Take Three Girls (1969) [Pentange] テレビ映像

Bert Jansch : Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums

1. Light Flight [Pentangle]  


放送: 1969年 BBC TV 'Take Three Girls' Opening Theme


ペンタングルのアルバム「Basket Of Light」P4 1969に収められた 「Light Flight」は、BBC放送のテレビドラマ・シリーズ「Take Three Girls」のテーマソングに採用され、シングルカットされ全英43位のヒットとなった。約40年後の2008年になって、当該テレビ番組のオープニングテーマの映像を観ることができた。

BBC放送が製作した「Take Three Girls」は、1969年から1971年までの間に、2シリーズ(計24回)放送された。題名のとおり3人の女性の物語で、オープニング・テーマは、チェロ弾きのビクトリア、シングルマザーのケイト、美術学生のアブリルがロンドンの街を歩くシーンに、ペンタングルの演奏が流れる。最初はジャッキーの独唱から始まり、バンドがフィルインする構成。ジャッキーのボーカル、演奏ともにレコードに収録された演奏とは明らかに異なるもので、最後はジャッキーのスキャットが続いて終わる。

「Swinging London」と呼ばれた当時の雰囲気が感じられる映像だ。


Berkeley Community Theatre (1970) [Pentangle] 音源



Bert Jansch : Vocal, Guitar, Banjo (11)
John Renbourn : Vocal ,Guitar, Sitar (11)
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums, Percussion, Back Vocal

1. Bruton Town
2. Sally Free And Easy [Tawney]  
3. Sarabande [Bach, Arranged by John Renbourn]
4. Hunting Song [Pentangle]  
5. In Time [Pentangle]  
6. Lyke-Wake Dirge
7. Light Flight [Pentangle]  
8. Goodbye Pork-Pie Hat [C. Mingus]
9. Speak Of The Devil [Unknown]
10. Train Song [Pentangle]  
11. House Carpenter  
12. Pentangling [Pentangle] 

録音: 1970年5月29日 Berkeley Community Theatre, CA

写真: コンサートのポスター

注) 3.はバート非参加


ペンタングル3回目のアメリカツアーの音源。東海岸のカーネギー・ホールから始まり、アメリカを縦断して西海岸で終わるハードなスケジュールだったようで、本コンサートはその終盤のものだ。長旅に加えて、大きな会場での他のアーティストとの共演や、観客の反応などが英国と異なるため、彼らはかなり疲れていたという。録音のせいか、サウンド的に少し荒っぽい感じがするが、それでもハイレベルのパフォーマンスであることは間違いない。

2008年春、この音源を聴くことができた。資料によると、このコンサート会場であるバークリー・コミュニティー・シアターは、高校のキャンパス内にある劇場で、席数は3,500。グレイトフル・デッドやジョニ・ミッチェル等のロック・コンサートが多く開催されたという。当日のコンサートのポスターによると、共演者はジェイムス・テイラーだったとのこと。彼は当時は1人で弾き語りをしていた時代で、彼の音源も残っている(ジェイムス・テイラーの部 「その他音源」参照)。またポスターには、翌日5月30日の出演者として、ジミ・ヘンドリックスの名前が載っており、1970年代初めのロック台頭の時代の熱気にあふれていて、彼らはこういう雰囲気のなかで演奏したことになる。ブリティシュ・フォークやトラディショナルをアメリカで演奏することは、どんな感じだったろう。当時のアメリカ西海岸は、ヒッピー・ムーブメントの中心地であり、先入観に囚われない自由な考えがあったと思われ、彼らの音楽もそれなりに受け止められたのではないかと思う。

まず初めに断っておく点がある。本音源は録音が不安定で、箇所により大変生々しく捉えられている部分もあれば、痩せた音で音楽の良さを味わうには問題がある部分もあるということだ。1.「Bruton Townは、途中の間奏部分からフィルインする。いきなり聴かされるジョン・レンボーンのエレキギターによるソロは、大変アグレッシブだ。「Sweet Child」P3のライブのように録音されることを意識せず、心のままに弾いているようだ。録音的には低音部分が足りず、高温音が強調されたサウンドであるが、バートのリフ、ダニーとテリーのリズムの切れ味がしっかり捉えられていて、兄達に恋人を殺された娘の怒りが迸るように表現されている。曲はバートとジャッキーの合唱によるテーマに戻って終わる。2.「Sally Free And Easy」は1972年の「Salomon's Seal」P7で公式録音されるが、1970年当時すでに彼らのレパートリーであったことがわかる。この曲の録音は大変生々しく、ダニーのベース、テリーのグロッケンスピエル(鉄琴の一種)、バートのボーカル、ジャッキーのハミング、ジョンのリードギター、どれも素晴らしい。3.「Sarabande」は、バートは非参加。ジョン・レンボーンのソロアルバム「The Lady And Unicorn」に入っていたバッハの曲のアレンジで、オリジナル録音はジョンの独奏であったのに対し、ここではテリーのグロッケンとの二重奏だ。P19に収録された同曲のライブ音源とともに、ジョンのファンのお宝音源だ。バートによって「15世紀のロックンロールです」と紹介される 4.「Hunting Song」は、少し荒っぽいが自由奔放な演奏ともいえる。それにしてもダニーとテリーのリズムセクションの凄さは脱帽ものだ。 5.「In Time」は、少し痩せた録音が気になるが、各楽器の音はしっかり聴こえるので大丈夫。テーマではバートのプレイが押し、間奏ではジョンのインプロヴィゼイションが頑張る。曲の途中で突音圧が豊かになる。ジョンに続き、バートにもソロのパートがあり、相変わらず弦をバチバチ言わせながらプレイする。エンディングでのダニーのソロの内容がいつも全く異なるのはさすがだ。バートのシンプルなギターとダニーのアルコ(弓弾き)のみの伴奏で歌われる合唱曲 6.「Lyke-Wake Dirge」は、アメリカ人には理解できるのかな?ジョンのリードでジャッキー、テリーの3人で歌っているものと思われる。

7.「Light Flight」は一転して奔流のようなリズムで、バートのリフがスゴイ。セカンド・ヴァースでジャッキ−のボーカルに絡む、テリーのスキャットボーカルが生々しい。ここでのテリーのドラミングは自ら息づく生き物のようだ。エンディングでハイリングが起きる。8. 「Goodbye Pork-Pie Hat」は、何といってもジョンのプレイが聴きもの。録音が痩せているのが残念。それでもバートのリズムとジョンのリードのインタープレイははっきり聴こえる。ジョンの積極的なプレイが大変印象的。 9.「Speak Of The Devil」は、「警告の歌です」と紹介され、バートの歌とギター、ダニーのアルコのみで演奏される。この曲は、私が知る限りペンタングル、バート・ヤンシュの公式・非公式いずれも他の音源がなく、ここだけで聴けるもの。残念ながら録音が痩せているため、曲の本当の醍醐味がわからず、曲の良し悪しについて公平な判定ができない。でもファンにとって貴重な音源であることに変わりはない。10.「Train Song」は近年出た同曲の他の音源と比較するとかなり粗っぽい感じがするが迫力は満点。 11.「House Carpenter」はバートがバンジョー、ジョンがシタールを弾き、ボーカルも好調だが、残念ながら途中でフェイドアウトしてしまう。 本音源のハイライトは約19分におよぶ 12.「Pentangling」だろう。P19における同曲の演奏は1970年3月の収録なので、ここでの演奏はその2ヵ月後となる。曲の構成は大体同じであるが、P19ではバートのギターがオフになってあまり聴こえなかったのに対し、ここでは4人の演奏が良好なバランスではっきり聴こえるため、インタープレイの妙をじっくり味わうことができる。この音源ではジョンがハーモニカを吹いていないこと、後半の「Sally Free And Easy」のモーチーフが合唱でなく、ジャッキーのみで歌われていることなど、細かな相違点はたくさんある。ダニーのベースソロはマイルス・デイビスの「So What」のテーマを除いては、全く異なる演奏となっていて、この人のインプロヴィゼイション能力の素晴らしさを物語っている。最後のヘビーなブルース演奏の部分では、テリーのバスドラのグルーブが最高で、ジョンが目一杯頑張ったブルースギターもカッコイイ。

