旭川個人タクシー「旅人の心をわかる会」
「大正泥流」
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大正泥流
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樹木(2)
 
上富良野を襲った山津波。十勝岳の大正泥流を紹介。
(1)十勝岳の成り立ち
 
北海道の大雪山国立公園の中の十勝岳は、現在も噴煙を上げる活火山です。火山といえば高くそび
え立つ富士山や北海道では羊蹄山が典型的な事例で美しい円錐形で山頂には火口の窪みがある山を
イメージする人が多いと思いますが十勝岳は、違いオプタテシケ山から美瑛岳、十勝岳、前富良野
岳に至る火山群が連なっています。十勝岳の基盤は、北見山地から日高山脈に達する北海道の背骨
にあたる場所に大雪十勝火山群があります。この背骨は、オホーツクプレートがユーラシアプレー
トに衝突した事によって形成されたものと言われています。
(2)十勝岳の噴火
 
十勝岳の噴火が古文書などに記録となって残される様になったのは1857年
(安政4年)の活動からで安政4年に松田市太郎は「焼山」の激しい噴火
活動を目撃し、同じ年に松浦武四郎が石狩日記に記録し、翌年に訪れ山麓
から立ち上がる噴煙をスケッチしている。1887年(明治20年)この地域の
鉱床調査に訪れた大日方伝三は、十勝岳が年々大噴出をする事数回と報告
している。
1926年(大正15年)1923年頃から噴気活動が活発になり、大正15年の春に
破壊的な大泥流を伴う噴火を起こし美瑛、上富良野を巻き込む大災害を起
こした噴火である。
1962年(昭和37年)大正15年の噴火直前の火山活動と似ている事から気象
庁は注意を呼びかけたが硫黄鉱山の操業が続けられた為に死者を出した。
この時の噴火で吹き上げられて噴煙は、高度1万2000mに達し、降灰は道東
一帯に広がり遠くは、千島列島のウルップ島南方を航行中の船上にも達し
た。
1988年(昭和63年)〜1989年(平成元年)には、現在も噴煙を上げてる
62−U火口から小規模な水蒸気爆発が始まり冬だった為に泥流が発生する
のでわ?との噂も流れたが小噴火で影響は無かった。 
(3)1926年(大正15年)の噴火活動
 
大正15年5月24日12時11分に第1回目の爆発。この時の水蒸気爆発で発生した泥流が今の白金温泉
(当時の畠山温泉)を襲った。続いて16時17分に第2回目の爆発。この水蒸気爆発が大正泥流と呼
ばれる泥流を引き起こし美瑛や上富良野を襲い死者123名、行方不明21名を出す大災害を起こし
た。
 
 
(4)第1回目の噴火
 
12時11分 硫黄採掘の平山鉱山の元山事務所では、突然の爆発音と岩石の崩壊するような響きが5
〜6秒聞こえた。この爆発音は、上富良野や志比内でも聞こえたと言われています。この時の噴火
で小規模な泥流が発生し望岳台近くにあった丸谷温泉や畠山温泉の風呂場を破壊、宿前の橋を流し
た。
(5)第2回目の噴火
 
16時17分過ぎに2回目の大規模な爆発が起こり泥流が再度発生。この時の海抜1,000m付近にあった
元山事務所では、積雪が1m以上あり、真冬より気温が高かった為に山津波となって泥流が元山事務
所を襲った。爆発音を聞いてから火口より2.4km離れた元山事務所に泥流が到達するまでの時間
は、わずか1分までもかからなかったと推測されています。これが一次泥流でこの後に二次泥流が
起き美瑛川と富良野川に分かれて流下。富良野川を流下した泥流が火口から25km離れた上富良野を
爆発後25分余りで襲い死者・行方不明者を出す大惨事を起こした。ちなみにこの泥流の速さは時速
にすると60〜80km位ではなかったかと推測されています。 
(6)被害状況
 
この泥流による被害は大きく上富良野・美瑛を併せて死者123名、行方不明者21名を出す災害
でした。その他の被害としては、全壊住宅数45戸(災害史によると54戸)、森林の被害面積650ha
で木材の丸太価格(平成14年度)から想定すると約17億円にのぼり、泥流に埋め尽くされた水田・
畑は、上富良野では水田が5000反、畑が2250反、美瑛では水田が400反、畑が2760反、中富良野で
は水田が1345反と報告されています。
(7)復旧活動の開始
 
25日には、鉄道の復旧工事と遺体の捜索が始まりました。鉄道の復旧には、保線工手400人、人夫
200人が動員され鉄道線路の上に約60cmも溜まった泥土や流木を片付けレールなどを敷設し28日に
開通しました。遺体の捜索は、泥土が深い所で数尺にも達し流木などもある事から歩いて捜索する
事もままならない状態であったがボートによる捜索が泥土の中の移動を容易にし富良野警察所長の
指揮のもと捜索が開始された。8月26日にいったん終了したがその後も発見され昭和2年7月8日に上
富良野で遺体が発見されたのを最後に行方不明者21名と報告された。
(8)復興か放棄か?
 
とりあえず救護活動が一段落した6月5日、吉田村長が事務を総括する事
になった頃に上富良野の復興するか放棄するかが本格的に論議される様
になった。放棄説は、被災した田畑の土には硫黄や亜硫酸などが多量に
含まれ田畑を元に戻すには莫大な費用がかかる事から放棄して未開地に
移住して出直した方が良いというもので実際に十勝の伏古や帯広から入
植の勧誘の話もあった。これに対して復興説は、被災した田畑は三重団
体の人々が移住して約30年の苦労の結晶であると共に田畑の時価は数百
十万円に対し復興にはこれほどの金額がかからないと言う説であった。
道庁も態度を決めかねていたが吉田村長は復興の決意を崩さず6月24日
に道庁は復興を決定し予算総額112万297円を決定した。 
(9)再生の経過
 
客土や泥流土の除去の作業は昭和3年にとりあえず完了し昭和6年〜7年に用排水設備も完成し硫
毒の濃度も下がり水田も本格的に収穫が見込めるようになった。昭和8年に水田でカエルの鳴き
声が聞こえる様になった。泥流の被害にあって8年の歳月を費やして再生されました。現在では、
北海道で最初のラベンダー栽培の地として夏には多くの観光客が訪れる場所として全国でも有名
になりました。 
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