銃砲刀剣類所持等 取締法(銃刀法)に関連して

●銃刀法 第1条(趣旨)
 
 この法律は、銃砲刀剣類等の所持に関する危害予防上必要な規制について定めている。
●銃(猟銃・空気銃)の所持
 
 銃は、所持の禁止を除外する場合として法に規定されている場合以外は、公安委員会の許可を得なければ「所持」できない。
 
 許可を得ず所持できる場合の例
 
  1. 法令に基づき警察官、自衛官、海上保安官等が職務のため所持する場合

  2. 国、地方公共団体の職員が、試験研究や猟銃講習会若しくは狩猟講習会の教材のため、又は技能検定の用に供するため所持する場合

  3. 射撃指導員が指定射撃場において射撃の指導のため、指導を受ける者が許可を受けて所持する銃を所持する場合

  4. 射撃教習の指導又は受講のため、射撃教習指導員又は教習受講者が教習用備付け銃を所持する場合

  5. 射撃練習のため又は射撃練習の指導若しくは助言のため、射撃練習を行える者又は練習射撃指導員が練習用備付け銃を所持する場合

  6. 教習射撃場又は練習射撃場の設置者又は管理者が、教習用備付け銃又は練習用備付け銃を業務のため所持する場合

  7. 猟銃等販売業者が、法に定める者から譲り受けた物又は輸入した物を業務のため所持する場合

  8. 猟銃等保管業者が、保管の委託を受けた猟銃等を基準に適合する方法で保管のため所持する場合
「所持の概念」
「所持」とは支配の意思をもって事実上銃を自己の支配しうるべき状態におくこと。従って「携帯」はもちろんのこと「運搬」や「保管」も含まれる。盗まれたり、滅失すると許可の対象物がなくなるので許可は失効する。
「携帯」とは、所持者自身が手に持つか身体につける等直ちに使用できる状態で現に携えていること。
「運搬」とは、所持者の支配下において物件の場所的移動を行うこと。車のトランクに入れて出猟する場合は運搬であり、保管しているとはいえない。
●所持の年齢制限
 
 狩猟目的の場合は、猟銃はもちろん空気銃であっても20歳に達しないと所持できない。
 射撃目的の場合は、猟銃は20歳、空気銃は18歳に達しないと所持できないが、(財)日本体育協会(日体協)の推薦を得れば猟銃は18歳、空気銃は14歳から所持できる。
●猟銃・空気銃の所持許可の申請ができる者
 
  1. 狩猟、有害鳥獣駆除、標的射撃、試験研究等法令に定める所持目的がある者でなければならない。
    鑑賞とか、コレクションとか、遺品だからといった理由では所持許可の申請は認められない。

  2. 「猟銃等講習会」を受講し、講習修了証明書の取得者であること。
    (1)、(2)を充たしている者は、空気銃は申請ができる。

  3. 初めて散弾銃、ライフル銃を所持しようとする者は、技能検定の合格証明書又は射撃教習の教習修了証明書のいずれかの交付を受けている者であること。

  4. 狩猟又は有害鳥獣駆除のためライフル銃を所持しようとする者は、次のいずれかに該当する者であること。

    • 獣類の捕獲を職業とする者(生計をたてている者)
    • 農林漁業など事業に対する被害を防止するため必要とする者
    • 継続して10年以上猟銃の所持許可を受けている者(標的射撃の用途に供するためライフル銃を所持していた者については、失効 による中断があっても通算する特例がある)

  5. 標的射撃のためライフル銃を所持しようとする者は、日体協(実際には日本ライフル射撃協会)から、政令で定めるライフル射撃競技に参加する選手又はその候補者として適当であると推薦された者であること。
「事前許可制」
猟銃等は、所持許可を受けた者でなければ、これを譲り受けることができない建前であり、所持許可証の交付を受け、これを提示してはじめて猟銃等を譲り受けることができる。
「1銃1許可制」
所持許可は1銃1許可である。2丁同時に所持する場合には2許可が必要である。また共同で所持の許可を受けることはできない。
「1人1許可証制」
2丁目及びそれ以上を所持する場合には、すでに持っている許可証に新しい銃の許可に関する事項を記載することになっている。
●猟銃・空気銃の所持が許可されない場合
 
 所持許可については、第一に持たせてもよい(悪用する危険性がない)人かどうか、第二に持たせてもよい銃であるかどうかの観点から、下記のような欠格事項がさだめられている。
 
(1)人的欠格事項
 <絶対的欠格事項>

  1. 猟銃は20歳、空気銃は18歳にならないと持てない。ただし標的射撃については、日体協の推薦を受けると特別に猟銃は18歳、空気銃は14歳から所持許可を受けることができる。

  2. 精神障害又は発作による意識障害をもたらし、その他銃砲又は刀剣類の適正な取扱いに支障を及ぼす恐れがある者。アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者又は病気として法令で定めるものにかかっている者。

  3. 生活の本拠の定まっていない、いわゆる住居不定者。

  4. 所持許可の取消し処分を受けた日から5年を経過していない者(ねむり銃として取り消された者、ライフル銃で狩猟を職業とする者が、職替えでライフルの所持を取り消された者は含まない)。

  5. 所持許可の取消処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日以後その処分が決定されるまでの間に関係の銃を譲渡した者で、所持しないこととなった日から5年を経過していない者。