ということで、録音品質にバラツキがあるが、歴史的に貴重な音源であることには変わりはない。


Pentangle In Concert (Sing The Pentangle) (1970) (TV映像)

Bert Jansch: Guitar, Banjo (5), Vocal (1,2,5)
John Renbourn : Electric Guitar, Sitar (5), Back Vocal (2)
Jacqui McShee : Vocal (2,3,5,6), Back Vocal (1)
Danny Thompson: Bass
Terry Cox :  Drums, Glockenspiel (2), Back Vocal (2,3)

1. Train Song  [Pentangle]
2. Hunting Song  [Pentangle]
3. Light Flight  [Pentangle]
4. In Time  [Pentangle]
5. House Carpenter  [Traditional]
6. I've Got A Feeling  [Pentangle]


BBC放送によるスタジオライブ
収録日 1970年6月20日
        


30年以上を経て蘇ったペンタングル全盛期の映像だ!! 音源としては1995年にP8 「Live At The BBC」というタイトルでCD化されていたが、本来の姿である映像は、O4のビデオ「John Renbourn Rare Performance 1965-1995」(1996)で 4.のみ収録されてていたもの。存在は知りながら、長い間観る事ができなかったお宝映像なのです。

ジョンレンボーンの試し弾きのようなイントロの後、映像が始まる。スキャットボーカルを見せるジャッキー・マクシーの表情が固めで、緊張しているのが判る。バートはギターを弾きながら、俯き加減で歌う。ジョンは顔を伏せて一心不乱にギターを弾く。テリーも地味なプレイで、唯一ダニーが全身をぶつけるように激しいアクションでベースを弾きまくる。1.「Train Song」は3.とともに本作の目玉で、彼等が演奏する姿を長い間夢見てきたものだ。バートとジョンのギターはもちろんのことであるが、ダニーの強靭なベース、テリーの繊細なドラムスによるリズムセクションの物凄さをたっぷりと味わうことができる。エンディングでのダニーの弓弾きによるベースは、シンセサイザーのような異様な効果をあげている。組曲風の2.「Hunting Song」の導入部ではテリーが鉄琴の一種、グロッケンスピエルを演奏する。バートとジャッキーの掛け合いボーカルで進行し、パート毎にメロディーとリズムが変わってゆく。レンボーンは本作では全ての曲でエレクトリック・ギターを弾いている。使用ギターはギブソンのセミホロウ・ボディーのES-335で、ドット・ポジション・インレイのモデルだ。これは現在はレア・アイテムとして大変な値打ちものになっているが、レンボーンによると、このギターは残念ながら、かなり昔に盗まれてしまったとのこと。曲の後半部分ではダニーを除く4人によるコーラスを聞くことができる。

3.「Light Flight」ではジャッキーのボーカルのバックで、テリーが洒落たスキャットをつけている。ここでもダニーのベースが大活躍。この手のアップテンポの曲を演奏していても、みんなクールなんだよな〜。特に椅子に座り、目線・表情を変えずに歌うジャッキーが印象的だ。他の男達も淡々とした顔つきでプレイに没頭している。4.「In Time」はインストルメンタルで、ジャッキーは席をはずす。リフを伴奏に、バートのギターがメロディーを奏でる場面もあり、面白い演奏だ。5.「House Carpenter」ではバートのバンジョーとジョンのシタール演奏が楽しめる。特に後者が見れる映像はここだけで、とても貴重だ。最後の曲6.「I've Got A Feeling」になるとバンドの演奏はかなりリラックスしている。ジャズワルツを低めの声で歌うジャッキーの顔は、かすかに微笑んでいて、ほっとした気持ちを読み取ることができる。そして最後の部分では自信に満ちた表情に変わってゆくのがとてもいい雰囲気だ。

とてもいい出来だと思う。


Pentangle Live At Milan (1982) 音源

Bert Jansch: Guitar, Vocal (1,2,5,6,8,9,10,11,12,13,16,17)
John Renbourn : Electric Guitar,
Jacqui McShee : Vocal (1,2,3,5,7,11,12,13,14,15), Back Vocal (6,8,16,17)
Danny Thompson: Bass
Terry Cox :  Drums, Back Vocal (3)

1. Bruton Town [Pentangle]
2. People On The Highway [Pentangle]
3. Light Flight  [Pentangle]
4. Cherry [D. Brand] 
5. A Bold Young Farmer  [Traditional]
6. Train Song [Pentangle]
7. If I Had A Lover [Traditional]
8. Open Up The Watergate [Bert Jansch]
9. One Scotch, One Burbon [R. Toombs]
10. Blackwaterside [Traditional]
11. Sovey [Traditional]
12. Sweet Child [Pentangle]
13. Pentangling [Pentangle]
14. I've Got A Feeling [Pentangle]
15. Cruel Sister [Traditional]
16. Sally Free And Easy [Tawney]
17. Moonshine [Traditional]


注) 4, 5, 15 はバート非参加

収録:  Teatro Orfeo, Milan, 1982年12月9日


オリジナルメンバーによるペンタングルの再結成は、1991年の「Derroll Adams 65th Birthday Concert」 O21 O22 (但しテリー・コックス抜き)と、2008年のBBC Fork2 Awardをきっかけとする再結成ツアーがあるが、実は1982〜1983年に 5人が集まった時期があった。グループを解散してメンバーが自分の道を歩みだしてから10年後、イタリアでのツアーのオファーが好条件だったため、全員承諾したという。しかしリハーサルの段階でテリーが交通事故に合い、そのため最初のギグとして予定されていたイギリスのフォーク・フェスティバルの出演は4人となった。しかし12月のイタリアのツアーには、テリーが車椅子で復帰、5人全員によるリユニオンが実現した。本音源はその模様を捉えた貴重なものであり、過去から現在に至るペンタングルのミッシング・リンクを補うものである。

