鏡夜お迎え話

 遠い夜の人に目がいくようになったのは、いつのことだったか。(三体めともなるといいかげん、見つめる先も遠くなっていく。)
 カイルといっしょにワンオフコーナーに飾られていた、チャイナ風の格好をした遠夜を見たのが最初だったような。

 VOLKSのHPの写真を見る限りでは、お迎えする気になるような人形ではないと思っていた。(すまん。)
 その気持ちが180度変わったのは、よそ様でカスタムされた顔を見てからである。こいつは化ける、いじり倒すのも楽しいかもしれない。そう思うようになった矢先、ドルパで限定発売決定となったのだった。あまりにも良すぎるタイミング。しかしながら、身代金も用意しなくてはならい。うう。おまけに、ドルパ・アフターぶんの南条君も出回っていたから、二重の責め苦だ。

 遠い夜の人も、荒れる夜の人も、VOLKSの写真では、なんだか写真映りが悪いような気がするのだが、どうだろう?写真より実物は、ずっと良いのだけれど。逆の場合だと思い切り裏切られた気分になるから、ま、そんな写真のほうがよかったのだろうか?

 まあとにかく、南条君か、アフター・ウエッブ分の荒夜かしばらく迷い、そこで南条君をあきらめよう、と結論ずける私も、世にもめずらしい人かもしれない。
 だって南条君は、とにかくかっこいい。文句なく、かっこいい。着ている服も身に着けている靴もアクセサリーも、絶対、荒れる夜の人よりいい。(荒れる夜の人のデフォ服の後姿を見て、これは、○キブリの羽根か?と思った人は、きっと私だけではないはずだ!おまけに、あのキャッチ。ウケ狙いで作ったのか?というコピーだし。)
 それなのに、それなのに、荒れる夜の人をお迎えすることを決心した私。
 しかも、ウエッブ分を狙おうというずさんな計画。チャレンジャーだよ。あちこちのHPで、ウエッブ分は難しいことを知っているにもかかわらず。でも、一番近い天すみまで車で4時間ですから。それしか方法がないのだ。

 でも、それはとっても甘い考えだった。VOLKSのアフターウエッブ、なめちゃいかんよ。

 実際のところ、ネットでVOLKSの人形ゲットがこれほど大変なこととは思わなかった。
 それまで、時間を考えながら画面をぽちっと押したことなど、オークションか幻想水滸伝の限定版ゲットした時ぐらいだった。その時だって、勝負はものの一分くらいでついてしまったので、早押し競争か、ぐらいに考えていた。
 しっかしそれは、甘い甘〜い考えだったのだと思い知らされる。

 そう。まず、画面、動きません。

 ボタンを何度押したところで、無駄でした。

 それも、時報聞きながらぽちっとやったにもかかわらず、でした。

 そうしているうちに、品切れの文字が…。

 魂、抜かれました。もう、茫然自失。

 もう、名前まで決めていたのに…。

 もともと眼鏡キャラ好きの私。名前は、某○スト部の眼鏡キャラにあやかって、鏡夜と決めていた。草薙先輩でも、ヒムロッチでも、ジェイドでも、守村君でもよかったのだが、でも、鏡夜。(わかる人にしかわからんキャラ名だな。)
 なのに、なのに、うちに来てくれないの?

 ヤフオクには、早くも朝買ってきた商品を転売しようという人が出品していた。ぽちっとやれば、手っ取り早いことはわかっていたが、ショックが大きかったせいか、そんな気にはなれませんでしたよ、まったく。

 ぼーっ、と半日を過ごした後、再びネットをつなげた私。未練たらしいのはわかっていたのだが、やはり、ねえ。
 案の定、VOLKSのウエッブ・サイトは開かない。あっちのサイトやら、こっちのサイトをまわり、再びトライしてみたのは、夕方五時ごろだったような…。
 ああ、やっとつながったよ。ほんと、サーバー、もっとすごいのに代えなきゃ駄目だよ、VOLKSさん。
 そんな私の目に飛び込んできたのが、残りわずか、の文字。

 え?品切れだったんじゃないのか?

 なんかもう、不意打ちくらって、くらくらしちゃいました。
 買います。もちろん。身代金、払います。
 あわててログインし、購入手続きにはいる私。
 ああ、やっぱり鏡夜君は、うちの子になる運命だったのね。そうだよそうだよ。いきなり起こった出来事に、思い切りハイになっていた私。それなのに、そんな幸せいっぱいの私の前に、突然飛び込んできた横文字…。

 は? なんですと? ここまできて、エラー?

 しかもそのエラー、あと確認画面が出れば購入手続きOKになるはずの場面だった。(そう。あと一山越えれば、だったのだ。)
 もしかして、残りわずかの文章、何かの間違いだったのか?
 私と鏡夜君との間に立ちはだかる最後の難関。
 そのあと30分くらいクリックし続けたが、エラーの連続。とにもかくにも、何度トライしても開かない確認の画面。
 30分たつと、確かショッピングカートから品物は消えてしまうようなことを私は読んだような気がするぞ…。やっぱり、鏡夜君とは縁がなかったのか?

 しびれを切らした私。もう一度、購入画面から手続きしなおすことにした。それだって、なかなか画面が開かなかった…。(うちは光100メガのはずなのに。)
 やっと開いた手続き画面にログインする私。しかし、そこには…。

 限定のため、同じ人が同じ商品をさらに買うことはできません。

 なんですと?!

 あわててメールを開くと、購入手続き終了のメールが来ていた。

 え? あれでええんかい?
 もしかして私って、30分以上も思い切り他人様の邪魔をしていたわけ?クリックしまくり、サーバー攻撃状態?

 そうなるねえ。(遠い目)

 それにしても、そんな目にあった人は、私だけではないはず。
 みんなみんな、同じ様に熱くなった状態で、クリックしまくっていたに違いない。それでもって、余計にサーバーはパニくっている状態になっているのでは…。

 VOLKSは、サーバーを強化すべし。

 ほんと。どうにかしておくれ。新作制作もいいが、パンク寸前のサーバーは困りものだよ。勘弁してほしい。
 時間差設けたくらいでは、どうにもなりません。時間差設けても、これだもの。それ以前は、もっと凄かったんだろうな。
 だが、この事態を打開するには、やはり同じ様にいっぺんに全国からクリックされてもさくさく開く、プレステ・ドット・コム並みのサーバー、構築しとくれ。全国SDファンを代表してVOLKSに声を大にして言いたい。

 それにしても、その日一日、すごい一日でした。
 それからしばらくすると、荒れる夜の人はさすがにお品切れ。ぎりちょんだったのね、私。そいでもって、なんだかわけのわからぬまま、いつのまにかすんでいた購入手続きのおかげで、うちへいらっしゃいました。

 VOLKSのHPでの写真がいまいち君だったので、うちに来たら速攻、ピンクの口紅落としをくらう予定だった鏡夜君。予想以上の美形だったため、未だにデフォメイクのままです。それでもって、南条君のような服を自分で作って着せているのは、やっぱり南条君への未練です。(だって、かっこいいんだもん。)

鏡夜の受難

 懺悔です。カイルと比べれば、たいした受難とはいえないにしろ、やはり私からの洗礼を受けたにはちがいない。
 やっちゃいましたよ。何か人形のために、と私が思いつくことは、たいてその人形のためになっていない、というジンクスができそうです。
 デフォの目です。はい。4箇所とめられていたボンドがなかなかとれなくて、デザインナイフで切り込みをいれるようにしていたところ、傷がついてしまいました。
 すまん。鏡夜。

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