種々のベストアルバムのほとんどにはアルバム・バージョンが使用されいて、ファンの間でもシングルの存在はあまり知られていなかったが、2003年発売の「Best Of James Taylor」B43 ではこの録音が収録され、CDで入手可能となった。ちなみにジャケットのJTの写真は、アルバムのものとは異なる。


B8 The Bitter End Years (1974) ROXBURY


B6 The Bitter End Years
[Various Artists]

James Taylor: Guitar, Vocal

1. Riding On The Railroad  A3 A15 B3

解説、アーティスト紹介のブックレット付


                    
ニューヨークのグリニッジ・ビレッジにあって60〜70年代にかけて新人アーティストの登竜門となったライブハウス「Bitter End」へのトリビュート盤。Early Years(ジュディ・コリンズ、エヴァリー・ブラザース、ピーター・ポール&マリー、カーリ・サイモンがいたサイモン・シスターズ、トム・ラッシュなど)、Comedy Years(ウッディ・アレン、リリー・トムリンなどのトークショウ)、Rock Years(ジョン・デンバー、アーロ・ガスリー、カーチス・メイフィールド、メラニー、ベット・ミドラー、ヴァン・モリソン、ジョン・セバスチャン、ジェリー・ジェフ・ウォーカー)の3枚組からなる。ビターエンドでのライブを収録したものではなく、参加アーティストの収録曲はライブ、既発表のスタジオ録音など様々で、サイモン・シスターズの曲など貴重そうなものもあるが、かなりのマニアでないと食指が動かないだろう。

3枚目のRock YearsのトリをつとめるJTは、何故か未発表のライブ録音を提供。これは1972年カリフォルニア州オークランドでの録音で、当時ライブアルバム製作のために録音されたがボツになったというコンサート音源と同時期・同場所になる。現在出回っている音源の資料によると、4本のテープのうち3本しか入手できなかったとあるが、他の音源から当時のコンサートの構成を再現すると、1.「Riding On The Railroad」はちょうど入手できなかった中盤での演奏曲で、正にこの曲が失われた曲のひとつであり、この曲を本作に収録するために持ち出されたテープが、他のテープと生き別れになってしまった経緯が推測される。

私的レースにより賞金を稼ぐドライバーに扮した映画「断絶」への出演経験を話し(あまり楽しくはなかったようだ)、本曲を弾き語りで演奏する。リラックスして自由な雰囲気で、JTのボーカルも好調、エンディングでは彼お馴染みのラララが聞こえる。

大変に入手が難しいアルバムで、私も見つけるのに10年以上かかった。


B9 I Can Dream Of You  (1976) Warner Brothers


B7 I Can Dream Of You

James Taylor: A. Guitar, Vocal
Lee Sklar: Bass
Craig Doerge ?: Keyboard
Russ Kunkel ?: Drums

1. I Can Dream Of You [Livingston Taylor]


1976年に全米22位のヒットを記録したシングル盤「Shower The People」(「In The Pocket」A8に収録)のB面で、これまでいかなるLPにもCDにも収められていない。作曲者のリビングストン・テイラーによるオリジナル録音は、1973年の作品「Over The Rainbow」C12に収録されている。

アコースティック・ギターとエレキピアノ、ベースとドラムスだけのシンプルな編成に、ストリングスがついている。バック・ミュージシャンのクレジットがないが、よく動くメロディックなベース・ラインは、リーランド・スクラーに間違いない。そしてエレピの音使いも、クレイグ・ドーキーにほぼ間違いないでしょう。とすると、残るドラムスはラス・カンケルに決まり!JTのバージョンのアレンジは、リブのオリジナルよりもはるかに出来が良い。「あの曲だけどさー。僕だったらこうしちゃうぞ。どうだ、いいだろう!」という感じか?

「つらくても、君の夢を見る事ができるから平気さ」といった内容の歌詞で、とにかくメロディーがスウィート。JTはそれをもっと甘く歌う。本当に、こんなに優しい雰囲気の歌はあまりないぞ。何度聴いてもウットリしてしまう。ちょっと甘さが口の中に残る感じがするけど、もう何回聴いたかな〜と思うほどの愛聴盤だ。もちろんレコードで聴いているとすり減ってしまうので、カセットテープに落としてますけどね!

