高電圧を発生させるにはいろいろな方法がありますが、
回路的に簡単(小型)であるものが私的に好まれますので
倍電圧整流回路とコッククロフト・ウォルトン回路を
今回紹介します。
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全波倍電圧整流回路 |
ダイオードD1によるキャパシタC1の充電と
ダイオードD2によるキャパシタC2の充電が
交互に行われます。
従って直流出力はC1とC2の充電電圧を直列に
したものとして交流電圧の先頭値の2倍近くになります。
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しかし、この回路による倍電圧整流は直流出力の両端子ともに
交流入力と等電位ではないことが保守上不都合があることから
テレビ時代になってからは半波倍電圧整流回路が用いられています
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半波倍電圧整流回路 |
交流入力のB端子のほうが高電位のときに
ダイオードD1によってキャパシタC1が符号の方向に
交流入力の尖頭値近くまで充電されます。
次に入力端子Aが高電位になると入力電位と
C1の充電値が直列になってダイオードD2によって
キャパシタC2を充電します。
その結果C2は入力尖頭値の2倍近くになります。
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この改良した倍電圧回路は、各整流素子やキャパシタは入力電圧の
尖頭値の2倍の耐力があれば充分ですが、これを積み重ねていけば
理論上はいくらでも昇圧することができます。
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コッククロフト・ウォルトン回路 |
ジュンちゃん注目の回路はこれです!
コンデンサや整流ダイオードは原理的に
入力電圧の2倍の耐圧で済むのでイイ!
しかも何倍でも電圧を上げることが出来ます。
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20世紀の初頭にイギリスの物理学者であるコッククロフトとウォルトンはこの原理を用いて
高電圧を発生させることで粒子加速器を作ることを思いつきました。
彼らの時代にはまだ優れた半導体整流器は開発されていなかったので整流には「ケノトロン」
と言う商品名の高真空整流器(2極真空管)が用いられました。
当時は高電圧の実験には静電気を発生させて、これを帯電させたものを利用していましたが、
これでは連続的な電流は得られず、また発生する電圧にも限度がありました。
この倍電圧回路で構成された高電圧発生装置は当時としては驚異的な70万ボルトの
直流電圧を連続的に発生することができて、これによる粒子加速器の実験の成果によって
二人はノーベル物理学賞を得ています。
この回路は恐らく多くの先人のアイデアを総合したものと想像されますが、二人の業績によって
「コッククロフト・ウォルトンの回路」として名を残しています。
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この回路で6倍の電圧が得られます!
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