  6. 銃砲刀剣類を不法に所持して罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない者。

  7. 銃砲刀剣類又は刃体の長さが6cmを超える刃物を用いて、殺人、強盗、強姦、誘拐、傷害、恐喝など凶悪な罪を犯した者で、罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない者。この要件は、猟銃の所持については、その者が刑に処せられたか否かを問わず、その行為をした日から10年を経過していない者と厳しくなっている。

  8. 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他国家公安委員会規則で定める違法行為を行うおそれがある者。

  9. 他人の生命若しくは財産又は公共の安全を害するおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者。

  10. 許可申請の関係書類中に、重要な事項について虚偽の記載をし若しくは重要な事実を記載しなかった者。

<相対的欠格事項>

  1. 同居の親族に<絶対的欠格事項>(7)に該当する者がいるときは、許可されない場合がある。

  2. 銃の保管義務又は銃の譲渡の制限に違反して罰金以上の刑に処せられ、その刑の執行が終った日から5年を経過していない者は許可されない場合がある。

 
(2)銃の欠格事項

  1. ステッキ銃などの変装銃は許可にならない。

  2. 亀裂、閉鎖不完全、逆鈎不確実など欠陥がある銃は許可にならない。

  3. 連続自動撃発式の銃は許可にならない。いわゆる機関銃のことで、通常、自動銃又はオートと呼ばれている自動装てん式の銃はこれに該当しない。

  4. 6発以上(散弾銃にあっては3発以上)の充てんができる弾倉のある銃は許可にならない(弾倉5発、薬室1発計6発、散弾銃では弾倉2発、薬室1発計3発までの銃はよい)。

  5. 口径の長さが右表の長さを超える銃は許可にならない。
    上段は一般に許可になる上限であり、下段は特別な用途での(例えば散弾銃で)8番まで許可される上限である。これを超える口径のものは認められない。

  6. 銃の全長及び銃身長が右表以下の短い銃は許可されない。
    銃の全長及び銃身長は、上表の長さを超えるものでなければならない。

  7. 消音装置のある銃は許可されない。もっぱら減音効果をあげるためのものを指し、パターン調整とか反動防止を目的としたポリチョークとかカッツコンペンセーターは構わない。


●所持許可の申請手続き順序
 
(1)猟銃等講習会
 
所持許可又は所持許可の更新を申請しようとする者は、まず公安委員会が開催する「猟銃等講習会」を受け、講習修了証明書を入手すること。
有効期限は交付の日から3年である。したがって3年以内に所持許可を取得しないと受け直ししなければならなくなる。
この証明書は、所持許可又は所持許可更新の申請のほか、教習資格認定申請又は技能検定申請の際にも提示することになっている。
 
「空気銃(含ガス圧銃)の申請」
空気銃及び圧縮ガス式銃は、(2)の射撃教習又は技能検定を受けずに許可申請ができる。
 
(2)射撃教習又は技能検定
 
射撃教習は猟銃を初めて持ちたい者が、射撃場で、教習用備付け銃を用いて、教習射撃指導員より手ほどきを受ける講習であり、合格すると教習修了証明書が交付される。
技能検定とは、過去に経験のある者など銃の取扱いに自信のある者が、手ほどき講習を受けずに公安委員会の行う技能検定を受ける制度で、合格すると技能検定合格証明書が交付される。
射撃教習を受ける場合はあらかじめ教習資格認定申請をし、公安委員会から「教習資格認定証」の交付を受けるが、この有効期間は3ヶ月である。
技能検定を受ける場合も、「技能検定申請書」を提出すると公安委員会から「技能検定通知書」が交付される。これはいつ技能検定を行うという通知書なので有効期間はないが、両者共有効な間に受講・受検しないと取り直しをしなければならなくなる。
「教習修了証明証」及び「技能検定合格証明書」の有効期間は1年なので、この間に銃の所持に至らなかった場合は取り直しをしなければならなくなる。
 
(3)銃の所持許可申請
 
猟銃等講習会の「講習修了証明書」と「教習修了証明書」又は「技能検定合格証明書」がそろうと、さらに「写真」、「診断書」(精神病や麻薬中毒者等ではないとの証明)、「戸籍抄本」及び「住民票の写し」、「経歴書」(職歴・住所歴・銃所持歴・犯歴・病歴)、「同居親族書」、「譲渡承諾書」等を準備し、「銃砲所持許可申請書」に添付して申請する。
 
(4)所持許可証の交付及び確認
 
許可が決定すると「許可証」が交付される。この許可証を銃の譲渡者に提示して銃を受け取り所持する。この段階では許可証はまだ完全なものではないので使用はできない。
銃を所持してから14日以内に許可を受けた警察署に許可証と共に銃を持参し、公安委員会の確認を受け確認の押印をもらってはじめて許可証は完全なものとなる。
 
