Lollipop (The Chordettes) 1958 (米2位)
[Julius Dixson, Beverly Ross]
競作曲
Ronald & Ruby 米 20位
The Mudlarks 英 2位
出だしの「ロリポップ」のリフが強烈な印象を残し、一度聴くと忘れがたい印象が残る名曲。この曲で全米2位の大ヒットを記録したザ・コーデッツは、女性4人からなるコーラスグループで、1946年にウィスコンシン州で結成され、最初はアカペラでトラディショナルな曲を歌っていたが、1953年にレコード会社と契約し、1954年の「Mr.
Sandman」が全米1位となった人達だ。今聴いても全く古さを感じさせないのは、完璧な歌唱技術、切れ味鋭いリズム感と洗練されたアレンジが曲の良さに加わったから。当時出演したテレビ番組の映像が残っているが、曲中のブレイクの後に一人が「ロリポップ」と歌い始め、それに一人ずつ加わってハーモニーと厚みを増してゆく様は、何度聴いてもゾクゾクするスリルに溢れている。
作者のジュリアス・ディクソンは黒人の作曲家・レコード会社の重役で、ベヴァリー・ロスは白人(ユダヤ人)の娘(当時19〜20歳)。ジュリアスの娘がロリポップ(棒付きキャンディー)を髪に搦めてしまったことをヒントに作曲したという。ジュリアスの隣人Rolando
Gummという当時13歳の黒人の少年を招いてデモを製作したが、売れ込みの際にその録音が気に入られ、シングルとして売り出すことが検討されたが、ローランドが未契約で未成年だったこと、当時は世間で認められにくかった白人と黒人の混成(Interracial)だったことで、交渉に時間がかかり、その間にコーデッツが録音したというエピソードがある。結局ローランド・アンド・ルビィ(ルビィはロスの変名)という名前で発売され、コーデッツには及ばなかったが、20位のヒットを記録した。サウンド・歌唱的には荒削りであるが、ティーンポップとしての若さ・溌剌さがあり、こちらのバージョンもなかなか味わいがある。
一方イギリスでは、マッドラークスという3人組兄弟コーラスグループがカバーして、全英2位のヒットを記録しており、このバージョンもそれなりに面白い出来。曲が良いので、誰が歌ってもそれなりの出来になるものと思われるが、3者それぞれに個性と持ち味がある。
ザ・コーデッツは、前述の「Mr. Sandman」も必聴。なお余談であるが、この曲は、1981年にカントリー音楽のエミルー・ハリスがカバーし、アルバム収録版ではドリー・パートンとリンダ・ロンシュタットの3人で歌ったが、シングルカットの際に契約の関係でOKが出ず、彼女一人による多重録音で発売され、全米37位のヒットとなった(その後調整がうまくいったようで、結局3人は1987年に「Trio」という共演アルバムを発表することとなった)。
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