神様が祝福の民として選ばれた最初の人アブラハム。その子イサクそしてヤコブと続きます。
このヤコブの子がヨセフです。ヨセフの母はラケルといいます。彼には10人のお兄さんがいますが、皆異母兄弟です。父ヤコブは、ヨセフを特別扱いするので、10人の兄たちはおもしろくありません。
そんなある日、羊を飼っている兄たちのところへ、父の使いでヨセフがやって来ました。兄たちは彼を見ると、これはチャンスとばかり、彼を捕らえ殺そうとするのです。嫉妬って恐いですね。長男のルベンは「殺してはいかん」と止めに入ります。けれども他の兄たちは、ヨセフを穴に放り込んでしまいます。丁度その時に通りかかった商人にヨセフは売られてしまいました。父ヤコブには、羊の血の付いた服を見せ、弟ヨセフは獣に襲われて死んでしまったと嘘の報告をするのです。さてヨセフはエジプトの高官に買い取られ、奴隷として働く身となりました。その主人に忠実に仕える内に信頼されるようになり、家の財産の管理を任されるのです。ところが何ということか、主人の妻がヨセフに言い寄るのです。ヨセフは断固として拒み続けるのです。あるとき誘惑を振り切って逃げるときに、上着を剥ぎ取られてしまうのです。
主人の妻は腹立ち紛れに、主人に「あなたの雇った奴隷が私に乱暴を働きました。私が大声を上げると、逃げてしまいました。この上着が証拠です。」と、とんでもない嘘を言うのです。主人は妻の言い分を鵜呑みにし、ヨセフを牢にぶち込んでしまいます。ところがあることをきっかけに、エジプト王の見た夢を解き明かし、その事を通して、王の次に偉い権力者となりエジプトの国を飢饉から救うのです。この飢饉はエジプトの国のみならず、周辺国にも及びます。ヨセフの父ヤコブの住むカナンの地も飢饉のため、食糧は尽きてしまいます。ヨセフがエジプトの王に続ぐ権力者となっていることなど露知らず、兄たちを食料を買うためにエジプトへ遣わします。
やって来たこの者たちを、ヨセフは兄である事を直ぐに知ることになるのです。自分を売り払った兄たちですが、そこには色々駆け引きはあるのですが、最終的には、彼らを赦すのです。その辺の経緯はぜひ旧約聖書、創世記42章以下をお読みいただければと思います。
さて、ヨセフは、兄たちに「私は、あなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。」と素性を明かすのです。
「45:5 私をここに売ったことで、今、心を痛めたり自分を責めたりしないでください。神はあなたがたより先に私を遣わし、いのちを救うようにしてくださいました。
45:6 というのは、この二年の間、国中に飢饉が起きていますが、まだあと五年は、耕すことも刈り入れることもないからです。
45:7 神が私をあなたがたより先にお遣わしになったのは、あなたがたのために残りの者をこの地に残し、また、大いなる救いによって、あなたがたを生き延びさせるためだったのです。
45:8 ですから、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、神なのです。神は私を、ファラオには父とし、その全家には主人とし、またエジプト全土の統治者とされました。」(創世記45：5〜8)と。
ヨセフにとって自分の身に起こった痛み苦しみは、全能なる神様のご計画によるのだと受け止めたのです。
しかし兄たちは、そうは言うけれど、父ヤコブが死んだならきっと私たちを殺すに違いないと、自分たちの犯した罪の大きさに恐れおののくのです。そんな兄たちに向かって、ヨセフは言うのです。
「19恐れることはありません。どうして、私が神の代わりになることができるでしょうか。
20 あなたがたは私に悪を謀りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとしてくださいました。それは今日のように、多くの人が生かされるためだったのです。」（創 50:19〜20)
ここに、私たち人間の知恵では計り知ることの出来ない、神様の赦しがあるのです。なぜなら「神様は愛」だからです。
この愛を、知恵のない愚かな私が知ることが出来るようにと、神ご自身が現れてくださったのが、イエス様です。そして神様がどれ程の愛をもって私たちを愛してくださっているかを、お示しくださったのが、十字架なのです。ヨセフの兄たちが、殺されて当然と思っていたのに、赦され生かされたように、イエス様の十字架の死によって私たちの罪は赦され、それだけではなく、イエス様の甦りと同じ永遠の命の希望に生きる者とされたのです。これこそがあなたのための神様のご計画なのです。あなたは赦されて生かされているのです。
ヨセフの生涯を通して鍵となる言葉は「主がヨセフと共におられた」です。同じように主なる神様は「あなたと共にいる」と約束していてくださるのです。