People Get Ready (The Impressions) 1964 (米14位 英なし)
[Curtis Mayfield]
ザ・インプレッションズは1957年台後半に結成され、作曲、プロデュース、ギターをこなすカーティス・メイフィールドにより有名になり、シカゴ・ソウルの立役者となった。ラテン・リズムと3人のメンバーによるソフトなハーモニー、ゴスペルをルーツとしたサウンドに加え、当時盛んだった公民権運動の流れをくみ、アフロ・アメリカンの自由と誇りを鼓舞するような社会性のある歌を生み出した意味で大きな存在となり、それは不滅のものとなった。「People
Get Ready」はゴスペルの香り高い曲で、自由への運動参加を高らかに呼びかけるメッセージソングだ。3人のボーカルハーモニーが素晴らしく、聞いていると神々しささえ感じるほどスピリテュアルでソウルフル、魂を揺さぶられるような感じがする。ロッド・ステュアート、ボブ・ディランなど白人のミュージシャンが好んでカバーしている。
カーティスは1970年にグループを脱退、グループはその後もしばらく活動を続けるが往年の人気を維持することはできなかった。ソロ活動に転じたカーティスは、1972年に映画「スーパーフライ」のサウンドトラックで、リフを多用する独自のファンクサウンドを確立、そのファルセット・ヴォイスが大評判となった。そこからは「Freddie's
Dead (Theme From "Superfly"」(全米4位)、「Superfly」(全米8位)のヒット曲が生まれた。グループ活動時代はスーツにネクタイだった彼は、その時になるとサングラスに髭面、着ているものも当時の黒人ファッションの最先端だった。しかしその後はヒットに恵まれず、1990年ステージで頭上の照明設備の落下事故により半身不随となり、1999年に57歳の生涯を閉じた。
[ザ・インプレッションズ その他のお勧め曲]
「Gypsy Woman」(1961) 彼ら最初のヒット曲(全米20位)で、ラテン調のリズムに乗せてミステリアスに歌われる佳曲。後に白人歌手のブライアン・ハイランドが1970年にリバイバルヒット(全米3位)させている。
You Really Got Me (The Kinks) 1964 (米7位 英1位)
[Ray Davis]
2005年5月のYahooニュースで読んだ記事。イギリスのBBC放送ラジオ2が過去10年単位のベスト・ソングの人気投票を行ったところ、1955〜1964年の部でビートルズを押さえて1位になったのが、ザ・キンクスの「You
Really Got Me」だった(ちなみに1965〜1974年がデビッド・ボウイ「スペース・オディッティ」、1975〜1984年がクイーンの「ボヘミアン・ラプソディー」、1985〜1994年がペットショップ・ボーイズの「ウエストエンド・ガールズ」、1995〜2004年がロビー・ウィリアムスの「エンジェル」とのこと)。この曲が1位なんて、へえ〜という感じだが、名曲であることは確かで、この曲のイギリスでの人気を物語っている。
ザ・キンクスは、レイ・デイビス(ボーカル、ギター)、デイブ・デイビス(リードギター)の兄弟を中心に、1963年ロンドンで結成されたバンドで、この曲は彼ら3枚目のシングルで初めての大ヒットだった。エレキギターによる強烈なリフによるシンプルな曲で、当時の録音技術のため音圧は低いが、当時流行りのロックンロールとは一風違った感じで、サウンド的・精神的にはヘヴィメタル・ロックの元祖といえる。とにかくカッコいいリフで、一度聞くとその響きがいつまでも耳に残る。当時は意図的に音を歪ませる「ファズ効果」を得るためのエフェクターなどはない時代で、デイブはこの音を得るためにわざとアンプのスピーカーを傷つけたという。ローリング・ストーンズによるリフの傑作「Satisfaction」がヒットしたのは、翌1965年であることからでも、いかにこの曲が画期的であったかがわかる。
レイ・デイビスが歌う歌詞もシンプル極まりないものであるが、とってもクール! 間奏のギターソロも精一杯ロックしていて、とてもいいのだ。後に多くの人がこの曲をカバーしたが、一番有名なのは初期のヴァン・ヘイレンによるヴァージョン(1978年 米38位、彼ら最初のヒット曲)だろう。エディ・ヴァンヘイレンのギターソロは、さすがにオリジナルよりもはるかに現代的な音使いだ。
キンクスは、その後は玄人受けするバンドとして地道な人気を保ち、特にレイ・デイビスは現在も現役で活躍中で、彼のソングライティングの才能は高く評価されている。
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