Sister Golden Hair [America] 1975 (米1位 英なし)
[Gerry Beckley]


アメリカは、Dewey Bunnell, Gerry Beckley, Dan Peekの3人 からなるグループで、米国軍人だった彼らの父親の駐留先の高校で知り合い、イギリスでグループを結成したという。当初は、当時絶頂期だったクロスビー・スティルス・ナッシュ・アンド・ヤングの影響が強かったが、次第に独自のオリジナリティーを確立していった。レコード・デビューもイギリスで、まず「A Horse With No Name (名前のない馬)」が1972年初めに全英3位の大ヒットを記録、デビューアルバムも14位と好調な売れ行きを示した。そして全米でも人気が爆発し、デビューシングル、アルバムともに全米1位を獲得した。その後も「I Need You」や、「Ventura Highway」などのヒットを連発し、1972年のグラミー賞最優秀新人賞を獲得する。


本曲は、上記の人気が一段落した1975年のヒット曲で、彼らにとって2枚目かつ最後の全米1位曲となった。彼らの代表曲と言える「A Horse With No Name」や「Ventura Highway」などがデューイー・バネルの作品で、アコースティック・ギターによるメジャーセブンスの響きを強調した透明感溢れる曲調だったのに対し、この曲はジェリー・ベックレイの作によるもので、軽快で明るいフォークロックのサウンド作りとなっている。特にメロディーと歌詞のコンビネーションが素晴らしく、そのリズムの乗りには快感を覚えるほどだ。特に面白いのは歌詞で、恋人に対し結婚に踏み切れない男の複雑な心情を描いたものと思われるが、女性を「Sister」と読んでいるため、その解釈をめぐり、リスナーの間にいろいろな憶測が飛び交ったようだ。血の繋がっていない妹に対する禁じられた恋とか、傑作なのは尼さんに恋した男性がマスターベーションをしているという説もあったとか.........。一見難解なようであるが、シンプルな気持ちで聴けば特に奇をてらった内容でもないと思う。街を歩いている時など、頭のなかで曲をかける時(私は脳内プレイヤーと呼んでいる)、よくかかる曲だ。

アメリカの人気は、この後下降線をたどり、1977年のアルバム「Harbor」を最後にダン・ピークが脱退(後2011年に死去)し、以降残る二人は、ソロ活動と並行してグループ活動も続けて現在に至っている。後のヒット曲としては、AORっぽい感じの「You Can Do Magic」(1982年 全米8位)がある。

[2007年10月作成]