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タイトル | 監督・キャスト | あらすじと感 想 |
ガウディー・アフタヌーン | スーザン・シーデルマン監督 ジュディ・デイヴィス マーシャ・ゲイ・ハーデン リリ・テイラー ジュリエット・ルイス マリア・バランコ クリストファー・ボウエン コートニー・ジンズ |
バルセロナの町に行きたくなります。ガウディーの建築物がたくさんあふれている。バルセロナの町はアートしている。なので・・・・セットなんていらない。ガウディーの建物だけで十分。 オープニングタイトルも、ガウディっぽい。タイルのモザイク模様のように組み合わさって行くCGがとてもオシャレに見えます(^^) バルセロナを舞台に、何とも複雑な人間模様。個人的には男性が余計だった様にも思うけれど(笑) 女優陣は子役を含めて、面白い取り合わせでした。ジュリエット・ルイスよりもGattaはマリア・バランコが印象に残っています。 お話は・・・ちょっとだけややこしいのです。主役は?ジュディ・デイヴィス。カサンドラ・ライリーという翻訳者。世界中を旅しながら、翻訳稼業をやっているの。今回はバルセロナ。スペイン語だけじゃなくってカタルーニャ方言もしゃべれるってことよね・・・スゴイわぁ〜。 今回取り組んでいるのは・・・ラテンアメリカ文学の「女帝と娘」の翻訳。これが難解だった。このイメージ映像が・・・ジャングルの中でフルーツやら美味しそうなものに囲まれている女帝が肉に食らいついてる図が・・・(笑)フルーツとっても美味しそうなんです・・・いいなぁ〜。(笑) そして、出版社との電話・・・。訳しながら・・・「ただれて・・・」「え?何だって?女性が老けていく様子を“ただれる”だって?」・・・「だって、そう書いてあるのよ!私が言ってるんじゃないわ、訳したらそうなるのよ・・・」「他にあるだろ?」 ちょうどいいときに・・・ベルが鳴る。通訳を頼みたいってお客。長身の美女フランキー(マーシャ・ゲイ・ハーデン)。「夫のベンを探して欲しいの」 「それは探偵の仕事でしょ?」「スペイン語話せないのよ。報酬は3000ドル。」ひぇ〜。それだけあれば滞納していた家賃が払えるわぁ〜。そして高額報酬に目がくらんだカサンドラは・・・ベンを探した。マジシャンの彼、ボヘミアンの女性(ジュリエット・ルイス)、少年のような女性(リリ・テイラー)3人が少女を囲んでいる。写真は撮った!カサンドラはバーにカルメン(マリア・バランコ)とともに出かけフランキーに写真を渡すと、ベンだと確認し小切手をもらう。ダンスに誘われるフランキーだけど・・・踊ってて・・・・それだけじゃすまない。美女だもの・・・。段々ダンスは過激になっていくと・・・おや?男性が?アレ?・・・そしてトイレでカサンドラは見てしまうのだ!フランキーは・・・まさか?そう男だったのだ!え?じゃあ夫って??夫のベンは男装していた少年のような彼女(彼?)だった。そして彼らの子供がデライラー(コートニー・ジンズ)。二人は子供の取り合いをしているようだ・・・。 どちらにしても、もう仕事は済んだのよ。カサンドラは翻訳業に戻ったが・・・家主のカルメンが・・・小切手は不当たりだ!って・・・何ですって?あの野郎!騙したわね!絶対許さない!金は貰うわ!ってことで、彼女は3人が暮らすガウディーの建設の建物へと向かうのでした。 カサンドラはなぜだか少女に気に入られてしまう。 実はカサンドラは母親とトラブル。18歳の時に家出して、会っていないのだ。だから母と娘のテーマの翻訳も上手くいかなかったのだ。 デライラーに「ママはいるの?」と訊かれ・・・カサンドラは母との関係を見つめるきっかけになるのだった・・・。 ややこしいフランキーとベンの夫婦はどうなる?ベンの恋人らしいボヘミアン女性は?さらにバイセクシャルのマジシャンは?ゴチャゴチャの中で、一番大人で、一番ちゃんと見ていたのは少女のデライラー。このデライラーちゃんがカワイイです。(^^) |
顔 | 坂本順治監督 藤山直美 豊川悦司 岸部一徳 大楠道代 國村隼 中村勘九郎 牧瀬里穂 |
