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高蔵結御子神社周辺野鳥調査今昔
1999/04〜2000/3

 今年度は、前回から5年たつと言うので、名古屋の野鳥の調査を頼まれ、引き受けている。

 私の調査場所は、熱田区の高蔵結御子神社(たかくらむすびのみこじんじゃ)境内と、その周囲の高蔵公園である。神社の歴史は古く、熱田神宮の摂社で子供の無事成長を祈る井戸のぞきの神事で有名な所である。 面積的には小さなものであるが、都会の真ん中に自然林に近い状態が残っているところである。また、同神社は名古屋市の野鳥保護区域に指定されている事も調査対象となっている由縁である。

 この調査は私にとって3回目であるが、同神社が初めて調査対象になってからも3回目の調査になり、したがって同神社の調査については最初の調査からずっと私が担当している事になる。 したがって最初調査以降この10年間、調査期間以外にも、時々気になる場所として訪れている。特に春の渡りの時期は見るべきものが多いので足繁く通う場所になっているのである。

 足繁く通う理由は、街中にあり、小さな場所であるにもかかわらず@深い森の様を呈しており、A結構鳥の種類をたくさん見る事が出来る、B渡りの時はキビタキやオオルリが間近で見られる、からである。

 ただし、この理由は2回目の調査くらいまでは当てはまっていたが、近年の観察記録と今年の調査記録から見ると、だんだん当てが外れてきているのである。 その理由は、この地区と神社の変化いう事になろうか。

 周辺はマンションなど高い建物が多くなった。 同神社周辺は、名古屋市内有数の道路である国道19号線、南大津通りが走っており、交通量も増え多分排ガスも多くなってきているのではなかろうか。 また、神社自体も最初の頃はうっそうと茂ったままの社域を保っていたが、近年は近所から虫の苦情があるとかでずいぶんと手を入れるようになり、下草はほとんど無くなってしまい、厚みのある落ち葉の踏みごこちも、削り取ったことにより、ひと頃ほどでは無くなってしまったのである。(この話は前回調査の頃、禰宜さんから聞いたものである。)

 それに加えて、ここ両三年の台風の被害で、神社の古木がダメージを受け、アオバズクのヒナが押くらまんじゅうして並んだオオクスの枝など、軒並みにやられてしまい、森が明るくなってしまったほどである。そんなわけで緑も減って、えさになる虫も減って、鳥から見るとあまり魅力のある場所では無くなってしまった?のではないかと思われるのである。

 さらに運の悪い事には、春の渡りの丁度良い時に、神社本殿の屋根の葺き替えが行われ、トンカントンカンと景気の好い音と出来上がった後はピカピカに輝く屋根が出現し、鳥たちにとっては、「あれ結御子神社がどこかへ行っちゃった?」と思わせていたのではないかという事態がおまけについたのである。 もっとも半年も経たずに、既にこのピカピカは消失して鈍い銅板の色に変わっている。やはり排気ガス濃度が高い地区である事を、如実に物語っているのであろうか。

 さて、調査の結果であるが、今年は雨が良く降り、私が時間のある土日に特に雨が降った事もあってお目当ての鳥たちになかなか会いに行けなかったこともあり、前2回に比べると少々淋しいものになってしまった。 前2回の調査のレポートでは、この調査地を都会の中のオアシスと書いて紹介したが、今回はそうは書けないなという状態である。 そんな訳で、今回の調査はあまり面白い調査ではない、というのが正直なところである。
                            ここまでは 2000/01 記述
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 調査は2000/03を以って終わったのだが、なんとなく忙しさに取り紛れこの文章の仕上げをしてないのに気づいたのが6月、9日には梅雨入りの宣言が出てしまっている。 なにか締まりの無い生活をおくっているなと我ながら反省しつつ続編に手をつけた次第である。

 調査を終わって最終レポートをまとめてみて、改めて観察できた鳥の種類、数とも少ないのを感じた。
 (未完 調査完了後調査結果挿入予定)

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