ファンの間でも知る人ぞ知る名曲・名演。最近は配信サイトでダウンロードできるので、お勧め!


B10 Greatest Hits  (1976)  Warner Brothers


B8 Greatest Hits


James Taylor: A. Guitar, Vocal
Danny Kootch: E. Guitar (3)
Dan Dugmore: Steel Guitar (1,2)
Clarence McDonald: Piano (2,3)
Lee Sklar: Bass              
Russ Kunkel: Drums (2,3)
Byon Berline: Fiddle (2)
Andrew Gold : Harmonium, Back Vocal (2)
Herb Pedersen: Back Vocal (1)

Peter Asher: Producer
Lenny Waronker & Russ Titeleman (3)

1. Something In The Way She Moves  A1 A15 B3 B18 B41 E5 E14 E15
2. Carolina In My Mind  A1 A1 A15 B3 B16 B22 B25 B26 B41 B46 E1 E5 E10 E14 E15 E25
3. Steamroller Blues  A2 A15 E1 E5 E8 E10 E11 E14



JTがCBSソニーに移籍した後に発売されたワーナー時代のベスト盤。「Sweet Baby James」A2 より3曲、「Gorilla」A7より2曲、「Mud Slide Slim」A3、「One Man Dog」A4、「Walking Man」A5、「In The Pocket」A8より各1曲が選ばれたほか、未発表ライブが1曲、本作のための新録音2曲が収録された。LP時代の発売のため、収録曲が12曲と少なく約30年前のものなので、その後発売されたベスト盤に比べて曲目では見劣りするが、上記3バージョンが聞けるため廃盤にならず、後にCD化されて現在も、お手頃な値段で店頭に並んでいる。その後発売されたベスト盤にも1.2.3のいずれかが含まれているものはあるが、3曲全部というのはここだけだと思う。

1.2.はアップル時代のデビューアルバム A1に入っていた曲で、契約の関係で収録できず、新たに録音し直したものと思われるが、おそらく彼自身、当時の出来栄えに満足していなかったこともあると思う。1.「Something In The Way She Moves」の演奏は基本的にJTの弾き語りで、バックは控えめ。彼のギターおよびボーカルは、録音の良さもあり A1のものよりずっとクリアーだ。2.「Carolina In My Mind」では A1でのオーバープロデュース気味のストリングス・アレンジはなく、淡々とした丁寧な演奏で、オリジナルよりも遥かに出来がいい。アンドリュー・ゴールド、ダン・ダグモアなど、リンダ・ロンシュタットのバックを務める人達が参加しているのが興味深い。プロデューサー、マネージャーが同じピーター・アッシャーだもんね。ちなみに自身シンガー・ソングライターとしてヒット曲を放っているアンドリュー・ゴールドとJTの共演はここだけだ。

3.「Steamroller Blues」は、1975年8月ロスアンジェルス、Universal Amphitheatreでのライブ録音で、JTのアドリブ・ボーカルの他、ダニーのギター、クラレンスのピアノソロをたっぷり聞く事ができるエキサイティングな演奏だ。この曲はライブで必ず演奏されるため、海賊盤やビデオ等で数多くのバージョンを楽しむことができるが、その都度ボーカルのアドリブが異なり、その変化の妙を味わえる。なかにはレゲエ・バージョンもあるぞ!ちなみにこの曲のプロデューサーはレニー・ワロンカーとラス・タイトルマン、しかもエンジニアがリー・ハーシュバーグというA7 A8のスタッフが名を連ねていることから、本曲が当時盛んに噂されながらリリースされなかったライブ・アルバムのために録音された曲のひとつと推測することができる。

[2011年6月追記]
アンドリュー・ゴールド氏は、2011年6月3日亡くなりました。ご冥福をお祈り致します。



B11 Honey Don't Leave L.A. (1978) [Single]   Sony




James Taylor : Vocal, Acoustic Guitar
Danny Kootch : Electric Guitar
Clarence McDonald : Keyboards
Lee Sklar : Bass
Russ Kunkel : Drums

