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「外国のお菓子って甘いんだよね〜」

外国のお菓子がまずかったときの決まり文句

日本人は外国製の甘いお菓子を食べておいしくなかったとき、きまって言うセリフがある。それは「外国のお菓子って甘いんだよね〜」である。おいしくなかった原因をついつい「甘さ」のせいにしてしまうのである。たしかに日本製のお菓子は甘さ控えめが多く、外国製のお菓子は甘みが強いものが多い。そこが一番分かりやすい大きな違いなので、ついついそう考えてしまうのだろう。しかし、おいしくないのは本当に甘さのせいなのだろうか。私は甘さ以外のところに原因があると思っている。

たしかにおいしくなかった超有名外国製チョコレート

私は、まだ外国製のお菓子が珍しかった中学生の頃、超有名ア○リカのメーカーの板チョコを買ったことがある。お祭りのクレープの屋台でよく見るお馴染みのチョコソースなどを作っている○ーシーというメーカーのものだ。まだそんなに舌が肥えていなかった当時でも、おいしくないと感じた。当時はアメリカのお菓子というと、オシャレでおいしいだろうというイメージを持っていたので、かなり期待はずれだったことを覚えている。期待しながら食べて「ん?おいしくない?でも、おいしいはず、おいしいはずだ。・・・でもおいしくないような気がする、私はおかしいのだろうか・・・?」などと考えたが、やっぱりおいしくなかったのだ。でも、おいしくなかった原因は「甘いから」ではないと思っている。

どこがまずかったのか考えてみると、
・舌触りがザラザラしていてなめらかではない
・何となく酸味がある
・カカオの分量が少なそうで香りも良くない・・・

私なりの分析ではそんなところだと思う。

日本人に大人気の甘〜いお菓子たち

一方で、甘いのに日本人に大人気なお菓子もある。

  

たとえば、上の写真はカナダのDare(デア)というメーカーのクリームサンドクッキー。このメーカーは12種類ほどのクッキーを出していて、全種類は見たことがないが、私が食べた中ではこの2種類が特にお気に入りだ。パッケージのデザインもなかなか凝っていてきれいだ。まあ、そんなことはおいといて・・・

このクッキーを友達やお客さんに出したりすると、みんな「これ、おいしいね〜」と言う。それも実に感情込めて「おいっしいね〜」という感じに言う。そして、ついつい手が止まらなくなる。このクッキーは3列に隙間無くぎっしり詰まっているのだが、食べ過ぎてはいけないと思いつつも、ついつい1列全部食べて、かなりおなかいっぱいになり、ちょっと気持ち悪くなってしまってやっと手が止まるほどおいしい。こんなに一度に食べるのはたぶん超甘党の私ぐらいなものだろうと思っていたら、ごく普通の嗜好を持つ友達もついつい1列食べてしまうと言っていた。(1列は6〜7個)一度食べたら多くの人がこのおいしさにはまってしまうようだ。

でも、このクッキー、かなり、相当、ものすごく甘い、はんぱでなく甘いのだ。でも、これを食べたときには、みんな「おいしいね〜、おいしいね〜」というばかりで、誰も「甘い」とか「甘くない」とかを口にしない、問題にしない。「甘すぎるけど」という余計なまくら言葉もつかない。

『私のお気に入り』のページの「アヲハタのトラディショナルジャム」の強い甘みには私は敢えて「上品な甘さ」という言葉を使ったが、こちらはちょっと上品とは言いがたい、あまり高級感の無い甘さだ。でも、たしかにおいしいものはおいしいのだ。

こういう例は他にもある。たとえば超お馴染みのチョコ『キットカット』。これは、今はネスレだが、昔はたしかマッキントッシュというイギリスの会社のお菓子だったような気がする。ネスレに吸収されたのだろうか・・・。(年代ばれるかな・・・?)この、キットカットも、かなり甘みが強いチョコのような気がする。今はキットカットでもいろいろな味があり、冬限定の「甘さ控えめ」というものもあるが、一番オーソドックスな昔からある「赤いパッケージのキットカット」は、おそらく世界共通の味で、かなり甘いと感じる。でも、日本人は大好きで、常にコンビニから姿を消すことが無い。

