お読みになる前に
相棒リクエストの「鬼畜ハウル」です。が・・・・お祝いにならないよ!これ!
こんな激しさも身勝手さもハウルだと思う私が鬼畜!
ハウル像が崩れてしまうのが怖い方は、読まないでください!
まあ、私が書いてるので生ぬるいんですよ?あくまで!
最後はいつものへタレハウルですし・・・;
激しいものがお好きな方も、管理人書けませんのでありませんよ!
私が鬼畜と思うのはこの程度ってことです。それ以上はもう表におけませんよね。
これもどうかと思うけれど・・・!?
鬼畜=鬼、畜生。残酷なことをする者
それでもOKなお心の広い大人な方のみどうぞ?
生ぬるいですよ!(しつこい!)
↓
「別れましょう」
「もう!ハウルなんて知らない!」
ソフィーは腕を掴んでいるハウルを睨みつけると、思い切り振り切って扉へと歩き出す。
「ちょっ!待って!ソフィー!!」
ハウルは慌てて扉の前に立ちソフィーの行く手を遮る。
「どいてよ!あんたの顔なんて見たくない!あんたは・・・好きなご婦人と仲良くすればいいわ!」
ソフィーはキッと鋭く睨む。両手に作った握りこぶしがぶるぶると震える。
「ソフィー、ごめんよ!あの娘さんとは何でもないんだ!」
ハウルは両手を振り回して、必死に言葉を探す。
「あんたは『何でもないご婦人』の手をとって腰を抱いて歩いたり、カフェで楽しげに話をするわけね!?」
ひきつった笑顔を貼り付け、頬や眉がぴくぴくと震える。
「あたしがお店のお客様とちょっと親しげに話すだけで、あんたはヒステリックに騒ぎ出すのに!自分は何をしてもいいってのね!?」
唇を噛み締めるソフィーの瞳には涙がたまり、今にも零れだしそうだ。ハウルは真っ青になってソフィーに歩み寄る。
「それは・・・、ねえ、ソフィー落ち着いて・・・!」
「・・・・・・・・・」
ソフィーは肩を震わせ、俯く。
「ソフィーあのね、あの娘さんはさ、あんたと同じ髪の色をしていて・・・・、」
慌てて言葉を紡ぐハウルは、冷や汗が背中を伝うのを感じる。焦りからかいつもより早口で、なんとかソフィーの機嫌を直そうとする。
「ちょっと声をかけただけなんだよ!?ソフィーとこうして歩いたら楽しいだろうな・・・とか・・・!あんたは忙しくて相手をしてくれないだろう?だから・・・・」
自分の言葉があまりもの理由を吐いていることすら気づかないほど、ハウルは混乱していた。
「・・・・・・・・・」
「ね!ソフィー・・・?あんたが心配するようなことは、何にもな・・・・」
恐る恐るハウルが指を伸ばすと、俯いたソフィーがぽつりと漏らす。
「・・・もう、いや・・・」
ソフィーの髪に触れるぎりぎりのところで、ハウルの指が凍りついたように止まる。ぽたぽた、と涙の粒がソフィーの足元に落ちる。
「・・・!!ソフィー、泣いてるの!?」
素っ頓狂な声をあげ、おろおろと手を動かすが我慢できないとばかりにソフィーを掻き抱く。
きらきらと輝いて落ちていく涙は、まるで自分への想いを溶かして流している気がして、ハウルはいいようのない不安に襲われる。
「ああ、ごめんよソフィー!あんた以外に愛する人なんていないんだ!」
ソフィーは気丈に顔をあげると、瞳を真っ赤にしてハウルを拒絶する。
「・・・もう、うんざり!あんたはヤキモチ妬きのくせに、自分は平気でナンパして歩くのね!自分勝手な言い分が通ると思っているの?・・・あたしはそんな理由を聞いて嬉しくもないし、許す気にもなれない!好きにすればいいわ!あたしは、もうごめんよ!」
ハウルの腕の中から抜け出すと、ソフィーはハウルを押しのけ扉に手を伸ばす。
「ソフィー、ごめんってば!」
ハウルは今や蒼白になり、苦しそうに胸を押さえると泣き声に近い声をあげる。
ソフィーは両手で自分を抱きしめ、想いを吐き出すように静かに言葉を紡ぐ。
「・・・・ハウル・・・・あたしたち、終わりにしましょう・・・・?」
- 凄まじい痛みとともに、心臓が一瞬鼓動を止める。
ソフィーは何を言ってるの?