Arnold McCuller or Philip Ballou (Probably) , David Lasley : Back Vocal

1. Honey Don't Leave L.A. [Danny Kootch]  A9 B12 E1


Handyman」、「Your Smiling Face」に続く、アルバム「JT」からの3枚目のシングルカットであるが、発売にあたりバックボーカルがオーバーダビングされている。以前よりこの曲のシングルバージョンはアルバムと違うな〜と思っていたのだが、今回デビッド・ラズレーのホームページから裏づけがとれ、バックボーカルを担当したのが彼と恐らくアーノルド・マックラー(またはフィリップ・バルー)であることが確認されましたので、本HPに追加しました。

アルバムでのオリジナル・バージョンではおそらくダニー・クーチがコーラスを付けているものと思われるが、シングル盤製作にあたり曲のインパクトを増すためにオーバーダビングを施したものと思われる。デビットとアーノルドは、1977年よりJTのコンサートツアーに参加しており、同年発表のデビッドが在籍したコーラスグループ、Rosieのアルバム「Last Dance」 1977 C22 にJTがゲスト参加しているが、JT名義の録音では、本曲が初めてと思われる。アルバム単位の参加では「Flag」1979 A10が最初。

JTのボーカルおよびバックバンドの演奏は全く同じなので、別テイクではなくリミックスの位置づけになるが、ここでのバックボーカルはまさにプロの仕事で、厚みのあるコーラスにより曲の雰囲気をかなりハイにすることに成功している。


B12 No Nukes (1979) [Various Artists] Asylum


B10 No Nukes

James Taylor: Acoustic Guitar (2,3,4), Vocal
Carly Simon: Vocal (2,5), Back Vocal (1,6)
Graham Nash: Vocal (2), Back Vocal (1,6)

Danny Kootch: Electric Guitar (4,5)
Waddy Wachtel: Electric Guitar (3,4,5)
John Hall: Electric Guitar (1,6), Back Vocal (1,6)
Leland Sklar: Bass (4,5)
Don Grolnick: Keyboard (2,3,4,5)
Russ Kunkel: Drums (4,5), Percussion (3)
Rick Marotta: Percussion (4,5)
David Sanborn: Sax (4,5)

Rosemary Butler: Back Vocal (1,4,5,6)
Bonnie Raitt: Back Vocal (1,6)
Brenda Eager: Back Vocak (1,6)
Cleo Kennedy (6)
Doug Haywood: Back Vcal (1,6)
Gloria Coleman: Back Vocla (6)
Jackson Browne: Back Vocal (1,6)
John Hall: Back Vocal (1,6)
Niclette Larson: Back Vocal (1,6)
David Lasley: Back Vocal (4,5)
Arnold McCuller: Back Vocal (4,5)

[The Doobie Brothers] (1,6)
Michael McDonald: Keyboard , Vocal
Patrick Simmons: Guitar
John McFee: Guitar, Pedal Steel Guitar
Tiran Porter: Bass
Cornelius Bumpus: Sax
Keith Kudsen: Drums
Chet McCracken: Drums
Ted Templeman : Percussion

1. Power [John Hall, Joanna Hall] (With Doobie Brothers)  C33
2. The Times They Are A-Changin' [Bob Dylan] (With Carly Simon And Graham Nash)  E2
3. Captain Jim's Drunken Dream  A8
4. Honey Don't Leave L.A. [Danny Kootch]  A9 B11 E1
5. Mockingbird [Inez & Charlie Fox]  C14
6. Takin' It To The Streets [Michael McDonald] (With Doobie Brothers) E2


1979年9月19日〜23日にニューヨークのマジソン・スクウェア・ガーデンで開催された「No Nukes」チャリティーコンサートのライブ。収益金はJT、カーリー・サイモン、ジョン・ホール、ボニー・レイットらが設立したMUSE (Musicians United For Safe Energy) Foudationに寄付された。その他ジャクソン・ブラウン、ドゥービー・ブラザーズ、クロスビー・スティルス・アンド・ナッシュ、ブルース・スプリングスティーン、トム・ペティー、ライ・クーダー、ニコレッタ・ラーソン、チャカ・カーンなどが参加し、大変豪華なショーとなった。