藤山直美さんがとても魅力的に描かれていると思います。彼女以外には絶対にできない正子。 最初の暗い彼女から、人々と関わって行くことにより変わって行く彼女の姿は本当に凄かったです。 よくよく考えれば暗い題材のはずなのに・・・まるで松竹新喜劇を見ているかのように・・・笑いアリの人情モノになっている・・・。 國村さんは最近(2002年秋)テレビの「HR」で面白い役をやっていて、中村獅童さんともども楽しませてもらっているのですが、こちらでは、なぜだか藤山直美に惚れてしまう役。(笑) 最後まで、藤山直美さんを応援したくなるんです。捕まらないで欲しいと・・・逃げ切って欲しいと・・・(笑) |
過去のない男 | アキ・カウリスマキ監督 カティ・オウティネン マルック・ペルトラ アンニッキ・タハティ ユハニ・ニエメラ ニスコ・ニッカリ |
これほど、ムード歌謡がピッタリと合う外国映画が存在するのでしょうか?? というか、ムード歌謡っぽい曲がフィンランドの曲の中にもたくさんあって・・・日本人とフィンランド人って近い???とか不思議な感じがしました。 そういえばフン族ってアジアから西へ北へと移動したのよね・・・と変なことを思い出すGatta(汗) 北欧の独特の雰囲気、そこに溢れている浮浪者たち・・・それを支えている人々。 人間の優しさ、温かさに触れるシーンは、本当に今の世界もそんなに悪くないんじゃないかと思ってしまう。(最近のニュースはマジでやばい!と思いますから・・・みなさん、カウリスマキ作品を見ましょう!!(オイオイ)) 特急列車の中に一人の男。席に着くと「切符を拝見!」と車掌がやってくる。 男は切符を見せ、目的地へと着いたようだが・・・ 行宛がありそうには見えなかった。 公園のベンチで時計と睨めっこしながらウトウトしかけると・・・いかにも悪いコトしに来ましたという3名の輩。(苦笑) 一人はボウズの大男、一人は小柄ながらどうやらリーダー格の長髪の男、もう一人は若い感じの金髪の兄ちゃんだった。ニヤニヤしながら近付き、棒で思いっきり殴った・・・・。 気絶したところ財布を抜き取り、札だけ抜いて、財布はゴミ箱へポイっ! 残りの男たちはトランク漁り。ラジオを持っていってしまった。 何とか気を取り戻し・・・フラフラと公衆トイレへと向かったが・・・そこでダウン! 警備員が病院へ通報し・・・病院では、包帯でグルグル巻きにされ・・・脈ももう危ない状態・・・ 医者はお産があるからと見離した(オイオイ) このシーン面白かったですよ。死にそうな男を見捨てて、これから産まれる子供の方へと向かう医者の姿が・・・(苦笑) 医者と看護婦がいなくなると、ムックリと起き上がり(ゾンビ???)さっさと病院を抜け出したが、やはりケガは重症。海に近い場所で倒れた。 そんな彼をオイシイ獲物だと放っておくわけもなく、ちゃっかりと自分のくたびれたスニーカーと男のブーツを取り替える爺さん・・・。 そして、そこへ水を汲んで帰る子供が二人通りかかった。 「死んでる?」 「いや、動いてる」 子供たちは両親に知らせ・・・母親は彼の看病をした。 裕福な暮らしではない。コンテナで暮らす家族。しかし、ここには家族の温もりが溢れていた。 ニンジンをスープに入れ、そこにお米が入り・・・オジヤみたいだなと思ってみていました。 しかし、男には困った事が・・・頭を殴られ・・・何一つ覚えていない。自分が何者であるのかさえ判らなかったのだ。 助けてくれた一家の主人がディナーへ行こうと誘います。 ディナーというのは救世軍が浮浪者たちに振舞ってくれる無料の食事の事です。 パンを取り、スープをついでもらうとき・・・そのスープをついでくれているのが、まさに男にとっての女神さまだった。 この後、主人がバーでビールを奢るといい、このときの台詞がいいのです。 何も自分の事を思い出せない男。けれど灰皿、タバコ、吸殻、とかは言える。 「人生は前にしか進まない」と主人は男に優しく語る。 このカティ・オウティネン演じるこの女性がとってもイイ感じなのです。家に戻ると絨毯を丸めてドアの下へ・・・防音用です。そう、彼女の楽しみはロックを聞く事。こっそりと(笑) ベッドに潜って耳を傾けます。とってもステキなシーンです。 男は・・・コンテナに暮らすことを考えますが、このコンテナを世話する男というのが・・・警備員で・・・業突張り・・・金の亡者で・・・無い奴から巻き上げるような悪です。 