音響機材に問題があったようで、ジーというノイズがするが、各楽器はクリアーに録音されている。1.「Bruton Town」でのプレイは、昔の演奏の繊細さに比べて、ワイルドで自由な感じだ。特にダニーのベースはピックアップの技術進歩のせいもあり、大変生々しいプレイで驚かされる。ジョンはエレキギター(またはエレアコ)によるリードプレイに専念。間奏部分でリズムが合わなくなるのはご愛嬌かな? 2.「People On The Highway」でのバートのボーカルは少しダミ声風で、10年という歳月が経った事を感じさせる。代表曲 3.「Light Flight」は、テリーの繊細なドラミングが命であることがわかる演奏。4.「Cherry」はダラー・ブランドのピアノソロをアレンジしたもので、ジョンの単独演奏。公式録音はステファン・グロスマンとの共演盤 「The Three Kingdoms」1986 が初出なので、本音源はそれよりもかなり以前の演奏ということになる。この手の曲としては、エレアコっぽいサウンドが少し気になる。5.「A Bold Young Farmer」はジャッキーが無伴奏で歌う曲で、ジョン・レンボーン・グループの「The Enchanted Garden」1980 に収められていた。ジョンによる短いギター独奏の後、6.「Train Song」が始まる。弾き込んでいた現役当時に比べて、リズムにもたつきがあるのは、致し方ないだろう。 解散後10年間のうちに、確実な技術的進歩を遂げたダニーによる縦横無尽のプレイが素晴らしい。イントロでダニーのベースソロが入る 7.「If I Had A Lover」は、バートのソロアルバム「Thirteen Down」 1979 S15でジャッキーがゲストで歌っていた曲。従ってペンタングルとしての演奏はここだけという貴重な音源。8.「Open Up The Watergate」はバートのソロアルバム「L.A. Turnaround」1974 S9からの曲で、30年近くも経った後に、ペンタングル 5人による演奏を聴けるなんで、感慨無量。個性的なリズムセクション、ジョンのオブリガード、そしてジャッキーのハーモニー・ボーカルにより、ペンタングル・サウンドそのものに仕上がっており、本音源での聴き所のひとつとなった。スヌークス・イーグリンの 9.「One Scotch, One Burbon」は、バートがステージで演奏していた曲で、ここでは彼一人による演奏。公式発表はオムニバス盤の「Just Guitars」 1984 O14だ。10.「Blackwaterside」は、バートとダニーの二人演奏という珍しいバージョン。ここでのダニーの骨太プレイは最高に素晴らしい。11.「Sovey」は、「Sweet Child」 P3のオリジナルと同様バートとジャッキーによる男女の掛け合いボーカルを聴くことができる。12.「Sweet Child」ではジョンのリードギターが大活躍する。こういう曲を聴いていると、ペンタングルっていいなあ〜と思うよね!メンバー紹介の後に、バンドの演奏力のショーケースである大作 13. 「Pentangling」が始まる。「この曲はどうなってゆくか分からない」というバートの紹介のとおり、インプロヴィゼイションが気の赴くまま延々と続く。ジョンのソロに続くダニーが展開する無伴奏ソロが圧倒的。14.「I've Got A Feeling」はダニーのベースソロがフィーチャーされる、よりジャジーな演奏で、良い出来。アンコール最初の曲 15.「Cruel Sister」が始まると、オーディエンスから拍手が起きる。ジョンのギターとバックコーラスのみの伴奏から始まり、途中からリズムセクションが加わる。 ジョンの声が聞けるのはここだけだ。バートが「One Of My Favorites In Pentangle」と紹介する 16.「Sally Free And Easy」は、バートが歌を間違えるシーンがあるが、ジョンのリードギターも含め聴き応えがある演奏。17.「Moonshine」は、バートによるソロアルバム(S8 1973)のタイトル曲で、ペンタングルによる演奏は初めてだ!ジョンのギター、ジャッキーのハーモニー・ボーカルもしっかり入った感動の1曲!!

演奏自体は荒っぽさもあるが、総じて良い出来だと思う。ただし本コンサートを含むイタリアツアーについてのバートのコメント「Some of it was good, some of it was great, but we weren't enjoying the tour, and we weren't creative」(コリン・ハーパー著「Dazzling Stranger」より)にある通り、当時ジョン・レンボーンはダーリントン大学への入学を決めており、ペンタングルとしての演奏活動にそれほど情熱がなかったはず。さらにバートとジョンの音楽志向に大きな隔たりがあり、新しい作品を創る余地がなかったものと思われる。その後ジョンは、1983年のオーストラリアやドイツでのコンサートの後に脱退、バートの「A Rare Conundrum」 1977 S13に参加したマイク・ピゴー(ギター、バイオリン)が後任者として加入することになる。新しいラインアップにおいて、創造的であろうとするバートの思いは生かされたようで、1985年に発表されたアルバム「Open The Door」 P10は、全く新しいサウンドで新生ペンタングルと呼ぶに相応しいものだった。

ペンタングルおよびバートのキャリアにおいて、1970代と1980年代を繋ぐ重要な部分に位置する貴重な音源。


Lone Star Roadhouse With John Renbourn & Jacqui McShee (1992) 音源

Bert Jansch : Vocal, Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal

1. Bruton Town [Traditional]
2. The Time Has Come [Ann Briggs]
3. Sally Free And Easy [Cyril Tawney]
4. First Light (Instrumental) [Unknown]
5. Baron Of Brackley [Traditional]
6. When I Was In My Prime [Traditional]
7. Chasing Love [Bert Jansch]
8. If I Had A Lover [Traditional?]
9. Come Back Baby [W. Davis]
10. Sovay [Traditional]

注) 6 はバート非参加

収録:  Lone Star Roadhouse, 1992年4月14日


1976年、ニューヨーク 5番街と13丁目のコーナーにオープンしたローンスター・カフェは、テキサスを中心とするカントリー・ロックの大物アーティストが多く出演、またジェイムス・ブラウンがライブアルバムを録音し、ブルース・ブラザースがデビューした場所として歴史に名前を残すことになった。1989年、この場所がクローズされた時に、同じ経営者が52丁目ウエストにオープンしたのがローンスター・ロードハウスだった。しかし経営が上手くいかなかったようで、この場所も1992年頃クローズされたという。本音源は、1992年にバート・ヤンシュとジョン・レンボーン、ジャッキー・マクシーの3人が、この場所で行ったコンサートの一部(Early Set)である。

1990年のデロール・アダムス65歳誕生記念コンサート(O21, O22参照)でペンタングルのリユニオンが実現した後、バートがロンドン・フォークシーンを振り返るプロジェクト「Acoustic Routes」1993 S24の製作のため、ジョン・レンボーンと再会してセッションを行ったが、昔のような創造性を取り戻すまでには至らず、結局公式録音は残されなかった。その代わり、当時一緒に演奏活動を行う機会があったようで、本コンサートはそのひとつと思われる。その頃ジャッキーとバートは、(後期)ペンタングルとして一緒に活動しており、この二人にジョンがリードギタリストとして加わった編成となっている。したがって、本音源にはジョンが歌ったり、メインで演奏する曲はない。

1.「Bruton Town」は、ペンタングルのデビューアルバム 1968 P2から。この曲をこのメンバーで聴くと懐かしくて、昔の若い頃を思い出しますね。ここではベースとドラムスがない分、ジョンのリードギターが頑張ってる。バートとジャッキーのハモリも息がぴったり合っていて良い。2.「The Time Has Come」でのジョンのリードギターは、「Sweet Child」1968 P3での演奏に比べると、遥かに自由な境地で演奏しているように思え、その間のアーティストの成長を感じさせるプレイだ。ジャッキーのボーカルも伸びがあっていいね!3.「Sally Free And Easy」は、ペンタングルの最後のアルバム「Solomon's Seal」1972 P7 からで、モダンな香りがする佳曲。バートのリードボーカルにジャッキーがハミングで寄り添う部分はゾクッとするスリルがある。4.「First Light」は、前述の「Acoustic Routes」のために撮影され、映画には収められたが、アルバムには収録されなかった未発表曲。作者は不明であるが、しっかり作り込まれた感じはなく、一定のリフをベースとしたジャムセッションによる産物と思われる。出来はまあまあかな〜? ともかく、この1曲だけでファンにとっては、お宝音源になる価値はある。

