二次創作小説

都合により文章内容を変更・改正する場合がございます。
9      難しい話 ― What does it mean? ―
「ねぇねぇ旅人さん、ちょっといいかい?」
キノが、ホテルのレストランで美味しい食事をとっているときだった。
普通の男がキノになれなれしく話しかけた。
「おっちゃん、何の用?」
キノの横にセンタースタンドで立っていたエルメスが言った。
「実は旅人さんに話したいことがあるんだ。何気ないことだけどね」
「どんなお話ですか?」
食事中に何なんだと思いながらキノが言った。
すると男は話し始めた。
「最近、変な人が多いなぁと思うんだ」
それがどうしたと思いながらその話を食事をとりながらキノは聞いた。
「例えば、テレビを見ながらパソコンを使う人がいる。でも、これは脳医学的にも認識力が双方共に劣るんだ。だから、電気の無駄でも時間の無駄でもあるんだ。それなのにその人はそんな馬鹿な事を続ける。僕みたいにどちらか片方ずつ行えばいいのに。他にもあそこにいるヤツ、バカでバカでしょうがないヤツなんだ」
そう言って男はレストランのカウンターにいる男を指した。
「あいつは5年前、僕が一緒にボランティアに参加しようって声をかけたのに、忙しくて時間がないからとか言って断りやがったんだ。人は歴史的にも哲学的にも協力しあいながら生きていなかったらだめなんだ。それは数学的にも証明できると思う。何故ならその方が効率的にもいいからだ。
それなのに人類的な思考を無視しやがって」
キノはほぼ無視しながらステーキを口に運んでいた。
「だいたい性格的にもおかしいんだ。隣国と貿易を行うべきだとか言ってる。でも、隣国は戦争を起こそうとしているに違いないんだ。それなのにそんな国と貿易をしたいなんて言い出すヤツは頭がおかしい以外の何者でも無いんだ。まったく僕みたいに優秀な―――――――――」
キノは一人いつまでもしゃべっている人を放っておいて、席を立った。
 
キノはエルメスを押して部屋に戻るとベッドに仰向けになり、こういった。
「ふぅ、疲れた。エルメスはああいうときに気づかれずに寝ていられるからいいね」
「キノ、あんな意味不明な話を聞いてろって言う方がおかしいと思うよ」
「そうだね、エルメス。せっかくの食事が台無しだ」
「それにしてもあの人、自分で自分の言っていること理解してるのかなぁ?」
「さぁね。そんなことボクには関係ないよ。さぁ、観光に行こう」
「そうだね」
 
それからキノ達はロビーに向かうと、さっき意味不明の男に指を指されていた男が呼び止めてきた。
「旅人さん、さっきは変な話を聞かされていて大変そうだったね」
「えぇ、とても大変でした」
そう言ったキノは本当にイヤだったというような顔をしていた。
「大きな声でしゃべっていたからこっちまで聞こえてきたよ」
「何が言いたかったんでしょうね」
「さぁ。僕は確かにボランティアの件は断ったけど、あの人も結局は参加してないんだ。しかも、隣国が戦争を起こそうとしているなんて勝手な思いこみなんだ」
「……………」
「……………」
「まったく意味が分からないよ。じゃぁね」
そう言ってその男はまた仕事に戻っていった。
更新日時:
2005/04/14
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Last updated: 2006/9/13

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