=================================================== 第11章 ラリーとは? バドミントンにおいてエースが決まるというのは、得てしてシング ルスゲームに多いものです。ダブルスに至っては、ある一瞬の相手の ミス(間違い:10章参照)からしかエースが生まれないのです。シ ングルスのラリーは、クリアー、ドロップそしてロブが多いけれども、 ダブルスは早いドライブのラリーです。なぜこうなるのかは、あとで 述べることにして、ラリーは見ている人には面白く、バドミントンの 競技としての凄さ、楽しさ、が、そこにあるといえます。ここで言っ ているラリーは、連続した速いショットの応酬を指しています。よく 「どちらかがミスをするまでが『ラリー』なのか」と質問されます。 とても良い質問です。この答えに入る前に、シングルスとダブルスの いわゆるラリーについて述べて見ましょう。 前述のラリーの違いは、コートに居る人数に依っています。シング ルスは自分と相手ですから、つまり1対1なので、それぞれの頭の中 で相手が打ってくるであろうショットの選択枝を常に考えなくても良 いのです。その選択枝とは、例えば、自分がネットより上にシャトル を上げた時、その落下点がコートの真ん中付近であれば、そのリター ンのショットは、相手の有利な確率の順に並べると、 1.スマッシュ 2.ドライブ 3.ドロップ 4.クリアー の4つのショットを考えればよいことになります。しかし、この中で、 4.はほとんど無視されます。また、3.もありません。それは、3. と4.は1.2.に比べリターンしやすいショットであり、それをリ ターンすることにより、逆に相手が有利になるからです。これがいわ ゆるショットの選択枝で、一般に「読み」と言っているものです。シ ャトルを打った場所にもよりますが、この数が少ないほど、シャトル への人間の反応はしやすくなります。 それで、シングルスは1人だから、選択枝が少なく単調(遅い)な ラリーとなることが多いのです。一方、ダブルスは、自分のパートナ ーに、あと相手を二人を考えないといけないのです。本当はダブルス の方が「頭が良い人」でないと(私はよく「賢い人」と言っている。 勉強のできる人ではない。)と難しいものなのです。でも、パートナ ーと考え方が相入れるものがあれば、全く問題はないでしょう。裏を 返せば、相性の悪い人と組めば最悪であって、楽しいバドミントンは できたものではありません。 ということは、二人で一つの考えでまとまっているのであるからシ ングルスと同じと考えればよいでしょう。つまり、じっくり考えてみ てください。攻めるときは、1つ(2人)対1人となっています。こ れが本当の2対1の攻め方です。 中級者の皆さんは聞いたことがあるでしょうが、弱い方ばかりを狙 う「勝ちにいく」2対1の方法とは全く違うものなのです。 まとめると、ダブルスのラリーは自分達に有利になるように相手か らリターンをもらうため、相手の1人の人を動かしてリターンさせる ということです。シングルスも結果同じなのです。上級者では、ダブ ルスは、お互いシャトルを振り分けられて、ドライブの応酬になりま す。そして、サイドバイサイドからトップアンドバックへの陣型を取 ります。 一方シングルスも自分に有利になるようにするのです。サイドをつ いたスマッシュ、カット、ドロップで相手を振り、スマッシュで決め るというようになるでしょう。 で、質問に戻りますが、ショットが速くても、遅くても、ラリーは ラリーです。シャトルの打ち合いを一般にラリーと呼んでいます。で も、私は、シャトルが飛んでいる時のみをラリーとは言わず、緊張の 維持でゲームをしている姿全体がラリーだと考えます。この緊張が切 れた時にラリーは終わったと考えます。つまり、一つのプレーに負け て、相手にサービス件が移ったり、得点を与えることになります。