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 千葉県のMさんより。私もひじの裏と顔にアトピーがあります。薬はかぶれてしまってお手上げだと言われました。本に書いてあったショウガエキスを塗ってますが、顔がパンパンに腫れました。これも改善反応ですか。アドバイスをお願いします。

 改善反応ではありません。ショウガにかぶれて症状が悪化しています。きれいに洗ってからビワの葉エキスを塗ってみてください。

 本にも書きましたが、自然療法を病院の治療より、お手軽で苦痛が無いもの、とカン違いしている人が多いです。玄米を食べた、薬草風呂に入った、それだけで治るものではありません。スギナエキスも病院の薬とは違い、効き目はなかなか見えません。もちろんショウガだけで治るものならアトピーに悩む人は世界中にいないはずです。ショウガ搾り汁は痒みを軽減させる効果はあります。私は化膿している所には塗ったことがないのでわかりませんが、少しでもグジュグジュしている所に塗ったら、しみて痛くて大変だったと思います。


 正しい自然療法を知るため、「家庭でできる自然療法」東城百合子著(あなたと健康社)をよ〜く読んでください。

 私が行った自然療法の手当てで、苦痛を伴うものはありませんでした。野原で草を採ってくるなど用意が面倒だとか、薬草風呂にするとお風呂掃除が大変、といった手間がかかる点では、忙しい現代生活を考えると「やってられない」と感じることもあるでしょう。でも手当てそのものは、楽になる気持ち良いものばかりで、手間がかかってもまたやりたくなるものなのです。スギナエキス、ビワの葉エキスも掻きこわしの傷があるところに塗ると、アルコールですからやっぱりしみて痛いのですが、ちょっとガマンすると治まり、化学薬品のような刺激がないので体にとってやさしく負担がありません。病院でのゼンソクの吸入は終わるとグッタリ疲れてだるくなり、おまけに一日中口の中がいやな感じがしていたのですが、コンニャク湿布ですと全身が気持ちよくなり、体が本来の力を取り戻してきます。ただし薬とちがって、それですぐに症状が消えてなくなるというものではないのです。古い病気の細胞が代謝され、新しくできる細胞が少しずつ普通の健康なものへと作られる、それが自然療法の治り方なるので、成果が見えにくいのですが、なんとなく体が楽だわと思っていて、気が付いたらいつのまにか完治しているものです。

 また改善反応は一時的なもので、熱は3・4日で、その他、本(「アレルギーは自力で治る」P140)に書いた症状は何回も繰り返し出てきたものもありますが、なにもしなくても2・3日で自然に治りました。自然療法の治療で、痛い、苦しい、気持ちが悪くなるものはありませんでした。お肉好きの食いしん坊の私には、我慢することが苦痛といえばいえなくもないのですが、それも胃や腸が軽くなり体が疲れなくなったことを実感すると、我慢を苦痛とは思わなくなります。
 痛い、苦しい、気持ち悪いと思ったら治療にはなりません。しみて痛くて大変だったらそれは体が拒否しているのですからすぐやめなくてはいけません。「体の声を聞こう」(P144)と書いたのはそういうことです。同じことはインチキ自然療法にもいえること。苦しい症状が出ても、「それは好転反応です。よかったですね、がんばりましょう。」とだます人もいます。自分の体は自分にしかわからないはず、気をつけましょう。

 ところで、「薬はかぶれてお手上げだと言われました。」とありますが、誰に言われたのですか。お医者さんですか、それとも自然療法師を名乗る薬屋、もしくは自然食品屋?エステ、美容関係の人?○○療法というもっともらしい名の治療師?誰にしても「お手上げだ」などと無責任きわまりないことを言う人を信じてはいけません。まずお医者さん以外の人に言われたのなら、すぐにきちんとした病院へ行き、ちゃんと診てもらいましょう。もしかしたらアトピー以外の皮膚炎だった、なんてことになったら大変です。西洋医学を全く否定するのはよくありません。正しい診断はお医者さんでなくてはできません。 
 さてここで“きちんとした病院”ということがポイント。「お手上げだ」などと言う無責任なことを言ったのがお医者さんだとしたら、それは皮膚科の看板を出していても専門医ではありません。皮膚科のお医者さんの中にはアトピーに関する知識が乏しい人や治らない患者に対して自信をなくしている人、さまざまです。その辺の事情を理解するため、お医者さんのことや、薬についてがよくわかるこの本を読んでください。
 「間違いだらけのアトピー治療」 竹原和彦著 新潮新書 680円(税別)
 この本は、アトピー専門医が書いた正しい治療法、日本皮膚科学会の治療ガイドラインがとてもよくわかる本です。今まで受けていた治療が逆にとても悪いものだったということもありますので、きちんとした専門医に診ていただくことが大切だと分かります。ただし自然療法を全く否定している本です。科学者から見れば「体質改善できた。」といっても、体のどの細胞がどう変化したのか、何のアレルギーを起こす物質がどのくらい減少したのかなど、医学的、科学的デターが無い自然療法は治療として認められないことですから。

 治療される立場の私たち患者が、治療法について、病気そのものについて正しい知識を身につけること、さらには現代医学の情況を知ることが大切です。両方の正しい知識を身につけて、それから病院か自然療法かどちらを選ぶか、熟慮の上決めてください。本当に自然療法が良いと思っているのかどうかも、もう一度自分にきいてみてください。ただ、なんとなく薬は悪いから・・では自然療法も続けられませんよ。

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