第2章 日本列島の誕生(1) 国生み
ある時、天の神様たちは、イザナギノミコトとイザナミノミコトに「この海の中にふわふわと漂っている国をしっかりと固めて完成させてほしい。」とおっしゃって、天にあるりっぱな矛(ほこ)をお授けになられました。
そこで、イザナギノミコトとイザナミノミコトは、天からつながっている浮桟橋(うきさんばし)までやって来て、矛を降ろして、下界の海水をゴロゴロと掻き回してから、引き上げてみました。その時に、矛の先からしたたる海水が重なってできたのがオノゴロ島(大阪湾内の島?)です。
イザナギノミコトとイザナミノミコトは、その島に天から降り立って、天の神聖な大きな柱をお立てになり、その柱を中心として大きな御殿を作られました。そして、イザナギノミコトは、妻のイザナミノミコトにお尋ねになりました。
「あなたの身体はどのようになっていますか?」
「私の身体は、すっかり美しく出来上がっていますが、一カ所だけ出来きれていないところがあります。」
とイザナミノミコトがお答えになられると、
「ほう、私の身体もよく出来上がっているが、一カ所だけ出来き過ぎたところがあります。では、私のからだの出来すぎたところをあなたの身体の出来きれないところに刺して、塞いで、この国を生みたいと思うのだが、どうだろうか?」
「それがよろしいでしょう。」
とイザナミノミコトもおっしゃいましたので、イザナギノミコトは、
「では、私とあなたはこの天の御柱(あめのみはしら)を回って出会い、男女の交わりをいたしましょう。私は、右から回るので、あなたは、左から回ってみてください。」
と約束されてから、お回りになったときに、妻が先に
「まあ、本当にすてきな男性ですね。」
とおしゃって、その次に夫が、
「やあ、本当に美しい女性ですね。」
とおっしゃいました。それぞれが言い終わった後に、イザナギノミコトは、
「どうも女が先に言うのはしっくりとこない。」
とおっしゃいましたが、ともかく暗い場所で子をお生みになりました。しかし、この子はとても醜くい子であったので、葦の船に乗せて流してしまわれました。次に淡島(あわしま。四国の阿波地方=現在の徳島県を指す)をお生みになりましたが、これも子どもとはみなされませんでした。
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