テーマソングというべき1.「Power」は、最初のヴァースではジョン・ホール、JT、マイケル・マクドナルドが中心となって、カーリーやグラハム・ナッシュ、ジャクソン・ブラウン等がバックコーラスで加わる。歌詞の2番はマイケル・マクドナルドとJTが半分づつリードをとる。ドゥービー・ブラザーズあるいはジョン・ホールによるギターソロの後、最後のヴァースは全員による合唱で盛り上がり、とても感動的だ。文句なしの名曲。ボブ・ディランの傑作2.「The Times They Are A-Changin'」はJTのアコースティック・ギターの伴奏で、JT、カーリー、グラハム・ナッシュが歌う。最初はJT一人で、次にグラハム、そしてカーリーが加わり、力強い合唱となる。映像版 E2ではジョン・ホールも歌っているが、ここではクレジットのとおり、3人だけで歌っているようだ。

3.「Captain Jim's Drunken Dream」は2台のアコースティックギターとピアノ、パーカッションによるシンプルなバックによる演奏。4.「Honey Don't Leave L.A」は、ダニー・クーチとワディ・ワクテルのギターがヘヴィーなリズムを刻み、ラス・カンケルのドラムスがパワフルなロック。デビッド・サンボーンのサックスが相変わらずソウルフル。デビッド・ラズリー、アーノルド・マックラー、ローズマリー・バトラーのバックボーカルも大きくフューチャーされている。5.「Mockingbird」でカーリーの声が聞こえると観客から歓声が起きる。スタジオ録音版よりもテンポがかなり速い。ここでも間奏はサンボーンのソロだ。二人のボーカル、特にJTは自由奔放。

マイケル・マクドナルドの代表曲のひとつである最後の曲6.「Takin' It To The Streets」におけるドゥービー・ブラザーズの演奏の躍動感は凄まじい。コーネリアス・バンパスのサックスソロがフューチャーされ、ウェストコースト・ロックとソウルの融合の極地だ。マイケルのリードに続き、JTが1ヴァース歌う。フィナーレなので、バックボーカルは出演者総動員だ。本作ではいたる所にJTのボーカルが出てくるし、ドゥービー・ブラザーズやマイケル・マクドナルドとの共演など盛りだくさんで、ファンには大変楽しい作品となった。

これら一連のコンサートの模様を収録した映画も当時封切られ、その後米国ではテレビ等で放映されていた(私はアメリカ在住時にそれをビデオに収録することができた)が、90年代後半にDVD (E2)として発売された。そこに収められた曲のほとんどが、レコード盤とは異なる曲・テイクになっている。ただし映像版では1.がダウンタウンのバッテリー・パーク横での野外コンサートでの収録で、JTは参加していない。私は以前中古レコードショップで購入したため、残念ながらブックレットが付いておらず、曲毎のパーソナルの資料が手元にないため、上記のクレジットはインターネットでの取材をベースに、映像版を参考にして判断した。

[2022年4月追記]
パーソナルについての資料が入手できたので、修正しました。

[2023年4月追記]
9月19日、20日、23日の音源を聴くことができたため、1と6が9月20日の演奏であることがわかりました。また3.「Captain Jim's Drunken Dream」は9月23日の演奏と同じでしたが、レコードではコーラス部分のハーモニー・ボーカルが聞こえず、ミキシングで取り除かれたものと推測されます。


B13 In Harmony (1980) [Various Artists] Warner Brothers


B11 In Harmony

James Taylor: Guitar (2), Vocal (2)
Kate Taylor: Vocak (12)
Carly, Joanna And Lucy Simon: Back Vocal (12)
Hugh, Jame And Livingston Taylor: Back Vocal (12)
David Spinozza, Al Gorgoni: Guitar (12)
Don Grolnick: Keyboard (12)
Tony Levin: Bass, Tuba (2)
Steve Gadd: Drums
Sammy Figueroa: Percussion

