『SSのお部屋』

Preludio

 光のない世界……
 色もない世界……
 漆黒……

 そんな永遠に続くと思っていた、黒一色の世界に白い点が現れる。
 それは少しずつ大きさを増し、ちょっと水を多めにした絵の具を画用紙に垂らしたように、ゆっくりと広がって行く。
 やがて私の視界を覆いつくすまでになると、その中に古い映写フィルムのコマ送りを見せるみたいに、徐々に風景を描き出して行った。

 その景色はいつも同じ。
 白い壁。
 白いシーツ。
 そして、四角く切り取られたような空、……それだけ。

 そこにいる人はいつも同じ……だった。
 そう、同じ……だったのに………

 いつもいてくれた人はいつしかいなくなり……
 いつもいてくれる人はその姿を少しずつ変えていった。

 声をかけているのに……
 手を伸ばしているのに……

 どうして応えてくれないの?
 どうして「ぬくもり」を感じられないの?

 そんな問いを遮るように、静かに夜の帳が降りてくる。
 そして黒く光のない世界に、また白い色。
 風景がまた少しずつ変わって行く……

 ………その、繰り返し………

 これはそんな私の『心象日記』

 今はもう思い出せない……
 でも、思い出したい……
 そう、憶えていたかった……


 ………そんな、夢を綴ったモノローグ………


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終わらない夢の中で…

Dream:笑顔を見せて…

『……なあ、遙。今日は、どこ行こっか。……そ、そうだ。お前、まだ絵本作家展行ってなかったよな? そうだな、そうしようか……』

 たかゆきくん?
 ねえ、絵本作家展ってもう終わってるよ? 2週間も前に終わってるのに……。
 でも、そう言えば行ってなかったよね、絵本作家展。あんなに楽しみにしてたのに、どうして行かなかったんだろうね。急な用事でもできちゃったのかな?

 え……?
 思い出せない、思い出せないよ、その日のコト。
 たかゆきくんとデートの約束をしてた日のはずなのに、どうして思い出せないの?
 たかゆきくんは憶えてる? 思い出せる?

 でも、その問いの結果はいつもと同じ。
 私は問いを投げかけているのに、話しかけているのに……
 まるで映画やドラマの中の人物に話しかけているように、それへの回答は返ってこない。

『……なあ、遙。何か言ってくれよ……、答えてくれよ……』

 俯いた顔から同じ言葉だけを繰り返し、垂れ下がった前髪の奥に隠された両の瞳から、とめどなく涙が溢れている。

 ねえ、私はここにいるよ?
 ちゃんと答えているよ?
 ねえ、見てる? 見えてる?
 ホラ、私……笑ってるよ?
 だから……

 あなたも、笑顔を見せて………


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Dream:夢と現実と…

 どうやら私は、交通事故に遭ってしまったらしい。
 8月27日の午後2時15分
 その日、私はたかゆきくんと絵本作家展に行く、つまりはデートの約束をしていて、柊町駅前に午後2時の待ち合わせをしていた。時間になってもたかゆきくんが来ないので、ちょっと焦らしてるのかな? もし息せき切ってやってきたら、いじわるしてあげようとか考えていたところで、その日の私の記憶は途切れていた。

 恐らくそこで事故に遭ったのだろうけれど、私にはその記憶がない。良く聞く話だけど、人間は本当に辛いこと、苦しいことに遭うとその部分の記憶だけがすっぽり抜けて、後からそんなことがあったのかな? といった感覚になりやすいという。
 だから私も交通事故に遭って、しかも意識すら失っているほどだから、相当に苦しくて痛かっただろうし、怖かったでもあろうはずなのに、私にはその記憶がない。

 意識がない。
 そう、今の私はその交通事故の後遺症で、意識不明のいわゆる重態と言われる状況らしい。声を発するどころか、指先一つ動かすことさえできないのだ。
 そんな自分の状態に、私はしばらくの間気付くことができなかった。だからどうして目に映る人たちが私の声に応えてくれないのか、悲しみに沈んでいるのか理解できないでいた。