譲渡人から受ける「譲渡承諾書」は、申請の段階で譲渡人が未定の場合は、確認の段階で提出すればよい。
 
●許可証の再交付及び書換え
 
本籍、住所、氏名など記載事項に変更を生じた場合は書換えの申請をしなければならない。また亡失、盗難、滅失した場合は再交付の申請をしなければならない。
 
「修理・改造の概念」
改造」とは構造又は機能に変化を与えることで、小口径を大口径にしたとか、単身銃を2連に変えることは、書換えではなく、別の銃に変わるのだから許可の取り直しをしなければならなくなる。
修理」とは改造又は機能を現状に復することで、許可銃を自分で修理することは差支えないが、改造は改造できる免許のある有資格者でないとできない。
射撃目的で許可を受け、追って狩猟目的を追加する場合(用途を追加変更)とか銃身の切り詰め又は銃床の切り詰めなど変更の場合は、書換えの申請をする。
 
●所持許可の更新
 
銃の所持許可は、その人の第3回目の誕生日まで有効である。誕生日を過ぎると失効する。更新は3回目の誕生日の2ヶ月前から15日前までの間の「更新申請期間」内に更新申請をしなければならない。
更新申請の際には、3回目の誕生日に有効である(申請時に有効であるのではない)猟銃等講習会の「講習修了証明書」をもっていないと申請ができないので、あわてることのないよう早目に経験者講習を受けておくこと。
「講習修了証明書」の有効期間は交付の日から3ヶ年である。また、更新申請の際には銃と許可証を提示して申請する。銃は番号を確認し許可証には「更新申請中」と押印して返してくれる。更新時にはその銃の使用実績報告書を提出することになっている。
 
  1. 射撃場で標的射撃をした場合、許可証の猟銃用火薬類等譲受許可証の備考欄に消費確認印を押印してもらうことにより代えられる。

  2. (社)日本クレー射撃協会の射撃大会参加証明をもって代えられる。

  3. (社)日本ライフル射撃協会の射撃大会参加証明をもって代えられる。
 
「更新申請期間の特例」
災害、病気、海外出張など、その他やむを得ない理由で更新申請期間内に申請することができなかった者は、その理由を明らかにした書類を添えて(更新期間経過後でも有効期間が満了する日の前日までに)更新申請をすることができる。ただし、有効期間内での更新申請でなければならず、満了(失効)したらどのような場合でも更新はできない。従って許可の取り直しをしなければならない。
 
「やむを得ない事情で失効した人の取り直し許可申請」
海外旅行その他政令で定めるやむを得ない事情により、許可の更新を受けることができなかった者で、その事情がやんだ日から1ヶ月以内に許可の申請をする場合は、射撃教習又は技能検定を受ける必要はない。
上記の者が猟銃等講習会を受ける必要がある場合は、経験者講習会を受けるものとされる。
 
●許可の失効とその後の手続き
 
(1)失効
 
下記に列挙の場合、許可は失効する。
 
  1. 更新を受けなかった場合

  2. 許可を受けた日から3ヶ月以内に銃を所持しなかった場合

  3. 死亡した場合

  4. 他人に譲渡し、その他自己の意思に基づいて所持しないことにした場合

  5. 亡失、盗難又は滅失した場合

  6. 不法な所持又は不正な携帯や運搬を理由に提出を命ぜられた場合、又はこれらが裁判の結果没収された場合

  7. 日体協等の推薦を受けて許可を受けた者が推薦を取り消された場合

  8. 変装銃に改造した場合

  9. 同一性を失わせる程度に改造した場合
 
(2)まっ消
 
許可が失効した場合は、速やかに許可証を公安委員会に返納しなければならない。ただし許可証に有効な他の銃に関する記載があるときは(1つの許可証に数丁の記載がある)、失効した銃に関する事項のまっ消を受けなければならない。
許可証の返納は許可を受けた本人がするのが原則である。ただし本人死亡の場合は、死亡届出義務者が10日以内に返納しなければならない。
 
(3)失効後の措置
 
許可が失効した場合、本人又は相続により銃を取得した者は、失効の日から50日以内に
  1. 自分が許可を受ける
  2. 譲渡する
  3. 廃棄する
のいずれかの措置をとらなければならない。
公安委員会は
  1. 必要があると認める場合
  2. 50日以内に許可を取るか、譲渡するか、廃棄することをしなかった場合
失効した銃の提出を命じ、これを仮領置する。

銃砲店に譲り渡したことにより失効した場合は、許可証を銃と共に銃砲店へ引き渡すことになっている。しかし、その許可証に失効していない銃の記載がある場合は許可証を提示すれば足りるが、その後速やかに公安委員会に届け出て該当項目のまっ消の手続を済ませなければならない。
 
●許可の取消
 
銃刀法や政令規定に基づく処分に違反した場合や、新たに欠格条件が生じた場合は所持許可が取り消される。使用する実包、空包について火取法上の違反(不法所持、無許可消費数量の超過、大量保管など)を犯した場合も同じである。
銃を持ってから暴力団とかかわりをもつようになったり、凶悪な罪を犯すと取り消される。また継続して3年以上許可を受けた用途に供していないと認められる場合には、取り消されることがある(ねむり銃と称している)。取り消された場合は、公安委員会から提出を命じられ、仮領置される。
 
