電鉄技術史情報29

白井 昭
2003/3/17

PCMとMCMのバリエーションと低圧モーター

 1927年頃PCMコントローラーが出現したとき以来、この高性能油圧制御器は低圧高速度モーターと組み合わせて使用されてきた。300V2個を直列として直並列(SP)制御するもの、これを永久並列で抵抗制御のみするもの、更に150V4個永久直列のものも現れた。その駆動はWNかウオームでモーターは高速軽量の近代設計となり、電車の軽量化と無音化が実現した。
 しかし、日本に導入されたPM、PA、PBは全て旧式の釣掛モーターで無音化できなかった。戦前日本では電車用高速直流モーターの製作技術が無く、輸入もされなかった。

MCMのバリエーション

 MCMは全て高速モーター、ダイナミックブレーキ付きであった。しかしパワリングの制御はSP制御のものと永久接続、抵抗制御のものとがあった。
 線電圧は600Vから1500V、容量は50HP級の1C4Mから100HP級の1C8Mまで、制御電圧は32Vから100Vまで同じMCMといっても色々なものがあった。パノラマカーのMCMは1C8M制御であるが、アメリカのMCMはすべて1C4MのオールM編成となっている。
 1500V線区で1C4Mとするには、MCMにかかわらず、JR119系や近鉄16000系のように永久直列、抵抗制御となるが、日本のMCMではこのタイプは存在しない。

迄・ご協力

 今や日本唯一のPM式油圧制御コントローラーとなった阪堺350形のPMコントローラーの保存にご尽力をお願いします。

2003年3月17日


白井 昭:
大井川鐵道株式会社顧問,産業考古学会会員,中部産業遺産研究会会員,鉄道友の会参与,海外鉄道研究会会員,日本ナショナルトラスト会員.


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