5.「Baron Of Brackley」は、後期ペンタングルが「So Ealy In The Spring」1988 P12で取り上げていたスコットランドのトラディショナル。これをジョンのリードギターで演奏しているバージョンで聴くことができるのは有難い。6.「When I Was In My Prime」は、「Cruel Sister」1970 P5と同じジャッキーによる無伴奏の独唱だ。7.「Chasing Love」は、「Acoustic Routes」1993 S24にバートとジャッキーの二人による演奏が収録されていたが、ここではジョンのリードギターが加わるため、とても面白いバージョンになった。バートのアルバム「Thierteen Down」 1979 S15で、ジャッキーがゲストで歌っていた 8.「If I Had A Lover」も同様。 9.「Come Back Baby」は、バートのソロ「Birthday Blues」1969 S6が初出であるが、彼が若い頃から歌っていた古いレパートリー。ジョンお得意のブルース調のリードギターが入ることに加えて、ジャッキーがセカンド・ヴァースを歌いだしたのにビックリ!そしてサード・バースは二人のハモリを聴くことができる。「Sweet Child」1968 P3の10.「Sovay」も懐かしい曲で、バートとジャッキーが掛け合いで歌う様がカッコイイ。

1990年代初め、彼らが一緒に活動した短い期間の音源として、大変貴重な記録となった。


Pentangle Live At Quebec (1990s) 映像

Bert Jansch : Vocal (4,6) , Guitar (4,6,7)
John Renbourn : Vocal (1,2,3), Back Vocal (7), Guitar (1,2,3,5,7
Jacqui McShee : Vocal (4,5,6,7,)
Peter Kirtley : Electric Guitar (4,6,7)
Gerry Conway : Drums (4,6,7)
Nigel Portman Smith : Bass (4,6,7)

1. Lord Franklin [Traditional]  
2. Lindsey [Archie Fisher]
3. Kocomo Blues [Trad.]
4. Bramble Briar [Traditional]  
5. When I Was In My Prime [Traditional] 
6. Reynardine [Traditional]  
7. Cruel Sister [Traditional] 


収録: 1990年代前半 カナダ、ケベック

注: 1,2,3,5 はバート非参加


後期ペンタングルの映像を観るのは初めてだ。少し離れた所から撮影したオーディエンス・ショットなので、クローズアップの画像はないが、スタンド備え付けなので手振れはない。カメラを横に動かしたり、ズームアップをして、演奏者に焦点を当てている。コンサートの詳細、曲の順番、収録日は不明であるが、この編成でのペンタングルの活動期間は 1991〜1994年頃であること、バートとジョンが再会セッションを行った「Acoustic Routes」S24 の製作が1993年頃であることを考慮すると、1990年代前半で間違いないだろう。ケベックはカナダの北東に位置する美しい街で、人々はフランス語を話し、ヨーヨッパ的な匂いがする街だ。特に街の真ん中の高台に立つ城 「シャトー・フロンテナック」は、現在はホテルとして多くの人々を魅了している。

1.「Lord Franklin」、2.「Lindsey」、3.「Kocomo Blues」は、ジョン・レンボーンによるソロ演奏。 4.「Bramble Briar」で、バートとピーター、ジャッキーは腰掛けて演奏し、ナイジェルはその後ろに立ってエレキベースを弾いている。ドラム奏者の顔は隠れて見えないが、ゲリー・コンウェイで間違いないだろう。リズムセクションとエレキギターの音が強調されたソリッドな音作りだ。ジャキーの独唱による 5.「When I Was In My Prime」を観ていると、彼女の髪が風でフサフサ揺れるのが印象的で、このコンサートが屋外ステージであることが分かる。6.「Reynardine」でのピーターのリードギターはかなりアグレッシブで、切れ味鋭いプレイ。リズムセクションのグルーブも聴き応え十分だ。アンコールと思われる 7. 「Cruel Sister」では、ギターを持ったジョンが現れて、新旧ペンタングルの共演となる! ジャッキーのボーカルに、ジョンが「ファラララ」とコーラスを付けるシーンはファンとして感動的。 それにしても演奏曲がすべてトラディショナルで、当時のペンタングルのレパートリーではあるものの、うち3曲が「Cruel Sister」P5 からというのが面白いね。

遠くからのショットで画質も良くないので、メンバーの表情など分からないが、様々な色のライティングが綺麗で、コンサートの臨場感は味わえる。なによりも90年代のバートとジョンの共演を観ることができる貴重なソーズだ。この映像を観ると、ペンタングル後期のライブCD「Live 1994」P15の演奏風景のイメージが沸いて、改めてCDを聴くと、とてもいい気持ちになる。


Later With Joolz Holland (BBC TV) (1996, 2000)TV映像

Bert Jansch : Vocal, Guitar

Altan
Mairead Ni Mhaonaigh : Vocal, Tin Whistle 
Ciaran Curran : Bouzouki
Mark Kelly (Probabuly) : Guitar
Ciaran Tourish : Fiddle
Dermot Byrne : Accordion

1. Blackwaterside  

放送: 1996年6月


Bert Jansch : Vocal, Guitar
Bernard Butler : E. Guitar
Johnny Marr : A. Guitar

2. The River Bank  

放送: 2000年5月


BBCが夜遅く放送している音楽番組に出演した映像。司会のジュールズ・ホランドはジャズ、R&Bのブギウギスタイルを得意とするピアニスト。70年代後半には、ニューウェイブのポップバンド、スクゥイーズに参加して有名となり、80年に独立した後もジョージ・ハリソン、ロバート・プラント、ポール・ウェラーなどのセッションに参加するとともに、ソロアルバムを発表。音楽活動で築いた人脈を買われて音楽番組のホストをつとめるようになり、この分野でも大成功を収めた人だ。「レイター」は、ロックからフォークまで様々な大物ゲストが出演するBBC2の人気番組。

1.「Blackwaterside」はバートがアルタンと共演した貴重な映像だ。アルタンはアイルランド北西部のドゴネール地方をルーツとする、アイルランド屈指のトラッドバンドで、紅一点のマレード・ニ・ウィニー(ゲール語の名前なので、スペルと読みが英語と異なる)のボーカルとフィドルを中心とした正統的なスタイルは日本でも多くのファンを持つ。アルタンにとって「Blackwaterside」は、グループの要で彼女の夫でもあったフランキー・ケネディの病没後、初めて製作したアルバム「Blackwater」(1996) に入っていた曲。ブラックウォーターはアイルランドにある川で、この曲がアイリッシュ・トラッドであることもあり、ここではアルタン主導によるアレンジで演奏される。マレードとバートが交代でリードボーカルをとる。バートはギターを抱えているが、あまり演奏しているようには見えない。やはりここで特筆すべきは、伝統を守りながらも、現代的な何かをしっかり兼ね備えた彼女のボーカルだ。品と知性を感じさせながら、優しさと素朴さもある類まれな存在と言える。美しい表情、憂いを湛えた深いまなざしは、観るものをとりこにする。本来はフィドル奏者である彼女は、ここでは間奏でティン・ホィッスルを吹いていて、これもとてもいい感じだ。バートが演奏するいつもの「Blackwaterside」のダークな雰囲気はないけど、アイルランドの広大な草原を吹く風のようにさわやかなバージョンとして愛おしいものとなった。

