ALICE 〜らぷんつえる〜

 寂しい森の中。
 扉もなければ鍵もない、
 そんな塔のてっぺんに
 一人閉じ込められてしまった人。

 婆様と羽を持つもの以外に
 あなたの部屋を訪ねるものはなかった。

 なぜならあなたは…。

 比べることも、比べられようもなかった人。

 疑うことも、疑いようもなかった人。

 だから請われるままに、その美しい髪を窓の外へとたらしてしまうのだ。

 はじめて目にした他人。

 その目には、どんなふうに映ったのだろう?

 拒むこともなく、ただ、水が流れていくように流されていく人。

 何を想って、暮らしたのだろう?

 いくつかの夜、いくつかのおとない。
 重なった日々。

 そんな日々が当たり前になった途端に暗闇を招きいれ、

 はじめてあなたは意志を持つのだ。

 本当はこれ、ジューン・ブライドにする予定だったのだけれど、アリスに着せてみたところ、どうもこれが、嫁に行く顔じゃあない…。(嫁に出す予定もないが。)てなわけで、急遽タイトルを変更。ラプンツェルになりました。
 白い生地だったのだけれど、ちょっと黄ばんでいたので、紅茶染めしました。ゆえに少しばかりエクリュな色合い。
 ネックレスは、貝パール。首まわりの長さぶんくらいがちょうど残っていたので。
 薔薇は、ジャック・カルチェ。一輪あると、とってもいい匂いがする。

 それにしてもこのての物語って、考えれば考えるほどスゴイことになっていて…。
 例えば、ラプンツェルの母は、「あれを絶対食べたいの!」としぶる旦那に魔女の庭から欲しいものを泥棒させるし、旦那は旦那で、魔女に脅されて赤ん坊を渡してしまう…。魔女の脅しが怖くて育児放棄する旦那に、食いしん坊万歳の妻、でもって極めつけは「監禁」婆!
 なんだか無責任な大人のオンパレードで、昔も今も、ヤバイこと考える人がいたものだと思うのだよ。

 さて、塔に閉じ込められたラプンツェルであるが、なんだかこの人って、まったく主体性が見えない人なのだ。
 監禁婆に閉じ込められて育ったせいか、世間知らずもいいとこ。塔から逃げるわけでもなく、王子にさからうでもない。連れて逃げてくれとすがるわけでもない。情念のようなものがまったくないのだ。
 それでいて、彼氏が出来た喜びいっぱいのせいでか、うっかり監禁婆に彼氏の存在を気取らせてしまう間抜けぶり。おまけに魔女から彼氏をかばうこともできない。
 この人が人間らしさを見せるのは、これから後のことなんだよなぁ。

 しっかし、髪の毛をよじのぼるって、誰が思いついたんだろう?サーカスとかで、長い髪に自分の体重を支えさせる人とか見たことがあるけど、ああいう芸って、昔からあったのかなぁ?
 髪の毛の長さがわかれば、塔の高さもだいたいわかると思うのだけれど、いったいどのくらいだったのだろう?
 十二単を着ていた頃の話で、その髪の長い人が廊下を渡っても、まだ毛先は柱のとこにあった、というような記述をどこかで読んだ覚えがあるのだが…。
 ギネス記録をネットで調べたところ、5・627メートルらしい。となると、3階建ての窓あたりから髪をたらすことになるのかなぁ?

 王子もなぁ〜、不法に家宅侵入の人だよねぇ〜。
 ちょっとキレイなお姉さんがいるからって、よじ登って軟派するのか?しかも、だましてだよ。本能のオモムクままに行動する、悪い奴じゃないか。王子でなけりゃ、袋叩きにあうのがオチだって。
 それに、ラプンツェルが閉じ込められているのを知っていながら、すぐにそこから出してあげないで通うのだよ。実は責任とるつもりなんか、全く無かったんじゃないかねえ。

 それにしてもラプンツェル、いつもの婆よりも身長・体重割り増しなカボチャ・パンツのやつをよくまあ引き上げれたもんだ。
 確かに監禁婆を毎日引き上げていたから、閉じ込められているとはいえ、力持ちだったかもしれんが。
 そう考えると、キレイな顔に太くたくましい首を想像してしまうぞ…。

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