ヤミ鍋!

 ウリエル「(し〜ん、とそ〜っ、と)。」

 アリス「カイル君、サングラスなんかして、どこに行くの?」

 ウリエル「(びっくぅ。)」

 アリス「あら、カイル君じゃなくてウリエル君だったの。カイル君は?」

 ウリエル「昼寝中…、だった…。」

 アリス「ふ〜ん。ウリエル君、カイル君のボディで、イケナイことしちゃダメよ。」

 ウリエル「う…。(話をそらさねば。)こ、これは、何?何の箱?」

 アリス「ああ、それはね。北海道に行った叔父様が送ってくださったのよ。北海道産地直送うまいもん市場海の幸三昧セット。豪華でしょ?毛ガニとイクラと数の子よ。」

 ウリエル「確かに豪華なラインナップではあるが…。これって、小さくないか?小さすぎて写真では正しく毛ガニと認識されんぞ。」

 アリス「そうね。でも叔父様って、小柄な方だから。」

 ウリエル「(そういう問題ではないと思うが。)一口サイズだ。叔父さん、なんで北海道へ?」

 アリス「開拓民になるんだって。」

 ウリエル「(開拓…民…。)」

 アリス「そういえば、カイル君の実家からも宅配便が届いていたのよねぇ。箱には、素敵な海の幸・山の幸セット、て書いてあったけど。」

 ウリエル「おお、それは期待できるな。開けてみろよ。早く開けないと、腐っちまうかもしれんぞ。カイル、寝てるし。」

 アリス「そうね。あら、お手紙だわ。みなさんでどうぞ召し上がってください、ですって。」

 ウリエル「よしよし。気が利くじゃないか。じゃ、開けてみようぜ。オープン・ザ・ボックス!」

 (じゃ〜ん!素敵な海の幸セット。)

 (じゃじゃ〜ん!素敵な山の幸セット。)

 ウリエル「これ…、これを、食べろってか?(猫やインコが山の幸?アメンホテプ三世って、いつから山の幸になったんだ。)」

 アリス「そ、そのようね。」

 (し〜〜ん。)

 ウリエル「あいつの家って、いったい何者なの?」

 アリス「え、ええと。そ、そういえば、知らないわ。」

 ウリエル「ていうか、カイルの奴、こんなもん食って育ったのか?」

 アリス「う…、ん…。でも、せっかくいただいたものなのに、食べないわけにもいかないわよね。」

 ウリエル「確かに…。食べ物を粗末にするとバチが当たるぞ、とじっちゃんがよく言ってたし。」

 アリス「そ、そうだわ!鍋、鍋よ!」

 ウリエル「ナベ?」

 アリス「ええ。ほら、こうやってぜ〜んぶナベにいれちゃって、ぐつぐつぐ〜つぐ〜つ煮込めば…。」

 ウリエル「あ。カニが逃げるぞ!」

 アリス「そ、そうよ。ヤミ鍋よ。それっきゃないわ。」

 ウリエル「絶対腹壊す奴がでるぞ。どうすんだよ。」

 アリス「大丈夫よ。ホラ。」

 ウリエル「う、お薬セットだ。」

 アリス「叔父様が、もしもの時のために、て置いていってくださったの。」

 ウリエル「(また叔父様かい。)」

 アリス「ほら、胃薬も入っているわ。」

 ウリエル「て、これもまた小さいじゃないか。限定一名様用になるぞ。奪いあうのか…。」

 ウリエル「で、これは、誰が食べる?!アメンホテプ3世陛下。ファラオの呪いがかかりそうだぞ。まぁ、ちょっと前の時代まで、ミイラは万能の薬だとかいって、ごりごり削っては飲んでたらしいが。台座付きだぞ、これ。」

 アリス「さ、さあ…。どうしたらいいのかしら。でも、きっと、スリル満点よ…。みんな手に汗しながら心臓ばっくばっくさせて…。ああ、考えたらドキドキしてきちゃった。」

 ウリエル「(ぽつり)心臓、止まんなきゃいいがな…。」

 ウリエル「とりあえず、茶でも飲もう。気持ちを落ち着けないと。」

 アリス「そ、そうね。そうしましょう。」

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