それがどういう意味かわからない、そんな表情のハウルは息を止めてソフィーを見つめる。
「・・・別れましょう?・・・こんな惨めで、情けなくて、切ない想いは、もう、たくさん。」
ソフィーは噛み締めるように、一言一言はっきりと告げる。揺るぎない瞳がハウルを貫き絶望の淵まで一気に追い込む。
「何言って・・・」
「貴方のお相手した女性たちは皆さんとても美しくて、自信に溢れた方たちばかりよ!みんな、ここに訪れては・・・貴方にいかに愛されたかを披露していってくださるの。あたしが聞きもしないのに、いかに自分が相応しいか、いかに自分が貴方を愛してるか。」
時間が凍りつき止まる。痛いほどの空気が纏わりつき見えない刃が互いの心に傷をつける。
「貴方は・・・あたしが気がつかなかったとでも思ってるの?酷いオトコ!それともあたしを試していたのかしら?生憎、あたしはそんなに心が広くな・・・もう、そんなこともどうでもいいけれど!」
ソフィーは一気にまくしたてると肩で息をつく。涙はとめどなく頬を伝い流れ落ちる。体中に震えが走り、苦しくて嗚咽をあげかけるがぐっと飲み込む。いつからこうして耐えていたのか、溜めていたものを吐き出すと、それでもソフィーは笑顔を繕う。
時間を止められた絵画のように、美しい顔を強張らせたままの・・・ハウルを見据えて。
「・・・別れましょう?そうしたら貴方はこんな風に嫌な思いをせず、気に入ったご婦人と逢瀬を楽しめる。・・・あたしも、苦しまずに済むわ。貴方は自由に、生きて行けるのよ・・・!?ね、ジェンキンスさん・・・?」
ゆらりと、ハウルから激しい炎が揺らめきたつ。
凍りついた碧眼が凶暴な輝きを放ちだす。
「ソフィー、なんで、そんな他人行儀な呼び方するの・・・?!」
静かな言い方とは裏腹に圧倒的な威圧感がソフィーに向かって発せられる。ソフィーは一瞬たじろぐが、目を逸らすまいと懸命に睨みつける。
「他人に戻るんだもの。貴方は、偉大な魔法使いハウル殿。あたしは、しがない帽子屋のソフィー・ハッターに!」
バン!と目に見えない力がソフィーをベットへ突き飛ばす。
ソフィーが驚いて半身を起こし、抗議をぶつけようと口を開きかけると、ハウルがしなやかに飛びつき、ソフィーの口を唇で塞ぐ。
「ん・・・・っ!!!」
突然の行為にソフィーは目を見開き、奥深く入り込もうとするハウルの唇に噛み付く。
「つっ・・・!」
さすがに唇を離し手で口端を拭うと、ハウルはにやりと笑いまた唇を捕らえる。ソフィーの口内に血の味が染み込む。ハウルの唇から受ける責め苦に耐えかね、また噛み切りたい衝動を感じるが口の中に広がる血の味が思い止まらせる。ソフィーのそんな様子に口端を上げると、ハウルはゆっくりと唇を離し、ソフィーをベットに沈める。
「ソフィー、それだけは許せないよ?僕と離れて、僕を一人にするなんて、許さない。僕たちは夫婦だ!例えあんたが拒否しても、僕は認めない。あんたと別れてなんてやらない。あんたは僕だけのものだ!」
残忍なまでの冷たい瞳に、ソフィーは言葉を失う。
なんて身勝手なオトコだろう!?
