1 はじめに
シャボン玉の魅力は、その干渉光の美しさである。しかし、 シャボン玉にそのままカメラを向けて撮影すると、蛍光灯や窓、撮影しようとしている人物がシャボン玉の表面に写ってしまい、シャボン膜表面の干渉光をきれいに撮影することはできない。シャボン玉の干渉光を綺麗に観察するためには、シャボン玉にまんべんなく光が当たるようにしなければならない。そこで、観測用の装置をつくり、干渉光の観察と撮影に取り組んだ。
2 装置の製作と半球状シャボン玉の干渉光の観察
上の図のように、発砲スチロールの半球を二つ組み合わせて球にして、真中に円状に切ったアクリル板をいれてその上にゴム板をのせる。上の半球にカメラのレンズを入れる穴を開け、下の半球には光を入れるための穴を開けて、シャボン玉に光源がうつらないように穴から2cm離れた所にカバーとして小さい半球を置いた。この装置を使うと明るい部屋でも綺麗に干渉光を観測することができる。ただし、シャボン膜の表面にカメラのレンズが黒い点となって写る。シャボン玉は重力の影響で上部から順に薄くなり、そのため膜の厚さに応じた干渉光が、天頂付近から順に下部へ移り変わる様子が観察される。やがて天頂付近から白い膜となり、黒い膜が現れて、破裂する。
洗剤の濃さをいろいろ変えて撮影してみたが、洗剤1に対して蒸留水10〜50まではいずれもきれいな干渉光の移り変わりを観測することができた。また、洗濯のりを加えたものは液に粘り気があり割れにくかったが、干渉光の移り変わりはきれいではなかった。グリセリンを入れたものは干渉縞の幅が広く、同心円状になりにくく移動もゆっくりしている。また、全体が透明な黒い膜になってからも長い時間割れなかった。
3 シャボン膜の干渉光
4 全球の干渉光
装置に改良を加えて、全球の撮影を行った。半球の撮影のときに使用したアクリル板を中心に小さな穴を開けたアクリル板にかえて、ゴム管を通して底に穴を開けたサンプル瓶を置いた。サンプル瓶の口にシャボン膜を張って、ゴム管から空気を送りシャボン玉を膨らませた。
シャボン玉の中心にレンズの黒い点が写るが、全体としてきれいな干渉光の移り変わりを観察することができた。その様子は、半球や平面膜と同じであった。
5 参考文献
(1) シャボン玉は生きている 上平恒・石井淑夫・朝倉敏弘 福音館書店
(2) 色いろいろ シャボン玉 http.//ww8.tiki.ne.jp/~takam/