荒城の月(明治34年)     
土井晩翠:作詩  滝廉太郎:作曲

 
春高楼の花の宴    
巡る盃かげさして    
千代の松が枝わけ出でし     
昔の光いまいずこ    

秋陣営の霜の色    
鳴きゆく雁の数見せて
植うる剣に照りそいし    
昔の光いまいずこ    

いま荒城の夜半の月    
替らぬ光誰がためぞ    
垣に残るはただ葛    
松に歌うはただ嵐    

天上影は替らねど    
栄枯は移る世の姿     
写さんとてか今もなお      
鳴呼荒城の夜半の月