 冷静になって考えれば、断片的に浮かび上がる風景と暗闇の繰り返し。そんなのは現実の生活、そして皆と同じ時間軸のそれではないと分かるだろう。だけど、自分の見ている夢の中で自分を冷静に保てる人なんているのだろうか? 人にとって夢を見ている間、それは紛れもなく「現実」となっているのだから……。

『……先生、遙は、遙は目を醒ますんでしょうか。どうなんです?』
『……うう、遙』
『お姉ちゃん……』
『今はまだ何とも言えません。今すぐにでも目覚めるかもしれませんし、……言いにくいことですが、もしかするとこのままずっと……』

 ずっと……、目覚めない?
 ずっと……、こうして反応のない「夢」を見続けるだけ?

 そんなの、そんなのって……
 せめて………
 誰か、応えてよ………

 私はここに、いるんだから………


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Dream:卒業証書

『遙、これ……。オマエの卒業証書だよ、ちゃんと卒業できたんだよ。すごいな、オマエって。3年生半分しか学校行ってないのに、卒業できるなんてさ……』

 両の手で固く握り締められた、黒い筒。
 外は卒業の季節らしい。でも、そんな暖かな春の日を否定するように、それは震えていた。

 ありがとう、たかゆきくん。
 私の卒業証書、持ってきてくれたんだ。
 私、卒業できたんだ。……しちゃったんだ。

 でも、卒業できたからと言っても今の私にはあまり意味がない。白陵大学の児童心理学科を目指して付属の高校「柊学園」に入学、成績も上々でそれが手の届くところにあったのに、何でこうなってしまったの?

 たかゆきくんが私のそばにいてくれているのも、1年生の頃から想い続けて、親友の手助けというか半ばお節介のおかげもあって、3年生の夏になってやっと叶った、通じた願いだったのに……。

 それが今、まるでそれこそが『夢』であったかのように記憶の片隅へと追いやられ、現実の私はいつ目覚めるかも分からない、もしかするとずっとこのままかもしれない眠りの中にいる。
 そして、いつ果てるともしれない私にとっての『夢』、夢の世界の人にとっての『現実』を見続けている……。

 どうしてこうなってしまったの?
 私、何か悪いコト……した?


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Dream:どうして…

『……許してくれ、と言えるはずもないか。私は最低の人間だよ、遙』

 お父さん?
 どうしたと言うの? そんな、最低の人間だなんて……。

『私はもう、耐えられないんだよ、遙。お前のことでこれ以上鳴海君が悲しむ姿を見ることを……。だから、だからな、私は言ってしまったんだよ鳴海君に。言ってはならないことを、言ってしまったんだよ』

 言ってはならないこと。
 一体、何を言ってしまったというの?

『もう限界なんだ、遙。だから私は言ってしまった。鳴海君に、もう、ここには来ないで欲しい、とね』

 お父さん………
 どうして、どうしてそんなことを言ってしまったの?

『遙のことは忘れてくれ、とまで言ってしまったよ。……それが君のためだ、自分の生活を捨てることなく生きてくれ……。君のため……? 遙のことを忘れてもらうことが鳴海君のため? 違う、違うな……』

 一度言葉を止めて軽いため息をつくと、再び口を開く。
 視線を私から逸らし、半ば新人役者の棒読み台詞のように、その口調からは抑揚が消えていた。
 それはまるで自分に言い聞かせ、無理矢理納得させるかのようにも、言い訳なのかそれとも理由なのか、それを探しているかのようにも見えた。

『そう、違うんだ。鳴海君のためじゃないんだよ、遙。私はこれ以上お前のことで鳴海君が苦しむ姿を見続けることに耐えられない、だから私たちのそばから彼を鳴海君を引き離しただけなんだ』

 そんな……
 私のことを忘れてくれ、だなんて……
 どうして……
 私はちゃんと、ここにいるのに……

『……なんて卑怯者なんだ私は。鳴海君がお前のことを忘れるなんてことを、できるはずがないじゃないか。そんなこと分かりきっているじゃないか。あの日からずっと、それこそ毎日のようにお前のお見舞いに来ていた鳴海君だぞ?
 ……分かってはいるんだ、これが私の単なる我侭なんだってことぐらいは、ね。だから、許してくれ、だなんてとても言えるわけがない……。情けない人間だな、私は……』

 自虐的な震えを帯びた声が少しずつ小さくなり、大きかったはずの背中が私の視界から遠のいていく。
 静かにドアの閉まる音、そして訪れる静寂。

 お父さん、どうして……
 いや……イヤだよ、たかゆきくんが私のところに来ないなんて。
 だって私はここにいるんだよ?