Lucy Simon, David Levine: Producer

2. Jelly Man Kelly [James Taylor, Sarah Taylor]  B14
12. In Harmony [Lorraine Alterman Boyle, Anne Roiphe, Lucy Simon]


1960年代末から新しい子供向け番組として一世を風靡したTV番組「セサミ・ストリート」のために製作されたオムニバス・アルバムで、セサミ・ストリート・レコード製作、ワーナー・ブラザース配給。カーリーのお姉さんのルーシー・サイモンがプロデューサーに名を連ねている。参加者はドゥービー・ブラザース(サイモン・シスターズの代表作「Wynken, Blynken And Nod」をカバー)、カーリー・サイモン、リンダ・ロンシュタットとウェンディ・ウォルドマン、リビー・タイタスとドクター・ジョン、リヴィングストン・テイラー、ルーシー・サイモンとJT カーリ・サイモン人脈が勢揃いしている。他にアル・ジャロウ、ベッド・ミドラー、ジョージ・ベンソン、そしてセサミストリートのアーニーとクッキーモンスターの歌が1曲入っている。必ずしも同番組での使用のために作られたものではなく、イメージに合う子供向けの曲を集めた、資金集めのためのチャリティー・レコードといえる。

2.「Jelly Man Kelly」は娘のサリー・テイラーとの共作とクレジットされた、歌詞の語呂合わせが面白い小品。トニー・レヴィンのチューバが面白い味を出している。12.「In Harmony」は妹のケイト・テイラーがリードをとるタイトル曲で、サイモン家の3姉妹、アレックスを除くテイラー家参加というアットホームな曲だ。なお同作に収録されているカーリー・サイモンの「Be With Me」にはJTがギターで参加しているが、彼女のソロアルバム「Another Passenger」 1976 C20 のヴァージョンと同じなので、ここでは対象外とした。

[2023年8月追記]
他の曲について、簡単に説明します。

[Side A]
1. Wynken, Blynken And Nod [Eugiene Field, Lucy Simon] The Doobie Brothers
2. Jerry Man Kelly [James Taylor, Sally Taylor] James Taylor
3. Be With Me [Carly Simon] Carly Simon
4. Blueberry Pie [Bette Midler, Bruce Roberts, Carole Bayer Sager] Bette Midler
5. Share [Joe Raposo] Ernie And Cookie Monster (Jim Henson And Frank Oz)
6. One Good Turn [Al Jarreau] Al Jarreau

[Side B]
7. I Want A Horse [Linda Ronstadt, Wendy Waldman] Linda Ronstadt And Wendy Waldman
8. The Sailer And The Mermaid [Jacob Blackman, Libby Titus] Libby Titus And Dr. John
9. Pajamas [Livingston Taylor] Livingston Taylor
10. A Friend For All Seasons [Cheryl Hardwick] George Benson And Pauline Wilson
11. I Have A Song [Norman Martin, Lucy Simon] Lucy Simon
12. In Harmony [Lorraine Alterman Boyle, Anne Roiphe, Lucy Simon] Kate Taylor And The Simon-Taylor Family

1.「Wynken, Blynken And Nod」は、詩人のユージン・フィールドが1889年子供向けに描いたララバイにルーシー・サイモンが曲をつけたもので、ルーシーとカーリーの姉妹によるデュオ、ザ・サイモン・シスターズのデビュー作 「Meet The Simon Sisters」1964がオリジナル。本曲はシングルカットされ、全米73位を記録している。ザ・ドゥービー・ブラザースはカバーにあたり、シンプルなフォークソングを洗練されたポップにアレンジしている。本アルバムからシングルカットされ、こちらは全米76位。子供達が木舟に載って星を漁りにゆく歌詞がファンタスティック。4.「Blueberry Pie」は、ブルース・ロバーツとキャロル・ベイヤー・セイガーが共作者で、彼氏とブルーベリーパイのイメージをごっちゃにした歌詞がユーモラス。ドクター・ジョンがピアノを弾き、ブルース・ロバーツ、ルーシー・サイモン、ウェンディ・ウォルドマンがバックボーカルを付けている。5.「Share」はセサミ・ストリートのマペットによる掛け合いで、ジム・ヘンソンとフランク・オズが語りと歌を入れている。 6.「One Good Turn」はいかにもアル・ジャロウといった感じの凝ったメロディーの曲で、本作のなかでは少し異質の感あり。これもシングルカットされたが、チャートインしなかった。彼はその後 1977年のライブアルバム「Look To The Rainbow - Live In Europe」で再録音している。

