『SSのお部屋』

's Diary




   はる
   はじまりの、きせつ

    おもいにきづいた、2ねんまえ
   おもいつづけた、2ねんかん

    さいごの1ねん
   だから、わたしは・・・


4月6日(はれ)


 今日は始業式、私もいよいよ3年生かぁ〜。受験生、なんだよね。
ドキドキのクラス替え。あぁ〜ん、また鳴海くんと違うクラスだよぉ〜。
水月はいいなぁ〜、鳴海くんと同じクラスだもん。いろいろお話できるのかな?


4月28日(はれ)


 ああ〜ん、鳴海くんが好きってこと、水月に知られちゃったよぉ。
水月もいじわるだよぉ、あんな風にきかれたら、うんって言っちゃうじゃない。
あたしにまかせなさい! だなんて、ヘンなことしないでよぉ。


5月10日(くもり)


 もぉ〜水月ったらぁ〜。鳴海くんがどんな人か確かめてくる、なんてぇ〜、
お願いだから、変なコト言わないでよぉ〜。あのこととか、あれのこととか。
ますます鳴海くんの顔、見られなくなっちゃうよぉ〜


5月22日(あめ)


 水月、「普通の人だったよ」ってなに? 全然、わかんないよぉ!
鳴海くんのこと、もっとききだしてくれないと。同じクラスなんでしょお?
あんなに恥ずかしい思いして教えたのにぃ、うぅ〜


7月4日(はれ)


 び、びっくりしちゃったよぉ〜。だって、だってぇ〜、本屋さんで欲しかった 「マヤウルのおくりもの」を見つけて、高い所にあって取れなくて困ってたら、
これかい? って。横を見たら、鳴海くんがいるんだもん! 
ごめんなさいって逃げちゃったの、どおしよぉ〜、うぅ〜。 


7月6日(はれ)


 今日はお祭りの日だったの。私、花火が苦手だからホントはあんまり……
でも水月と一緒だし、えっとぉ〜、な、鳴海くんも来てくれてたから。
初めていろいろお話できたの、鳴海くんと。
 でも水月、急にいなくなっちゃうんだもん。平くんまでいなくなるし……。 でもおかげで鳴海くんとい〜っぱいお話しできたし、よかったんだよね。


7月10日(はれ)


 なんて書こう……。こ、告白しちゃったよぉ〜、鳴海くんに。
好きですって、言っちゃったよぉ〜。いつだったか追いかけて行った、あの丘で。
 水月がね、用事があるからって、鳴海くんを呼び出してくれたの。
 そしてね、そしてね、鳴海くん……いいよ、って言ってくれたの。
 嬉しい、嬉しいよぉ〜。……信じて、いいんだよね。
 これからは、たかゆきくんって呼んでもいいんだよね?


7月14日(くもり)


 私、孝之くんと付き合ってるんだよね? ホントに付き合ってるんだよね?  孝之くんとお話しして、孝之くんと一緒に帰って、そして……。そして?
 でも……孝之くん、何かヘンなの。何ていったらいいんだろう、遠慮? かな。 そんな感じ。もっと、もっとお話ししたいのに……。
 私、ホントに孝之くんと付き合ってても、いいの?
 私がこんなんだから、いけないのかな?


7月20日(???)


 どうして? 好きじゃなかったの? ホントは……。
 ううん、突然だったから? ちがうよね。私、鳴海くんのこと、好きでいていいの?
 水月にきいた、鳴海くんの電話番号。番号押す指が震えてた。
 鳴海くんが電話に出た。
 訊きたくないけど、訊かなくちゃいけないこと。
「私のこと、よく知らないのに、どうして付き合ってくれたの?」
 答えは……分かっていたの。訊く前から……。
「ごめん……わからない」
 ……どうして? どうして、なの?

   

   スキ、キライ
   わたしがスキ?
   わたしがキライ?

   わたしのこと、スキじゃない?
   わたしのこと、キライじゃない?

   スキじゃないのは、キライですか?
   キライじゃないのは、スキですか?

   わからない
   わからない

   こころのなかは、きょうもあめ
   あしたははれると、いってくれない

   わたしのこころの、てんきよほう


7月23日(はれ)


 鳴海くんが、うちまで来てくれた。一緒にきてほしいって。
 ……あの丘まで、一緒に行ったの。そこで、そこでね、孝之くん話し出したの……。 聞きたくなくて、聞くのがこわくて耳をふさいじゃった。でも、聞こえてきたの。
「……好きです」って。
 信じられなかった。その言葉が聞けるなんて……。
 鳴海くんね、少しだけ時間を戻してやりなおせたらって言ってくれたけど、それだけはダメ。
 だって、「好きです」って言ってくれたのは、今日なんだもの。
 戻しちゃったら、聞けないもの。
 鳴海くんの顔が目の前まできて、私、目を閉じたの。
 私の唇に、あたたかくてやわらかいものがそっと触れた。
 ……私、キスしちゃったんだよね? 鳴海くんと……。
 うれしかった。

   

   おもいは、つたわる
   おもいは、とどく

   しんじていれば
   いつか、きっと

   しんじることを、わすれたとき
   おもいつづけることを、やめたとき
   かなしいきもちに、こころがないた

   もういちどしんじようと、きめたとき
   おもいつづけようと、きめたとき
   やさしいきもちに、こころがみちた

   だからわたしは、いつまでも
   おもいつづけて、ゆこう
   しんじつづけて、ゆこう


8月3日(はれときどきくもり)


 ええ〜?! あ、茜ぇ〜、人工呼吸ってなに? 孝之くんが? 私に? したの??
 今日は孝之くんとプールに行ったの。水月と茜もいっしょ。ホントはふたりがよかったけどね。 でも私、泳ぎヘタだから、その……おぼれちゃったみたいで。それでね、……人工呼吸。
 茜が焚きつけたんでしょ、もぉ。 孝之くん、そこまではしなかったみたいだけどね。
 ちょっと残念だったかな? あ〜ん、な、何書いてるんだろ、私。


8月6日(はれ)


 ミートパイ記念日っと♪ もうカレンダーにも書いちゃったもんね。今年のだけど……。
でも、良かったぁ〜、孝之くん喜んでくれたもの。もぉ、茜ったらおどかしすぎだよぉ〜。
でもかわいかったな、孝之くんの寝顔。あのきゅぅ〜って、なんだろね?


