(1) 岡崎駅から見て北端の高蔵寺駅は北北西に位置します。北行き(高蔵寺方)が“下り”、南
行き(岡崎方)が“上り”となっています。
途中、北野桝塚前後と保見前後に大きなSカーブがありますが、急カーブというわけではな
く、線形は概してスムーズです。
営業キロは 45.3 km。
これは、関東ならば「東京から大船まで」、また関西ならば「京都から大阪まで」にほぼ相当し
ます。
線路の概要、平面形および縦断面は次のとおりです(愛環資料による)。
すなわち、標高約15 m の岡崎駅から矢作川を渡った先の北野桝塚(きたのますづか)まではほと
んど平坦です。それから少しづつ高くなり、保見(ほみ)で標高70 m になりますが、ここまでは平 野部といってよいでしょう。その先は木曽山脈末端の丘陵地のため上り勾配になって、篠原(ささ ばら)〜八草(やくさ)間で標高125 m の最高点に達します。その先徐々に下って北端の高蔵寺駅 では約60 m になります。
保見から北端の高蔵寺まではトンネルが多く、それも結構長いものがあります。
ほとんど1駅ごとにトンネルがあり、いくつかの山脈を貫いて山合いの集落を結ぶ線だという
感がします。
岡崎駅を出て東海道本線から離れる地点までを除き、全線にわたり複線の路盤が作られて
おり、大部分が高架または盛土(もりど)です。一部を除き、複線になったときの下り線にあたる線 路が当初敷設され、単線として供用されてきましたが、順次複線化が進行中です。
軌間は、国鉄時代の 1067 mm を引き継いでいます。全線50キロレールが敷かれ、かなりの
部分でロングレールになっています。コンクリートスラブ道床も一部に採用されています。国鉄 として部分開通したときから直流 1500 V で電化され、全線自動閉塞、CTC化されています。
岡崎駅構内北端の東海道本線との並走区間に1箇所踏切があるほかは、あとは全線道路と
は立体交差で踏切はありません。許容最高速度は 100 km/h 程度と思われますが、駅間距離 があまり長くないこともあって実際に出せるところは長いトンネル内など限られているようです。
構想時に東海道本線の迂回線という期待もあったため、勾配は電車路線としては低く 10 ‰
に抑えられています。また、国鉄時代に計画された駅は、貨物列車が運行できるよう、すれ違 い施設(ポイントからポイントまで)が大変長く、プラットホームも国鉄仕様で電車8両対応と長く 作られています。しかし、愛環移管時に追設されたすれ違い施設やプラットホームは 4両対応 と短いものばかりです。
「八草」はずっと 1面1線の小駅でしたが、万博最寄駅となったため 10両対応のホームを持つ
2面2線に拡張され、新しくできた東部丘陵線(リニモ)との連絡通路を含め様相が一変しまし た。岡崎方に長い引上げ線も設けられました(期間中、「万博八草」と呼称)。
両端駅は前記の通り ともに既設JR駅ですが、今のところ、専用に使えるのはどちらも1面1線
だけです。岡崎駅には引上げ線もなく、次発列車を待機させておくところがありません。
高蔵寺駅には、中央本線直通化のための配線改良を機に名古屋方に引上げ線が設けられ
ました(安全側線兼用?)。
高蔵寺駅ではまた、中央本線下り最外側線から愛環に直通するための新線が設けられまし
た(平成17. 3 供用開始)。これは建設当初からの計画によるもので、中央本線上下線を乗り越 す部分のトンネル構造物は初めから作ってありました。
(2) 岡崎駅では当線の発着線が東海道上り線の外側にあって、国鉄時代から当線列車は東
海道上り線を通って発着する、すなわち、岡崎駅を発車すると東海道上り線をしばらく逆走して 中線に移り東海道上り線をくぐって離れて行く、また、岡崎駅に到着する愛環列車は中線から 東海道上り線に一旦合流しなければなりませんでした。そういうわけで列車頻度の高い東海道 本線との干渉から愛環側のダイヤ設定に困難があり、かつ保安上も好ましくありませんでし た。
そのためかねてからここの分離・別線化が課題となっており、筆者も県議を通じて当局に促進
方をアピールしたことがありますが、先ほど岡崎−六名間の別線がようやく完成して平成16.11 から供用を開始しました。これで JRとの干渉がなくなった訳です。
「中線」からつながる元の線はそのまま残してあります。JRとの間の車両の受け渡し、検測車
の乗り入れなどの必要からと思われます。
北端の高蔵寺駅では、当初から JR中央本線との干渉はありません。
(3) 愛環の路線図は下の通りです(平成17.3.21、図を更新しました)。
安全側線など細部は省略。平成17年3月現在
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