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また、「助動詞」→「動詞」の枠構造は、助動詞を何段にも積み重ねることが出来ます。例えば、「彼は映画へ行く」という文は、単純な普通の文ですから「行く」という動詞が2番目に来るだけで、別に枠構造があるわけではありません。もし、この文を完了形を使って「彼は映画へ行った」と書く場合は枠構造が現れました。。
つまり、ドイツ語の順番で書くと、
「彼は、~した、映画へ、行く」となります。(Er ist ins Kino gegangen. )
→ ← → ←
しかし、例えば「彼は映画に行ったに違いない」という文を作るとすれば、今度は次のようになります。
「彼は、~に違いない(助動詞müssen)、映画へ、行く、~した」
ここで気をつけて欲しいことは、先ほど2番目にあった「~した」の位置に、今度は「~に違いない」という助動詞が新たに来ていることです。そのせいで、「~した」という完了の助動詞は2番目にいられませんから文の最後に移動することになります。また、助動詞müssenは、最後に来る動詞を原型にすることも注意する必要があります。
ですから、これをドイツ語で書けば
Er muss ins Kino gegangen sein.となります。
2番目のmüssenは主語のErにあわせてmussと変化します。
先ほどistとして2番目にあったseinは、原型のseinとなって文末に行きます。
gehenはseinとの関係は完了の関係なので、gegangenと過去分詞の形はそのままです。
と以上のようになります。
また、日本語で次のような文を考えることも出来ますね。
「彼は映画へ行かなければならなかった」この場合は、ドイツ語の順番で書くと次のようになります。
「彼は、~だった、映画に、行く、~ねばならない(助動詞müssen)」
上の文と比べて違いが分かるでしょうか。この場合のドイツ語は
Er hat ins Kino gehen müssen. となります。
この場合は最終的に「~した」という言葉で終わりますから、その過去の意味を表す完了の助動詞が2番目に来ることになります。この場合は最後に飛んでいく動詞が、今度はmüssenになるので、それにあわせた完了の助動詞であるhabenが使われていることにも注意してください。(この場合のmüssenの過去分詞はmüssenという形になります。)また、最後のgehenとmüssenの関係は動詞と助動詞の関係ですので、gehenは原型となります。(→補足)
これは、理論上は2番目にさらに何かが来れば、現在の2番目のものは最後へ飛ぶことになります。つまり、ドイツ語においては、2番目の動詞と最後の動詞は常に密接な関係で結ばれているわけです。そして、その最後に飛んだ動詞の前に何か動詞があれば、今度はそれら二つが関係していることになります。言葉で書くと難しいですが、図にすると簡単です。
1番目の要素、助動詞、・・・・・・・・、過去分詞、完了の助動詞
や、
1番目の要素、完了の助動詞、・・・・・・・、原型、助動詞
という関係になります。
このように、2番目の動詞が最後に来る動詞と呼応するということが「枠構造」と呼ばれるものです。
なお、分離動詞を使う文も枠構造の一種と考えることも出来ます。例えば「彼はその町に到着する」という文では、動詞にankommenという分離動詞を用いることが出来ます。その際のドイツ語は次のようになります。
Er kommt in der Stadt an.
詳しくは、分離動詞のところで書きましたので繰り返しませんが、分離の前綴りが文末に飛んでいます。この場合は、動詞の本体の部分と、分離の前綴りで枠構造をなしていると考えることが出来ます。
補足
「彼は映画へ行かなければならなかった。」という文は、完了形を使って書けば、上で書いたように、Er hat ins Kino gehen müssenですが、実際の場合このように書くことはほとんどありません。
この場合は、完了形を使わず、
Er musste ins Kino gehen. と過去形を使って表現する方が普通です。
2番目の話法の助動詞を過去の意味にするときは、完了形を使わず話法の助動詞をそのまま過去形にして使うのが一般的です。
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