 でも、考えてみればそれこそが私の我侭なのかもしれない。
 私には(それが本当に現実を伝えているものではなかったとしても)たかゆきくんの声が届いているけれど、私の声は想いはたかゆきくんには届いていない。そんな言葉も発しない身動き一つさえしない、まるで人形に話しかけるような日々をたかゆきくんに強いているようなものだから……。

 でも、イヤ……
 たかゆきくんがいなくなる……
 そんなの、イヤだよ。
 だって……

 ………私は、ここにいるんだから………


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Dream:悪い夢、だよね…

『……ゴメンよ、遙。俺、オマエのこと忘れるわけじゃない、そんなことできるわけない。でも、でもな、もう来ないでくれなんて言われたんだよ。もうオマエのことは忘れてくれって言われちゃったんだよ。だから、だから……な? 許してくれ……』

 たかゆきくんが泣いている。
 あの日以来、何度も涙を見てきたけれど、今日のそれはいつものは違っていた。
 お父さん。
 たかゆきくんの姿、見えてる?
 涙が見えてる?

『ははっ、何言ってるんだろうな俺って。許してもらえるはずないって分かってるじゃないか。いくらそんな事情があったからって、オマエを裏切ることに変わりはないんだもんな……。裏切る……、いや捨てるかな? ふっ、ふはは、はは……』

 気の触れたような不気味な哄笑を上げながら私の前から去って行く
 たかゆきくん……

 私、泣いているの? 夢の中で。
 涙の雫が水面に波紋を広げるように、そんな誰もいなくなった風景が次第にぼやけ、その波が静まるとふたたび輪郭線を形作っていく。そしてさっきとは違う人物をその中に浮かび上がらせた。
 ………みつき………

『……ゴメンね、遙』

 みつきも「ゴメンね」なの?
 何に向けて「ゴメンね」なの?
 私が事故に遭った日のことなら、もう聞いたよ。みつき、たかゆきくんのことを引き留めてしまった私が悪いんだよ、って泣いてたよね? でも、それは結果論だよ。それなのに、私にもう一度「ゴメンね」って言う理由は何なの?

『私さ、遙が事故に遭ってから、孝之のことを気に掛けるようにしてた。色々と世話も焼いたし、身の回りのこともしてあげた。慎二君にも相談して就職先も探してあげた……。
 でね、そうこうしてる内に私の中での孝之が大きくなって行くんだよ。でも私は一線は絶対に越えないようにしてた。だって、私は遙の代わりなんだもの、そうなろうと決めたんだもの……。でもね、遙。そうしてやっと立ち直りかけたのに、あんなことがあって……』

 お父さんの一言、だよね?
 たかゆきくんに、もう来ないで欲しいと告げた、あの日のことだよね?
 みつきもいたんだ、そこに……

『私のこと軽蔑してくれていいよ、最低の女だって思ってくれてもいいよ。だって、だってさ……。孝之、あのままじゃダメになっちゃうもん。だから、私。孝之のこと包んであげたんだ。……私の全てを任せて、ね……』

 みつき……
 それってまさか、たかゆきくんと?