2.「The River Bank」はバーナード・バトラーとジョニー・マーが参加した「Crimoson Moon」 S29からの曲で、CDにおける二人との共演の雰囲気が味わえる一品。2003年のテレビ番組「The 60th Birthday Concert」(下述)でも、3人がこの曲を演奏するシーンを見ることができるが、それでも貴重な映像であることが変わりない。


The 60th Birthday Concert  BBC TV (2003)TV映像 

Bert Jansch : Vocal, A. Guitar
Jacqui McShee : Vocal (8,9,10)
Ralph McTell : Vocal, A. Guitar (3,4) 
Bernard Butler : E. Guitar (6,7,13)
Johnny Marr : E. Guitar (9,10,11,12,13)


1. Blues Run The Game [Jackson C.Frank]  
2. Blackwaterside [Trad.]  
3. Running From Home 
4. Moonshine  
5. Angie [D. Graham] *
6. On The Edge Of A Dream 
7. Crimson Moon  
8. Bruton Town [Trad.]  
9. Train Song [Pentangle]  
10. I've Got A Feeling [Pentangle]  
11. It Don't Bother Me  
12. Fool's Mate  
13. The River Bank 
14. Strolling Down The Highway  
15. Carnival [Jackson C. Frank]  

収録 : 2003年10月24日 ロンドン RSO St. Luke's Church
放送 : 2003年11月21日 BBC Four 「Sessions」
    

バート・ヤンシュ60歳の誕生日を記念してBBCデジタル放送局「BBC Four」が製作したライブ・コンサート。2003年10月24日ロンドンで収録され11月21日に放送された。収録場所の RSO St. Luke's Churchは、ロンドン・シンフォニー・オーケストラ(RSOはその略称)が、安全上の問題で使用不可となり半ば廃墟と化していたロンドン市内の教会跡を修復して活動拠点としたもの(2003年完成)。クラシック以外の音楽コンサートやその他目的にも使用されている。会場となったJerwood Hallには、祭壇があったあたりに小さなステージが組まれ、キャンドルを灯したテーブル席で観客はドリンクを飲むことができる。様々な色のライティングが鮮やかで、教会内部の照明イメージとは異なる不思議な感じだ。また通常の音楽ホールとも異なり、大きな窓から外の景色が見えるようになっていて、木々が綺麗にライティングされ、キラキラと光る透明感溢れる素晴らしい雰囲気を生み出している。

大きな拍手に迎えられてバートが登場し、おなじみの1.「Blues Run The Game」の演奏を始める。老眼鏡をかけて太った老人顔は、最近の写真から想像できたことであるが、実際に映像を見ると「年をとったな〜」という実感が押し寄せてくる。ということは自分自身もそうであるということを思い知らされる事にもなる。本作について全般的に言える事であるが、彼の声は意外としっかりしていて、ヴォーカルは悪くはないのであるが、ギター演奏については、いたるところでリズムのずれ、小節の飛ばし、運指のもつれ、タッチミスが見られ、ある所では演奏をストップさせる程ではないけど完全な間違いを犯している。この番組はDVDで正式発表されたわけではないし、文句を言う筋合いは全くないのであるが、たまたま当日調子が悪かったのか、または腕の衰えなのかどっちなんだろう.......。最初観た時はその事がとても気になって、何だか悲しくなってしまったのだが、2回、3回と繰り返して観るうちに、そんな事はどうでもよくなった。要するに、一人の音楽家の40〜50年に渡る生き様を観ているのだ。年老いたブルースマンのように、よれよれになっても自分を表現し続ける事が、その人の存在意義であり、音楽なのである。ジョン・レンボーンのコンサート評でも同じようなものを読んだことがある。その人はあの演奏で聴衆が大きな拍手をするのはおかしいと言っていたが、単に聴く人のスタンスの違いなのだ。演奏するにはかなりの体力を要する鉄弦のアコースティック・ギターの世界において、60歳の人に20歳代の切れ味を期待すること自体が無茶な話であり、アンフェアーだと思う。本当に凄いバート・ヤンシュを聴きたければ60〜70年代の作品を聞くべきです。だからといって現在のバートの演奏が無意味であるとは思いません。その間の長い時の移ろいが凝縮されているのだから。「円熟」と表現するとカッコイイけど、実際はもっと凄まじいものだ。某氏のコメントを引用します。「やはり年老いたとはいえ、バートが大好きだから?」......同感です。

2.「Blackwaterside」を終えた後、旧友のラルフ・マクテルが登場する。彼の老け顔にもビックリ!二人でボーカルを交換し合う3. 「Running From Home」は、今となっては過去を振り返る歌となり、この年齢、時代でしか表現し得ない重みに満ちており、人生を考えさせる余韻に満ちている。本作でのベストトラックだ。4.「Moonshine」は二人の意気が合わずに苦労して演奏しているのは明らか。ラルフの退場後、一人で演奏される5.「Angie」は比較的さらっとした感じだ。ただ今回初めて聴くエンディングのフレーズが大変スマートで、ばっちり決めている。次にギブソンのセミホロウのエレキギターを抱えたバーナード・バトラーが登場して6.「On The Edge Of A Dream」が始まる。バートが自由自在に弾くので、合わせるのが大変そう。トレモロアームを使って繊細な伴奏を付けてゆく彼の真剣な表情が印象的。ボサノバのリズムに乗せて歌われる7. 「Crimson Moon」 でもバーナードはしっかり寄り添って、優しいカラフルな音を散りばめている。

バーナードが退場、その代わりにジャッキー・マクシーが出てきて、二人による8.「Bruton Town」のボーカルには力がこもっている。そしてジョニー・マーが加わり、久しぶりに聴く9.「Train Song」は難しそうな曲なんだけど、意外に良い出来で、特にジャッキーのスキャット・ボーカルが懐かしく、かついい味を出している。10.「I've Got A Feeling」におけるジャッキーの低めのヴォイスは素晴らしく、ジョニーのギター伴奏もなかなかのもので、彼の幅広い音楽性をうかがわせてくれる。ここでジャッキーが退席し、ジョニーと二人で演奏される11.「It Don't Bother Me」は、少しまとまりがないかな〜? 続く12.「Fool's Mate」でジョニーはアコギに持ち換えて伴奏をつける。題材はトラッド風なんだけど、現代における戦争の陰惨さをイメージさせる歌。オリジナルのS29とは異なり、後半のパートは演奏されていない。13.「The River Bank」ではバーナードが再登場し、3人によるプレイ。ここでのバートのボーカルは聞きものだ。バート一人になって演奏される14.「Strolling Down The Highway」は、ヒッチハイクによる放浪をテーマとする原点回帰の歌。最後に彼自身の人生を総括するかのように15.「Carnival」が歌われ、この番組は終了する。ホームページでは、ジョニー・’ギター’・ホッジスもゲストとして登場するとあったが、編集段階でカットされたらしく彼の姿を観ることはできない。