「譲渡」
譲り渡す場合、相手が銃砲店の場合はいつでも譲り渡せるが、それ以外は相手が譲り受けようとする銃について、あらかじめ所持許可を受けていなければならない。
 
●所持に関する遵守事項
 
(1)携帯・運搬の制限
 
銃は「狩猟」「有害鳥獣捕獲」「標的射撃」等の用途のため許可を受けたのであるから、みだりに携帯・運搬・発射することは許されない。
 
(2)安全措置
 
携帯・運搬する場合は、銃におおいをかぶせるか容器に入れなければならない。
銃に弾を装てんしたまま置いておいてはならない。
 
(3)発射の制限
 
猟銃等は、法に定められている場合以外の発射を認めていない。発射できるのは次の場合である。
 
  1. 狩猟又は有害鳥獣捕獲の用途に供するために所持許可を受けた者が、鳥獣保護法の規定により銃猟をする場合(鳥獣保護法に違反する発射は、銃刀法の発射制限違反となる)。

  2. 狩猟、有害鳥獣捕獲又は標的射撃の用途に供するために所持許可を受けた者が、指定射撃場において、その指定射撃場の指定に係る種類の銃砲で射撃をする場合。
 
(4)保管義務
 
  1. 許可に係る銃は自ら保管しなければならない(家族が持ち出せる状態はいけない)。

  2. 保管設備は、堅固なもので、確実に施錠できる錠を備えている銃専用のものでなければならない。

  3. 設備ごと簡単に持ち出せないものでなければならない。

  4. 自動車のトランクは堅固な保管設備とはいえない。

  5. その銃に適合する実包、空包と共に保管してはならない。
 
公安委員会は、保管状況について必要な報告を求めることができる。また猟銃については(空気銃を除く)必要があると認めるときは、警察職員に保管の状況を調査するため立入り検査をさせることができる。「必要と認めるとき」とは、定期銃検査に応じない場合、必要な報告を求めても応じない場合、保管の状況をどうしても知らなければならないような場合等である。
 
(5)所持の制限
 
<消音器・着脱弾倉・短い替銃身>
 
許可銃に取り付けて使用することができるもっぱら減音効果をあげるために製作された消音器、6発以上(散弾銃用は3発以上)充てんできる着脱式弾倉又は48.8cm以下の長さの替銃身を所持してはならない。
 
(6)検査を受ける義務
 
公安委員会は、許可銃が適正に所持されているかを調査する必要があると認めるときは、警察職員にあらかじめ日時、場所を指定して検査させることができる。いわゆる「銃検」といっているもので、年1回銃と許可証を持参して検査を受ける。
許可証の書換え、再交付、返納義務等を怠っていないかチェックされる。使用実績の報告を求められることがある。
 
(7)事故届
 
 許可銃を亡失し、又は盗み取られた場合においては、直ちにその旨を警察官に届け出なければならない。
 
(8)取締り特別規定
 
  1. 警察官は、携帯・運搬者に異常な挙動があり危害を及ぼすおそれがある場合には銃を提出させ、一時保管することができる。期間は5日間である。

  2. 許可銃を運搬する場合は、常に許可証を携帯していなければならない。警察官から提示を求められた場合には、これを提示しなければならない。

  3. 公安委員会は、法違反者等の許可を取り消した場合、この銃を仮領置する。

  4. 銃携帯者が我が国に上陸しようとする場合、必要があればこの銃を仮領置できる。出国する場合は返還される。
 
火薬類取締法に関連して(火取法)に関連して

●猟銃用火薬類
 
 猟銃用の実包、銃用雷管及び発射薬等は「猟銃用火薬類等」と呼ぶ。すなわち実包、空包、銃用雷管、無煙火薬及び黒色猟用火薬の総称である。
 産業用火薬類(ダイナマイトとか電気雷管など)の譲渡、譲受けの許可は知事が行うが、猟銃用火薬類の譲渡、譲受け等の許可は公安委員会が行う。
 
●譲渡、譲受け
 
 猟銃用火薬を譲り渡し、又は譲り受けようとする者は、公安委員会の許可を受けなければならない。ただし、法に定める特定の者については、無許可で譲り渡し、又は譲り受けることができる。
 
(1)無許可譲受け
 
 無許可譲受けとは、狩猟者登録証を受けた者又は鳥獣捕獲の許可を受けた者が、登録又は許可の有効期間内に次表数量までを無許可で譲り受けることができる制度である。ただし、残火薬などを譲り渡しする場合には、譲渡の許可を受けなければならない。
 
 
(2)譲渡、譲受けの許可申請
 
 譲渡の場合は申請書を住所地を管轄する警察署に提出すればよいが、譲受けについては申請書を提出し、射撃目的の場合は下記のいずれかを提出しなければならない。
 
  1. 銃砲所持許可証

  2. 技能検定通知書(技能検定を受けるため必要な実包の購入のため)

  3. 教習資格認定証(射撃教習を受けるため必要な実包の購入のため)

  4. 練習資格認定証(射撃練習をするために必要な実包の購入のため)

  5. 銃の登録証(古式銃の所持は文化庁長官が銃の登録証を発行しているが、この銃に使う火薬の購入のため)
 
 狩猟目的又は鳥獣捕獲目的の場合は、銃砲所持許可証のほか、狩猟者登録証又は鳥獣捕獲許可証を併せて提示しなければならない。
 譲り受ける実包、空包はその銃に適合したものでなければならない(散弾銃所持者がライフル実包の許可申請はできない)。
 許可の申請はやむを得ない場合のほか、申請人が行わなければならず、グループの代表が一括申請するようなことは許されない。許可証の有効期限は1年を超えない期間で、また、1回の申請数量は、その期間内の消費見込量や貯蔵数量などの事情により制限されることがある。
 猟銃用火薬類を譲り渡し、又は譲り受ける際には相手方に「譲渡許可証」又は「譲受許可証」を示して必要事項を記載してもらうことになっている。