『最低だよね、私。遙が眠っているのをいいことに、こんなことして……。孝之には「私が遙の代わりになってあげるから……」なんて言ったけど。……言っちゃおう、ここには私と遙しかいない、他には誰も聞いてないんだから……』

 何を言い出すの? みつき……

『……ゴメンね、遙。私、孝之のコト……好きになっちゃったよ……』

 そんな……
 イヤ、イヤだよ……
 ねえ……
 これは『夢』だよね?
 悪い夢、だよね?
 お願い………

 誰か、誰かそう言ってよ………


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Dream:そんなこと、聞きたくない…

『……男なんて、所詮はそんなものよね。しかも、選りによって「あの人」となんて……。聴こえてる? 姉さん。裏切ったんだよ、鳴海孝之は。そしてあの人もね……』

 どうしたの? 茜。
 どうして、そんなに怒っているの?
 それに……
 どうして『鳴海孝之』って呼び捨てになんかするの?
 それに『あの人』って……
 みつきのことでしょ?
 先輩って呼んでたじゃない、それなのにどうして……

『……姉さんのお見舞いをやめて、あの人と白昼堂々と街中でデートしてるだなんて、絶対に許さないんだから……』

 私から逸らした視線の先にその姿を浮かべているのだろうか。浅く紅潮した顔に吊り上った二つの目。握り締めた拳を震わせながら振り上げると、罵声とともにそれに向けて振り下ろす。
 しばらくその姿勢のままでいる茜。
 やがて静かな病室の外から足音が近づいてきた。コツコツと響く独特な革靴の音。看護師のそれではない靴音が次第に大きくなり、そして止まった。
 お父さん。
 病室のドアが静かに動いた。
 それに合わせて、何事もなかったかのように呼吸を整える茜。

『あ、お父さん。来てくれたんだ。……じゃあ私、帰るね。姉さんのコトお願い……』

 会話もせず一方的にそれだけを話すと、茜は返事を待つこともなく病室を出て行ってしまった。……それを引き留めようともしないお父さん。

『……当然か、これは報いなんだ。愚かな決断を下した私に対する、ね……』

 茜が出ていった病室の扉の先に視線を泳がせた後、自分自身を嘲るようにふうっと小さなため息をつきつつ言葉を続ける。

『そう、報いなんだよ。自分かわいさに保身した私に対する……ね。遙、私を笑ってくれていいよ。……あの日以来、茜と話辛くてね。一体、どうしたものか……』

 ねえ、お父さん。あのことを茜には話さなかったんだよね? 話してはくれなかったんだよね? お父さんから「もう、来ないで下さい」ってたかゆきくんに言ったこと、言ってしまったことを、茜には……。
 ねえ、どうして話してくれなかったの?
 どうして、分かっているなら話そうとしてくれないの? 今からでも遅くはないんだよ? このままじゃ……。

『茜もそれとなく……いや、気付いていてもおかしくはないな。あの日のことをいつ話そうか、どう話すべきか、そのことで茜に責められたくない、と逡巡しているうちに茜は見てしまったらしいんだよ。鳴海君と速瀬さんが街中を歩いているのを……ね』

 そうなんだ。
 話したかったのに、話せなかったんだね。
 一度機会を逃すと、こうなってしまうものなんだよね。

『……茜は目に涙を浮かべながらそのことを私に話したよ。だけどね、情けないことに私は、そんな茜の姿を見せられてさえ、あのことを口に出せなかったんだ。……茜の訴えに口をつぐんだままの私を見て、恐らく気付いたんだろう。その日以来、茜は日常的な会話以外、私と口を利かなくなってしまったからね……』

 お願い、もうそれ以上言わないで……
 お父さんも分かっているんじゃない。
 一言、ひとこと、茜に謝れば済むんじゃない。
 誤解を解いて、もう一度始めればいいじゃない。
 それが………

『なあ、遙。……私たちは本当に、家族なんだろうか?』

 ………家族というものじゃないの?