B面最初の曲 7.「I Want A Horse」の共作者ウェンディ・ウォルドマンは、シンガー・アンド・ソングライターとして1970年代にマリア・マルダー等に曲を提供した他、数枚のソロアルバムを発表。1980年代以降は、ナッシュビルに移り作曲家に専念。ヴァネッサ・ウィリアムスの「Save The Best For Last」 1992 全米1位が代表作。自分の馬を欲しがる女の子の心情を歌ったピュアな曲。船員役のドクター・ジョンと 8.「The Sailer And The Mermaid」を歌う人魚役のリビー・タイタスについては、彼女のソロアルバム 1977 C25の記事を参照してほしい。JTの弟リブの 9.「Pajamas」は、彼のアルバム「Man's Best Friend」1980とは別録音で、ジャズベースの巨匠ロン・カーターとデビッド・スピノザのギターをバックに歌い、軽妙洒脱なジャズ・フィーリングが最高。10.「A Friend For All Seasons」のジョージ・ベンソンは、ここではハワイのフュージョンバンド、シーウィンドのボーカリスト、ポーリン・ウィルソンと歌っているが、1979年5月24日放送の「セサミストリート」では、番組のレギュラー出演者で、俳優・歌手のアライナ・リード演じるオリヴィアとデュエットしている。11.「I Have A Song」はプロデューサーのルーシー・サイモンの歌。

プロデューサーのルーシー・サイモンの人脈と、ワーナーブラザースに関係あるアーティストのラインアップをフルに生かした面々による豪華なアルバム。以降この手の企画ものアルバムが次々と発表されることになる。


B14 Songs FromThe Street (2003) [Various Artists] Sony Legacy

B12 Songs Fron The Street

James Taylor: Guitar, Vocal
Howard Johnson : Tuba
Sesami Street Kids: Back Vocal

1. Jelly Man Kelly [James Taylor, Sarah Taylor]  B13


収録: 1980年



セサミストリート35周年を記念して製作された3枚組CDボックス。おなじみのテーマソングをはじめ、昔観たマペット達による傑作ソングがいっぱい入っている。なかでもビリー・ジョエル(ひねくれ者のオスカーに歌う「Just The Way You Are」!)、スティーヴィー・ワンダー、ポール・サイモン、グロリア・エステファン、セリーヌ・ディオン、デスチャなどの豪華なゲストがスタジオで歌うこの番組ならではの趣向が収録されている。

JTの1.「Jelly Man Kelly」は前作 B13とは異なり、スタジオで子供たちと一緒に歌う。黒人プレイヤーがチューバを吹いていて、クレジットはないが、ハワード・ジョンソン(ザ・バンドのライブ「Rock Of Ages」に参加していた人)だ。B13で多重録音していたバック・コーラスは、ここでは子供達が担当。少し遅れ気味のテンポが微笑ましい。映像版は2005年初めに発売されたDVD またはビデオ「Sing Yourself Silly」に入っているとのこと。本作のクレジットでは作曲JT、作詞サラ・テイラーと表示されており、子供ながら面白い詩を書くもんだ。

