紅萌ゆる丘の花 (三高逍遙の歌)(明治37年)
    作詞者 沢村胡夷  作曲者 不明


紅萌ゆる丘の花 早緑匂う岸の色
都の花に嘯けば 月こそかかれ吉田山

緑の夏の芝露に 残れる星を仰ぐ時
希望は高く溢れつつ 我等が胸に湧返る

千載秋の水清く 銀漢空にさゆる時
通える夢は崑崙の 高嶺の此方ゴビの原

ラインの城やアルペンの 谷間の氷雨なだれ雪
夕は辿る北溟の 日の影暗き冬の波

嗚呼故郷よ野よ花よ ここにも萌ゆる六百の
光も胸も春の戸に 嘯き見ずや古都の月

それ京洛の岸に散る 三年の秋の初紅葉
それ京洛の山に咲く 三年の春の花嵐