絵チャでの素敵ハウル&サリマンに妄想・・・。
相棒&葉さん&まろさんへ捧げます。
え、いらない!?失礼しました〜><



accomplice



のらりくらりと避けてきたハウルにとって、その日はとくに憂鬱な日だった。

何で、こちら側に来てまで・・・誰かを傷つけることを?

執務室で溜め息をつくと、その部屋のもう一人の主である大柄な男が気遣わしげに声をかけてくる。
「ハウル、まだ決まったわけじゃない。それに何か・・・別の解決方法が・・・」
この男が、同じように苦悩しているのは傍から見ても明白であるが・・・それでもハウルの気持ちを察して思案している。
「・・・サリマン、・・・レティーに話した?」
椅子の背もたれに思い切り身体を預けて天を仰ぎ碧眼を閉じると、ハウルは探るように尋ねる。

今朝の僕は完璧だった?ソフィーには・・・まだ気づかれてない?

ここ数日、ハウルとサリマンを悩ませていた唯一つのこと。
王のいつもの我儘なのか?それとも自分たちの与り知らぬ政が行われているのか?
ついには弟であるジャスティン殿下を将軍に据えてしまった。

・・・隣国との戦。

何故、王は戦いにこだわるのだろうか?

そんな問いが頭を駆け巡り・・・嫌悪する気持ちと・・・持て余す魔力を・・・開放する機会だということが、ハウルの体の血を騒がせる。

・・・ソフィーには知られたくない。
時間の問題ではあるけど・・・。せめて、興奮する気持ちは悟られたくはない。
・・・何故、僕は王に力を貸すんだろう?

今までも何だかんだと言いつけられた仕事をこなしてきた。
戦の道具も・・・その一つ。
王から頼まれ、戦争で傷付いた戦士たちが使う応急セットから・・・兵器の開発まで・・・。
頼まれれば面倒なことはさっさと終わらせてしまいたくて・・・よく考えもせずに自分の才能を如何なく発揮してきた。

結局、自分で自分の首を絞めただけってこと?

苦笑して思い浮かべるのは、こんなキナ臭さとは縁のない・・・愛しい人。

ソフィー・・・

その名前が楔となって、胸に突き刺さる。
ハウルは己の心臓を鷲掴むように、ローブを握り締める。

「あんたは隠し事が苦手だものね。きっと話したんだろう?」
自嘲的な微笑を浮かべ、窓辺に立つサリマンを見上げる。自分の臆病さと本心を上手く表現できない子どもっぽさを自覚して。
「・・・いいや。この件に関しては・・・レティーに伝えていない。私も、怖いんだ。」
そう言ってサリマンが顔をしかめると、執務室の扉が叩かれる。
空気が硬質なものに変わり、痛いくらいの空気の層が二人を包む。
「お呼びだね。」
ハウルはわざとらしく明るい声を出すと、ひらりと椅子から立ち上がり、肩を落とす相棒の背中をトンと押す。
「王様の勅命がくだる。僕らは結局従うしかないんだ。・・・どちらに転ぶかは・・・もう決まってる。僕らはしがない王室付き魔法使いさ。」

納得なんてできなくても・・・。

二人は恭しく頭を垂れる従者に付き従い、ローブを翻すと、王の間へと向かった。



蒼白なサリマンと無表情なハウルが王の間から出てきたのは・・・ほんの数分後。



「宴の用意をしてある。何、大魔法使いがいるのだ!祝勝会といってもいいのだが」
笑顔で締めくくる王とは対照的に、跪いたまま返事をしようともしないハウルを横目に、サリマンは静かに異を唱える。
「ですが、王。この戦いで傷付くのは・・・」
「わかりました。仰せのままに。」
その言葉に弾かれたように傍らのハウルを見つめる。
凍りついたかのような美しい・・・微笑。まるで感情を封印したかのような・・・。
「ハウル!」
サリマンの非難めいた声を遮るように、ハウルはさっさと王の執務室から引き上げる。
背を向けたその表情は、今にも泣き出しそうな悲しい眼をしていることに本人は気づいていないのだろう。サリマンは追いかけるように廊下に飛び出した。


そんな二人の目に飛び込んだ・・・別世界の光景。
戦とは程遠い場所で安穏としている大臣たちが・・・中庭で開かれている宴に浮かれている。
中庭からは・・・重鎮たちの期待に満ちた視線。

思わず立ち止まり、互いに寄りかかるように重い身体を支えあう。

なんなんだ・・・。これが人の命を左右する国の中枢で行われること?

思わず馬鹿らしくなり苦笑する。
そんなハウルに多分同じように思っているであろう、同僚の呟き。

「ハウルほんとうに戦争に加担する気か?」

本心が別のところにあることは明白だ、そう言いたげなサリマンが、半ば呆れたように尋ねる。

「・・・さあね。」

後に引けない罪の道はすでに始まっている。その事実がいつか災いをもたらす。

- どうせ血塗られた道なら・・・。

僕が関わることで・・・最小限に食い止められる?

- ああ、僕はなんてずるくて臆病で。

僕の力はどこまで通用するんだろう?

- どこまでも自惚れ屋。


「ねえ、僕らはいつから王の共犯者になったんだろうねえ?」

こんな、恐ろしい僕を・・・あんたは愛してくれるかい・・・?ソフィー?










end






またやっちゃった・・・激しい捏造・・・;;