押さえつけられる腕に力を込めて抵抗を試みる。ぴくりとも動かせない自分の腕に、ハウルの長い指が食い込む。ハウルの表情は冷酷な微笑みを浮かべているにも関わらず、瞳の奥深くでは悲しみに打ちひしがれた子どものような儚さが覗く。ソフィーはその瞳に捕まったことを、激しく後悔し、今更その瞳に心を奪われる自分を呪う。
そんなソフィーに気づかず、ハウルは絶望の底でそれでもソフィーを捕らえることだけを願う。
「あんたの体中に刻み込まれた僕の呪いを発動させてでも、離れさせない。毎夜どれだけの想いをあんたに刻み込んでいるか、あんたが一番知っているはずだよ?ソフィー。それとも、まだ足りない?・・・別れたいなんて言えないように、僕と離れて生きて行けないように・・・・もっと刻み込んであげる。」
「・・・やめて!ハウル!もう、イヤ!」
どこにそんな激しさを潜ませていたのか、ハウルはソフィーのドレスを両手で引き裂き白い肌を露にすると、噛みつくように口付けていく。ソフィーの瞳には恐怖から再び涙が溢れ出す。そんなソフィーはぞくぞくする美しさで、ハウルは自分の中の激しい独占欲と情欲に支配されていく。
「お願い、ハウル、やめて!」
「やめない。」
ハウルは自分でもわかっていた。酷い仕打ちをしているのは、自分なのだと。ソフィーがその一言を発するのにどれだけ耐えてきたのかを。全ては自分の招いた結果であるのだと。それでも、ハウルはどこかで安心していたのだ。
『ソフィーは僕を見捨てない』
勝手な言い分。そしてそれを試すかのような、ゲーム感覚の行為。口付けはしても、肌を重ねるわけじゃない。そんな言い訳をしながら、楽しんでいたのは事実。そして、その度に感じる螺旋くれたソフィーへの愛情。それは決して揺るがない、ハウルにとって唯一の存在意義。
「あんたが僕なしじゃ生きていけないと・・・・思うまで、・・・・僕はあんたを離さない。・・・・別れたりしない。・・・あんたがこの僕に心を取り戻させたんだから・・・!こんな気持ちを、与えたのは・・・ソフィー!あんただ!」
悲鳴をあげるソフィーを押さえ込み、打ちつけながら、ハウルは激しく口付ける。
「・・・・っ!・・・酷いオトコ!」
ソフィーは苦しそうにそう呟くと、身体を仰け反らせ・・・・・・・意識を手放した。
痛いくらいの静寂・・・。
ハウルはソフィーに口付け・・・・・・・その白く滑らかな肌の上にぽたぽたと涙を落とす。
「ソフィー、ソフィー・・・ごめんね・・・」
心の中で愛する妻の名を呼び続けながら、呪いに似た願いを唱える。
ソフィーは僕を見捨てない。ソフィーは僕を愛している。
涙の痕を辿りながら、あどけないソフィーの表情に胸を締め付けられ、ごめんねと何度も呟く。
自分の行動で苛むソフィーを愛しくて仕方なかったなんて。どこまで僕ってどうしようもないの・・・。
こんな方法であんたの愛を試してる。僕ってただの臆病者。
・・・ソフィー、お願いだよ・・・その一言だけは・・・もう二度と言わないで・・・
end
ひ、ひどすぎる・・・><え、全然甘いですか!?ソフィーがカワイそうで。
しかし、お祝いにする題じゃなよね><それでも喜んでくれた相棒愛してるよ!
あまりにもなので続き・・・「どうしようもない」
挿絵を描いてくださったハイネさんありがとう!