観ていると複雑な心境にもなるが、彼のファンであれば見逃せない映像である事は間違いない。


Cambridge Folk Festival (2004)    TV映像

Bert Jansch : Vocal, Guitar


1. Crimson Moon  

収録: 2004年8月1日


ロンドン近郊の大学都市、ケンブリッジで2004年7月29日〜8月1日の4日間にわたり開催されたフォークフェスティバルに出演した際の映像。設立40周年という伝統ある催しで、会場となったCherry Hinton Hallはケンブリッジ市議会が保有する小さなホールと庭園からなる施設。その構内に仮設テントを張ってコンサートを開催、観客は皆立ち観だ。バートのホームページのコンサート日程欄によると、彼は8月1日(日)に出演したことがわかる。

バートはエフェクター類を詰めた金属性のケースを手前に置いて、一人で歌う。ラテン調のリズムが印象的な1.「Crimson Moon」を彼一人で演奏するバージョンはここだけなので、バートのギタープレイをはっきり聞き取ることができる。ここでは彼の調子は悪くないようで、繊細な音色やリズムは別としてではあるが、それなりにいい感じで弾いていて、まあまあ楽しめる。


Three Million Tongues Festival (2006)   映像

Bert Jansch : Vocal, Guitar


1. Blackwaterside [Traditional]  
2. Blues Runs The Game [Jackson C. Frank] 
3. Poison  
4. When I Get Home 
5. Carnival [Jackson C. Frank] 
6. The Black Swan 


収録: 2006年11月17日


イリノイ州シカゴにあるライブハウス「Empty Bottle」で開催された「Three Million Tounges Festival」の初日(金曜日)に出演したもので、バートは当日出演した4組のアーティストのなかの一人だった。撮影はオーディエンス・ショットのため、画面は固定されているが、スタンドに据え付けて撮影したものと思われ、手振れがなく落ち着いて観ることができる。画面は暗めで彼の顔が赤いライトに染まり、ギターも照明が明るめの時に薄っすら見える程度。時々光るカメラ撮影のフラッシュで、一瞬背景が写る。

彼の演奏は相変わらずのマイペース。やはり 1.Blackwaterside」、2.Blues Runs The Game」といった手馴れた曲が良く、 3.Poison」、4.「When I Get Homeは、近年では珍しいレパートリーで、少し苦労して演奏している感じ。 5.「Carnival」、6.「Black Swan」は、今のバートのイメージに合った曲だ。


BBC Radio2 Folk Awards (2007) [Pentangle]   ラジオ音源

Bert Jansch: Guitar Vocal (1)
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson: Bass
Terry Cox :  Drums, Back Vocal (2)

1. Bruton Town [Pentangle]
2. Light Flight [Pentangle]


放送: 2007年2月7日 BBC Radio2 Folk Awards
司会: Mike Harding
プレゼンター: Sir David Attenborough


マイク・ハーディング(1944〜)は、フォーク歌手、コメディアン、旅行家、写真家など多くの顔を持つ人。彼が司会を務める「The Mike Harding Show」(BBC Radio2 毎週水曜日放送)は、BBC放送におけるフォークやルーツ音楽方面の代表的な番組。この番組の特番として、年間顕著な活躍をしたミュージシャンを表彰する「Folk Awards」があり、第8回目にあたる今回、ペンタングルが「Lifetime Achievements Awards」を受賞、その席で「More Than Thirty Years」ぶり(司会者による)の5人による再会セッションが実現した。そういえばO21 O22で聴くことができた、デロール・アダムス65歳誕生日記念コンサート(1990年)におけるペンタンタングルのリユニオンは、テリーが自動車事故による怪我のため参加できなかったため、残りの4人による演奏だった。1985年の「Open The Door」 P10は、ジョンを除く4人とマイク・ピゴー(ギター、フィドル)による編成だったが、その前1982〜1983年にほんの一時期だけジョンが加わり5人が揃ったことがあるあるので、正しくは25年ぶりということになる。

1.「Bruton Town」におけるバートとジャッキーのボーカルは気合が入っている。ドラムスは正にテリー独特のタッチだし、ダニーの激しく動くベースラインも健在。正直言ってバートとジョンのギターはグループ現役当時と比べると、切れ味の面では見劣りがしてしまうし、何よりもグループとしての一体感がないのは明らか。それでも感動してしまうのは、長い歳月を経て再会した人達の心を感じるからであろうか? 2.「Light Flight」も最もペンタングルらしい曲であるが、何もこんなに難しい曲をやらなくてもと思うのであるが、ジャッキーの軽やかなボーカル、セカンド・ヴァースから加わるテリーのスキャット・ヴォイスなど、全盛期のサウンドを一瞬見せてくれるのがうれしい。

曲が終わると、プレゼンターとしてサー・デビッド・アッテンボローが登場する。彼はBBC放送で自然をテーマとした一連のドキュメンタリー・シリーズの製作に関わり、この手のジャンルの国際的なパイオニアと言われている人物で、俳優、監督のサー・リチャード・アッテンボローの弟。BBCにおける彼のキャリアの初期に、アラン・ロマックスが提供するフォーク、ルーツ音楽の製作に関わったことがあるようで、この手の音楽への造詣も深いようだ。彼のスピーチの後に賞が授与され、ペンタングルのメンバーが謝辞を述べる。最初の男性は名前の紹介がなかったが、「10年間演奏していなかった」とか、話のなかにスティーリー・ダンの名前が出てくるので、恐らくテリーだろう。次にバートがお礼を言って、ペンタングルのコーナーは終了する。

2時間の番組のうち、本件に係る部分は10分ほどで、開始後1時間30〜40分経った後半部分だった。BBC Radio2は放送した番組につき、しばらくの間ホームページでプレイバックできるサービスがあり、この番組を聴くことができたのは、そのおかげだった。演奏の内容はともあれ、Historic Performance として理屈抜きで感動して聴くべし!

なおこの番組でのリユニオンおよびボックスセットの発売などをきっかけとして再評価の機運が高まり、2008年6月29日に「Sweet Child」のライブと同じ場所で、再結成ペンタングルによる40周年記念コンサートが開催され、さらに7〜8月に英国の各都市で12回のコンサートが行われた。



Stuart Maconie's Freak Zone (2008) [Pentangle]   ラジオ音源

Bert Jansch : Guitar, Vocal
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums, Back Vocal

1. Let No Man Steal Your Thyme [Pentangle]
2. Light Flight [Pentangle]  
3. Market Song [Pentangle]
4. I've Got A Feeling [Pentangle]  
 

録音 : 2008年4月27日 BBC Studio, London

放送 : 2008年6月8日 BBC6 Music


上記の曲はペンタングルのリニオン・ツアー開始前の4月27日に録音され、ツアー終了後の6月8日にBBC6 Music の番組 「Stuart Maconie's Freak Zone」で放送された。ラジオ放送用のスタジオライブという、オーディエンス、カメラがない状況で、落ち着いた感じの演奏となっている。2日後の「Later」のライブよりも安定感があるのは、リラックスして演奏できたからじゃないかな?