 譲渡・譲受許可証記載事項のうち、住所、職業又は氏名に変更があった場合には許可を申請した公安委員会に許可証の書換申請をしなければならない。他県に住所を変更した場合には郵送でもよい(銃の許可証の書換えでは郵送は不可)。
 譲受許可数量の全部を譲り受けたとき、有効期限が満了したとき、廃銃したときなど目的を失ったときは、速やかに交付を受けた公安委員会に返納しなければならない。
 銃砲の所持許可証に併綴されている場合はまっ消してもらわなければならない。
 通常の人の1回の譲受数量の限度は、自宅保管数量の限度からして800個以下であるが、できるだけ自宅に保管しないように必要量を譲り受けることが望ましい。

(3)無許可譲受票
 
 狩猟者登録証又は鳥獣捕獲の許可を受けている者の猟銃用火薬類は「無許可譲受票」により譲り受けることができる。この譲受票の交付は、大日本猟友会の支部が交付事務を行っている。猟友会に入っていない者もいるので例外的に警察署長も行うことができる。
 無許可譲受票は一狩猟期間若しくは鳥獣捕獲の許可期間につき1枚しか交付されず、紛失しても再交付は受けられない。
紛失後、実包を譲り受けたい場合又は無許可譲受数量では不足する場合には、公安委員会へ譲受許可の申請をし、譲受許可証の発行を受ける。
 無許可譲受票は、一狩猟期間又は鳥獣捕獲許可の期間満了後30日以内に、交付を受けた猟友会支部に返納するか、銃の所持許可証に併綴の場合はまっ消を受けなければならない。
 
●猟銃用火薬類
 
  1. 火薬類譲受許可証に基づいて譲り受けた者は、適法に猟銃用火薬類を所持することができる。

  2. 狩猟者登録証又は鳥獣捕獲許可証を受け、無許可譲受数量の範囲内で譲り受けた者は、適法に猟銃用火薬類を所持することができる。

 猟銃用火薬類は原則として火薬庫に貯蔵しなければならないが、下記数量の範囲内であれば、自宅の安全な場所に堅固な設備に収納し、施錠をして保管することができる(自動車のトランクなどは堅固な設備とはいえない)。
 
 
●猟銃用火薬類の無許可製造数
 
 火薬類の製造は、製造業者でなければ製造できないが、次の場合に限り無許可で製造することができる。
 
  1. 狩猟者登録を受けた者又は鳥獣捕獲の許可を受けた者が、1日につき実包又は空包の合計100個以下を造る場合

  2. 射的練習をする者が、1日につき実包、空包の合計100個以下を造る場合

  3. 鳥獣の駆逐をする者が、1日に空包100個以下を造る場合(駆逐とは単に追い払うことであり、駆除とは捕獲したり追い払ったりすることである)。

●猟銃用火薬類の運搬
 
 猟銃用火薬類を自動車等により運搬する場合には、積載及び運搬の方法などにつき火取法に定めがあるが、実包を弾帯又は薬ごうに詰めて携帯運搬する場合には特別な規定はない。
火取法の規定ではないが、列車、バス、船舶、飛行機については下記規則がある。
 
  1. 列車に乗る場合、鉄道運輸規定では下表の通り決めている。



  2. バスに乗る場合、自動車運送事業等運輸規則で、弾帯又は薬ごうにそう入してある実包又は空包50個以内と定めている。

  3. 船舶に乗る場合、危険物船舶運送規則で下表の通り決めている。



  4. 飛行機に乗る場合、手廻り品として機内持込手荷物にはできないので受託手荷物(5kgまで)にすること。

 
火薬類は他の物と混包したり他の物にみせかけて運搬してはならない。
 
●無許可消費数量
 
 消費許可を受けないで消費できる場合(無許可消費)は次の通りである。
 
  1. 狩猟者登録又は鳥獣捕獲許可を受けた者は、鳥獣の捕獲又は駆除のために1日に実包と空包の合計100個以下を消費できる。

  2. 銃の所持許可を受けた者(射撃教習又は技能検定を受ける者及び練習射撃を行う者を含む)は、射的練習のために1日に実包と空包の合計400個以下を消費できる。

  3. 銃の所持許可を受けた者は、鳥獣の駆逐のために1日に空包100個以下を消費できる。

 上記より多い数量を消費するときは、消費許可を受けなければならない。
 
●残火薬類の措置
 
 狩猟者登録証の有効期限が満了した際の残火薬類は、満了の日から1年間は適法に所持できるが1年を経過したときは遅滞なく譲渡又は廃棄の手続きをしなければならない。なるべく譲受けの時点で残火薬類を残さないような数量を譲り受けるよう心掛けるとともに、猟期終了後は猟友会等の主催する射撃会に参加するなどして残弾を自宅に残さないよう配慮することが望ましい。
 
●廃棄
 
 残火薬とか不良火薬又は不発実包等を廃棄する場合は、知事の(公安委員会ではない)許可を受けなければならない。廃棄の方法は、規定の技術基準に従って行わなければならない。
 
