雛 お迎え話

   

 雛ちゃんは、お教室Bヘッドである。
 もともとAヘッドが欲しかった私は、はっきり言って、Bヘッドをお迎えする予定はなかった。
 それがどうしてお迎えすることになったかというと、ひとえにそれは、天すみのお兄さんの陰謀である。
 もともと眼中にはAヘッドしかなかったため、Aヘッドください、とショップのお兄さんに言ったところ、Bヘッドはどうされますか?と聞かれたのである。
 ま、買えるのなら、普通、聞かれるのは当たり前。
 どちらか一つしか買えないものと思いこんでいた私は、つい、Bヘッドの顔を見てしまったのだ。
 そこでお兄さん、一言私に向かって言ったね。

 あとからやっぱりBヘッドもください、と来られるお客さん、多いんですよね。

 それは、私のことかい?あとから、やっぱりBちゃんもゲットしときゃよかった、と後悔するであろう私の気持ちを見越していたのか?

 うーん。しばらくうなってショップのカウンターの前で腕組みする私。女の子ボディが買えそうにないことは目に見えていた。大好きなAヘッドのほうだって、ボディのほうはいつになるかわからない。
 しかも、せっかく天使の里にまでやって来ているというのに、フルチョもできなければ、ワンオフの抽選にも参加できない貧乏状態。
 しかし、しかし、だ。次に京都へ来れる日は、いつになるかわからない。しかも、教室の予約をとれる可能性ともなると、またさらに、怪しい。

 いただきます。

 あっさり陥落。お教室ヘッド両方、ゲットしてしまいました。

 Aヘッドといっしょにメイクしたので、色がいっしょです。いまいち、どうしていいかわかっていないもんで。しかも、女の子にもかかわらず、気の強そうな眉。もっとぽわんとした顔にしてやればよかった。ま、そのうちまた、直します。修行せねばならんしね。とりあえず、第一号メイクということで。
 ところでこのヘッド、京天使白鳥に似ているような…。ただし、口元がまったく違うけど。
 そしてこの口元が、私には気になるのだ。気になりはじめると、止まらない。なんか、下唇が特に突き出しているような…。

 そのうち、削るね。間違いない。

 そいでもって、私の洗礼を受けるのか。

 ここは一つ、雛ちゃんの無事を祈ってておくれ!

PROFILE