電鉄技術史情報(31)

白井 昭
2003/6/30

台湾政府より阿里山鉄道調査を依頼された等のため本情報が4月末の情報30より中断し、且つ甚だ貧弱な内容をお許し下さい。

阿里山鉄道速報

 これは電鉄ではないが、2003年3月1日の事故について概観してみます。

1)士気の低下、同鉄道への就職希望少なく、ダイヤ間引きのおそれ、ましてSLは汚く暑いので希望者なし。士気低下がたるみ事故の遠因だが、根は深い。

2)ブレーキが1重安全系であり、2重系にする必要あり。
井川線と同方式にしたいが、メーカーがKE14ブレーキ弁(EF65用など)を製造中止にしているのがネックになっている。(DD20の増備もできない)

訂正2件

1)既報名鉄資料館にMCM制御装置を保存中は、同じ所ではあるが名鉄教育センターが正当。

2)小田急3100の初代制御装置はMCMが正当。根拠は制作時の東芝レビューに明記されているから。

日米ブリル研究の比較

 日本のブリル研究は殆ど日本に限定され目が狭いが、アメリカの研究はブリル製品が世界中へ輸出されたため国際的である。
 且つブリル台車の研究は日本より盛んで論争も多く、時代別にブリル1〜15の創生期とか、89〜97の近代型に限った研究グループもある。
 バイブルのブリルマガジンも日本では貴重品だが、アメリカでは比較的豊富である。

イギリスのEMUの車体

 イギリスの鉄道形電車(EMU)(トラム、地下鉄を除く)は明治末のSL列車の電車化以来、コンパートメント形(通路なし、多扉、かつてのマッチ箱形)が主力で、戦後もこれが多数作られ今も活躍している。
 その後急行や中距離用にはモハ80に似たデッキ付きやサルーン形(但し外開きドア)が作られたが、通勤電車には座席が多く乗降の早い多扉コンパートメント車が良いとの考えが強かった。しかし最近は通勤も中央通路が主力となりつつある。
 多扉(6〜10扉)車は全く客車を伝承していて、初期にはSL客車をEMUに改造したものも多い。
 イギリスでは客車形EMUの定義はモハ80のようなデッキ形に当てはまらない。日本で近鉄旧2200やアメリカの多くの同類は客車形EMUかと言うと、日本ではデッキ付きが正統派と見られているが定義は存在しない。
 なお、イギリスでは大正末までの多くの2,3軸客車(単車)が使われていたが、鉄道用電車(EMU)はボギー車であった。


 私は2003年6月30日に大井川鐵道を退職、本情報は続けますが以後の連絡先は別途ご報告します。
(注:下記までメールでお問い合わせ頂ければ白井昭氏へ転送致します)

2003年6月30日


白井 昭:
産業考古学会会員,中部産業遺産研究会会員,鉄道友の会参与,海外鉄道研究会会員,日本ナショナルトラスト会員.


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