●火薬類を取り扱えない者
 
 火薬類は18歳未満の者に取り扱わせてはならない。
 
鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(新鳥獣保護法)に関連して

●狩猟免許及び登録等
 
(1)狩猟の定義と狩猟鳥獣
 
 大正7年に制定された「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」は、平成14年7月全面改正され、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」として公布された。
 平成15年4月16日から施行された新法において、「狩猟」とは、法定猟法により、狩猟鳥獣の捕獲等をすること、としており、「法定猟法」とは、銃器(装薬銃及び空気銃)、網又はわなを使用する猟法であり、「狩猟鳥獣」とは、その肉や毛皮を利用する目的、生活環境、農林水産業又は生態系に係る被害を防止する等の目的で捕獲や殺傷の対象となるとして環境省令で定める鳥獣、としている。
 日本の鳥獣は約600種であるが、このうち狩猟鳥類は28種、獣類は20種である。
 
(2)狩猟免許試験
 
 狩猟をしようとする者は、知事の行う狩猟免許試験(狩猟について必要な適性、技能及び知識に関する事項)に合格し、狩猟免許を受けなければならない。
 
(3)狩猟免許
 
 狩猟免許には、猟法の種類に応じ下記の3種類がある。



 第一種銃猟免許を受けた者は、装薬銃を使用する狩猟ができるほか、空気銃の狩猟もできる。
 
(4)狩猟免許を受けられない者
 
  1. 20歳未満の者

  2. 精神障害又は発作による意識障害をもたらし、その他の狩猟を適正に行うことに支障を及ぼすおそれがある病気として環境省令で定めるもの(精神分裂病、そううつ病、てんかん)にかかっている者



  3. 麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者

  4. 自己の行為の是非を判別し、又はその判別に従って行動する能力がなく、又は著しく低い者

  5. 鳥獣保護法違反で罰金以上の刑に処せられ、その執行が終わった日から3年を経過しない者

  6. 狩猟免許を取り消された日から3年を経過しない者
 
(5)狩猟免許の有効期間と更新
 
 狩猟免許の有効期間は、狩猟免許試験を受けた日から起算して3年を経過した日の属する年の9月14日までである。狩猟免許の更新を受けようとする者は、知事に申請書を提出し、適性試験を受けなければならない。適性試験の結果、支障がないと認められた者には、満了した翌日(9月15日付)で更新され、新しい狩猟免状が交付される。鳥獣保護法違反をしたり適性を欠いたりして狩猟免許の効力の全部又は一部が停止されている場合は、更新された狩猟免状にその旨が記載される。
 更新された狩猟免許の有効期間は3年である。
 更新を受けようとする者は、知事の行う講習会をできるだけ受けるようにしなければならない。
 
(6)狩猟免許の取消し・効力停止・失効など
 
  1. 狩猟免許を受けた者が、精神障害又は発作による意識障害をもたらし、その他の狩猟を適正に行うことに支障を及ぼすおそれがある病気(精神分裂病、そううつ病、てんかん)になったとき、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者になったとき及び自己の行為の是非を判別し、又はその判別に従って行動する能力がなくなったか、又は著しく低くなった者は、免許を取り消される。

  2. 鳥獣保護法等に違反したとき又は必要な適性を欠くようになったときは、免許の全部又は一部を取り消されたり、期間を定めて全部又は一部の効力を停止される。

  3. 狩猟免許の全部又は一部が停止されたときは、知事に狩猟免状を提出して、その旨の記載を受けなければならない。

  4. 鳥獣保護法に違反し、罰金以上の刑に処せられたときは、捕獲許可(法第9条第1項)又は免許は失効する。

  5. 狩猟免許の更新を受けなかったときは失効する。

  6. 狩猟免許が取り消され又は失効したときなどは、狩猟免状を知事に返納しなければならない。
 
(7)狩猟者登録と有効期間
 
 狩猟を行おうとする者は、狩猟をする区域を管轄する知事に登録申請書を提出し、狩猟免許の種類、狩猟をする場所、住所、氏名及び生年月日等の登録を受けなければならない。
 登録の有効期間は、10月15日から翌年の4月15日(北海道は9月15日から翌年の4月15日)までである。狩猟鳥獣の種類と狩猟期間は下表の通りである。
 
 
(8)狩猟者登録の拒否と制限
 
 登録を受けようとする者が下記のいずれかに該当するとき、又は申請書に虚偽の記載等があったときは、その登録は拒否される。
 
  1. 狩猟免許を有しない者。

  2. 狩猟免許の効力が停止されている者。

  3. 損害賠償保険等の要件を備えていない者。
 
 また、知事は鳥獣の生息の状況等を勘案して登録者数の制限をすることができる。
 
(9)狩猟者登録証と記章
 
 登録を受けた者には、狩猟者登録証と狩猟者記章が交付される。登録した狩猟免許の種類や狩猟をする場所を変更しようとするときは、変更登録を受けなければならない。また、住所、職業、使用猟具等に変更が生じたとき及び登録証や記章を亡失したときは、遅滞なく届け出なければならない。登録証も記章も申請すれば再交付が受けられる。
 狩猟をするときは、狩猟者登録証を携帯し、狩猟者記章を衣服又は帽子の見やすい場所に着用しなければならない。狩猟中、国又は地方公共団体の職員、警察官等から請求があった場合は、狩猟者登録証を提示しなければならない。