ダニーのアルコ奏法によるベースの重低音から始まる 1.「Let No Man Steal Your Thyme」は、現代技術により、各楽器の微妙なタッチまで聞き取れる大変クリアーな録音だ。テンポを少し落としてじっくり演奏される。ジャッキーの声は、昔のように若々しい張りはないけど、精神的な深さが感じられ悪くない。曲間のコメントや紹介無しで、切れ目なく演奏が続く。2.「Light Flight」では、ジャッキーの背後で聞えるテリーのスキャットボーカルが懐かしいね!「Sweet Child」P3 ライブの最初の曲だった 3.「Market Song」におけるバートの枯れた声を聴くと、40年という月日の重さを感じ、感慨深いものがある。4.「I've Got A Feeling」は、風格を感じさせる今回の演奏のほうが、昔のものよりも雰囲気が良いようにも思える。

録音・演奏の両面において、ペンタングル・リユニオン音源の決定版。4曲といわずに、もっと沢山演奏してくれればよかったのに!


Later With Jools Holland(2008) [Pentange]  テレビ映像

Bert Jansch : Guitar
John Renbourn : Guitar
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums, Back Vocal

1. Light Flight [Pentangle]  
2. I've Got A Feeling [Pentangle]  
 
Jools Holland : Host

放送: 2008年5月2日 



2007年はバートやジョンのファンにとって刺激的な年となった。2007年2月の「BBC Folk Awards」におけるペンタングル・リユニオンが大評判となり、翌月の3月には待望のボックスセット「The Time Has Come」P19 が発売された。その頃は水面下で色々な話があったに違いない。そしてしばらく後に、コンサートの予告が発表されたのだ。しかも「Sweet Child」P3 に収録された歴史的なコンサートから、ちょうど40年後の2008年6月29日に、同じ場所ロイヤル・フェスティバル・ホールで行うという事で大きな話題となり、チケットは瞬く間に売り切れた。さらに英国各地を巡るコンサートツアーも追加発表されたのだ。

ジュールズ・ホランドがホストを務めるテレビ番組「Later」への出演は、6月末から始まるのコンサートに向けて行っていたリハーサルの成果を試すものだったに違いない。まず 1.「Light Flight」を観てビックリ! いつも椅子に座っていたジャッキーが、立って歌う姿を初めて観たことだ。昔のインタビューで彼女は、立つと緊張してうまく歌えないと言っていたが、大丈夫なのかな? また彼女の姿を観たのは、2005年のジョン・レンボーンとのコンサートのDVD以来だったが、今回の映像を観て、老けたな〜というのが実感。男性陣については、バート、ジョン、ダニーは以前から現在の姿を見知っていたので意外性はなかったが、テリーを見るのは本当に久しぶりで、その眼鏡をかけた老人姿にも「おおっ」ときてしまう。とか何とか言っちゃっても、5人が一緒の姿を見るだけで感動してしまうのだ。演奏面では、当時の切れ味を望むのは無理な話であり、2.「I've Got A Feeling」と合わせて、貫禄と味わいで感じるべし!

感動的ではあるが、時の移ろいの残酷さも感じられる映像だ。

[2009年5月 追記]
バートのオフィシャルHPによると、ペンタングルによる本番組への出演は2回あり、上記2曲のライブ放送は5月2日だったとのことなので、日付を訂正します。なお4月29日は「Let No Man Steal Your Tyme」が演奏されたとのことであるが、私はその映像は未見です。


Pentangle Reunion Concerts (2008) [Pentange]  映像・音源

Bert Jansch : Guitar, Banjo, Vocal
John Renbourn : Guitar, Sitar
Jacqui McShee : Vocal
Danny Thompson : Bass
Terry Cox : Drums, Glockenspiel, Back Vocal


[Royal Festival Hall, 2008年6月29日]

[1st Set]
1. The Time Has Come [Ann Briggs]
2. Light Flight 
3. Mirage
4. Hunting Song 
5. Once I Had A Sweetheart [Traditional]
6. Market Song
7. In Time
8. People On The Highway
9. House Carpenter [Traditional]
10. Cruel Sister [Traditional]

[2nd Set]
11. Let No Man Steal Your Thyme
12. No Love Is Sorrow
13. Bruton Town
14. A Maid That's Deep In Love [Traditional]
15. I've Got A Feeling
16. The Snows
17. Goodbye Porkpie Hat [Mingus]
18. No More My Lord [Traditional]
19. Sally Free And Easy [Tawney]
20. Wedding Dress [Traditional]
21. Pentangling
22. Willy O' Winsbury [Traditional]
23. Will The Circle Be Unbroken [Traditional]

注)特記ない場合はPentangle 作曲


[Harrogate, International Centre, 2008年7月10日]

[1st Set]
1. Let No Man Steal Your Thyme
2. Light Flight 
3. Mirage
4. Hunting Song 
5. Once I Had A Sweetheart [Traditional]
6. Market Song
7. In Time
8. People On The Highway
9. House Carpenter [Traditional]
10. Cruel Sister [Traditional]

[2nd Set]
11. The Time Has Come [Ann Briggs]
12. Bruton Town
13. No Love Is Sorrow
14. A Maid That's Deep In Love [Traditional]
15. I've Got A Feeling
16. The Snows
17. Goodbye Porkpie Hat [Mingus]
18. No More My Lord [Traditional]
19. Sally Free And Easy [Tawney]
20. Wedding Dress [Traditional]
21. Pentangling
22. Rain And Snow [Traditional]
23. Willy O' Winsbury [Traditional]


[Gatesshead , The Sage, 2008年7月12日]

Harrogate と同じ




2007年2月のBBC Radio2の「Folk Awards」で、ペンタングルが 「Lifetime Achivement Awards」を受賞し、そのセレモニーでオリジナルメンバー5人によるリユニオンが実現した。そして3月には未発表曲を含んだ待望のボックスセットが発売、ファンにとって2007年はうれしい年となった。そしてその後、「Sweet Child」W3 に収録されたロイヤル・フェスティバル・ホールでのライブ録音のちょうど40年後にあたる2008年6月29日に、同じ会場でリユニオンライブを行うことが発表され、大きな話題となった。さらにそれに続く以下のイギリス国内ツアーと、翌 8月のグリーンマン・フェスティバルへの参加が決まった。

  6月29日(日) London , The Royal Festival Hall

  7月1日(火)  Cardiff , St David's Hall

  7月2日(水)  Brighton , Dome
  7月3日(木)  Cambridge , Corn Exchange
  7月5日(土)
  Birmingham , Symphony Hall
  7月6日(日)
  Oxford , New Theatre

  7月7日(月)  London , Lyceum Theatre
  
7月9日(水)  Manchester , Palace Theatre
  7月10日(木) Harrogate , International Centre
  7月
12日(土) Gateshead , The Sage
  7月13日(日)
 Glasgow , Royal Concert Hall
  7月14日(月)
 Liverpool , Philharmonic
  8月17日(日) The Green Man Festival, Wales



