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第12章 どこに打てば決まる?
 
 誰でもエースを決めたい、特にスマッシュショットを決めたいと考
え、コースをつこうとしますが、そう簡単には決まりません。こうい
ったショットは、全て決めるものではないのです。すべて、決まるも
のなのです。ここに行くには、最終のショットにいくまでの布石があ
ります。全ての条件をクリアーして、最後のショットが決まるわけで
す。この条件が少しでも欠けると、サーブから始まったラリーは、自
分達に有利になるように働きません。特に、ダブルスではそうなりま
す。
 そこで、皆さんに提案です。頭を切り替えてください。つまり、中
級のレベルでは、まだゲームの組み立てが未熟です。いつも、相手が
失敗することを待ち続けてラリーを考えています。だから考え方を変
えるのです。
 ゲームの中で、相手のリターンが緩くなるまで待ってエースを狙お
うとか、また、どのショットを打てば、どのリターンを返せば、相手
が先に失敗をするであろうかと考えたほうがよいのです。十分に経験
を積めば、自分ができないことは相手もできないということが解って
きます。また、自分が弱いところは相手も弱いことが解ってきます。
 根本的には、「相手のふりをみて我がふり直せ」です。自分の目の
前にいるのが、敵ではありません。自分の今のレベルだと思って、鏡
に映った自分だと思って、自分を変えていくのです。
 そこから、出発すれば、「どこに決めようではなく、どこで決まる」
となってきます。これが、レベルアップにつながります。
 それでも決めたい人のために、代表的な3パターンを用いて、狙い
どころを図示します。多分、このような感じでできれば、4割程度の
確率でエースになるでしょう。また、「○○したい」「××が打ちた
い」と自分の願望を相手に押し付けてはいけません。「○○しよう」
「××を打とう」と希望してやるのです。願望が叶えられなかった時
の落胆の方が、希望が叶えられなかった時に比べて大きいことが解り
ます。願望は自分に対して、希望は相手に対してのお願いだからです。
 ただ、考えてみて下さい。あなたの思い通りに人生が行かないのと
一緒で、これも一つの例に過ぎません。さらに、別の章で攻め方、守
り方、切り返し方等を図示していますので、これもあくまで、参考程
度にとどめておきましょう。
 
1.スマッシュは3つのコースに打ち分けること。(数字は優先順位
を示す。)
 自分の位置から見て、左のシングルスラインを狙う。
 自分の位置から見て、センターラインを狙う。
 自分の位置から見て、右のシングルスラインを狙う。
トップアンドバックで攻めているとき
 
   図12ー1     図12ー2     図12ー3
サイドバイサイドで守っているとき
 
   図12ー4     図12ー5     図12ー6
 
2.ドロップは3つのコースに打ち分けること。
 自分の位置から見て、左のシングルスラインとショートサービスラ
   インの交点を狙う。
 自分の位置から見て、センターラインとショートサービスラインの
 交点を狙う。
 自分の位置から見て、右のシングルスラインとショートサービスラ
 インの交点を狙う。
トップアンドバックで攻めているとき
 
   図12ー7     図12ー8     図12ー9
サイドバイサイドで守っているとき
 
   図12ー10     図12ー11     図12ー12
3.ドライブは3つのコースに打ち分けること。
 自分の位置から見て、左のシングルスラインとロングサービスライ
 ンの交点を狙う。
 自分の位置から見て、センターラインとロングサービスラインの交
 点を狙う。
 自分の位置から見て、右のシングルスラインとロングサービスライ
 ンの交点を狙う。
トップアンドバックで攻めているとき
 
   図12ー13     図12ー14     図12ー15
サイドバイサイドで守っているとき
 
   図12ー16     図12ー17     図12ー1
 
4.ハイクリアー・ドリブンクリアーは2つのコースに打ち分けるこ
と。
 自分の位置から見て、左の隅を狙う。
 自分の位置から見て、右の隅を狙う。
トップアンドバックで攻めているとき
 
   図12ー19     図12ー20     図12ー21
サイドバイサイドで守っているとき
 
   図12ー22    図12ー23     図12ー24
5.ロブは2つのコースに打ち分けること。
 自分の位置から見て、左の隅を狙う。
 自分の位置から見て、右の隅を狙う。
トップアンドバックで攻めているとき
 
   図12ー25    図12ー26     図12ー27
サイドバイサイドで守っているとき
 
   図12ー28     図12ー29     図12ー30
 
6.ヘアピンは2つのコースに打ち分けること。
 自分の位置から見て、ネットに近い左のシングルスラインを狙う。
 自分の位置から見て、ネットに近い右のシングルスラインを狙う。
トップアンドバックで攻めているとき
 
   図12ー31     図12ー32     図12ー33
サイドバイサイドで守っているとき
 
 
   図12ー34     図12ー35     図12ー36
7.プッシュ(サービスプッシュを含む)は3つのコースに打ち分け
ること。
 自分の位置から見て、相手の左足首を狙う。
 自分の位置から見て、相手の腹を狙う。
 自分の位置から見て、相手の右足首を狙う。
トップアンドバックで攻めているとき
 
   図12ー37     図12ー38    図12ー39
サイドバイサイドで守っているとき
 
   図12ー40     図12ー41     図12ー42
 
 以上狙いどころ列挙しましたが、多分中級者には荷が重い(多分6
割は返球されるので、自分たちの陣営が崩れてしまう危険性が大きい
から)のでお勧めではないことを敢えて申しておきます。でも、1つ
くらいは実行してみてください。勘違いされては困るのですが、矢印
はあくまでも、動く目安なので、このとおり動けばできるものではあ
りません。そして、パートナーと話し合いながらちょっと練習してみ
ましょう。うまくいったならば、試合で使ってみましょう。
 
さて、この章の題目の答えを述べますと、
 
どこに打っても決まらない!
 
これが本当です。
 
 余談:決まるようだとあなたは金メダル選手。