牧師室'11. 9


◎ 2011.9 ◎
「求めなさい。 そうすれば与えられます。」

わたしが、あなたの神、主である。
わたしはあなたをエジプトの地から連れ上った。
あなたの口を大きくあけよ。
わたしが、それを満たそう。
(旧約聖書 詩篇 81:101)


  大きく口を開ける時ってどんな時でしょうか?あくび、物を食べる時、笑う時。ずいぶん昔のことですが、歯の治療に行った時「はい!ああんと大きく口を開けて」「ああ……」「ハ〜〜イ、声は出さなくて良いですよ。」と言われてしまいました。普段そんなに大きく口を開けることってないかもしれませんね。
  さて、お読み頂いた御言葉ですが、神様が「あなたの口を大きくあけよ」と言っておられます。何のためにですか。
  この歌は、仮庵の祭りに歌われた詩篇であると言われています。仮庵の祭りとは、イスラエルの民が、カナンの地に起こった大飢饉のために自分の国を逃れ、エジプトの国に寄留していた時、彼らは奴隷として長い年月苦しみの中にあった。エジプトにいた年月は430年であったと聖書は記しています(出エジプト記12:40)。
  そんな中で民は神に呼ばわるのです。神はその叫びを聞かれ、モーセという指導者を立てて、エジプトから連れ出しました。40年の荒野の放浪の生活を終えて、やっとカナンの地に帰ってきた民に神は言われました。
  「特に、あなたがたがその土地の収穫を終わった第七月の十五日には、七日間にわたる主の祭りを祝わなくてはならない。」 (レビ記23章39節)と。そして、エジプト出発後40年間、荒野の中をさまよっていたイスラエルの民の只中に、神が住まわれていたことの記念を後の世代に語り継ぐために毎年行われているのが仮庵の祭りと言われるものです。
  レビ記23:43節に 「これは、わたしが、エジプトの国からイスラエル人を連れ出した時、彼らを仮庵に住まわせたことを、なたがたの後の世代が知るためである。」とあります。その仮庵の祭りの時に歌われたのがこの詩篇81編なのです。
  エジプトの地を出たイスラエルの民は、40年間どんなに辛い放浪の旅であったことでしょう。お腹が空き、のどが渇き不平不満をあらわにする民もいました。そんな民に神様は、マナを与え、ウズラを与え水を与えて荒野の旅を導かれたのです。約束の地カナンに着いた時の喜びがどんなに大きかったか想像がつきます。ですから困難の中にあっても共にいてくださる神を決して忘れることのないために、イスラエルの民は今も、この仮庵の祭りを行っているのです。
  カナンの地に帰ってきてからも、様々な困難がありました。しかしくじけそうになる時、彼らを支え導いたのは、神の約束の言葉だったのです。辛い時苦しい時、ついつい見える物に頼ってしまいそうになります。けれども神様は言われるのです。「わたしが、あなたの神、主である。わたしはあなたをエジプトの地から連れ上った。あなたの口を大きくあけよ。わたしがそれを満たそう。」(詩篇81:10)と。
  この言葉は、今も生きて私たちに語りかけています。私たちを罪の苦しみの中から、救い出してくださった神様は、イスラエルの民をジプトから連れ出し、荒野での40年を導かれた同じ神です。
  そして、五つのパンと二匹の魚で五千人以上の人々を養われた同じ神様です。
  このお方以外に私たちの頼るべき神様はいません。確かに、世にあっては艱難があります。けれども死を打ち破り甦られた勝利のイエス様は、私たちをも復活の勝利へと導いてくださっているのです。 私たちは信仰を持って主が与えてくださる恵を大口を開けて頂こうではありませんか。
  そして、私たちにとっては、救いの恵を忘れることなく行う毎週の礼拝がこの仮庵の祭りと言えるでしょう。 主が「あなたがたの必要を満たす。」と言っておられるのです。
  「求めなさい。そうすれば与えられます。」