Wseikoの冒険 その二
3月も残す所後1週間 Seikoさんの事件から早や一年半過ぎた。
月日の経つのは早いなぁ。
桜の開花予想も発表されて3月の末らしい。
今朝 回覧板をお隣のまっさん宅にお届けする。
いつもは玄関先でちょこっとご挨拶だけど今朝はどういう風の吹き回しかお茶飲んで行ってとしきりに勧められた。
うるさい餓鬼 いやお子様達はスクールバスで学校へ行ったのでとっても静かだ。
玄関にはピンクの蕾が可愛いカイドウの見事な盆栽が目を引く。
まだお若いのに盆栽とはなかなか渋い趣味です。
庭の水遣りをしていたまっさんも上がって来られて満面の笑みでコーヒーを入れて下さった。
そこらの喫茶店よりうんと美味しい。
何気なく床の間に視線を移すと? (°〇°;) おおっ!
な、何と見覚えのある物体が床の間に鎮座してるではありませんか!
ご丁寧にもぴったりハマる黒檀の台まで作られている。
私の視線に気づいたまっさんが「あ、それね〜」と言って説明して下さった
暑い日に子供達を連れて下の小川へ川遊びに行ったそうだ。
丁度地下からの湧き水が出てくるあたりの岩の間の穴にすっぽり填っていたらしい。
引き抜いて見たらあまりにも見事な形なので持ち帰ったそうだ。
今までの経緯を説明したら恐縮して返して下さった。
あの城跡の井戸とこの小川は地下で繋がっていたのでしょう。
この像も見つけて欲しくて川まで流れて来た不思議な意志感じて鳥肌立つ。
床の間にはポッカリ穴の空いた黒光りする黒檀の台座が主を失って寂しそうだ。
苦労して台座までお作りになったまっさんに申し訳ない気持ちで一杯です。
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早速Seikoさんに報告の電話をする。
興奮してうわずった声が受話器の向こうから聞こえてくる。
「イク〜イク〜イク〜〜〜〜〜〜!直ぐイク〜〜」
そうくると思ったわ。
翌日の夕方にSeikoさんは大きなバッグ2個と発砲スチロールの箱を抱えてやって来た。
シメシメ あの中には新鮮海産物がてんこ盛りだわ〜♪
「いらっしゃいましたわ〜〜一度来てるから目を瞑っても来られたわ〜」
相変わらず華があるSeikoさん やっぱりオーラが違うわ。
靴を脱ぐのも、もどかしくお宝のテーブルへまっしぐらです。
「\(@^o^)/ <キャッホー!!」
Seikoさんはまるで恋人にでも会ったようにように抱きしめて頬ずりしている。
「前より綺麗になってない?」
「そうなのよ〜お隣のまっさんが磨いて下さったみたいよ」
「それで何か手がかり掴めたの?」
「それがぜ〜んぜんなの 前回行った山寺の住職さんが博識らしいし郷土の歴史も研究しているから一度見て貰らう?」
「それが良いわ〜善は急げレッツゴーゴー」
「あの〜〜コシヒカリのもの凄く美味しいご飯炊いて待ってたの 」
「ひっ!やっぱりそう来たか〜!食いしん坊のチョコちゃんね」
Seikoさんはゴチの詰まった発砲スチロールの箱から取り出して手早く作ってくれた。
勿の論 まいう〜〜〜〜丼なのであります。
何度食べても旨め〜〜〜〜〜!
3杯もお代わりしてしまった。
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山門をくぐると仁王様が迎えてくれる。
「あ、此処は前の時来たよね」
流石Seikoさん記憶力が良いわ。
盆栽の鉢がごちゃごちゃ置いてある横を通って庫裡の方へ行く。
「何か用事かのう〜」
不意に後ろから声がした。
体がくの字に曲がった小さなおじいさんである。
「あの〜住職さんにご相談したいことが」
「お〜〜そうかそうか〜! 人が来るのは何日ぶりかのう〜早うあがっちょくれ〜」
おじいさんは腰が曲がったままゼンマイ仕掛けみたいに早足だ。
小走りで着いていくと陽当たりの良い部屋に通された。
寺には不似合い淡ピンクのソファーが置かれている。
「どうぞすわっちょくれ」
いうが早いかまた廊下へね素早く消えていった。
「ね〜ちょこちゃん あれはもしかしてロボットじゃないの〜?腰曲げたままあんなに早く歩くのは人間業じゃないわ」
それに・・・まさかあのおじいさんが住職さんではないよね?」
「わらわも会ったことがないので定かではないけどもう少し若い人だと思うよ」
「あのズビズバーの歌のおじいさん ホラ!名前忘れたけど昔いた芸能界にいた人に似てない?」
「あ、そう言えば子供と歌ってたね〜やめてけれ〜やめてけれ〜 何だっけ〜出てこないけど・・・似てる似てる〜口元がとくにそっくりよ〜」
Seikoさんは笑いを我慢していたのか肩が揺れている。
程なくして先ほどのおじいさんがお坊さんの衣を着けて現れた。
まぁ〜びっくり!馬子にも衣装 坊主には袈裟、急に威厳が出てきた。
Seikoさんは口をあんぐりして見つめて居る。
「あの〜ご住職様ですか?」
「ん?わしか〜? 今は息子に譲った 何しろ厠が近こうなって・・・あぁ〜〜またもよおした」
また凄い勢いで廊下を走り去った。
「ね〜厠って?もしかしてトイレ? またSeikoさんの肩が揺れている。
笑いを我慢するのは死ぬほど苦しい。
腹圧が掛かるのでダイエットに良いかもしれないとその時閃いた。
でも良く考えたら可笑しいけどお気の毒よね」
「そうよね〜お坊さんはお経が長いし途中でトイレなんてまさか言えないしパンパースは居ていたら仏様に失礼だし〜」
「葬儀の最中にお漏らししたらそれこそ大変よ〜」
(((p(>o<)q))) ギャアアア!!! 笑い事じゃないのに吹き出してしまった。
「いずれ自分も行く道なのよね〜」
二人とも神妙になってしまった。
次回に続く・・・・・・