URIELお迎え話

 いつかは、お教室君。
 ルカクリ、28系が好きな人なら、誰でも思うことだ。

 しかし、その入手は困難。京都のメイク教室を受講するには、電話予約戦争に勝たねばならず、しかも、電車賃その他、費用がかかる。そうかといって、オークションで高額になるヘッドを落札するのも、資金と気合がいる。

 つまり、右を見ても左を見ても、どちらも大変。
 どうしてこう、VOLKSの人形を手に入れるのって、いつも大変なのだろう?お金を出せばすぐに好みのものをほいっとばかしに手に入れられるものではない。(簡単にお金も出せないが。)
 それでも、欲しいぞ、という気持ちにさせるお教室君。なんて罪な奴なんだ。28系好きな人の中で、お教室君の魅力に逆らえる人が、どれだけいるのか?いないだろ?

 思い立ったら思いきし突き進むぞ、の人なもので、とにかく、ゲットへ向けてまた無理な計画をたてるハメに。(計画というほどのものでもないか)
 まず、ネットで電車賃を計算。京都までの往復の旅費とヘッド代金の総額が、オークションでの平均的落札価格を上回るかどうか。
 すると、やっぱり京都へ行くっきゃない、と出たね。
 あの、嫌になるほどつながらないという電話戦争に、とうとう参戦するのか。
 ま、信者としては、一生に一度は天使の里・聖地巡礼、せねばならぬか。
 そんでもって、メッカ巡礼を自慢するべく、エジプト人みたいに、家の壁に神殿やら飛行機の絵を描くのか(嘘つけ)。
 聖地巡礼すれば、あの世から天使がお迎えに来てくれて昇天できるか(まさか)。
 そのころすでに自分のホームページを作る計画とやらも頭にあったもので、サイトのネタの一つになるか、という計算もあった。

 さて、今年最初の第一次電話戦争勃発。

 つながりません。

 本当に、つながりません。

 つながらないんだってば。

 これまで生きてきて、はじめて、NTTのつながりにくいですメッセージ、聞きました。それも、何度聞かされたか覚えていられないほど…。あまり何度も聞いたので、メッセージのバックに流れる、ガーッ、という音だけで、またかよ、と速攻電話をかけなおすほどだった。
 電話がつながるかどうかは、運試しのようなもの。タイミングと機械によるチョイスに自分の運命がかかっている。(またオーバーな)そういう点では、ある意味、抽選で選ばれているようで、公平かもしれない。
 しかし、つながらなければどうしようもない。予約がとれなければ、お教室君との出会いはない。
 かけてかけてかけまくり、30分経過。
 そろそろ時間的にもうヤバイ。もう駄目か、と思った時だった。

「VOLKSです。」

 オヤジの声だった。お兄さんでも、お姉さんでもなく、おじさんの声だった。(こだわる)
「すみません、メイク教室の予約をしたいのですが…。」

「はい、2部の一名様のみ残っておりますが、よろしいでしょうか。」

 は、はい!? それってもしかして、ぎりちょん君か? 滑り込みセーフ、てやつか?

 里の予約、もしくは会員番号は、と聞かれ、本当に予約、これでOKか、と思うほどあっけなく電話は終わった。

 私のSD人生、もしかして本当にぎりちょん君かもしれない。荒夜の時もそうだったし。
 ま、とにかく、ぎりぎりにしろ、予約はとれたわけだ。それからは、切符を買いに行ったり、カイルをどうやって連れて行くかを考えたり、10日あまりはあっという間に過ぎた。

 さて、当日。里の地下にあるショップで、無事、お教室君をゲット。買う予定でなかったBヘッドのおまけとういうのもついてきたが、とにかくうれしかった。(当たり前。)
 里では、割と友達二人組みというのが多くて、私のように「お一人様」状態の人はいなかった。(私のまわりにSDという単語を知っている人はいない。)内気な人なもんで(え?)、ちょっとお二人様の間にずかずか割りこむ勇気もなく、ちょっと寂しかった。(その代わり、お二人様の会話、耳をダンボにして聞いていた。だって、耳に入ってくるんだもん。)
 そのあと、予定外の京都チャンネルのインタビューというハプニングを乗り越え、VALICOさんのメイク教室に参加。(VALICOさん、とってもかわいい人だった。)
 ここにいる面子で、電話をかけまくっていたのか、というまったくメイクとは関係のない感慨にひたる私。一番に電話予約できた人、誰?と思わず聞きたくなったが、さすがに初対面ぐるりの人には聞けない。
 でも、予約できなかった人もいっぱいいたんだろうな…。ホームページ上の予約だって、いっぱいだったもん。私も会員カードがなかったら、電話をかけられなかった。
 まあそれはさておき、なごやかな雰囲気の中、教室を受講し、行くとき同様、帰りもきつきつの乗り換え時間を何とかクリアし、無事に家へとお教室君を連れ帰ってきたのであった。

 さて、お教室A君のメイクだが、まったく気に入らない。色がいやだし、下まつ毛の描き方もぜんぜんなっていない。眉毛だってゲジゲジだし…。しかし、こればっかりは、しばらく修行するしかないね。おまけに、エアブラシ、持ってないし。筆でアイシャドーいれるとか、無理なことやってるし。そのうちエアブラシ購入話とかが脳内に持ち上がってくるのは、もはや時間の問題かと。

 ああ、やっぱりあそこは「悪魔のすみか」に名前を変えるべきだ。

PROFILE