 私の思いよりも速くそれを打ち消す一言が、震える口をついて……零れ落ちた。


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Dream:もう、やめて…

『……何が事情がある、よ。姉さんがこんなコトになってるってのに、それから目を逸らしておまけに新しい女を作るだなんて、どんな理由があるって言うのよ。しかもよりによってあの女よ? ……悔しい、悔しいよ姉さん、お姉ちゃん、何か、何か言ってよ。お願い……、何か言って? 言ってよおっ!』

 涙に濡れた茜の顔が大きく揺れていた。
 茜が揺れているのではない。私の体が揺り動かされているのだ。

『……ねえってばぁっ!』
 茜の顔が一際激しく揺れた。
『ちょ、ちょっと涼宮さん。何をしているの? そんなに動かしたらチューブが外れてしまうじゃないの』

 私に覆いかぶさるようにしていた茜の体が、後ろから羽交い絞めされるように抱き起こされた。
 担当医師の香月先生だった。
 離して、いやぁ! 姉さん……。意味の繋がらない叫びを上げ続ける茜。

『あの人、あの女はね、今の鳴海孝之を支えてるのは私だって、今の彼女は私だって言い放ったのよ? ……文句ある? って私を睨みつけながら。こんなこと許せって言うの? 事情があるから見逃せって言うの? ……あんまりだよ。こんなの、絶対に許せないよ!』

 お願い、そんなこと言わないで……
 茜はまだ聞かされてないんだよね、孝之くんがここにこなくなった理由を。
 お父さんから「もう来ないで欲しい」と拒絶され、絶望したたかゆきくんのことを……。
 ねえ、お父さん。
 手遅れになっちゃうよ?
 茜に話してあげてよ、あのことを……
 今さら話しても分かってもらえるかどうかは分からないけれど、それでも話さないでいるよりは良いはずだよ?

 泣き濡れた顔。
 激しく動く口から悲嘆と罵声が紡ぎ出されて行く。

 元気だった茜。
 たかゆきくんのことを「お兄ちゃん」と呼んでなついていた茜。
 そんな茜が壊れていく………
 それを私は見ていることしかできない。

 たかゆきくんがいなくなって……
 みつきもいっしょにいなくなって……

 そして今また、茜も壊れて行く………
 もう、イヤ……
 これが『夢』なら早く醒めて。
 でも、これがもし『現実』だったなら、私はどうすればいいと言うの?

 神様、私が何をしたっていうの?
 もう、やめて……
 あの日に全てを、戻してよ……


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End of Dream

 夢はいつか終わりを迎える。
 醒めないと思ってた永遠のそれでさえも……

 それは時には、優しい揺り起こしの中に溶けるように……
 それは時には、眩い光に視界を消されるように……

 そして多くの場合、人は眠っていたときの夢を憶えてはいない。
 たとえ憶えていたとしても、それは互いに繋がることのないわずかな断片だけ。

 私も同じ。
 長い夢を見てたと思っていたのに……

「たかゆきくんは?」
「……ね、姉さん」

 当たり前のように口をついて出た一言に、茜の顔色が変わった。
 どうしたの? 茜。
 だって当たり前じゃない。私、たかゆきくんとの待ち合わせの最中に事故に遭ったんだよね? それでしばらく眠っていたんだよね? だったら心配してるよ、たかゆきくん。

「ね、姉さん。あのね、鳴海さんは、鳴海さんはね……」
「あ、茜。 その言い方は……」

 何か大切なものを忘れている……
 何か大切なものが消え去っている……
 でも、それが何なのか分からない、分からないの……

*          *          *

 夢を見ていた。
 ずっと長くなのか、それともほんの一瞬なのか。
 それがどんな夢だったのか、私は憶えていない。
 でも、たったひとつ……

 ね……。これは『夢』だよね?
 私は夢を見ていただけ、なんだよね?

 こわい夢、だったんだ……
 だって、たかゆきくんとみつきが……
 そして茜も、ね……


〜Fin〜

あとがき

 まずはここまで読んで下さってありがとうございます。今回はちょっと内容が遙聖誕祭らしくなかったですし(空白の3年間の話ですしね)、テーマ的にストーリー物というよりは散文的なものですし、実験作と言えば聞こえはいいですが、思いつきをまんまやってしまうという悪癖は直さないといけないですね。
 最近は聖誕祭でしかSSが書けなくなってるフシがありますんで、文章力が明らかに落ちてきてるのを実感してます。一応、SSサイトとして出発した私ですんで、SSにももう少し力入れないといけないですね。

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