神話を訪ねて(第4回) 月夜見宮(三重県伊勢市)

さて、前回の伊勢神宮(外宮)に引き続き、外宮のもうひとつの別宮(境外)である「月夜見宮」をご紹介します。

月夜見宮は、外宮の北御門口から数分の場所になるので、是非立ち寄ってみたいところです。月夜見宮は、「日本の神話 古事記」を読んだあなたなら、ピンとくるはず。そう、ツクヨミ(ツキヨミ)ノミコトは、イザナギノミコトが、黄泉の国から戻って、みそぎをしたさいに、右の目を洗ったときにお生まれになった神で、天照大神の御弟神、スサノオノミコトの御兄神です。ちなみに、父親のイザナギノミコトの命令で、天照大神は、「天」を、ツクヨミノミコトは「夜」を、スサノオノミコトは「海」を支配することを命ぜられます。

内宮の別宮にもツキヨミノミコトを祭る「月読宮」がありますが、これは後でご紹介します。ツキヨミ又はツクヨミは、「月読」とも「月夜見」とも書かれるようですが、同一神とのことです。古事記では、あまり活躍することのない神様ですが、月の神様であることから、「月読=暦」と深い関係があるといわれております。つまり、暦=時間を司る重要な神様ですね。明治以前は、太陰暦で、月齢をもとにしていましたから容易に連想できます。

「月読」「月夜見」とも、美しい字を当てていますね。ちなみに、私はギリジア神話の月の女神であるアルテミスの印象が強く、つい最近まで、「ツクヨミノミコト」は、女神だと思い込んでいました。それもそのはず、古事記には性別すらはっきりと記述されていないのです。「月」や「夜」という字も何となく女性のイメージ(小夜子とか)がある。実際、自分に女の子が生まれたら「ルナ」という名前にしようと思っていたことがありました。ご存知のようにLunaというのは、ローマ神話の月の女神です。ツクヨミノミコトは、男神というのが定説ですが、日本書紀や各地の風土記などには、女神との異説もあるようです。

さて、私は、外宮の北御門口を出て、月夜見宮へ通じる「神路通り」を歩いていたところ、地元の方に注意されました。私は、堂々と道の真ん中を歩いていたのですが、そこは、夜に月夜見尊がお通りになるのだそうで、道の端(左側)を歩かなくてはならないそうです。大変、失礼しました。みなさんも気をつけましょう。下記の伊勢神宮のホームページにもその説明が書いてありました。

社名

正式名:月夜見宮(つきよみのみや) ※豊受大神宮(外宮)の境外別宮       →「伊勢神宮」ホームページ(月夜見宮)

鎮座地

三重県伊勢市 (JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」徒歩5分)

御祭神

月夜見尊(つきよみのみこと)・月夜見尊荒御霊(つきよみのみことあらみたま) 「日本の神話 古事記」でチェック 

御由緒

外宮北御門口から、神路通りと呼ばれる道を北方へ真直ぐに300メートルのところにご鎮座になっている。

外宮の別宮で、月夜見尊、月夜見尊の荒御霊をおまつりしている。当宮には、地元崇敬会の団体「月夜見宮奉賛会」があって、毎年春は4月19日、秋は9月19日にご社頭で礼典が行われ、神賑の行事が執り行われている。お神札や参拝記念のご朱印がいただける。

※「お伊勢まいり」伊勢神宮崇敬会発行より抜粋

 月夜見宮の見所紹介

(写真をクリックすると拡大します。)

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神路通り

外宮北御門口を出ると、すぐに神路通りがあります。

この道の真ん中は、夜に月夜見神がお通りになるところなので、人は左端を通行するのだそうです。

正面に見えるのが月夜見宮の鳥居。地元の方は、鳥居の前では、必ず一礼をします。

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月夜見宮

月夜見宮も、外宮の別宮と同様、式年遷宮が行われます。

写真では見えませんが、隣に、遷宮のための同じ広さの玉砂利の空き地があります。

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月夜見宮正殿