それでも住む場所は必要だったから、その条件を飲んで、コンテナで暮らし始めます。 コンテナの前でじゃがいもを植え、電気を引いてもらい、ジュークボックスも拾ってきて直してもらった。そのジュークボックスから流れるロック、ブルース。そして男の周りには友が集った。 働かなきゃいけない・・・でも職安に行ったところで・・・自分が誰かもわからない 失業率も上がってるこのご時世・・・自分が誰かも判らない輩に仕事を紹介できるはずも無く・・・見事に断られる。 疲れ果てて・・・たどり着いたカフェ。ポケットには出がらしのティーバッグ・・・このシーンもジ〜ンってなりますね。いつもは紅茶は茶葉で入れるんですが、今日はティーバッグで入れたくなりましたね(笑) お湯を恵んでもらい香りの失せた出がらしティーバッグでお茶を飲む。それを見ていた店主は残り物で食事を与える。このシーンも温かいです。 そして、カティ演じるイルマから救世軍の事務所の住所を聞いていたので、そこを訪れる。 事情がわかり、救世軍の仕事を世話する事になった。 しかし、救世軍の仕事のお給料日よりも早くに・・・コンテナの家賃支払日がやってきた・・・ 支払いが出来ない事に怒り、獰猛なハンニバル(笑)という名の犬を置いていった。 ところが、このハンニバルくんは・・・男に懐いてしまった。(笑) イルマを手料理で迎えたり、森へとドライブし、キノコ狩りを楽しんだり、二人の関係はうまく行っていた。 ある日、溶接現場を見かけ・・・やってみたいと思った・・・そしてその腕をかわれ、雇ってもいいと言われたのだが・・・問題があった。名前がわからない男。会社は現金支給を断ったのだ。 そう、銀行振り込みじゃなきゃダメだ!と。口座が必要だと・・・ 男は困った・・・銀行窓口で説明しかけるが・・・丁度そのとき・・・銀行強盗に出会ってしまった。 しかもその男は自分の凍結された預金だけが必要だというのだ。律儀というか何と言うか・・・ 金庫に閉じ込められてしまったが、窓口の女性がスプリンクラーを壊して、何とか脱出。 警察での尋問が行われた。 ところが、男は記憶喪失・・・何も思い出せない。 それに漬け込む悪徳刑事。 何とかイルマに連絡し、イルマは機転を利かせ、弁護士を雇ってくれた。 弁護士は凄腕で、刑事は反論できなかった。 イルマに助けられた男は・・・バーで強盗犯人と出会う。 彼は男に、自分が社員に払えなかった未払い賃金を払って欲しいというのだ。 そのための強盗だった。自分のせいで社員たちを首にしなければならなかった。 そして、男は了承し、その場を去ったとき、銃声が聞こえた・・・彼は自分の道を選んだ・・・ なんともやるせない気分を背負い、男は彼の為に給料を渡して回るのだった。 そんなある日、彼の記事が・・・銀行強盗か?と写真が雑誌に載った。 そして・・・彼を知るものから連絡が来たと警察がやってくる。 そう・・・彼には妻がいたのだ・・・ ここからのイルマがイイです。カンヌの主演女優賞間違ってません!! 「俺を忘れるか?」 「初恋の人だもの」 このシーンもステキです。 そして、妻との再会は・・・離婚がすでに成立していて・・・(汗) イルマの元へと戻る列車の中・・・・ 豪華な食堂車ですよね?? スシですよ、スシ!! 日本酒とスシの組み合わせ・・・・しかもBGMが・・・・ クレイジー・ケン・バンドの「ハワイの夜」 ホノルルゥ〜♪ホノルルゥ〜♪の声が妙にマッチしています。 いいですねぇ〜〜〜。哀愁ですねぇ〜〜〜vv どうも間違っているような気もしますが(汗) 単純に影響されるGattaは今晩は回転寿司にでも行こうかと思ってしまいました(笑) 癒されたい方!是非お寿司を・・・・(って間違ってるよなきっと・・・(苦笑)) おいしそうでしたよ・・・やっぱり北欧、サーモンが旬ネタでしょうか??(笑) あんなに美味しそうな食堂車をGattaは知りません。(笑) 高そうだと思ったのは私だけ??(苦笑) そして、この作品の影の盛り上げ役??アンニッキ・タハティさん。72歳であの歌声。 素晴らしいです!! もっと歌って欲しいなと思いました。 スゴイ貫禄ですね。 とても楽しい作品でした。 |