8月9日(はれ)


 あいたた……。まだ、おしり(きゃ)が痛いよぉ〜。階段から落ちちゃったんだもんね。 もぉ、茜ったらぁ。孝之くん、うちに連れてくるんだもん。ホントにびっくりしたんだよぉ。
 そのあとお部屋で孝之くんとお話ししたの。でも、茜ったらぁ〜、のぞいてるんだもん! 孝之くんもあきれてたんだよ。気になる年頃かな、って笑ってくれてたけどね。


8月11日(くもりのちはれ)


 茜! もぉ、孝之くんにとんでもないウソついちゃってぇ。ごめんね孝之くん、心配させて。 あとできちんと叱らなくちゃ。私、お姉さんなんだからね。
 そのあと、一緒に夕食することになったんだけど、孝之くん、カチンコチンになってたよね。 そんなに緊張しなくてもいいのにね。でもお父さん、何か楽しそうだったな。ヘンなこと訊くから 孝之くん、ちょっと困ってたけどね。お父さんも結婚だなんて、行き過ぎだよぉ〜。
 ……帰るとき、キスしてもらっちゃった。


8月15日(はれのちくもり)


 今日は孝之くんと神社のお祭りに行くはずだったの。
 孝之くん、うちまで迎えにきてくれるって言ってたけど、いつまで待ってもこなくて。
 でも、水月の相談に付き合ってあげてくれてたんだ。孝之くん、優しいもんね。
 少しだけ残念だったけど、嬉しかったの。
 絵本に書いてあったことだけど、友達を大切にできない人は誰も大切にできないって。
 そのあと、水月と孝之くんを見つけたあの丘で、平くんもいっしょに写真を撮ったの。
 そうだよね、初めてなんだよね、みんなで写真を撮ったのって。
 孝之くん、一緒に帰るとき謝ってばかりだったけど、いいんだよ、 またいつでもいっしょにいられるからね。今日は水月のことが大切だったからね。
 だから今日は……仲間記念日っと♪


8月20日(はれ)

 あ〜ん、まだドキドキが止まらないよぉ〜。
 ちょっぴりこわいけれど、孝之くんならいいって思ってたの。
 でもね、孝之くん、急がなくてもいいって言ってくれたの。
 でも、いつかは……(は、はずかしいよぉ)。
 うん、そうだよね。これからはずっと、ずーっと孝之くんと一緒だもんね。
 そうだよね、孝之くん。
 だから、ありがとう。


8月27日(はれ)


 今日はね、今日はね? 孝之くんと、絵本作家展に行くんだよ♪
 うふっ! お弁当も作ったし、あとは……う〜ん、髪型ヘンじゃないよね? でも、行く前から日記書いてる私って、ヘンかな?
 うん、あとは帰ってきてから書こ。楽しかったこととか、い〜っぱいね!

 *          *          *

 あれ? 私、こんなところで何しているの?
「お・な・ま・え、い・え・ま・す・か?」
 え? 私の名前? やだなぁ、孝之くぅん。もぉ、からかわないでよぉ。
「………返事……せん。危険……です」
 え? 何、言ってるの?
 あれ? どうして勝手に動くの? 私。
 待ち合わせ、しているのに……。
 孝之くんは? あれ? 10時15分? もぉ〜遅刻したんだぁ。
 待ってないといけないのに・・・。
 どうして? 私、どこへ行こうとしているの?
「……発生、……頃、被害………、涼宮、遙。はい、涼しいに……」
 え? 何? そう、私、涼宮遙です。でも、どうして私の名前を?
 あれ? ここ、柊町の駅前……だよね? でも周りがヘンな、壁?
 "バタンッ!"
 何? 今の音。……何か、聞こえる。
 サイレン? 救急車の。誰か事故にでも遭ったのかな?
「………低下、意識……、急げ!」
 何? あはは、そんなに急がなくても大丈夫だよ。遅刻ったって、15分じゃないの。
 絵本作家展は今日一日やってるからね。

 そうだよね? 孝之くん。

 孝之………くん。
   

   どこまでもつづく、あおいそら
   まぶしいくらいに、かがやくみどり
   わたしのとなりには、たいせつなひと
   やさしくみつめ、ほほえみかける

   わたしといっしょに、わらってくれる
   わたしといっしょに、あるいてくれる
   そして……
   わたしといっしょに、いつまでも……

   これはゆめ、ですか?
   それとも、げんじつですか?

   さめないでほしい、ゆめならば……
   おわらないでほしい、げんじつならば……

   いつまでも、いつまでも……


 ………ここより、はじまる………


≪あとがき≫

 題名の通り「遙の日記」ですが、日記の体裁を持った遙視点の第1章という感じで書いてます。
 実際の日記ではこんな口語体というか、話し言葉では書かないと思いますし。
 もう少し、エピソードを加えたかったトコロですが、あまり同じ調子で書いていてもつまらないので、 ここまでにしました。
 それにしても、起伏がなさ過ぎるので書きなれぬ「詩」なんぞを挿入してしまいました。 完全な実験作ですのでかなり手厳しい意見が来るかと……。

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