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パン・ジャムについて

ジャムの世界でも甘さは敵?

 パンとジャムについても今の風潮は「変だなあ」と感じている。ます、ジャム。この頃のジャムに必ず書いてある売り文句は「甘さの少ない」「甘さ控えめ」だ。イチゴジャムやブルーベリージャムならまだ甘さ控えめでも許せる。でも、オレンジマーマレードとなると話は違ってくる。オレンジマーマレードは、オレンジの皮が入っているので苦みがある。マーマレードの苦みは甘味が強いから引き立っておいしいというもの。でも甘さを抑えたところに苦みがあるとバランスが崩れて、ただ苦いだけでおいしくなくなってしまう。だから日本製のマーマレードは苦みも抑えてあるのだ。また、甘味を押さえたら酸味も抑えないとバランスが悪い。だから、酸味も抑えてある。

 甘味も少ない、酸味も少ない、苦みも少ないとなるとほとんど味が無いという状態、味が無いドロッとした物体となってしまう。これではおいしいわけがない!日本人にはマーマレードはあまり人気がないようだが、この辺にその原因があるのではないかな〜。


ところが食パンの世界では・・・

 次に食パン。ジャムの甘さが抑えられ始めたのは結構前のことだと思うけど、ここ10年以内で、食パンにも「異変」が起きている。本来甘いものであるジャムは、メーカーが一生懸命「甘さが少ない」こと、いかに「あっさり」しているかということを強調しているのに対し、食パンの方はしきりと「甘味」を強調しているのだ。今の食パンの袋を見ると必ず「ほのかな甘味」とか「ほんのり甘い」と書いてある。「熟成させた自然な甘み」とか、、、嘘ばっかり砂糖や糖類入っているのに。テレビCMでもタレントに「あま〜い!」と言わせ「甘味」を強調している。

 ダイエットや健康志向からジャムの糖度が少し抑えられるのは、まだわかる。でもあまりにも糖度の抑えられすぎたジャムに人々は無意識に物足りなさを感じ始めたのではないだろうか。それで食パンの方を甘くしてバランスを取っているのではないだろうか。ジャムは甘さの少ないものを選ぶのに、食パンの甘味が増していることに誰も疑問を感じないのかな〜。


ジャム嫌いの原因はパン?

 私は小さいときからマーガリン(バター)たっぷりとジャムの組み合わせが好きだった。でもいつからか、大人になってからだと思うが、ジャムをつけるのが好きでなくなった。理由はしつこすぎるからだ。しつこいものが結構好きなはずな私なのだが、理由はしつこいからだった。でも、その原因は「甘い食パン」にあったのではないかな〜と最近思っている。最近は舌の先に触れただけで「甘い」と感じるくらい甘い食パンが実に多い。まあ私はその手の甘みに特別敏感なのかもしれないが・・・。

 今、スーパーで人気の食パンは、甘いだけでなく生クリームや油などいろいろなものが入っているものが多く、何もつけなくても食パン自体がやたらとしつこいのだ。どうも私は食パン自体がしつこいのはダメなのだ。こんなに甘くてしつこい食パンに甘いジャムをつけたら確かに「うんざり」となるわけだ。

 本来甘いはずのジャムが「あっさり」になり、本来何もつけなければあっさりであるはずの食パンが「しつこく」なっていることに誰も気付かないのかな、誰も疑問を感じないのかな〜。

 好みの問題ももちろんあるのだが、私は食パンは塩だけで味付けされたものが好きだ。砂糖とかバターとか生クリームとか余計なものが一切入っていない食パン。あるお店で売っている食パンが気に入っている。小麦粉、イースト、塩だけで出来ていて余計な味が一切しない。本当にあっさりとしている。これなら、バターやジャムをつけてもおいしい。


甘みの平均化

私は食パンは全く甘味無く、ジャムは思いっきり甘くがおいしいと思うのだけど、今は食パンは甘く、ジャムは甘くなくなっている。お菓子は甘くなくなり、料理は甘くなり……。本来の味は甘くない順に「食パン<料理(料理にもよるが)<お菓子≒ジャム」てな感じだと思うのだが、最近は「食パン≦料理≦お菓子≒ジャム」という感じがする。つまり甘みの度合いが平均化しているんじゃないかと。昔甘かったものは甘くなくなり、昔甘くなかったものが甘くなっている。

 お菓子までいかないにしてもかなり甘い食パン、お菓子かと思うほど甘い料理や漬け物、甘くないお菓子、甘くないジャム……。最近はマーガリンも味が無くなっている。ダイエットや健康志向で塩分やカロリーの低いものが出回り始めてからマーガリンの味が落ちたような気がする。マーガリンも味も素っ気もしないというか、これいったい何で出来ているんだろう?という味がする。何の味も無くおいしくないのであれば、ただの「カロリーの増量剤」じゃん!そんなもん塗らん方がいい!(おっと言葉が、悪くなってきた)


どうせトータルが一緒なら

 トータルで摂取する糖分の量はあまり変わらないか、もしかしたら増えているのではないかと別のページに書いた。トータルで変わらなければ体にはなんら影響はないのかもしれない。でも私は思う。お菓子やジャムでいくら甘さを控えても結局トータルで変わらないのであれば、本来のおいしさを追求する方がいいのではないかな〜と。トータルで一緒ということは、極端な話、食パンとマーガリン(バター)とジャムをミキサーにかけてドロドロにして飲むのであれば、材料が「甘い食パン+ヘルシー志向マーガリン+甘くないジャム」であっても、「甘くない食パン+普通のマーガリン(バター)+甘いジャム」であっても出来上がる物は大して変わらないかもしれない。(まあ、低コレステロール位の効果はあるかもしれないが。)でもそんなことをして食べるのではないのだから、口に入るときはそれぞれのおいしさを追求した方がいいではないか!

 ヘルシー志向・ダイエット志向という大義名分の元、甘さを控えたジャムでいまいち物足りない思いをしても「ヘルシーなのよ」と無意識にも言い聞かせ自分を騙し、パンが甘くなっていることに気付かずにいるとしたら……この努力は果たしてどれだけ報われるのだろうか。

 最近は砂糖不使用「自然の甘み」なんていうジャムまである。それなのに、食パンはどんどん甘みを強調する傾向に変化している。ジャムの甘さと食パンの甘さは反比例しているように思えてならない。そのうち全く同じになるか、逆転するんじゃないだろうか……。

 日本という国はなぜ、こうまで一辺倒なんだろう?甘いジャムを自信持って売るメーカーがひとつくらいあってもいいのではないのだろうか。「甘さ控えめ」に洗脳されている日本では「甘い」と書けば売れないのかもしれないが、「甘くない」とも「甘い」とも書かなければ、おいしければ売れるのではないだろうか。「甘さ控えめ」「糖度○○%」などという言葉に頼らず、味で勝負するメーカーがひとつくらいあってもいいのではないだろうか。

 甘いものは「甘くない」書くと売れ、甘くないものは「甘い」と書くと売れる。不思議な国だな〜。本来の味に戻れ〜!この状況を一度リセットしたい。


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