私は幸いにもこのシーンのテレビ放送を録画する機会があったので、以前からよく知っていた音源だった。JTのギターはマーク・ホワイトブックで、彼の前髪はすでに薄くなりかけている。今回CDで聴ける正式音源ということで敢えて購入した。JTは他にも同番組に出演していて、屋根裏イメージしたセットで撮影されたスタジオライブで「Up On The Roof」、マペットのオスカーとの替え歌デュエット「Your Smiling Face」についてはNHK放送から録画することができた(この番組のファンで、毎月ガイドを購入していたためラッキーでした)。ただしインターネット資料では、もう1曲「You've Got A Friend」があるというが、ガセネタのようだ。


B15 In Harmony 2 (1981) [Various Artists] Sony


B13 In Harmony 2


James Taylor: Guitar, Vocal
Sarah and Ben Taylor: Back Vocal

Hugh McCracken: Guitar
Ron Carter: Bass
Rob Mounsey: Keyboard
Errol 'Crusher' Bennett: Percussion

Lucy Simon And David Levine: Producer

1. Sunny Skies  A1 A2


B13の続編で1981年発表、今度はCBSレコードから配給された。参加者はビリー・ジョエル、ジャニス・イアン、クリスタル・ゲイル、ドクター・ジョン、ルー・ロウルズ、ケニー・ロギンス、カーリー・アンド・ルーシー・サイモン、そしてブルース・スプリングスティーン(彼が演奏する「Santa Claus Is Comin' To Town」のライブは、ファンの間でコレクターズ・アイテムとなっているそうだ)。

ここではJTは、子供達の「Wake Up Daddy !」という言葉に導かれて、眠そうに歌う。何とも言えない孤独感に満ちていた「Sweet Baby James」 A2のオリジナルに比べ、こちらはスウィートな雰囲気だ。前者の「That sunny skies hasn't a friend」という歌詞の大事な部分が、「That sunny skies is my good friend」と書き改められ、曲想ががらっと変わり、子供向けの明るい歌になった。なおバックにはジャズ・ベースの巨匠ロン・カーターが参加している。


B16 Live In Rio (1985) CBS  (Brazil盤)



B14 Live In Rio


B14 Live In Rio (CD)

James Taylor: Guitar, Vocal
Dan Dugmore: Guitar (3,7,9,10,11), Steel Guitar (4,6,8)
Leland Sklar : Bass 
Billy Payne: Keyboards  
Rick Shlosser: Drums 
Arnold McCuller, Rosemary Butler: Back Vocal (2,3,4,5,7,8,10,11)

[Side A]
1. Long Ago And Far Away  A3 E1 
2. Carolina In My Mind  A1 A1 A15 B3 B10 B22 B25 B26 B41 B46 E1 E5 E10 E14 E15 E25
3. Up On The Roof  A10 A15 B40 C1 C4 E1 E5 E8 E15 E28
4. You've Got A Friend  A3 A15 C3 C4 E7 E8 E10 E13 E14 E15
5. Shower The People  A8 A15 E5 E6 E8 E14

[Side B]
6. Fire And Rain  A2 A15 B3 B5 B40 B41 E1 E4 E5 E7 E8 E10 E13 E14 E15 E17 E21 E25
7. Mexico  A7 A15 B34 E1 E7 E8 E10 E22
8. Walking Man  A6 A15 E1
9. Don't Let Me Be Lonely Tonight  A4 A15 C67 C74 E1 E5 E8 E25
10. Konck On Wood [Steve Cropper, Eddie Floyd] A21 E10
11. How Sweet It Is (To Be Love By You) [Holland, Dozier, Holland]  A7 A15 E1 E4 E5 E8 E10 E13 E21


Live At Rock In Rio January 12 and 14, 1985

注)写真上はレコード盤、下はその後発売されたCD盤


JTがリオ・デ・ジャネイロのロック・フェスティバル「Rock In Rio」に出演した時のライブで、ブラジルのみで発売されたもの。ある日本の輸入盤専門店が販売していたのを運良くゲットできた。ジャケット裏写真にあるとおり、見渡す限り人また人で、「Three Hundred Thousand」すなわち30万人とのことです。スゲー! JTは当地で大歓迎を受け、その強烈な印象と経験は彼の人生と音楽キャリアの再生ともいえる大きな転換のきっかけとなり、現地滞在中に作曲した「Only A Dream In Rio」 1985 A12 という曲に結実した。

