神話を訪ねて(第3回) 伊勢神宮ー外宮(三重県伊勢市)

新年(平成二十一年)あけましておめでとうございます。昨秋、念願の「お伊勢まいり」に行ってきました。伊勢神宮といえば、もちろん日本の神社の総本社であり、皇室の皇祖神である天照大御神をお祭りする神社として有名です。古事記にも伊勢神宮が登場します。そう、ヤマトタケルの叔母さんにあたる倭姫(ヤマトヒメ)が伊勢神宮の神官として登場する場面です。景行天皇の皇子であるヤマトタケル(ヤマトヒメは、景行天皇と同父母の兄弟姉妹)ですが、不思議なことに古事記のヤマトタケルの物語では、ヤマトタケルのお母さん(播磨稲日大郎姫−はりまのいなびのおおいらつめ)についての記述は全くなく、キーポイントとなる場面にはいつも、叔母さんのヤマトヒメが登場します。ヤマトヒメは、天皇より天照大神の奉祭役を命ぜられ、現在の伊勢の地に神宮を創設したと言い伝えられています。

ところで、日本人なら一生に一度は訪れるといわれる伊勢神宮、その魅力とは何でしょうか。いくつかのポイントをあげてみます。

【伊勢神宮とは】内宮、外宮の両正宮をはじめとする125の社殿の総称です。伊勢市全体が伊勢神宮といってもよいほどの規模の大きさに圧倒されます。

【式年遷宮】伊勢神宮は、20年に一回新しく建て替えられます。これを式年遷宮(しきねんせんぐう)と呼びます。遷宮は、持統天皇の命により西暦690年に初めて行われてから、室町、戦国時代など一時期を除いて、1300年以上続けられています。次回の第62回式年遷宮は、平成25年です。

【唯一神明造】伊勢神宮の独特の建築様式です。登呂遺跡などにみられる高床式建物で、弥生時代の穀物倉庫が原型といわれています。

かつて、三島由紀夫は、「文化防衛論」という本の中で、伊勢神宮の式年遷宮の本質について次のように語っています。『持統帝以来五十九回に亙る二十年毎の式年造営は、いつも新たに建てられた伊勢神宮がオリジナルなのであって、オリジナルはその時点においてコピーにオリジナルの生命を託して滅びてゆき、コピー自体がオリジナルになるのである。』

戦前日本を訪れた建築家のブルーノ・タウトは、「日本美の再発見」(岩波新書)の中で、『日本がこれまで世界に与えた一切のものの源泉、あくまで独自な日本文化を開く鍵、完成した形の故に全世界の賛美する日本の根原−それは、外宮、内宮および荒祭宮をもつ伊勢である。』と伊勢神宮、特に外宮を絶賛しています。

これらの本を学生時代に読んでいて、伊勢神宮への憧れは募り、一度は伊勢を訪れたいと思っていましたが、やっと今回実現しました。まずは、外宮からご案内しましょう。伊勢へは、名古屋から近鉄特急で1時間半ほどで着きます。外宮は、駅から歩いてすぐのところにあります。私が参拝に行った日は、秋晴れのすがすがしい日で、皇族の方も参拝にみえておられました。

さて、内宮は、だれもが知っている天照大神を祭っているわけですが、この外宮のご祭神である「豊受大御神」は、私もよく知りませんでした。それもそのはず、古事記には、イザナミノミコトが産み落とした神「ワクムスビの神の子であるトヨウケビメ」として、その名が記されているだけです。この神は、記紀には記述がほとんどありませんが、平安時代に外宮から朝廷に提出された書物には、鎮座の由緒がかかれていて、ある日、雄略天皇の夢に天照大神が現れ、「自分一人で、神宮にいるのは甚だ苦しい。食事も安らかにとることができないので、丹波にいる私の御饌津神(みけつかみ)である豊受大御神を伊勢に迎えてほしい」とお告げをされたといいます。

外宮の鎮座は、内宮が創建されてから500年後といわれていますが、西暦5世紀頃のようです。外宮も内宮も御正殿自体は、一般の参拝者はその姿を見ることはできませんが、別宮で「唯一神明造」の堂々たる建築美を堪能することができます。見事な茅葺き屋根、そして丸太一本を使った屋根をささえる棟持柱(むなもちばしら)が建物にどっしりと安定感を与えます。仏教寺社のような仰々しい装飾は一切なく、ギリシア神殿に匹敵する簡素で無駄がない洗練された美、計算された安定感と建築技術。本当にすばらしいものでした。この社殿の建築様式と技術を後世に引き継いでいくために考えだされた「式年遷宮」とは、世界に類をみない日本の偉大な文化の象徴であると感じました。

社名

正式名:豊受大神宮(とようけだいじんぐう) 通称:外宮(げくう) 

「伊勢神宮」ホームページ

鎮座地

三重県伊勢市 (JR参宮線・近鉄山田線「伊勢市駅」徒歩5分)

御祭神

豊受大御神(とようけのおおみかみ) 「日本の神話 古事記」でチェック 

御由緒

【伊勢の神宮】古くから「神宮」といえば伊勢の神宮をさします。それは最も尊いお宮だからです。神宮は、皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮ーないくう)と豊受大神宮(とようけだいじんぐう)(外宮ーげくう)の両正宮を中心として、十四所の別宮、百九所の摂社・末社・所管社からなりたっています。

【豊受大神宮(外宮)】豊受大神宮には豊受大御神をおまつり申し上げます。第二十一代雄略天皇の二十二年(西暦5世紀)に天照大御神のご神慮によって丹波の国(今の京都府北部)から、この度会(わたらい)の山田原におむかえしたと言い伝えられています。

豊受大御神は、天照大御神のおめしあがりになる大御饌(おおみけー食物)の守護神であり私たちの生活をささえる一切の産業をおまもりくださる神様です。

※参拝者用リーフレット「伊勢の神宮」より抜粋

伊勢神宮 (外宮)の見所紹介

(写真をクリックすると拡大します。)

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伊勢市駅

もちろん赤福売ってますよ。

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伊勢市駅前
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表参道

日除(ひよけ)橋と第一鳥居

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手水舍

参拝の前は心身を清めて

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第二鳥居

大きな杉や楠に囲まれ神聖な雰囲気に包まれています。

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神楽殿

お札やお守りはここで。

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御正殿前の大きな杉・楠
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御正殿(板垣南御門)

御正殿は、四重の板垣の中にあり、一般の参拝者は見ることはできません。あしからず。

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御正殿(外玉垣南御門)

一般の参拝はこちらで

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風宮(別宮)

鎌倉時代の元寇襲来の時、神風を吹かせたとされる神をお祭りしています。

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土宮(別宮)

伊勢神宮の唯一神明造の建築様式は、別宮で堪能できます。

土宮は、外宮のある山田原の鎮守の神をお祭りする。

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土宮(別宮)

屋根の上にカブト虫の角のように突き出すような千木(ちぎ)の形は、内宮と外宮で違います。ここがポイント

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多賀宮(別宮)

豊受大御神の荒御霊(あらみあたま)をお祭りする。

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御厩(みうまや)

白馬が飼われています。

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北御門参道

ここから外宮を出て、もうひとつの別宮である月夜見宮(つくよみのみや)も是非立ち寄ってみよう。