エンジンは、定評の水冷・2サイクル・単気筒を搭載し、50ccクラス最高レベルの7.2PS/10,000rpm(NSR80:12PS/10,000rpm)を発揮させるとともに、振動を低減する一軸バランサーを内蔵するなど長時間走行にも配慮した設計としている。NSR50には新たに、吸気管(インテークマニホールド)にチャンバーを新設するとともに、リードバルブガイドの形状を見直すことによって吸入効率を一段と高めるとともに、フライホイールの軽量化とあいまって低・中速域でレスポンスに優れた力強い出力特性を実現している。また、点火方式をCDIマグネット点火からCDIバッテリー点火方式に変更することで、電圧の安定化を図り、低回転から高回転域まで安定した力強い火花特性を実現し、全域にわたってもレスポンスの向上を実現している。このような出力特性の向上に合わせ、NSR50はラジエーター容量をアップし冷却効果をいっそう高めるとともに、クラッチ機構も見直しを図り、クラッチ板を5枚から7枚に増やすとともにクラッチリフターにも改良を施している。さらに、両車種に新採用のリンク式チェンジペダルとクロスレシオの6段ミッションを組み合わせることによって、クラッチ操作やチェンジ操作が楽しめるスポーティなものとしている。
足廻りは、前・後に軽量・高剛性のアルミ製12インチホイールに優れたグリップ性能を発揮する幅広のタイヤを組み合わせて装備している。さらに前・後のサスペンションには本格的な油圧ダンパーを装備。リアのプロリンク・サスペンションには新たに初期荷重を5段階に調節できるプリロード・アジャスター機構を採用することで一段と優れた路面追従性と旋回性をも実現している。
外観は、HRCワークスマシン「NSR500」のイメージをダイレクトに受け継ぐスタイリッシュな新形状のリアカウルを採用。また、新形状の2分割ハンドルや高級感あふれるアルミ製トップブリッジを採用するとともに、車体色は'94年ロードレースWGPチャンピオンカラーをイメージしたファイティングレッドと、精悍なブラック(NSR50のみ)を設定することで、一段と本格的なイメージを高めている。