Let's Hang On ! [Four Seasons] 1965 (米3位、英4位)
[Bob Crewe, Sandy Linzer, Denny Randell]


フランキー・ヴァリとボブ・ガーディオが中心メンバーのフォー・シーズンズは、1960年代に活躍した白人コーラスグループで、ビーチボーイズと並ぶ筆頭的存在だった。特にヴァリの必殺ファルセット・ヴォイスが売り物で、初ヒット「Sherry」(米1位、英8位)などで、その歌声を楽しむことができる。1962年〜1964年に全米1位の大ヒットを連発したが、60年代の後半はトップテンのチャートインが4曲と勢いは下降気味となる。フォーシーズンズ・サウンドの立役者であるプロデューサーのボブ・クリューと組んで制作されたこの曲は、その中でも初期の作品を上回る出来だったと思う。この頃になるとボーカルや伴奏のサウンド作りが洗練され、単なるドゥーワップコーラス・グループの域を脱し、かなり複雑なアレンジが施されている。スローなイントロから始まり、インテンポではサイケな感じのファズギターが入り、ヴァリのファルセットとバックによるコーラス・パートが始まる。ヴァリのリードとコーラスの掛け合いで曲が進行してゆき、リードボーカルの地・裏声の切り替えが大変魅力的だ。ファルセットを得意とする歌手は多いけど、彼のように地・裏の両方とも素晴らしい人はそんなにいないだろうな〜。明るいサウンド、励ますような包容力のあるボーカル、困難に立ち向かう内容の歌詞は、単なるラブソングを超えて、この曲を愛する人々に生きる勇気を与えてくれる。

フォーシーズンズは60年代の後半はヴァリのソロ活動開始もあって活動が停滞するが、1970年代前半にディスコブームに乗って「December,1962 (Oh What A Night)」(1975年 米1位、英1位)で復活を果たす。一方ソロ活動としてのフランキー・ヴァリは、傑作「Can't Take My Eyes Off You」(1967年 米2位)、「My Eyes Adored You」(1974年 米1位) 、ビージーズと組んだ「Grease」(1978年 米1位)などのヒットを出し、アメリカン・スタンダードの地位を不動のものにした。現在もヴァリのソロ、または再結成フォーシーズンズで公演活動を続けているようだ。

ちなみにこの曲は、マンハッタン・トランスファーが古今の有名アーティストとの共演を特集したアルバム「Tonin'」(1994年)に、フランキー・ヴァリ本人をゲストに招いて録音されたものが収録されており、モダンな磨きがかかった演奏とコーラスが最高の出来で、こちらもお勧めだ。

[2007年10月作成]