 
(10)狩猟者登録の抹消等
 
 狩猟免許の取り消し、効力の停止又は失効があれば、知事は登録を抹消しなければならない。また、不正の手段により登録又は変更登録を受けたときや、上記の登録を拒否される者のいずれかに該当することとなったときなどは、知事はその登録を取り消したり、6月を超えない期間を定めてその登録の全て又は一部の効力を停止することができる。
 
(11)狩猟者登録証等の返納と報告の義務
 
 狩猟期間が満了したときは登録証のみを、登録を抹消されたときは登録証と記章を、該当することになったその日から30日以内に登録知事に返納しなければならない。また、登録証又は記章の再交付を受けた後に発見したときは速やかに返納しなければならない。
 また、狩猟期間が満了したときは30日以内に、鳥獣の捕獲した場所及び捕獲した鳥獣の種類別員数を報告しなければならない。
 
●狩猟の制限
 
 危険を防止し、第三者の権利保護又は狩猟鳥獣の保護の観点から下記の通り、場所及び猟法の制限がされている。
 
<場所的制限>
 
(1)危険防止及び静穏保持のため
 
  1. 知事が設けた銃猟禁止区域では銃猟はできない。

  2. 銃猟制限区域では、知事の承認がなければ銃猟はできない。

  3. 公道での捕獲禁止。

  4. 公園での捕獲禁止。

  5. 社寺境内、墓地での捕獲禁止。

  6. 住居の集合地、多数の者が集合する広場や駅などにおいて銃猟はできない。
 
(2)狩猟鳥獣の保護のため
 
  1. 鳥獣保護区及び休猟区(3年以内の期間を定めて知事が指定する)での捕獲禁止。

  2. 指定猟法禁止区域での指定猟法(鳥獣の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあると認める猟法)による捕獲禁止。
 
(3)第三者の権利保護のため
 
 垣、さく等に囲まれた土地又は作物のある土地では、土地の占有者の事前の承諾がなければ捕獲できない。
 
<猟法の制限>
 
(1)危険防止のため
 
  1. 爆発物、劇薬、毒薬の使用及び据銃、陥穽(落とし穴)、危険なわなを使用する危険猟法での捕獲禁止。

  2. 日出前及び日没後は、銃猟をしてはならない。

  3. 弾丸の到達するおそれのある人、飼養動物、建物、電車、自動車、船舶その他の乗物に向かって、銃猟をしてはならない。
 
(2)狩猟鳥獣の保護のため
 
  1. 口径の長さが十番又はこれより口径の長い銃の使用はできない。

  2. 飛行中の飛行機、運行中の自動車又は5ノット以上の速力で航行中のモーターボートの上からの銃猟はできない。

  3. 3発以上の実包を充てんできる弾倉のある散弾銃は使用できない(弾倉2発、薬室1発、計3発はよい)。

  4. 小口径ライフル銃(口径の長さが5.9mm以下)の装薬銃は狩猟には使用できない。

  5. 小口径以外のライフル銃は、ヒグマ、ツキノワグマ、イノシシ、ニホンジカの猟のみに使用でき、これ以外の狩猟鳥獣には使用できない。

  6. 空気散弾銃は使ってはならない。

  7. 鋸歯のあるものや内径最大長が12cm以上あるとらばさみ、つりばり、とりもち、弓矢、かすみ網、キジ笛等は使用できない。特に、かすみ網は使用禁止猟具と定められ、狩猟目的で所持することも禁じられている。

  8. 犬に咬みつかせることのみにより捕獲したり、犬に咬みつかせて動きを鈍らせ、法定猟法以外の方法で捕獲することは禁止されている。
 
●ヤマドリの販売禁止
 
 ヤマドリ(加工品を含む)は販売が禁止されている。学術研究や養殖などのために販売するときは、知事の許可が必要である。
 
●違法捕獲鳥獣の譲渡等の禁止
 
 違法に捕獲し若しくは輸入した鳥獣は、飼養、譲渡し、譲受け、販売、加工等が全て禁止されている。
 
●罰則について
 
 新法では罰則が強化されており、新規に定められた主なものは下記のとおりである。
 
  1. 狩猟免状に記載された住所、氏名等に変更があったのに、遅滞なく管轄知事に届出をしなかったか、虚偽の届出をした者(30万円以下の罰金)。

  2. 狩猟者記章を着用しないで狩猟をした者(30万円以下の罰金)。

  3. 網・わなで狩猟をするとき、その猟具ごとに、見やすい場所に、住所、氏名、登録知事名、登録年度、登録番号を定められた方法で表示しないで狩猟をした者(30万円以下の罰金)。
 
●弾丸の最大到達距離
 
 弾丸の最大到達距離は下表のとおりである。
 最大到達距離は、銃身の長短、絞りの強弱、火薬の種類と量、弾頭又は散弾重量、風向、湿度、気温などの条件により異なるので、猟用標準実包を猟用の標準的な銃から発射した場合を示した。
 
