人称と動詞(2/2)

ですから、その残りの単語はすべて3人称です。「わたし(達)」と「あなた(達)」以外は何であっても全部3人称です。例外は100%ありません。「彼」だろうが「彼女」だろうが、「机」だろうが「飛行機」だろうが、「ペーター」でも「マリー」でも全部3人称です。初心者のうちは3人称の変化をerとsieとesの時と覚えていて、主語に普通の名詞がきたり固有名詞がくるだけでわからなくなる人がいますが、悩む必要はないんです。主語が「わたし」と「あなた」以外は何であっても全部3人称なんです。それに単数か複数かの違いがあるだけです。例えば、小さな女の子が自分のことを自分の名前で呼んで、「マリーはね、これからお母さんと幼稚園へ行くの」なんていった場合でも、意味は「わたし」ですが、使っている言葉はichではないので、これも3人称になるわけです。3人称の現在形の動詞の変化は単数形の時はtで終わる。複数形の時はenで終わる、それだけです。このように、「わたし」と「あなた」以外はすべては3人称なのです。

逆に考えると、ドイツ語やヨーロッパの言葉の「わたし」を表す言葉は、非常に強いものだと言えます。ドイツ語ではichしかないわけです。友達と話すときも、先生や目上の人や、小さな子供や、自分に語りかけるときでもいついかなる時でも「わたし」はichだけ、それ以外はないんです。ですから、「わたし=ich」の国の人が日本へやってくると「自分自身」をなんと表現してよいのか、よくわからなくなってしまうこともあるようです。「わたし」、「俺」、「僕」、「あたし」、「わたくし」、「小生」、古い言葉だと「拙者」とかいくらでも出てきてしまい、自分の足下が揺らいでしまうような感覚に陥るかもしれません。


補足
上で、現在形で動詞の語尾がeで終わる場合は100%ichの時だけと書きましたが、実際は例外があります。この先はドイツ語をよく知っている人には、当たり前のことと思いますが、er geheという形も存在します。これは接続法と呼ばれる用法ですが、初心者のうちはそれほど目にすることもないので、特に説明はしません。重要なことは、やはりer ときたらgehtとしっかり覚えておくことです。そうすれば、er geheという形を見たときに、何かおかしいなと気づくことができます。実際ドイツ語になれてくるとこれをgehtだと勘違いして読み過ごしてしまうような場合も多いですが、そのとき、「erなのにgeheとは何事か」、と立ち止まる必要が出てくるわけです。何となくわかるから、どうでもいいやと思ううちは、接続法を学んでもぴんとこないと思います。感覚的にer geheという形に、「あれ?これはおかしい!、何か普通ではない意味があるに違いない」と思うようになって初めて、接続法を学ぶぐらいでいいと思います。

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