3.11東日本大震災から1年4ヶ月が過ぎてようやく故郷岩手を訪ねることができた。震災後すぐに駆けつけて撮影するカメラマンもいたが、僕にはそんな勇気はなかった。音楽映像が専門ではあるが、元々はドキュメント志向の人間である。カメラを持たずに被災地に入ることなど考えられない。でも、故郷の惨状を前にして作為のない写真なんて撮れるだろうか、どこかで作品狙いというような意識が働くのじゃないか…。「記録」と「表現」との狭間で自分の気持ちが揺れ動き、自己嫌悪に陥ることは目に見えていた。本音を言えば、遠く離れて住むことを言い訳にいつまでも目を背けていたかった。

バス停前の大型船(全長60m)…シュールな光景だがこれは現実 宮城県気仙沼市鹿折

車の墓場があちらこちらに…被災者の叫び声が聴こえてくる 宮城県気仙沼市中みなと町

ここは元の繁華街…15mの津波が4階立のビルを飲み込んだ 岩手県陸前高田市高田町

瓦礫の山々…一瞬にしてひとつの街が消えた 岩手県陸前高田市高田町

「元気出して前進だ 失敗もまた前進だ」高田幹部交番にて 岩手県陸前高田市高田町

破壊された堤防が中央に転がる…奥の集落が消えてなくなった 岩手県釜石市両石町

町長も職員も津波にさらわれた…役場は全ての機能を失った 岩手県大槌町新町

ここにJR山田線の大槌駅舎があった…いま360度すべてが荒野 岩手県大槌町本町

「どこにいだの」「早く帰ってきて」…泣けた 岩手県大槌町新町

猛火で焼け落ちた梵鐘…諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽 岩手県大槌町 江岸寺

生死の分かれ道…本堂に避難した人は流され、裏山に逃げた人は助かった 江岸寺

大槌中心部をバックに…ようやく辿り着いたとき実家は消えていた 江岸寺 裏山

破壊された防潮堤…風化する景色、風化させてはならない記憶 岩手県山田町船越

ヘアーサロン「3階で営業中」…頑張れ、と祈る 岩手県山田町織笠

母の生まれ故郷…かつて泳いだ浜もいまはない 岩手県宮古市重茂
第一日目は気仙沼〜陸前高田〜大船渡〜釜石、二日目は大槌〜山田〜宮古〜重茂と、順に北上して行った。駆け足の撮影行ではあったが、自分の肌で直接故郷の現状を知ることができ行ってよかった思う。運良く”生かされた人々”もいま尚たいへんな苦労をされている。せめてそのことを忘れずに生きたいと思う。忙しい中、押し付けにならないように…と、こちらに気遣いながら大槌町を案内してくれた我が友、越田一雄に感謝!
※陸前高田の仮庁舎近くに『りくカフェ』という仮設のカフェがあります。仮設住宅の主婦達が中心となって運営している様子ですが、気持ちのいい空気が流れていてこちらが逆に癒されました。ボランティア活動や旅行を計画されている方にぜひ立ち寄っていただきたい場所です。