 
銃を所持する者の一般心得

●携帯・運搬の一般準則
 
 猟銃・空気銃の許可を受けた者でも、正当な理由がなければ猟銃・空気銃を持ち運んではならない。「狩猟」「有害鳥獣捕獲」「標的射撃」のいずれかの用途のためでかける場合のほか、修理のため銃砲店へ持参する場合、保管業者へ保管委託のため持参する場合、転居の場合等は正当と認められる。
 また銃は見る人にある種の不安感を与えやすいので、携帯・運搬の場合には外部から見えないようにするよう義務づけられている。「猟場」あるいは「指定射撃場」に着いて使用を開始する直前までは銃袋に入れるか、適当な容器に入れておくよう配慮しなければならない。
 勿論、携帯、運搬する場合には所持許可証を携帯しなければならないし、狩猟又は有害鳥獣捕獲の場合は、登録証あるいは鳥獣捕獲許可証を携帯しなければならない。
 
●使用についての一般準則
 
(1)使用してもよい場所や時期を念頭に入れておくこと
 
  1. 自分の所持する銃はどの射撃場で撃てるか。空気銃射撃場ではライフル銃や散弾銃を撃つことはできないし、散弾銃のみの指定を受けている射撃場ではライフル銃を撃つことはできない。それぞれの射撃場は公安委員会が指定した種類の銃砲しか使用できないので注意すること。射撃場ごとに発射できる弾の号数も指定されている。

  2. 猟場では、銃猟について、場所的、時間的に細かく規制されているので、あらかじめ充分承知しておくことが必要である。

  3. 猟場であっても、まわりの人に常に気をつけ、少しでも人に危害を与えるおそれのある場合は、近くに獲物がいても撃ってはならない。また獲物であるかどうか十分確認できるまで発射してはならない。獲物だと思って同僚ハンターを撃った例が多発している。
 
(2)銃の機能が完全か安全点検をすること
 
 銃の機能が不確実であったため発射と同時に銃がこわれて怪我をする事故がある。引金機構や機関部の接合部分、先台のゆるみなど頻繁に点検するほか、安全装置に過度の信頼をおかないこと。安全装置は引き金を動かなくするだけのものであり、銃に強い衝撃を与えると、撃鉄のかかりがはずれ暴発するおそれのあることを知っておかなければならない。
 また木の葉や雪片が銃身内に入っているのに気づかずに発射すると、銃身破裂をおこすおそれのあることも知っておき、常に安全点検をくり返すこと。
 
(3)銃を手にしたらまず弾が入っていないか確認すること
 
 銃を手にしたり、又は手から離す場合、必ず弾が装てんされていないことを確認する習慣を身につけること。
 銃袋や銃架からとり出した直後、競技のひとくぎりに銃架に置くとき、狩猟の休憩のとき、また射台から離れるときなど常に残弾の有無を確認しなければならない。まさか弾が入っているとは思わなかったという事故が発生している。
 
(4)銃口は、絶対に人の方向に向けないこと
 
 いかなる場合でも銃口を絶対に人のいる方向に向けてはならない。弾の装てんの有無にかかわらずこれは昔からの鉄則である。
 
(5)発射する場合以外は用心金の中に指を入れないこと
 
 射撃姿勢をとった後、いよいよ発射というときまで引き金に指をかけない習慣を身につけること。
 
(6)銃架に置くときは機関部を開放すること
 
 射撃場で射撃の合間に銃架に置くとき、射撃場内を持ち歩くときなど銃に弾を装てんしていないことを誰が見てもわかるようにするため、元折銃は銃を折り、自動銃は遊底を開き、機関部を開放しておくこと。
 
(7)発射の必要なときまで実包を装てんしないこと
 
 猟場では獲物が飛び出す状態になるまで実包を装てんしないこと。また射撃場では射台(射座)に立つまで実包を装てんしないこと。
 
(8)発射の必要がなくなったとき必ず脱包すること
 
 射撃を中止にしたときはその都度、直ちに脱包すること。猟場を移動するときも僅かな距離でも脱包して移動すること。
 
(9)不発弾を慎重に取り扱うこと
 
 不発のときは遅発のおそれもあるので、暫くそのままにしていること。また不発弾をその場に投げ捨てずに火薬店等で適切に処置してもらうこと。
 
(10)跳弾になるものに向けて発射しないこと
 
 水面、竹林、石など跳弾となる可能性のあるものに向かって発射してはならない。予測のつかない被害がでる場合があるので、十分注意すること。
 
(11)適切な弾を選ぶこと
 
 小さな獲物に大きな弾を選ぶと獲物が台なしになるばかりか危険も伴う。逆に大きな獲物に威力の弱い弾を使うと傷をつけるだけである。射撃場においても競技種目にあった適切な弾を選ぶ必要がある。
 
●事故防止について
 
(1)自分に適した銃を選ぶこと
 
 銃床は、長過ぎても短か過ぎてもいけないし、銃床の握りも自分に合ったものでなければならない。初心者は反動の少ないものを選ぶべきであり、射撃用と狩猟用でも違っているので、用途及び自分に適した銃を選ばなくてはならない。
 
(2)自分の銃に慣れること
 
 銃を持つ者は銃が自分の手足のように使いこなせるように、よく射撃場で練習をして、よく慣れておく必要がある。毎狩猟期に1〜2度出かけるほかは1年中銃をガンロッカーに入れっ放しでは安全な取扱いができるか、疑問である。
 できるだけ射撃場で実射を行って、正しい取扱い、安全な取扱いを身につけるべきである。

とじる