また、バレンタインの時期にもてはやされるヨーロッパ製のチョコも結構甘いと思うが、みんな「おいしいおいしい」と言って食べている。(女性は彼の分だけでなく、自分の分もついでに買って食べている人も多いだろう……)

日本製のお菓子のパッケージにはよく「甘さひかえめ」と書いてある。たぶんそう書いた方が売上が伸びるのだろう。もし、これらの人気の外国のお菓子に「超甘い!」と書いたらどうだろうか??
パッケージを見ずに中身だけ食べれば味の印象はもちろん変わらないだろうが、もし、その謳い文句を見てしまったら、(まず買わない人が多いだろうが、もし、例えば貰ったとしたら)「甘くなくておいしい」という言葉に洗脳されている人は、もしかしたら、おいしくないと感じるのだろうか?決まり文句「外国のお菓子って甘いんだよね〜」が出るのだろうか?興味深いところである。

日本人はおいしくない原因をすぐ「甘さのせい」にしてしまう傾向があるが、大人気でも甘みが強いお菓子がいっぱいあることを考えると、「甘みが強い=おいしくない」は成立しない。

「甘い=おいしくない」ではないが・・・

日本人はとかく「甘くなくておいしい」と言い、まずいものを食べたとき、「甘い〜」とか言い、甘くないことがおいしさの条件であるように、「甘さ控えめ」という言葉を使う。でも私は「甘さ控えめ」がおいしさの条件とは思っていない。

私がこのサイトでこんなことを書くと、ボルドーは「極甘=おいしい」と思っているとか、「甘ければ甘いほどおいしい」と思っていると勘違いしてくれる人もいるようだ。しかし、決してそうではないのだ。

「甘い=おいしくない」も成立しないと思うが、「甘い=おいしい」も成立しない。どちらもイコールで結べるものではないと思っている。要するに、甘さ控えめでも、極甘でも、その食品として味や食感のバランスがとれていればおいしいのだろう。もちろん、何をおいしいと感じて、何をおいしくないと感じるかはひとりひとり違っていて当然だと思っている。

結局私が気になることは・・・洗脳されている日本人

だったら、こんなサイト立ち上げなくてもいいじゃん!と言われそうだが、やはり「甘さ控えめ=おいしい」も「超甘い=おいしくない」も「超甘い=おいしい」もどれも成立しないのに、多くの人がケーキなど甘いものに関して「甘さ控えめ」がおいしさの条件のように思っているところがどうしてもひっかかるのだ。別に個人の好みとして「甘さ控えめがおいしい」と感じる人がいてもいっこうに構わない。(私もおしるこやおはぎのあんこに関しては甘さ控えめが好きだし・・・)しかし、どうもマスコミや流行に踊らされて、甘いクッキーやチョコやケーキを食べたときに「おいしい!」と感嘆に近い声を挙げる人までもが、「甘さ控えめ=おいしい」と思い込んでしまっているところが気になるのだ。それが、手作りケーキを作るときや、お菓子屋の商品展開にまで影響してしまうのだから、重大な問題だ。自称「甘さ控えめが好き」の人が超甘いチョコを食べて「これ、すんごいおいしいね〜!!」と言いながら、いくつも食べているのを見たことがある・・・。これは洗脳されているといっても過言ではないだろう・・・。

別に甘さ控えめを謳っているお店があってもいいのだが、日本人は周りに合わせるという習性が非常に強いため、どこのお店に行っても甘さ控えめのお菓子しか手に入らなくなってしまったところが問題なのだ。

どこかに私と同じように「ケーキが甘くて何が悪い!」と思って、どんなに甘さ控えめが流行ろうとも甘いケーキを作り続けてくれるおいしいケーキ屋さんは無いものだろうか・・・。自覚のない極甘党もいるのだから、「甘さ控えめ」とはもちろん謳わないが、「甘い」ということも決して謳うことなく売れば、おいしいものは結局売れると思うのだが・・・。


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