チョウチョウウオの住処の考察
採集の腕がそこそこ上がり、チョウチョウウオやトゲチョウチョウウオなど「普通種」のチョウチョウウオ科魚類を飼育していると、必ずそれ以外のチョウチョウウオも欲しくなるのが人の性。それではその「ちょっと変わった」チョウチョウウオはどういうところに生息しているのか。それについてちょっと考えてみました。
1.磯
殆どのチョウチョウウオは本州・四国・九州太平洋側では磯に多く生息しています。造礁サンゴが見られるような紀州や四国南部では採集できるチョウチョウウオの種類が増えます。よく見られるものとしては、造礁サンゴのない磯ではトゲチョウチョウウオ、ミゾレチョウチョウウオ、フウライチョウチョウウオ、チョウチョウウオ、チョウハン、ゴマチョウチョウウオなどで、造礁サンゴがあるところではミスジチョウチョウウオ※1、ミカドチョウチョウウオ、ヤリカタギ、トノサマダイ、ウミヅキチョウチョウウオ、ヤスジチョウチョウウオ、ミナミハタタテダイも見られます。採集時にサンゴを壊さないように気をつけましょう。
2.漁港
漁港にも防波堤にカイメンなどが付着するので、それらを啄みにチョウチョウウオが訪れます。小型のものはやはり7〜9月に多く出現します。よくみられるものとしてはチョウチョウウオ、トゲチョウチョウウオ、チョウハン、フウライチョウチョウウオといった種のほかにアケボノチョウチョウウオ、セグロチョウチョウウオ、ニセフウライチョウチョウウオ、スダレチョウチョウウオ、ハタタテダイ、ムレハタタテダイ、オニハタタテダイが見られます。またトノサマダイも少ないですが出現することがあります。漁港のチョウチョウウオはサンゴをあまり食べないことが多いのか、食性は雑食になっているように思えます。漁港での採集は漁船や漁師さんの迷惑にならないように注意しましょう。
3.河口の防波堤
チョウチョウウオの仲間には汽水域に出現するものもいます。数は多くありませんが、それでもチョウチョウウオやハタタテダイはよく見られます。フウライチョウチョウウオ、トゲチョウチョウウオ、セグロチョウチョウウオ、ニセフウライチョウチョウウオも確認しています。チョウチョウウオ類は自然の状態でも白点虫が付着している個体が見られますので、塩分の違いを使用して白点虫を殺そうと(あるいは白点虫を体からはがそうと)しているのかもしれません。
4.まとめ
磯・漁港・防波堤の3つのポイントを挙げました。この3ヶ所何れもよく見られるチョウチョウウオがトゲチョウチョウウオ、フウライチョウチョウウオ、チョウチョウウオの3種で、採集家もよく飼育されているものです。多くの種類が磯につくのですが、磯につかず漁港に多い種類などもいます。そして漁港に多く集まる種類のほうが、磯で見られるものよりも飼い易いということもいえます(サンゴのポリプを餌にしないものが集まるため)。
5.備考
※1:高知県で造礁サンゴがない場所でもミスジチョウチョウウオを確認しています(WEB魚図鑑にも登録)
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