本作のバックバンドは、キーボード、ドラムス、ギターがいつもと違う人なので、大変面白いサウンドが楽しめる。リトル・フィートのビル・ペイン(以後BPと略す)は、ロック界5大ピアニストの一人だ(他はドン・グロルニック、リチャード・ティー、ドクター・ジョン、ガース・ハドソン)。この人のファンキーなピアノ、アーシーなエレピは本当に素晴らしい。ドン・グロルニックの味わいが上品な澄まし汁とすると、BPは豚汁、リチャード・ティーはこってりしたシチューといったところか?リック・シュローサーのドラムスは、ラス・カンケルやカルロス・ヴェガと異なる軽快な乗り。主にリンダ・ロンシュタットのバンドで活躍し、JTのアルバムやコンサートにもよく参加しているダン・ダグモアは、ペダル・スティール・ギターもこなす。このメンバーでの音源は、スタジオ録音では「That's Why I'm Here」1985 A12、映像としては1985年の「That's Why I'm Here」のプロモーション・ビデオ、1986年のドイツでのテレビ出演「Ohne Filter」 E4 などで、珍しいものだ。

1.「Long Ago And Far Away」におけるBPのエレキピアノは彼独自の音色で、いつものドン・グロルニックと全然違うのが面白い。エンディングのJTのアドリブボーカルは通常よりも長く、彼の精神が高揚しているのがよくわかる。2.「Carolina In My Mind」はギターのみをバックに、バックコーラスを含む3人で歌う。録音のせいか、アーノルド・マックラーとローズマリー・バトラーの声が何時になくリアルだ。3.「Up On The Roof」のBPのピアノも最初はレコードと同じ感じだが、だんだん勝手流になる。4.「You've Got A Friend」はダン・ダグモアの控えめなスティール・ギターがいい。コーラスで観客が一緒に歌っているのが聞こえる。JTのボーカルもアドリブ満載だ。5.「Shower The People」はギター1本とコーラス隊(ここではアーノルドとローズマリーではなく、ルボックスのテープを使っているようだ)との演奏。エンディングのアドリブはアーノルド・マックラーではなく、JT本人が歌っている。

6.「Fire And Rain」はテンポを落とし、じっくり歌われる。大会場のPAのせいか、一部ヴォーカルの音量が不安定になる所がある。ダン・ダグモアのスティール・ギターとBPのピアノにより、いつもとはかなり違う「Fire And Rain」となった。7.「Mexico」のイントロのJTのアコギはかなり電気処理されている。サウンドおよびジャケット写真から使用ギターはマーク・ホワイトブック。間奏部分はBPのシンセによるマリアッチ風サウンド。8.「Walking Man」のBPのエレキピアノは曲の色彩をがらっと変えるほど刺激的だ。ダグモアのスティールギターもいいですね。9.「Don't Let Me Be Lonely Tonight」は私の大好きな曲で、いつも聞くたびにゾクゾクする。BPのエレピは伴奏・最後のソロともに最高!エディ・フロイド1968年のヒット(全米28位)10.「Knock On Wood」はバックボーカルがフューチャーされた軽快なロックだ。 11. 「How Sweet It Is」では、リック・シュローサーのドラムと、リー・スクラーのベースによるリズムセクションの乗りが楽しめる。BPのピアノは極めて自由奔放。JTとコーラス隊ボーカルのアドリブ、掛け合いも大変熱がこもっいる。

JTのライブはかなり聴いたが、これほどワイルドで乗りのいいボーカルは聞いたことがない。さぞかし気持ちが良かったのだろう。いささか躁的なまでに盛り上がっている。惜しむらくは、少し歪み気味な録音の悪さだ。なお本作は後年CD化(これもブラジルでのみ)され、その際は異なるジャケット写真が使用された。なお、本コンサートの模様を放送したテレビ番組の映像があり、そこでは本アルバムに収録されていない曲の演奏を観ることができる(「その他映像」のコーナー参照)。

(2012年6月追記)
本コンサートの映像を見ることができたので、追記しました。