カスケード | ハーディ・マーティンス監督 レグラ・グラウヴィラー ハイナー・ラウターバッハ アンドレアス・ホッペ エックハルト・プロイス ロベルト・ヴィクトア・ミニッヒ シャルル・レグニール マリオ・イレク/リヒャルト・ベーク |
ドイツの千葉真一(?)アクションスターのハーディ・マーティンス監督主演の作品。 何も考えずに楽しめます。(笑) 元スタントマンの主人公ヴィンセントは、妻を撮影中の事故で亡くして以来森の中で一人ひっそりと暮らしていた。ある日、森の中でモミの木の実を採取(彼の大切な収入源)していると、 クリスマスにも必需品(?) 空から若い女性が降ってきた。彼女は古代遺跡研究生のクリスティンで、ナチスの伝説の秘宝”琥珀の部屋”を捜し求めていたのである。“琥珀の部屋”とは第2次大戦中にヒトラーがロシアから強奪した伝説の秘宝で、部屋中が琥珀によって作られているため、時価2億5千万マルク(約130億円)もする高価なものと言い伝えられていたが、現在は行方不明になっており、世界中が血眼になって探し求めているものだった。クリスティンは同じく秘宝を追い求めていた謎の組織に追われて逃げていたのだ。 スタントバカを極めるにはもっともっとよそのお国を見習わなくてはならないのかもしれないけれど、ドイツでここまでバカバカしくも本当に無茶苦茶なことやってしまえるのはある意味スゴイと思うのでした。 |
カメレオン | ケリ・シャーロック監督 アネイリン・ヒューズ スー・ジョーンズ=デイヴィス ダニエル・エヴァンス フィリップ・ヒューズ アイリス・ジョーンズ ディリス・プライス |
若い青年デルミー。気まぐれに軍隊に入ったものの・・・実際の戦場は耐えがたいものだった。散々な状態を目にして、やっと脱走したけれど、彼の心は病んでいた・・・(蛇になるほどではないけれど・・・)(苦笑) 彼が逃げ込んだ先は質素な6軒長屋の屋根裏部屋だった。住人たちはデルミーの存在に気付き始める。でも誰一人問いただそうとするものは居なかった。警察が捜査にやってくるが、屋根裏部屋を渡り歩き、逃れ続けるデルミー。デルミーはやがて、かくまってくれた住人たちと交流することで、自分の傷付いた心、自分自身と向き合い始める。このシーンは好きです。住人たちもデルミーをかくまうことでの共有と連帯感から仲間意識が高まっていきます。この逃亡生活が彼らにもたらしたものは? デルミーが人間らしさを取り戻していく過程がとても面白かったです。(^^) |
カンダハール | モフセン・マフマルバフ監督 ニルファー・パズィラ ハッサン・タンタイ |
アフガニスタンは今でも暗殺騒ぎがあったりしてとてもじゃないけれど大変な状況。 「カンダハール」の根底に流れているものもきっとそういうアフガニスタンへの思いであると思うのですが、それ以上にこの作品はニルファー・パズィラのブルカを被らずに見せる顔の美しさに魅せられてしまっていたようにも思います。 印象的だったのは神学校のシーン。剣の使い方、銃の使い方、コーランの教え・・・神が示すべきものって?間違っているかもしれないけれど、神へと近付こうとするものは、剣や銃を持つものではないと思うのですが・・・。 理想論かもしれないけれど・・・神学校なら、神へと近付く道を示すものでは?と思ったりして。 そして、様々な宗教を受け入れることが一番平和への近道のような気がしなくもなかったりして・・・ これも日本に住んでいるから呑気に思っていると思われても仕方ないのだけれど・・・でもこれって日本人のある種良い面なのではないかと思ったりしてるのですけれど・・・ と映画から逸れてしまいそうで・・・映画の方に話を戻して、神学校のシーン。 剣にしろ、銃にしろ、少年達の表情は決してイキイキとしたものではない。ただ、神学校にいるためにやっているだけのように思える。 ハクはコーランが読めない。勉強が出来ないからと追い出される。母親は学校に入れば食べ物に困らないからと思って学校にいて欲しかったが・・・学校側はハクを受け入れない。ハクが出て行くと一人が入れる。 このシーンが妙に印象に残っているのはなぜでしょう? 人形が地雷というのも少女達にはどんな思いだったか・・・それ以上にそういう罠を仕掛ける大人に対しても怒りを通り越して悲しみが浮かびました。 ハクはその後金を得るためにナファスのガイドになりますが・・・骨から指輪を抜き取る行為を異常だと思えない、当たり前のことになっているハクと受け入れることの出来ないナファス。 