魚探を見つつ尚かつ山立てが分かっていたとしても見つけられない程の幻のポイント。土肥の漁師といえども完璧に“ここだっ!”って
一発で場所を特定することは不可能だと思う。ハサミ同様この蔵合わせを教えてくれたのはとび島丸の大船長だ。土肥の海、小下田の海
果ては銭須、イナンバまで熟知し操船技術は天下一品、研究心、探求心旺盛で(自分が言うのはおこがましいが)とにかく勉強している
んじゃないかと思う。浮上してきたときに“減圧は大丈夫だったか?”と言ってくれる船長はそうはいない。1999年〜始まった土肥の
限定ポイントメインのダイビングスタイルはこのとび島のオヤジさんの協力なくしては全くありえなかったことだ。ポイントを教えて
もらうだけでなく、元来一切ダイバーの使っていないこれらの場所は遊漁船事業者にとっては一級品の仕事場でありここをダイバーと
共有するということは簡単には理解を得られないことでもある。これがすんなり通ったのもオヤジさんの協力があったからで、
本当に心から感謝したい。オヤジさんの船に乗せてもらっての調査潜水は毎日が本当に勉強になった。小下田エリアのダイビング
可能なあらゆる根の山立てから小下田独特の潮の動きの特長、魚群の動き、船のこと、漁師独特のロープワークから果ては釣り針の
ハリスの早い結び方まで(笑)いつか潜ってみたいと思っていたポイントを潜る夢が叶ったこと、自分の知識と経験が深められたこと、
1999年は自分にとってとても特別な年だった。
探しても探しても見つからなかった蔵合わせに初めて入った時の喜びは今でも忘れられない。根を覆いつくす鮮やかなソフトコーラル
視界を塞ぐほどのマアジ、イサキ、タカベ、スズメダイなどなどの混群。その中に混じるカンパチ、トビエイ。まさに手つかずの土肥
の海だった。
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