American Pie [Don McLean] 1971 (米1位 英2位)
[Don McLean]


1945年生まれのドン・マクリーンが放った傑作。8分半という演奏時間にも拘らず大ヒット、1970年代初頭を代表する曲となった。1959年に飛行機事故のため非業の死を遂げたバディ・ホリーのために書かれたというが、抽象的で難解な歌詞が、軽快な演奏と親しみやすいメロディーをバックに鮮やかに歌われる。テンポを落として彼のギターのみで歌われる最初と最後の部分も、しんみりとしていい感じだ。この歌詞は現在もなお多くの人を魅了し、その意味を論ずるインターネット・フォーラムがあるほどだ。ここでの彼にはカリスマ性が感じられ、1973年にロバータ・フラックが歌って大ヒットした「Killing Me Softly With This Song」(邦題「やさしく歌って」)は、彼の事を歌ったものだ。彼自身はこの曲のイメージに囚われる事を嫌い、インタビューでもコメントを拒否、ステージでも長い間演奏しなかったという。2002年に海外で彼のコンサートを観る機会があり、すっかり年をとった彼がアンコールでこの曲を演奏した時は、会場が大合唱になりとても感動的だった。2000年にマドンナが自身主演の映画「The Next Best Thing」(邦題:「2番目に幸せなこと」)のテーマ曲として、この曲をカバーし、全米29位のヒットとなった。歌詞を一部カットおよび改変し、シンセサイザーのリズムでアレンジし直したバージョンは、原作に対する敬意が感じられたが、オリジナルのほうがはるかに出来がいい。

[ドン・マクリーン その他のお勧め曲]
1.「Vincent」 同じく1971年のヒット曲(米12位、英1位)で、オランダの悲劇の画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホを歌ったもの。スローな曲で、自身のギターの伴奏で語られる歌詞とメロディーが美しく切ない。

2.
「Crying」 (1981年 米5位、英1位) しばらく続いたスランプの後に放ったヒットで、ロイ・オービソン1961年の作品(米2位 英25位)のカバー。スローテンポの情感溢れる曲で、オリジナルの高音ボーカルに負けないファルセット・ヴォイスが巧みで、歌の上手さが際立っていた。