70年代に活躍したグループの多くは、ザ・ビートルズをはじめとして、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・フー、レッド・ツエッペリンなど、オリジナル・メンバーの誰かが故人である場合が多く、そういう意味でメンバー全員が元気でリユニオンできたケースはペンタングルとクリームぐらいかな? 彼等はコンサートのために行ったリハーサルの成果を試すべく、 4月29日の「Later With Jools Holland」に出演、また本番直前の6月25日と26日に、ロンドンから北東90キロのところにある古い町コレセスターでウォームアップのための小規模なコンサートを行ったようだ。そして6月29日(日)、満員のオーディエンスを前にコンサートが始まった。「Good evening, ladies and gentleman. Please welcome, Pentangle」というアナウンスの後、ライトが灯され、5人がステージに登場する。舞台前面の左にジョン、右にバートが座り、後方左は高椅子を置いて、時々腰掛けながらウッドベースを弾くダニー、右はテリーがドラムセットに鎮座。ジャッキーは中央に位置し、テレビ映像と同じく、椅子に座らず立ったままで歌う。 最初の曲を 1.「The Time Has Come」にしたのは、長年のブランクの後に実現したリユニオン・コンサートの始まりを意図したものだろう。淡々とした演奏で、ジャッキーの声が緊張のため、かすれていて、バンドも硬い演奏で大丈夫かな?と少し心配になる。最初のコンサートという事もあって、オーディエンスもプレイヤーも、40年という時の移ろいにはせる万感の想いが曲に勝ってしまったようで、何となく「心ここにあらず」といったパフォーマンスだ。ただしその雰囲気は、コンサートが進むにつれて和らぎ、演奏もすぐに好調になる。次回以降のコンサートでは、最初の曲は彼等のファーストアルバムの冒頭を飾った「Let No Man Steal Your Thyme」となったようだ。2.「Light Flight」を聴くと、このバンドの生命線がリズムセクションにあることがよくわかる。現役最前線で活躍するダニーのリズム感が健在なのは予想できるが、音楽活動から遠ざかっていたはずのテリーが意外に頑張っている。でもバンド全体のリズムの一体感、強靭さという点では、昔と比べると見劣りするのは事実であるが、随所で起こるリズムの乱れは、主にバートとジョンのプレイに起因するものだ。その代わりに往年にはなかった枯れた味わいがあるし、ジョン・レンボーンのリードギターの自由なプレイはそれなりに魅力的であり、それらに焦点を当てて鑑賞すれば、十分に楽しめるものと思う。実は私は、彼等はフルコンサートに耐え得る水準の演奏ができるのだろうか? と危惧していたので、今回音源をじっくり聴いて、とても良かったので正直ほっとしているのだ。

3.「Mirage」ではジョンのリードギターを楽しめる。ペンタングル解散後はソロ活動を行いながら、ステファン・グロスマンとのデュオ、仲間のミュージシャンとのジョイント・コンサートやレコーディング等で、長年リードギターを担当してきたジョンにとって、今回のペンタングル・リユニオンは他のミュージシャンと異なり、昔通りに演奏して復元するのではなく、長い月日の中で磨き発展させたリードギターの腕前を試す機会となったようにも思われる。PAやピックアップの技術進歩もあって、エレキギターに頼らずアコギのままで繊細な音が出せるようになったこともあり、今回の一連のコンサートにおけるジョンのプレイは、同じ曲の演奏でも、コンサートによりその音使いは異なり、派手さはないが、とても自由な境地で弾いているように感じる。4.「Hunting Song」では、テリーのグロッケン(鉄琴の一種)を聴くことができる。5.「Once I Had A Sweetheart」では、ジョンの鋭いリードギターと、テリーのファルセットによるバックコーラスが聴きもの。7.「In Time」は、以前に比べると大人しい感じかな? 8.「People On The Highway」は、オリジナルと異なり前半はバートが一人で歌い、後半からジャッキーのハーモニーがつく。 9.「House Carpenter」では、昔と同じくバートがバンジョ−を、ジョンがシタールを演奏する。ジョンは長年弾いていなかったはずなので、かなり練習したんじゃないかな?10.「Cruel Sister」はジャッキーの歌に注目しよう。若い頃に比べて声の張りやつやはなくなったが、長年歌いこんだ年輪というか風格が感じられ、特に本曲のようなトラッドを歌う際にはその印象が強い。    

セカンドセットは初回のロイヤル・フェスティバル・ホールでは 11.「Let No Man Steal Your Thyme」から始まるが、他のコンサートでは「The Time Has Come」だったようだ。ペンタングルの初めてのアルバムの最初の曲だっただけあって、コンサート最初の曲としては、やはり「Let No Man.....」のほうが相応しいように思える。12.「Bruton Town」では、バートとジャッキーのボーカルがバッチリ合っていて、調子が乗ってきた感じだ。主人公の悲しみ、怒りを表現する間奏のジョンのギターも良い。ダニーが中心となって書いたという 13.「No Love Is Sorrow」は、ちょっと固めの演奏。ジャッキーが前面に出る 14.「A Maid That's Deep In Love」と続き、ジャッキーが「マイルスの曲を基にした」と紹介する 15.「I've Got A Feeling」はリラックスした演奏。 16.「The Snows」はバートがメイン、17.「Goodbye Porkpie Hat」はさらっとした演奏だ。ジャッキーのボーカルが力強い 18.「No More My Lord」 、クールな 19.「Sally Free And Easy」。20.「Wedding Dress」は、バートバンジョーを弾き、テリーがタンバリンを叩きながらドラムスを演奏、バックボーカルも担当する。 21.「Pentangling」は、現役時代の長大な構成ではなく、ベースやドラムスの短いソロを含むさっぱりした演奏。トラッドの 22.「Willy O' Winsbury」の後に演奏される最後の曲 23.「Will The Circle Be Unbroken」のみオジリナルと異なる新しいアレンジだった。特にドラムスの乗りが全く違う。それなりに良い出来だと思うが、評判がイマイチだったようで、後のコンサートでは原曲に忠実な 「Rain And Snow」に差し替えられた。

特に何か新しい事をやっているわけでもないので、懐古趣味と言われればそれまでだが、昔になかった渋みというか、ゆったりした懐の深さみたいなものが感じらる。歴史的な意義を別として音楽的な見地からみたとしても、それなりに楽しめる音源であると思う。


(注: 映像について)

アマショットで画質は悪く、多くは曲の一部のみであるが、以下の映像を観ることができた(曲番はHarrogateのものを使用)。

London (The Royal Festival Hall) : 2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,
Cardiff (St. David's Hall) : 3,4,5,6,7
Oxford (New Theatre) : 2
London (Lyceun Theatre) : 7,9,12
Harrogate (International Centre) : 10,12,13,14,15,19,20,21
Glasgow (Royal Concert Hall) : 12
Wales (The Green Man Festival) : 1,4,12,17,21


BBC Radio 2 Folk Awards (2009)  ラジオ音源

Bert Jansch : Guitar
Ralph McTell : Guitar

1. Anji [Davey Graham]  

放送: 2009年2月2日 BBC TV 'Later With Jools Holland'
司会: Mike Harding



「Folk Awards」は前年に顕著な活躍をしたミュージシャンを表彰するBBCのラジオ番組で、今回が第10回目。2008年12月15日に亡くなったデイヴィー・グレアムへのトリビュートとして、バートとラルフ・マクテルが登場。バートが若き日の彼の思い出を語った後に、二人で1.「Anji」を演奏する。いつもに比べて抑え目の演奏は、鎮魂の意を込めたものと思われる。右チャンネルからバート、左チャンネルからはエレアコっぽい音のラルフの音が聞こえる。同日に同じラジオ局の別番組「Radcliffe And Maconie Show」でもこの曲を演奏したというが、私は聞き逃してしまいました。