『この場所はこのようにとても素敵なところ。だから私にとっての宝モノの一つ。どんな遊具にもかなわないんだ。』


小学校の低学年くらいに書いた文章をたまたま見つけた。当時の私のお気に入りの場所について書いてある。それがキッカケでふとその場所に行ってみたくなった。私の中でその場所は今もなお“お気に入りの場所”と位置づけられているが、最近はすっかりご無沙汰だった。

この場所は私の夢を叶えてくれる場所だった。

当時、私達のお気に入りの遊び、“夢ごっこ”の舞台だったのだ。“夢ごっこ”というのは、自分の夢とかをイメージして、役になりきって遊ぶ、ママゴトみたいなものだった。歌手にモデル、花屋にケーキ屋、デパートの店員、お母さんまで。友達数人と、その日の役を決めて遊んでいた。木やら、ボールやらを道具にして。いつの間にか高学年になって、“夢ごっこ”なんかやらなくなっても、私はこの場所に通い続けた。

ここには一本堂々と生えている木がある。その木はいつも私に木陰をもたらしてくれた。丁度良くベンチなんかあったけど、そこは時間帯によっては木陰に入らなかった。

だから、私は木の根元に座るのが好きだった。そこで本を読むのだ。誰にも邪魔されない。美しく、丁度良く光る木漏れ日や、さわさわと風が葉をゆらす音は、私を本の中の主人公にしてくれた。

今思うとそれもまた一つの“

夢ごっこ”だったとも思う。

急にその場所が愛しく思って来ちゃったけど……変わってない。前より少しキレイになっているカンジ。

お気に入りの場所はいつまでたってもお気に入りだ……そんなことを思って、ふと木の枝を見た。

二つに分かれた枝の間に黄色いボールがはさまっていた。

……懐かしい。

この風景を見て懐かしいと思うのは、おそらく私と当時の私の数人の友達くらいだろう。

私たちはよく“夢ごっこ”で木の枝にはさまったボールをカメラに見たてて歌ったり、お店の看板に見たてて「いらっしゃいませー」なんて言ったりしていた。

笑みがこぼれる。

ボールを胸にあててみる。

あの頃がまるで昨日のコトみたいに近くて、でももう手の届く場所にないということを感じる。

あの大きな一本の木の前に来た。

ベンチを通り越して、私の大好きな木の根元に座ろうとしたとき、本がふせてあるのに気付いた。


……おかしい。

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