奉教趣意書(口語訳)

  私たちが、キリスト教を学んだところ、大変教えられるところがあった。
以後、これを学べば学ぶほど喜びが得られる。そこで、このキリスト教を日本国中に伝道し、国民を啓発したいと思うようになった。
  しかし、キリスト教の深い真理を知らないで、古い伝統と習慣に縛られている人々が少なくない。この現状に、いたたまれないもどかしさを感じる。この際、私たち、新しい大きな使命を担う青年は、一大決心をし命がけでキリスト教が公明正大な宗教であることを、明確にして行かねばならない。この決意の実行に、私たちは最も力を尽くすつもりである。
  そこで志を同じくするものが、花岡山に登り、一致協力してキリスト教の信仰を守って行くために、次の約束をする次第である。

1.キリスト教を信じる者は、互いに兄弟としての交わりを持ち、生活全般にわたって、互いに戒め合い忠告し合いながら、良い行いを実行しなければならない。

1.いったん、キリスト教の信仰を持ちながら、信仰にふさわしい生活ができない者は、神をあざむくことになる。また、自分自身の心をもあざむくことになる。このような者は、必ず神の罰を受ける。

1.今日、日本国民の多くは、キリスト教を拒否している、それ故に私たちの内、たとえ一人でもキリスト教を捨てる者は、世間の物笑いになるだけでなく、私たちの折角の決意をも踏みにじり、実行不可能にしてしまう。ともども、努力しようではないか。

                             1876年 1月30日 日曜日 記す