初めは指輪のお金を要求していたハクだったが、頑として受け取らないナファスにタダであげると・・・。このときハクはナファスと別れたくなかったのではないだろうか? 確かに金づるを失うのは痛いけれど・・・それ以上にナファスに魅せられていたように思います。 義足が空から降ってくるっていうのも・・・パラシュートに付けられて降ってくる絵は・・・ 現場にいる赤十字の人々とのギャップを感じたりして・・・ そして、一生懸命診ている赤十字の人々よりも降ってくる義足!とばかりに赤十字のテントからパラシュートの方向に向かってまっしぐらに松葉杖を付きながら跳んで行く(?)人々の姿は悲しい故に滑稽に見えたりして・・・。 妻の義足を貰いに来た男が妻の義足ではない義足の方が妻にふさわしいといって妻のドレスに合わせて義足を並べているシーンは、奥さんは幸せなのではないかなと思ったりして 最後のシーン・・・ナファスの顔がブルカの中から見える・・・本当に魅力的な顔でした。 |
監督ミケーレ 黄金の夢 | ナンニ・モレッティ監督 ラウラ・モランテ ピエラ・デッリ・エスポスティ アレッサンドロ・ハーベル ジージョ・モッラ |
モレッティ監督自身がミケーレを演じているが故に、ご本人もかなり、同じ悩みを抱えていたのではないかと思わせる作品です。ミケーレという名前は、「赤いシュート」でも「僕のビアンカ」でも出てくる名前。 ミケーレ監督は3作目の「フロイトの母」の製作に取りかかろうとしています。 でも評論家達からは「いつも同じことの繰り返し」「いつも自分のことばかり」と辛辣なことばかりと言われ続けて、かなり憂鬱。 さらに・・・敵は批評家達だけじゃなかった・・・強力な新人監督のデビュー。みんなの目は新人監督ジージョに向くことになる。 みんな敵に思えてくる。自分を攻撃している様に思えてくる。 現実だけじゃなかった・・・夢の中まで・・・憂鬱な気分はやってくる。夢の中で憧れの女子高生シルヴィアちゃんを追いかけたら・・・彼女の友達に袋叩きにあってしまう。 夢から覚めて・・・母親にヤツ当たり!母親は?夢でヤツ当たりなんて冗談じゃないわ!「おまえはマザコンだよ!」って・・・息子に言っちゃう母・・・。そして「マザコンのどこが悪いんだ!」と開き直るミケーレ。世間からもマザコンだと言われているミケーレ監督。その最新作が「フロイトの母」とくれば・・・そりゃあ・・・自分のことだろ?またかよ?って言われてしまうんだわ・・・。 そんなある日・・・テレビのバラエティー番組の企画。この手の番組日本じゃムリだろうな・・・監督ご本人の出演・・・そりゃいつもバラエティやってる北野監督やら、最近は井筒監督もよくテレビに出てるし・・・昔の討論番組なら大島監督もだし・・・日本でやれないことはないかもしれない・・・。北野監督と井筒監督なら着ぐるみだって着てしまうだろうし・・・(苦笑) 新人監督はいっぱい出てくるわね・・・ヴェネチア映画祭にも出品してた天願大介監督とか・・・ 例えば塚本監督と天願監督が着ぐるみ着たり、ボクシングとかしたりして対決してくれるとは思えないのですが・・・(苦笑) イタリアのテレビ番組はコレをやっちゃうのです。バラエティーは何でもアリです。客が笑えて視聴率が取れれば何だってOKなのです。(苦笑) そうです。テレビ番組企画「どっちの監督が最強の映画監督?」に出演することで、自分がジージョ監督よりも上だと証明しようとミケーレはジージョと出演するのです。 そして、対決は「弁論対決」(大島監督なら「バカヤロー」発言でKO出来そうですが・・・)突拍子も無い(苦笑)「お歌対決」・・・「ボクシング対決」・・・そして・・・本日のメインイベント!「ペンギンさんの着ぐるみを着て、タマゴ割りレース」本当にやるのです。着ぐるみ着るんです。 どちらが勝つのでしょう?ミケーレは黄金の夢を手に入れられるのか? 本当に皮肉に満ちていたりするのですが、映画を撮るということだけじゃなくて、テレビ番組、テレビのあり方にも皮肉を込めている気がします。 何ともバカバカしいのですが、でもミケーレ監督が愛しく思えたりするんです(笑) あなたもミケーレ=モレッティ監督の愛らしさに嵌ってみませんか?(笑) |